年末モードでテレビを見ていると、改めて今年はいろいろ不祥事系の事件があったことが思い出されます。
気になるのは、「誰が悪い」という(もはや生贄探しに近い)犯人探しが主で、「何を変えればいいのか」(社長や責任者の首以外に)という議論がなされていないことです。
性善説を前提にしているといえば聞こえがいいのでしょうが、どちらかというと無謬性を求めて結果責任を厳しく問う姿勢が感じられます。
「ちゃんとやれよ」としか言わない管理職とか「いい子にしてなさい」としか言わない親が必ずしも良くない親であるのと同じ問題を感じます。
これはマスコミだけに限らず、上場審査を緩くした挙句に不祥事が起きると今度は箸の上げ下ろしまで口を出し始める証券取引所(上場企業といってもかたや従業員数十名売上数億から従業員数万名売上数十兆円という企業まであるのですから、それを一律の基準でコントロールしろというのも無理があるように思います)とか、細部の基準が明確でない金融商品取引法を施行する金融庁(事後監督型行政への転換を理由にとはいっても実際に監督処分をくらった日には企業としては致命的なので必要以上に安全運転をすることになってしまい、投資信託を銀行窓口で買おうとすると小一時間形式的な説明を聞かされるらしいです)とか行政・立法側の問題もあります。
人間は往々にして間違ったり、いけないことの誘惑にさらされる、ということを前提にしたルールや世の中の仕組み、評価の枠組みが必要なように思います。
また、地球温暖化問題でもCOP13で妙に悪役になってしまったりと、国際的な枠組み作りというのは相変わらず不得意です(明治時代に東アジアでいちはやく国際社会入りを目指し不平等条約の改正を目指した先見性はどこに行ったのでしょうか)。
※地球温暖化問題とか炭酸ガス排出権問題についてはいまひとつ考えがまとまらないのですが、「国家」とか「経済成長」について考え直すいい機会だとは思いますので来年は少しまじめに考えてみようと思います(たとえば少子高齢化というのは炭酸ガス排出削減にとっては有効な解決策のひとつのはずで、グローバルな見地からは国内問題として憂慮すべきではないのではないか、また発展途上国を優遇する限度はどこに引けばいいのだろう、などという問いが浮かんできます。)。
さらに、年末に民主党がテロ特措法の妙な対案を出しました。
国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案要綱 によると、活動内容は「治安分野改革支援活動」と「人道復興支援活動」に分かれ、
治安分野改革支援活動は
① 不法な武装集団の武装解除の履行の監視及び当該武装解除の履行により武装を解除された者の社会復帰等の支援
② ①に掲げるもののほか、警察組織の再建その他のアフガニスタンの国内における安全及び安定を回復するための治安分野における改革に対する支援
人道復興支援活動は
① 被災民の生活若しくはアフガニスタンの復興を支援する上で必要な道路、水道、農地、かんがい排水施設等の農業用施設その他の施設若しくは設備の復旧(農地にある地雷の除去を含む。)若しくは整備又はアフガニスタン特別事態によって汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧
② 医療(防疫上の措置を含む。)
③ 被災民に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の輸送又は配布
④ 行政事務に関する助言又は指導
であり、人道復興支援活動については、抗争停止合意が成立している地域であってそこで実施される活動の期間を通じて当該抗争停止合意が維持されると認められる地域又は当該人道復興支援活動に対する妨害その他の行為により住民の生命若しくは身体に被害が生じることがないと認められる地域において実施され、自衛隊の部隊等が実施するアフガニスタン復興支援活動は、人道復興支援活動に限るものとするものです。
年末の大掃除の手伝いに行きますが、水仕事は手が荒れるのでやりません、という感じです。
最近中学高校ではやっているらしいボランティア活動としてこんな計画を出したら、さすがに教師も「相手先はそれでも来てほしい(たとえば力仕事を手伝って欲しい)と言っているのか話し合った?」と聞かれると思います。
この法案も、アフガニスタン政府や国連にこういうニーズがあるのか確認した上での法案なのでしょうか。そうでなければ単なる押しかけボランティアとして足手まといになってしまう感じがします。 本気で政権をとる気でいるのなら、政策立案能力をもっと磨いて欲しいと思います。
民主党も、これ見よがしな法案を作ったり、与党の提出法案に"all or nothing"で反対するのでなく、法案の趣旨自体が真っ当なものであるならばそれが有効に機能するか検証し、必要に応じた修正案を出すというような地道な活動を積み重ねる方が国民の信頼が得られると思います。
役所の失態を批判する一方で、役所の作った法案を検証・改善できないのであれば、政権をとっても今と大して変わらないように思います。
年の最後に文句ばっかり言ってしまいましたが、来年はすべてにおいて非難・責任追及だけでなく実効性のあるルール作り、枠組み作りをする前向きな年になることを期待しています(特にJ-SOXなど・・・)
それでは皆さん、良いお年を!