一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

しばし出かけます。

2011-07-27 | よしなしごと
なので、来週まで更新はお休みです。

Twitterでは「~なう」とか言ってるかもしれません。
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「舶来」は健在?

2011-07-26 | よしなしごと
改めて言われてみると結構な差です。
日本でのドイツ車・米国車の価格は米国の2倍

この表は1ドル79円の計算ですが、1ドル100円だとしても1.7倍くらい。
日本車にしても、1ドル100円換算でも日本のほうが1割高(レクサスは15%高)というのはちょっと納得いかないですね。
さらに消費税や取得税などを勘案すると、ますます割高な感じがします。

輸入車が高いのは、右ハンドルや車検制度・排ガス規制への適合、輸送費用の問題なのか、「プレミアム感」を演出する販売経費が大きいのかもしれませんが、実際「高くても売れる」というマーケットが一番大きな理由だと思います。

ベンツのSクラスのように高いほど喜んで買う人がいそうな高級車はさておき、VWのティグアンだとRAV4やスバルのフォレスターと同じカテゴリでもこの値段で売れるということは舶来神話未だ健在ということでしょうか。

それとも今お金に余裕のある団塊世代にとっては、1ドル200円台の時には高嶺の花だった輸入車がお手ごろ価格で買えるという感覚がこの値付けの背景にあるのでしょうか。

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中国の高速鉄道事故

2011-07-25 | よしなしごと


<8/25追記あり>
<8/26再度追記>

最近では特許問題もあり「ほらみたことか」風な取り上げられ方をしています。

たとえば安全面に不安、輸出に影響か…中国高速鉄道事故(読売新聞)とか。

でも、新幹線の運行制御技術は日本は最先端かも知れませんが、日本でも福知山線の脱線事故があったことを忘れてはいけないと思います。
路線拡張と早期開業のために安全性を犠牲にしたという指摘がありますが、組織的なプレッシャーが現場にひずみを起こしたという点では同じ。
「同じ事故は日本では起こりえない」などと解説者は言うが、まったく同じ事故は起きないとしても「過重な目標を現場に課した結果の事故」が起きないと言いきれるのだろうか。

高速鉄道の輸出にしても、中国以外にも競争相手はいるし、今回の事故で日本が有利になったとは必ずしも言えないように思います。

特許問題で言えば、一般論で言えば(中国以外の国における問題であれば)ごく狭い範囲で特許をとっても競争上は影響は少ないし、逆に広い請求項であれば異議は言えるはずで、本当に日本に技術力があるのであればあわてることはないはず。
逆に「特許出願」というPR攻勢にあわてることの方が相手のペースに乗ることになるのではないでしょうか。

敵の攻勢にあたふたし、敵失に沸く、というスタンス自体が負け犬根性を助長してしまっているようでとても気になります。


どこかで読んだのですが、日本の新幹線は専用軌道で精巧な制御なので車体自体は非常に軽量に作られているが、米国では専用軌道はコスト的には現実的でないので逆に万が一のときの衝突安全性もポイントになるとか。
その意味では、満員の電車が高架線から落ちても40人くらいの死者(現時点ですが)で済んだということから学ぶべきところはないのでしょうか。
または、今回の事故の原因究明と再発防止に協力を申し出て、同時にノウハウを吸収する原発事故におけるフランスのような貪欲さを持つべきではないかと思います(まあ、申し出には応じないでしょうが)。


<追記>
それにしても、現場で穴を掘って埋めるとは想像もつきませんでした...

<追記その2>
阪神大震災の直後に三宮で横倒しになって通りをふさいでいたビルがテレビに映されていたのですが、施工した某スーパーゼネコン(竹Φだったと思う)が総出で一夜で解体撤去してしまったのを思い出しました。
中国人に特殊な発想、ということではないのかもしれません。

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震災復興支援ファンド

2011-07-22 | 東日本大震災

NHKのクロ現でやっていた震災復興支援ファンドの話

けっこう絶賛気味だったのでTwitterでKYな突込みをしたのですが、実際どんなモンだろうと調べてみました。

多分これのことなんじゃないかと思います。

そのなかの一つ、かまぼこファンドを例にとって見ます。

かまぼこ店を営業者とする匿名組合に出資する(かまぼこ店と匿名組合契約を結ぶ)というスキームのようです。
ファンドを募集している会社は第二種金融商品取引業者の登録をしています(登録しないと募集できないので当然ですが)。
一口5000円ですが、同時に一口あたり5000円の「応援金」を支払わないといけません。
契約期間は86ヶ月で、配当は37ヶ月目から毎月の売り上げの1%相当が回ります。
(「応援金」とすると課税の問題が出るので配当比率を半分にしたほうがいいように思うのですが、今期であれば損失が大きいので消せるということでしょうか。)

ファンドの募集をするミュージック・セキュリティーズ社は手数料として出資金一口あたり500円を報酬として受け取ります。
出資に対して10%の報酬は太いですね。そしてその後は監査をするだけです(websiteではプロジェクトの進捗を公表する予定のようですが)。
また、特典として商品が定期的に送られてきます。(これは配当課税の対象にならないのでしょうか?)

かまぼこ店にとっても無担保で資金が手に入るのであれば、応援金と合わせた額の5%を取られても金融機関から(もし借りられたとしてもそれ)よりは有利な調達かもしれません。

スキーム上ちょっと気になるのが、運用期間終了後の元本返還の原資が確保できるかについてのシミュレーションがないこと。
そのときは「被災地飛躍ファンド」とかでまたミュージック・セキュリティーズ社がファンドで資金調達するのかもしれません。
また、分配金額のシュミレーションの「利回り」が期間を勘案して割引いていないこと。これはちょっとミスリーディングだと思います。


仕事だったらこういう商品は相手にしないのですが、「顔の見える被災者に支援ができるのであればいい」という個人はけっこういるかもしれませんね。


ただ、本来は寄付・支援と分けて、収益性を追求する純粋な投資・金融商品として成り立たせたほうが、あとあとトラブルが少ないしと思います。
(たとえば思いつきですが低利回りだけど担保のあるゼロ・クーポンのデットとハイリスク・ハイリターン狙いのエクイティ商品を分けるとか・・・まあ、そんなに綺麗な収支が組めないからこういう商品なのかもしれませんけど)

クロ現のゲスト解説者は「復興はファンドが支える」などと絶賛してましたが、そこまで言うのは純粋な投資に値するような金融商品としてまっとうなものが出てからにしたほうがいいと思います。


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昨日の補足

2011-07-18 | 原発事故・節電・原発問題

女子サッカーW杯優勝おめでとう。
2度も追いついた後の見事な勝利。


これが「なでしこ」なら日本男児はどうあらねばならないかと考えてしまった。



昨日早寝してしまっったんだけど、風呂に入っているとき、昨日のエントリを何で書く気になったんだったのか思いついた。


「原発は危険だから脱原発・再生可能エネルギーだ」という思考回路は「自民党政権がダメだから政権交代」という思考回路と似通っているんじゃないか。
政権交代も大事だけど、一番大事なのは交代することじゃなくてちゃんとした政治をする政権を選んで監視すること。
それに懲りてるはずなのに、脱原発・再生可能エネルギーへの移行が全てを解決するというのは同様の判断停止に陥ってはいないだろうか。

電力供給は政権交代以上にコストもかかるし、一度方針転換すると元に戻すのも大変だから、よりきっちりした議論と検証が必要なのに、お互い違う土壌から罵り合いみたいな議論は不安を覚える(どちらが勝ったとしても)

まあ、政権交代よりましなのは、選挙だと一度選んだはずの議員が多数派工作によって連立とか政党を代わったりして妙な政権になったりすることがあるけど、太陽光発電所が急に原発に変わったりはしないというあたりは少しはましだけど。

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半原発

2011-07-17 | 原発事故・節電・原発問題

自分自身は原発については反対か推進か意見が定まっていない。

原発をいきなりなくすのは現実的でないと思うが安全対策については再検証したほうがいいとは思う。
また、今までの原発神話を前提にした地元自治体に運転再開の意思決定を委ねるという仕組みや発電量に比例する補助金というのも、リスクに見合った、そして責任の所在を明確にした合理的なものにしたほうがいいと思う。
一方で再生可能エネルギーによる発電を増やしていくのも必要だと思う。

という、まあありきたりな考え。


一番の理由は、推進派の意見も反対派の意見も、どうも腹に落ちてこないこと。


推進派、たとえば経団連的な主張-電気の安定供給がなければ製造業は成り立たないし、海外移転・国内の空洞化が進む-など。

海外移転云々は円高のときにも言われているし(*)、海外移転する企業はとっととしている。でなければ「人材のグローバル化」などと言わないはず。
(* ちなみに輸出入でも円建て取引が進んでいるし、輸入はドル建てであれば円高はかえって企業収益にプラスなのでこの円高議論ももう少し精査したほうがいいと思う)

それに、電気の安定供給というのは震災の前から経営の重要課題だったわけで、実際大企業では新規参入の電気事業者(PPS:特定規模電気事業者)と契約しているところも多い。(リスク分散というよりコスト面のメリットが大きかったのかもしれないが)
そして今回PPSからの供給を受けている大規模事業所もなぜか経産省の電気使用制限の対象になっているが、それに経団連や大企業は表立って異議を唱える様子もない(さらに計画停電のときに東電の送電網が使えず、せっかく買ったPPS電力を使えなかったことについても文句-送電発電の分離論-が出た様子はない)。

また東電の安定供給を信用していたという経営判断があったのであれば、今回の自体は「想定外」ということになるが、もう一度原発に回帰するのであれば安全性の確保についての需要者側としての要求を出すのが普通である。

この辺をおいて原発推進といっても、日本経済というよりは「お仲間」意識を優先していると見られかねない。


一方で、反原発派も、「原発は危険だからなくせ派」と「再生可能エネルギー推進派」の間の温度差があるように感じる。後者の専門家は技術的なハードルを意識しているのに対し、前者から来ている人はその点を楽観視、または当然乗り越えるべきハードルとして議論をしているように思える。

「日本は地震大国(ひいては津波のリスクもある)だから原発は危険だ」という議論は前者の人からよく言われる。確かにリスクとして存在することは間違いない。

でも、ふと思ったんだが、日本は地震大国でもあると同時に火山大国でもある。
フィリピンのピナツボ火山の噴火では、噴煙で日射がさえぎられ冷害の影響が出たわけで、太陽光発電への依存度があまりに高くなると、今度は火山の噴煙で影響を受けるリスクなどもあるのではないか。
今回の原発事故について869年の貞観地震を想定に入れなかったことが反省点とされているが、1707年に宝永大噴火を起こした富士山の噴火と火山灰のリスクも考えないと片手落ちになろう。



ということで、結局よくわからない。


こんな自分の立場を「僕は半原発派です」と言っているが、これはウケるときとスベるときがある。

スベるときは議論が原理的な対立に終始しているときが多いような気がする。


まあ、そういう状況を承知で発言するんだから自殺行為なんだけど。

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こんな更新料はいやだ

2011-07-16 | 法律・裁判・弁護士

昨日のエントリの最後に書いた

一定以上の契約期間で賃料が相場より低廉であったとしても更新料の割合が大きすぎて実質的に賃借人の期間内解約を制限する(=期間内解約すると残存期間の更新料分損をしてしまう)ことになってしまうようなものは無効になる可能性は出てくるかもしれませんね。

について補足

テレビでは、不動産業者の動きとして、物件を比較しやすくするため、更新料等の名目いかんに関わらず契約期間中の負担金額を月額に均して「めやす賃料」というのを表示しているところがあると紹介されていました。

ただ、めやす賃料が同じでも、更新料は更新時にまとめて支払うので、期間内解約をすると借りた期間中の平均賃料は割高になってしまいます。

下のグラフはそれを比較したものです。
(大きいグラフはこちら

青が月額賃料10万円
緑が月額賃料92,300円、更新料184,800円
(今回の判例と同じ更新料2ヶ月(事例では1年契約ですが))
ピンクが月額賃料は80,000円とお安い代わりに更新料48万円

横軸が解約する月
棒グラフが累計負担額、折れ線グラフが解約月までで計算しためやす賃料になります。

そうすると、賃料8万円で4ヶ月目で解約すると、めやす賃料は20万円/月になります。
更新料6ヶ月というのはさすがに大きいかもしれませんが、更新料2ヶ月パターンでも138,500円/月とけっこうになります。

これが何が問題かというと、契約したときはいいと思っていても、更新料が大きいと期間内解約をすると極端に不利になる場合がありうることです。

借地借家法38条5項では、定期借家においても200平米未満の居住用建物の賃貸借においては借家人に期間内解約の権利が一定程度認められています。

転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる

にもかかわらず、上のように更新料の割合があまりに大きいと、普通借家でありながらも期間内解約をした場合に相当な経済的不利益をこうむることになるので、これが度を越えた場合は「消費者の利益を一方的に害する」というようなことになるのではないか、ということです。


一般的には極端に更新料が高い契約を結ぶ人は少ない(または更新する気がない)と思うのでこういうトラブルはないかもしれませんけど。


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更新料最高裁判決

2011-07-15 | 法律・裁判・弁護士

見出しでは 賃貸住宅の更新料「有効」 最高裁が初判断などと報じられていますが、「更新料」という名目で借主に負担を求めることが常に無効とは言えない、ということで、逆に「更新料」という名目ならなんでも適法としたわけではありません。  

家主側としてはこれによって更新料という仕組みが守られた、と安堵する人もいるかもしれませんが、逆に合意するまでは交渉可能だ、ということに最高裁がお墨付きを与えたようなものでもあり、今後借り手からのネゴが増えたり「更新料なし」物件でアピールしようとする物件も出てくると思うので、すべて今まで通りとは行かなくなる(市況によっては厳しくなる)のではないかと思います。

さて、判決文(こちら)を見てみます。(下線は原文のまま)  

 更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,前記(1) に説示したとおりであり,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人との間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。 
 そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。  

今年の3月に敷引特約に関する最高裁判決についてふれたとき(参照)にちょっと言及したのですが、今回の判決もその流れをくんで、明確な合意があったか(合意内容が契約に明示されていたか)、その条件が合理性があるか個別に判断するというものになってます。
総論としてはそれ以上踏み込んで更新料を無効とする積極的な理由はないように思いますし、穏当な線ではないかと思います。   

つぎに本件についての具体的な検討。  

これを本件についてみると,前記認定事実によれば,本件条項は本件契約書に一義的かつ明確に記載されているところ,その内容は,更新料の額を賃料の2か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって,上記特段の事情が存するとはいえず,これを消費者契約法10条により無効とすることはできない。また,これまで説示したところによれば,本件条項を,借地借家法30条にいう同法第3章第1節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものということもできない。  

1年契約で2ヶ月更新料を払うというのは、京都地方では一般的なのかも知れませんが東京ではちょっと借り手に厳しい条件のように思います。
しかし、だからといって消費者契約法10条や借地借家法30条によって無効とされるものではない、という判断ですね。 
少なくとも契約書に明示をされた条件である以上、借り手も他の物件等と比較してこの条件を飲んだというところも大きいのだと思います。  


では、どれくらいになると「更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情」になるかですが、こういう判決が出た以上、あえてチャレンジングな条件(たとえば1年契約、更新料6ヶ月とか)を設定する家主も出ないでしょうから、その意味では一連の訴訟の意味はあったように思います。  

それから、この判決で更新料は契約期間や賃料などと総合的な判断をするということが示されたので、逆にいろいろなかたちでの賃貸条件の設定が進むとしたら、それも借り手にとっていいことなのではないかと思います。  
もっともいろんな工夫をするのはいいことですが、一定以上の契約期間で賃料が相場より低廉であったとしても更新料の割合が大きすぎて実質的に賃借人の期間内解約を制限する(=期間内解約すると残存期間の更新料分損をしてしまう)ことになってしまうようなものは無効になる可能性は出てくるかもしれませんね。

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『RED』

2011-07-12 | キネマ
"RED"は、"Retired Extremely Dangerous"と呼ばれている引退したCIAの腕利きエージェントの略称。それをブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンが演じるという企画物度全開の映画。

ほかにリチャード・ドレイファスとアーネスト・ボーグナインも「らしい」役で出ています。


同じオールスターキャストの企画物としては、楽屋落ちというか中途半端にひねって不完全燃焼だった『バーン・アフター・リーディング』とは好対照で、派手な道具立てとけれんたっぷりのストーリー展開が気持ちいい作品になっています。

ソ連の元スパイでロシア大使館の高官がいい役回りを演じていて、political correctnessに遠慮せず「強力な装備を持った悪役」を描けた冷戦時代というのは幸せだったという今の映画制作者のノスタルジーすら感じとれます。
武器も全部ローテクなのがいいです。

節電疲れのストレス解消に、夜にエアコンを思いっきり効かせてビールでも飲みながら観ることをオススメします。





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昭和の5つの教訓とヨーロッパの3原則

2011-07-11 | 乱読日記

書架整理のつづき。

寺島実郎氏の「フォーブス」での対談をまとめた本

対談はその時点が旬なので後からだとあまり印象に残らないのですが、たまたま付箋のついてたのが表題についての2点。

昭和の5つの教訓は半藤一利氏のもの

① 国民的熱狂を作ってはならない
② 理性的な目標を掲げて具体的な方法論で物事を進めよ
③ タコツボ型小集団エリートを排除していくこと
④ 国際社会での位置づけをきちんとして自分の立ち位置を明確にしておくこと
⑤ 短兵急な成果主義にとらわれてはいけない

原発問題に通じるところもありますなぁ。


もう一つのヨーロッパ3原則というのは、佐藤優氏が紹介したエルンスト・トレルチという人の研究。
トレルチはヨーロッパとは何なのかということについて「ヨーロッパとは文化複合だ」といい
 ① ユダヤ・キリスト教=一神教の伝統
 ② ギリシャ古典哲学の伝統
 ③ ローマ法の伝統
を要素とします。
佐藤氏はこの考えは東ヨーロッパの政治情勢を理解する上で役にたつ-ビザンツ(東ローマ帝国)の後継であるロシアなどは上の3原則のうち①と②はあるが3番目のローマ法の伝統がない。そうするとローマ法にある「合意は拘束である」ということなどが文化として入っていない。一方で日本は3番目のローマ法の伝統だけを受け入れたので日露間の交渉は上手くいかない、と相変わらずの佐藤節が続くのですが、ヨーロッパを見る視点としては、最近の民主化が進む地中海諸国なども含めて面白いと思います。


 

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桐の運

2011-07-10 | 乱読日記

今日は試しに節電にどこまで耐えられるかと日中エアコンをつけずにいたら 午後1時過ぎには室内で31.4℃まで上昇。

この温度でも動かずに扇風機にあたっていればしのげることはしのげますが、身体を動かす作業はやる気が起きません。

打ち水などを試したのですが、たまに風が吹き込むときは効果を実感するものの、温度を下げるまでの効果はありませんでした。

そんな中で本棚の整理をのんびりとやってました。
付箋がついてたりするとそこを読みこんだりしてなかなかはかどらないのが猛暑にはちょうどよかったようです。

その中で読み返して面白かったのがこれ。

山内昌之氏と中村彰彦氏の対談『名将と参謀』のなかの一節 上総請西(かずさじょうざい)藩一万石の藩主林忠崇は、21歳のとき江戸無血開城の直前に家臣と共に脱藩し、旧幕府遊撃隊に入るものの、徳川家存続の報を受けると降伏謹慎に踏み切り幽閉されます。

赦免も明治政府とは一線を画し、木更津で野良仕事をしたり東京府の下級官員、函館で商店の番頭、神奈川の寺院での寺男を経て大阪府西区役所の戸籍係になり、窮乏生活を送りながらも昭和16年、94歳まで生きます(「最後の殿様」と言われたそうです)。

本書では林忠崇は最後まで節を折らず、出所進退をきちんとして揺るがなかった数少ない大名として評価されています。

その林忠崇は亡くなるときに辞世の句を問われたとき「明治元年に詠んだ。今はない」といったそうで、その明治元年21歳のときに詠んだのが

真心のあるかなきかはほふり出す腹の血しをの色にこそ知れ

というもので、その気持ちを94歳まで持ち続けていたのは立派です。

そして一番いいのが、自らの有為転変の生涯を回顧して詠んだこの句


琴となり下駄となるのも桐の運


人生を完全燃焼しないと、この境地には届くのは難しそうです。


 

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九電「やらせメール」補足

2011-07-09 | 原発事故・節電・原発問題

toshiさんの続報へのコメントでこんなことを考えました。

今回私が九電はよくないと思っているのは

① 一般市民をかたるのはアンフェアである
② 組織的行為ということが露見したときにかえってダメージになるということがわからない(または露見しないだろうと思う)リスク管理のセンス

という点なのですが、考えてみると

③ 一般市民をかたらないと原発再開に向けての説得力ある意見が提示できないと電力会社自体が認めている

という意味では最初から九電の負け試合で、そこに問題の本質があり、「やらせメール」は最後に自ら止めを刺しただけだったのかもしれない。


九電の社長辞任の当否についてはいろんな意見があるようですが、自らの進退を会長に相談しないといけないような人は社長の職責には向いていないと思います。
そういえば、電力会社は株主総会の議長は皆社長でなく会長なんですね。

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九州電力「やらせメール」問題

2011-07-07 | 原発事故・節電・原発問題

既にtoshiさんのブログで取り上げられているのですが、そこの追記にこんなことが  

たいへん反響が多く、数名の方からご異論を頂戴いたしました。私も本エントリーをアップする時点より予想はしておりましたが、「九電のやらせメールのどこが悪いのか?」「支援企業であれば、これくらいは当然だろう!」「愛社精神があるなら、依頼メールを送るのが当然」「これは典型的な九電パッシングであり、世論とマスコミは意見が違う」など、であります。(以下略)  

「数名の方」の反応なので多数ではないのかもしれませんが私はちょっと意外でした。  

私の考えは、「九電関係者が一般市民と偽って番組に意見を出すのはアンフェアだし、それ以上にそうやって情報操作ができると思うこと自体がそもそも稚拙な発想だ」というもの。 

個人が自分の考えを言うとか仲間を募って発言するのは自由ですが(今回も、「九電の関係者ですが、個人的な意見として・・・」というメールでありそういう呼びかけであれば、物議はかもすかもしれないので広報的には嫌がるかもしれないけど問題はないと思います。)、会社の業務の一環なり業務上の関係に基づく依頼であれば不適切でしょう。  

会社のリスク管理からいっても、情報操作的な手法は万が一表に出たときの事を考えるとリスクが大きすぎるので、組織(少なくとも広報とかリスク管理部門)の意思決定であれば決して取らない手法だと思います。  


毎日新聞 などによると、九電原子力発電本部の課長級社員が九電の他の部署や子会社の社員に、九電関係者と分からないように「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」と依頼したということのようです。

この課長としては愛社精神を発露したのかもしれませんが、私が九電の広報やリスク管理担当だったら「とんでもないことをしてくれたもんだ」という反応をすると思います。  

* toshiさんの2度目の追記によると、この依頼は部長級の指示に従って行なわれたとのことです。偉くなるほど世の中の常識からずれていくという典型のようですね。

さらに疑問なのが、メールを受け取った人が「こういうのまずいんじゃないか?」とこの課長に疑問を呈したり止めたりしなかったのかということ。 
子会社の社員は立場上言いにくいかもしれませんし、九電の社員もたとえば元上司部下の関係で言えなかったのかもしれません。 ただその場合は内部通報制度などを利用することができるはずです。

九州電力のコーポレートガバナンス報告書には

当社及びグループ会社の社員等からコンプライアンスに関する相談を受け付けるため、「コンプライアンス相談窓口」を社内、社外にそれぞれ設置し、相談者保護など、適切な運営を図っております。

とありますので子会社も利用できるようです。  

しかし結局「やらせメール」が発信されたということは、考えられるパターンはつぎの5つでしょうか。

① メールを受けた社員も依頼内容が不適切だと思わなかった(広報部などに相談する必要もないと思った)
② おかしいと思ったが上司に逆らうのが怖かった
③ 内部通報制度の利用に心理的に高いハードルがあり利用できなかった
④ 他の社内の人(広報部など)に相談したが問題視されなかった
⑤ 内部通報制度を利用したが問題視されなかった  

いずれにしてもどこかのレベルで従業員に価値観の統一・徹底がなされておらず、「愛社精神の暴走」(ひょっとしたら内部的には「愛社精神の発露」だったのかもしれません)を止められなかったという点で組織的に問題があったように思います。  

九州電力グループ行動憲章を見ると立派なことは書いてあるのですが、もっと単純な「フェア・アンフェア」というような視点があったほうが末端まで浸透しやすかったかなと思います。  


今日になってついに九電社長、辞意固める やらせメール問題で引責ということになりました。

マスコミにバッシングされたとか海江田大臣に国会で非難されたし処分必至なので社長の首を出さないと収まりがつかないというところからの判断なのでしょうが、どこに責任を感じたのか、何を変えるのかを明確にしないと、現時点では部長クラスまで仕切りが利いていない会社だということが明らかになったので、同様のことがまた起きそうな気がします。

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「節電は自己責任で」

2011-07-04 | 原発事故・節電・原発問題
節電を呼びかけながら「でも熱中症には注意しましょう」と申し訳のように付け加える報道に違和感を感じるい今日この頃。


そこで期待するのが日弁連。
3月のエントリで日弁連の「東日本大震災法律相談Q&A」をくさしたのですが、せっかくなら「節電Q&A」というのも作ってほしいと思います。

たとえばこんなやつ。


Q1:電力会社の節電要請に従ってエアコンの使用を我慢したのですが、熱中症で入院をすることになりました。電力会社に損害賠償請求はできるでしょうか?

Q2:電力需要が供給余力を上回りそうになったときの計画停電や、万が一の事故停電のときはどうでしょうか?

Q3:会社で節電のために照明を落としているのですが、それで視力が低下しました。これは労災になりますか?

Q4:節電の義務のある大規模事業所ですが、デスクワークがメインで空調を大幅にカットしないと削減義務は達成できそうもありません。事務所の温度が28度を超えて従業員が熱中症などになった場合、労基署から事務所衛生基準規則5条3項違反として指導を受けることになるのでしょうか?


そもそも節電は「要請」に過ぎず、また電気供給約款上は電力会社は護られているし、不法行為や労災も因果関係の壁もあります。
節電は自発的意思に支えられている以上結果についても自己責任なわけで、構造的には「正直者がバカを見る」という構造になる、というあたりをはっきりさせるべきだと思います。


このご時勢にそんなことを言うと非難されそうですが、世の中の流れに抗しても国民の権利を護るのが日弁連の役割の一つだと思うので一石を投じてもらいたいと思います。

そして自主的な節電のリスクを承知したうえで、どのように節電に取り組むかを一人ひとりが考えないと夏は乗り切れないように思うのですが。

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節電関係余談

2011-07-03 | 原発事故・節電・原発問題

先週聞いた話あれこれ。


各社節電に試行錯誤の様子。

総務部が自ら範を示そうとしたものの、もともと空調の利きの悪い部屋に人数を押し込んでいるので、空調を28度に設定しても軽く30度を超えるところがあって困っている。

一方で、厚い寒いの感じ方には個人差が大きく、女性だけでなく男性でも28度超えても背広の上着を着たまま涼しい顔をしている人もいるので、室温分布をベースに席替えをしようか検討中。

クールビズでポロシャツを認めようという議論の中で、さすがにシャツの裾はズボンの中に入れようという話になったところ、人事部の若手が「生まれてこの方ポロシャツを中に入れて着たことがありません」といいだし、結局そんなことでもめるのもバカらしいのでポロシャツはNGになったなどということもあるそうです。
そうでなくても人事が作るドレスコードは解釈が微妙だったりするし、いちいち確認すると薮蛇になったり挙句の果てに高校の校則みたいになってしまうので、結局は適当なところで大人の判断でやってるところが多いようです。

役所では外気温が30度を超えないとそもそも空調をつけないという運用が多いようで、仕方ないので窓を開けると薮蚊とか入ってきて過酷な状況らしい(窓の開かない新しい庁舎での運用はわかりません)。

ピークシフトのために輪番操業をやったはいいが、大手メーカーだと業態ごとに休む曜日が違うので各部門から人を集める会議を何曜日に設定するか困っている。
(そのおかげで不要不急の会議が減るというメリットもある?)

東京電力に依存しない独自の電源(ガスとか自分の発電所とか)をもっているところでも、事務所をギンギンに冷やすのは世間体が悪いので、ちょっと温度を高めにして、しかも入り口に「冷房には独自の電源(熱源)を使っています」などと断り書きをしている。
(このへんはとても日本の会社らしいですね。)



節電関係ではないものの、保安員の西山審議官が更迭された件で、公務員は職務を果たせばいいので私生活上の問題で更迭するのはやりすぎでは?という感想を述べたところ、大企業の広報的には、(事の是非を問わず)マスコミに突っ込まれるスキを与えること自体が問題で、広報担当というポジションであれば交代はやむをえない、という意見も。

ただ、それが社内的に出世に響くかどうかは別問題。その人が優秀な人材ならほとぼりが冷めたら別の部署で復帰するんじゃないか。
役人の世界も、そもそも大臣とかも不倫騒動の前歴(細野原発大臣は有名ですね)があるので、キャリアに×がつくということはないのではないか。

大人の世界はいろいろむずかしいようで。

コメント
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