ちょっと気になっていた一昨日のニュース。
少林寺、雲南古刹を委託経営=東南ア進出も視野?-中国
(2008年11月25日(火)16:30 時事通信)
少林拳で知られる中国河南省登封市の少林寺が、雲南省にある4寺院の委託経営に乗りだすことになった。商業化に成功している少林寺の事業ノウハウを生かし、収益増大を目指す。雲南省を足掛かりに、交流のある東南アジアへの進出を視野に入れているともいわれる。
25日付の中国紙・北京晨報などによれば、少林寺は24日、雲南省の昆明市官渡区政府と契約に調印。同区にある妙湛寺、法定寺など4寺院の経営管理を委託された。寺院はいずれも2000年の歴史を持つ古刹(こさつ)。年内に僧侶が派遣され、経営陣として常駐する。契約期間は20年。
信徒からの寄付、宗教用品の売り上げなど経営収入はすべて少林寺の所有となり、4寺院は事実上その傘下に入る。少林寺の釈永信住職は「委託管理は仏教界で珍しいが、少林寺の拡張とか『チェーン化』を意味するものではない」としている。
中国における宗教の扱いってどうなんだっけと思い「中国の宗教事情」をみると、憲法で信教の自由は保障されているようです。
(第36条)
中華人民共和国の国民は、信教の自由を有する。 いかなる国家機関・社会団体または個人も、国民に宗教の信仰または宗教の不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する国民と宗教を信仰しない国民を差別してはならない。
国家は、正常な宗教活動を保護する。
いかなる人も、宗教を利用して社会秩序を破壊し、国民の身体・健康を損ない、国家の教育制度を妨害するなどの活動を行うことはできない。
宗教団体と宗教事務は、外国の勢力による支配を受けない。
法輪功やチベット仏教問題などは後段のところにあたるということなのでしょうか。上のサイトによると、仏教についても「現在、政府が許可している寺院は13,000か所。」ということなので、どうやら許可制のようです。
でも上のニュースのように政治活動でなく商業活動に熱心ということであれば、政府も文句は言わないのでしょう。
ところで、日本の地名やブランドが中国で関係ない人に商標登録されていることが問題になっていますが、逆に「少林寺」とか「少林寺拳法」は日本でも有名なので商標登録はどうなっているんだろうと思い特許電子図書館で調べてみると、「有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人」という法人がかなりの役務について「少林寺」や「少林寺拳法」かなりの類について商標登録をしていました。
この団体を検索してみると香川県多度津町にある宗教法人金剛禅総本山少林寺のグループに属している法人のようです。
そこのHPの「沿革」を見ると以下のとおり
1947年10月、日本の香川県多度津町の自宅で、宗道臣は教えと技法と教育システムを兼ね備えた「人づくりの行」として、少林寺拳法の指導を開始しました。
1951年、宗教法人法に基づき、金剛禅総本山少林寺を開基。
・・・
2003年、有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人を設立。
2006年、有限責任中間法人SHORINJI KEMPO UNITYに名称変更
商標の出願日は古くは昭和46年あたりのもあるので、商標をまとめて管理するために設立した団体のようです。
創始者の宗道臣氏については
17歳の時、中国に渡り、大陸を駈けめぐる。その間、縁あって嵩山少林寺の流れを汲む文太宗老師の知遇を得てその門に入り、各種の拳技を修得する。
ということで元は中国の少林寺の流れをくむようですが、現在では中国の少林寺との関係はないようです。
また、この団体のグループのひとつ少林寺拳法世界連合(World Shorinji Kenpo Organization)のサイトの説明を見ると
Shorinji Kempo, now more than ever, is a martial art to represent Japan. However, among Japan's many martial arts, the history of Shorinji Kempo is very young - only 60 years have passed since its creation.
と日本オリジナルの武道であることが説明され、この少林寺拳法の発祥についても
To construct a world in which everyone could live in happiness, he took the Chinese and Japanese martial arts that he had studied and reformulated them into a single, unique technical structure, thus originating Shorinji Kempo.
と、「和漢折衷」の武術であることが説明されています。
ただ、中国の少林寺との関係は書いていません。
今後中国の少林寺が積極的に海外での事業展開に乗り出すと、もめる可能性は高いのではないでしょうか。
たとえば日本での事業展開の時に既にある商標登録に異議を唱えられたらどうなるのかとか、アメリカなどの第三国の場合はどうなんだろうというのは興味があります。
でも、私の知識レベルを超えているので、今日はとりあえずネタ出しだけで失礼します。