ドイツ=アルゼンチン戦を前に、数日前のBBC Newsの記事German Turks' divided loyaltiesについて。
トルコ人はドイツにおける最大のコミュニティを形成しているが、今回のドイツのWC代表には(クローゼやポドルスキはポーランド系、オドンコルとアサモアは両親がガーナからの移民など)他民族の選手はいるもののトルコ人選手はいない(過去にも メーメット・ショルなどごくわずか)。
最近では昨年16歳でブンデスリーガーにデビューしたドイツ生まれのヌリ・サヒン が、ドイツ代表入りを拒みトルコ代表入りし、代表デビュー戦の対ドイツとの試合で残り4分に交代出場し出場後3分で初ゴールを決めた、ということがあった。
などとして、ドイツの雑誌編集者のコメントを引用してます。
宥和が進まないのは両方に問題がある。トルコ人コミュニティもドイツ人コミュニティも交わろうとしないんだ("You have a problem of integration in Germany - on both sides. Turkish communities not prepared to mix, and German communities not prepared to mix.")
ドイツのサッカーリーグはドイツ人の若者にしか目を向けてこなかった。一方でトルコ人は子供がサッカーをやりたいと言った場合、トルコ人だけのサッカークラブ(こういうのがけっこうあるそうです)に入れてしまう。
ヌリ・サヒンの選択については、日韓大会で3位になったトルコ代表が魅力を増したことや、トルコ代表のスカウトが強化されたという「スポーツ界の事情」によるという専門家の見方がある一方で、メーメット・ショルはドイツ人の母親とのハーフだったが、両親ともトルコ人のヌリ・サヒンがドイツ代表入りをしたら、トルコ系サポーターからは非難を浴びただろう、というトルコ系住民の見方も紹介しています。
日本でも、日本国籍を持つ在日韓国・朝鮮人二世・三世は似たような状況にあると思います(そこにはあまり葛藤はないのかもしれませんが)。
個人的には、どこの代表としてプレーしたいかというのはプレイヤー個人の選択(愛国心や民族愛だけでなく、代表入りの可能性とかWC出場の可能性も含めて)にまかせればいいと思います。
また、是非欲しい選手なら、スカウトする側が必死に口説けばいいわけです。
日本にも三都主の例だってありますから。
私の拙い英語力では自信はないのですが、記事のトーンはこの現象を比較的ネガティブにとらえているように思います。
ただ、このような国家と民族と宗教の葛藤は多民族国家や移民を受け入れている国ではドイツに限らずよくみられる(しかも簡単な解決はできない)問題ではないかと思うのですが。
逆にフランスではアルジェリアなど旧植民地からの移民が差別されているとして問題になっていますし(『移民と現代フランス』参照)。
そもそも同じ国の中で「イングランド代表」とか「スコットランド代表」「ウェールズ代表」など複数の参加資格を持っているイギリスは「歴史に名を借りた地域間格差についてのルサンチマン」などと言われたりしないんでしょうかね(実態を知らずに言ってますがw)
※そもそもイギリスの中でどこの代表になるかはどういう基準で決められてるんでしょうか
この時期にこのネタというのは、BBC(イングランド)流のドイツに対する「ジャブ」なんかもしrません。
PS イングランドのサポーターは裸になって応援しているいる人が他の国より多いように思いませんか?