一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『イシューからはじめよ』

2012-03-28 | 乱読日記

ほぼ日を見て買ったという人が多かったそうですが、僕もその一人。

他のビジネス書にも出てくる方法論についての話も多く出てきますが、「その問いは意味のあるものなのか、今解く必要のあるものなのか、それは解のある問いなのか」という目的意識を常に念頭においている、と言う点がこの本の特色であり、著者の主張です。

仕事とは何かを生み出すためにあるもので、変化を生まないとわかっている活動に時間を使うのはムダ以外の何ものでもない。これを明確に意識しておかないと「悩む」ことを「考える」ことだと勘違いして、あっという間に貴重な時間を失ってしまう。

世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。

劇的に生産性を高めるには「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と最終的な姿から前倒しで考える。

この発想法はとても大事だと思いますが、これは畳の上の水練でなく、場数を踏んでいかないと身につかないようにも思います。
ただ、その場数を単なる「丁稚奉公」「下積み」にしないためには、常に心がけておくべき必要な視点でもあります。

著者が所属していたマッキンゼーにおける「憲法」として“Complete Staff Work”(自分がスタッフとして受けた仕事を完遂せよ。いかなるときにも)という言葉があるそうです。

 「コンプリートワーク」をするためには命を削るような思いをするだろうが、命を削ることそれ自体には何の意味もない。その酷薄なまでの真実が、僕らを時間から解放し、本当の意味で自由にしてくれる。 「人から褒められること」ではなく、「生み出した結果」そのものが自分を支え、励ましてくれる。

生み出したものの結果によって確かに変化が起き、喜んでくれる人がいることが一番の報酬になる。

著者も「臨死体験をした」と書いていますが、臨死体験を伝承するのではなく、臨死体験をしなくても結果を出せるようになるために考えてたどり着いた結果が「イシューからはじめよ」ということでした。


ただ、上で「場数が必要」といいましたが、きちんとした経験を積むためには、そこまで判断を求められるような仕事を担当レベルが与えられているか、というそれぞれの組織の実際の仕事のあり方も問題になってきます。

単なるルーティンワークや前例踏襲になっていないか、解決すべき問題がイシューとして絞り込まれずに関係者への配慮のあげくに担当レベルに降りてきたときには「目黒のサンマ」になってしまってはいないか、という点こそ、中間管理職のオジサンとしては意識すべき、と反省を迫られた一冊でもあります。

 

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社外取締役の義務付け

2012-03-27 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス

社外取締役の義務付けと社外要件の厳格化をめぐる9つの疑問について(中間試案振り返り③)(bizlaw_style)

相変わらずためになります。
素人にもわかりやすく論点が整理されているうえに筆者のつっこみも鋭く、また参考文献の紹介も充実しています。

社外取締役の機能を経営陣の業績評価に求めるのであれば、細かい意思決定まで関与させる必要は無く、むしろ関与させるべきではないのかも知れない。・・・個々の経営判断の適切さを判断するのは執行サイドがやれば十分で、その会社の細かい実務を把握しているわけではない社外取締役に判断を求めてもしょうがない。各意思決定に対するコンプライアンス上のチェックの必要性もあるけど、それは監査役に任せておけばいいのではないか。社外取締役はもっと大きな視点で、経営側の業績目標の達成状況や今後の方向性をチェックするなどの経営への監督・評価機能が期待されているものと考えられるから、そうだとすれば、もっと決議事項を減らして、監督に集中させた方が良いというのも合理的な考え方のように思う。

社外取締役を導入するという前提であれば、たしかにこの方向はいいんじゃないかと思います。
社外取締役から個別の経営判断の義務を軽減すれば、専門性と独立性のトレードオフの問題も緩和できますし。
(ただ、社外取締役の導入をする必要がある、または、導入したほうがよりよくなる、というのは本当なのかという前段の大きな議論はありますが)

日経ビジネス2012年3月19日号の記事ソニーとニッセンの明暗 業績は統治で変わるで成功例として紹介されているニッセンのスタイルもこれに近いです。


一方で、エルピーダにおける半導体工場のように、設備投資が巨額でハイリスク・ハイリターンの業界において、会社の命運をかけるような投資判断を「執行の問題」として経営陣に任せてしまうのであれば、取締役会は単なる経営陣のコミットした業績目標とその結果を評価するだけになってしまうというところが問題になるかもしれません。
特に、専門性に劣る社外取締役が過半数を占める会社においてそのような意思決定ができるのかという問題もあります。(こういう局面を想定すると責任範囲の議論にもなると思います。)


また日経ビジネスの記事ではソニーの社外取締役さらには取締役会議長をつとめた中谷巌氏のトップ交代の力学を“空気”だというコメントを紹介しています。

「社外取締役のできる最大の仕事は経営者の交代だが、やはり“世論”の影響のようなものが大事になる。常識的に考えて、ここまで業績が悪くなって、これなら仕方ない・・・というような(判断の)かたちになっていく」

有識者としてはビッグネームであろう中谷氏ですらこうだとすると、社外取締役がたすうになった取締役会といえども、経営陣の評価どころか、「業績が悪化し、世間の評判も落ちたにもかかわらず居座っている経営者を排除する」程度の機能しかもたなくなってしまう可能性もあります。
そのためのコスト(言うなれば「保険料」)として妥当かどうかは議論になると思いますし、個人的にはそんなものなら導入する意味がないと思います。


結局、もし社外取締役の導入を義務付けるとしても、あまり厳格なルールにすると個別の会社の特性に合わない硬直的なものになってしまうので、かえって機能しなくなると思います。
また、子供っぽい話ではありますが法律で「義務付けられた」場合、企業経営者は義務付けられた最低限にとどめがちになるので、その辺も考慮した方がよいのではないでしょうか。

義務付けするにしても「最低X人/Y%」というのでなく、それぞれの企業があるべきスタイルを選べるように幅を持たせ、企業側は取締役会と経営陣の役割分担をどのようにしたかについての説明責任を負う、というようなスタイルがいいように思います。

含みの多い手を考えるべし、ですね。




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現実主義、含みの多い手

2012-03-26 | 乱読日記

『一刀斎、最後の戯言』からもうひとつ  

新しい制度がそれほどうまく行かぬことの原因のひとつには、制度を変えた人が、こちらのほうがいいと思いたがって無理しすぎることがあるのではないだろうか。ぼくはその点では現実主義者なので、制度を改革してよくなると期待しない方がよいと考えている。それでもこの時代、いままでの制度は変えたほうがよい。とくにいままでの制度にとりついている考えを変えたほうがよい。だから思想は過激に、しかし実行は穏健に、それが現実主義というもの。それは言行不一致でないか、などと怒るのは古い時代の考え。

制度を変えるとすぐによくなるはず、よくならなくてはならない、というのは企業でもそうですよね。
特に成果主義などと結びつくとそれが倍化されてしまいます。
場合によっては結果はさておき制度を変えたこと自体が成果だと評価されたりする本末転倒なことも起きたりします。  


現実的な変革の実行という点では溜池通信(2012年3月19日)が「含みの多い手」は示唆に富みます。

3月11日の三重の国難を迎えて以後の日本には、「改革」への希望も、指導者への信頼も存在しない。もちろん東北地方の復旧、復興は日本国民の一致した願いである。しかし、それを導くべき政治指導者たちは、ちょうど昭和10年代初頭のように、四部五裂化して小物化している。「国難」に直面すれば、必ず「明治維新」が起こり、「戦後改革」が起こるというのは、具体的な歴史分析を怠った、単なる楽観に過ぎない。(中略)

○だったらどうするかというと、1週間前にこの欄で紹介した羽生善治二冠の知恵しかないと思うんですよね。

●いい手を指すより、悪い手を指さないことが重要だ

●将来に出来るだけ多くの選択肢を残すことが大事。将棋でいう『含みの多い手』が望ましい。

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『一刀斎、最後の戯言』

2012-03-25 | 乱読日記

数学者の森毅氏の名言集。
森氏と生前親交のあった福井直秀氏がの森氏の数多い著書の中から名言をとりだしてまとめたものです。

最近寝る前に数ページずつ読んでます。
含意が深いのでいろいろ考えをめぐらしてしまうのでなかなか進みません。  

たとえば教育改革について論じているくだり。  

 英才教育なんてのも、いくらか論理的におかしい。制度に縛られずに自分をのばせる、というのが英才の定義のようなものだ。制度で伸ばしてもらうようなものは、英才じゃない。同じようなことは、ヴェンチャー育成というのにもあって、育成してもらうようじゃヴェンチャーにならないとおもうんだがなあ。だから、自由化というのは規制緩和というだけのこと。それはエリートの道かもしれぬが、ハイリスクでハイリターンがエリートで、育成してもらうものじゃない。  
 本当のところは、目的地へ早く着く競争ですらない。大学の研究だって、企業の創始だって、うまい目的は自分で作るもの。与えられたコースのなかで、早く教授になったり部長になったりする競争じゃない。今の時代は、制度でコースが設定できなくなっているから自由化なのであって、そこでコースのなかでの競争しか頭が回らないのでは時代が見えていない。  

人間をその多様性に価値を置いて見る視点がセンの『アイデンティティと暴力』と似ています。      


以前から僕は松下政経塾出身の政治家に対して「政治家になるために学校(塾)に行くって変じゃないか?」という違和感を感じていたのですが、その違和感をうまくいいあててくれています。
「目的地に早く着く競争」を勝ち抜いてきた人たちが、時代の変化にどう対応できるか、というのがまさに問題の今日この頃ではあります。



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『歪笑小説』

2012-03-24 | 乱読日記
東野圭吾の短編。
『○笑小説』というタイトルでの4作目。

最初の2冊、『怪笑小説』『毒笑小説』は普通のブラックユーモアを集めたものだったのですが、3作目の『黒笑小説』から出版業界や文壇をネタにしています。

本作では、売れない作家、売出し中の作家、受賞以来ぱっとしない作家、大御所作家、いろんなキャラの編集者などの登場人物が繰り返し登場して、1冊で複数の物語が同時進行しているような仕立てになています。

各作品とも手堅い職人芸を見せてくれるのですが、僕自身感じていた長年の疑問が氷解(「やっぱりそうだったか」という誤解が定着?)したと言う意味で「小説誌」という作品が印象に残りました。


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「平等」を語るときの視線

2012-03-22 | 乱読日記

ひきつづき『アイデンティティと暴力』から

社会主義の古典によく見られる、人を労働者と非労働者に分ける政治的区分にすら、この単純化の特徴が見られる。・・・ドイツ労働党の行動計画草案(「ゴータ綱領」)に対するマルクスの批判にはとりわけ、労働者を「単に」労働者としてしかとらえず、人間としての多様性を無視することへの反論が含まれていた。

不平等な個人(しかも、不平等でなければ異なった個人とは見なされない)は、平等な視点のもとに置かれ、ひとつの明確な側面からのみ見なされた場合、たとえばこの場合なら、労働者としてのみ見なされ、それ以外の面はなにも考慮されず、ほかのあらゆる要素が無視された場合にのみ、平等な基準によって測ることができる。


「不平等でなければ異なった個人とは見なされない」、マルクス得意の皮肉な言い回しですが、これって「平等」を語るときに、その視点をどこに置くかを意識するためには、けっこう大事なことだと思います。

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『アイデンティティと暴力』

2012-03-18 | 乱読日記

著者は1998年にノーベル経済学賞を受賞した アマルティア・セン
本書は表題からもわかるように、経済学の本ではなく、現代社会における国や勢力や集団などの対立の根底について考察した本です。

センは特に「アイデンティティ」ということばが、ある人が特定の集団に固有に帰属することととらえられていることに問題があると指摘し、本書を通じて、アイデンティティは与えられたものではなく自らが選択するものだ、という考えを主張します。  

 一人の人間が同時に所属するすべての集合体がそれぞれ、この人物に特定のアイデンティティを与えているのだ。どの集合体も、この人物の唯一のアイデンティティ、または唯一の帰属集団と見なすことはできない。人のアイデンティティが複数あるとすると、時々の状況に応じて、異なる関係や帰属の中から、相対的に重要なものを選ばざるをえない。  
 したがって、人生を送る上で根幹となるのは、自分で選択し、論理的に考える責任なのである。


 人を矮小化することの恐るべき影響とはなにかを考察することが、この本の主題である。そのためには、経済のグローバル化、政治における多文化主義、および国際テロリズムといった、すでに確立されたテーマを再検討し、再評価する必要がある。現代の世界における平和への見通しは、われわれを狭い枠内に押し込めて囚人扱いせずに、人には複数の帰属先があることを認め、広い世界に暮らす共通の住民として論理的に考えることによって開けるのかもしれない。われわれに必要なものはなににも増して、自らの優先事項を決めるうえで享受できる自由の重要性を、明晰な頭で理解することなのだ。

そして、単一帰属的な考えの誤謬を幅広い知識をもとに批判していきます。  
たとえば「反西洋」という立場は「西洋」という概念を元にしているが実はそこには西洋以外で生まれた、または西洋固有のものでない概念や制度や技術が含まれていること(「一般にグローバル化は新しくもなければ必ずしも西洋のものでもなく、災いでもない、と私は主張したい」)、「多文化主義」は個人のアイデンティティが、その人の持つ言語、階級、政治見解、市民としての役割などの他の全ての帰属関係を無視して、宗教や共同体のみによって決められなければならないという点で対立を助長することなどを厳しく批判します。  


世の中には考えなくて済む大小様々な整理・分類・レッテルの貼り方があふれていて、僕自身往々にしてそれに乗っかったり、説明を容易にするために意識的に使ったりします。  

「単一帰属」の考え方は、とことんまで突き詰めて考えることから私達を解放する力があるだけに、「わかっちゃいるけどやめられない」という魅力を持ちます(「いじめ」なんてのもその一つだと思います)。  
ただそれが結果としてよくない結果をもたらすことだけは十分意識すべきですし、重要な問題の判断にあたっては、考える努力を放棄すべきではないと痛感します。  

暴力を促進する好戦的な「技」は、原始的な本能を頼りにして、利用するものであり、それによって考える自由と冷静で論理的な思考の可能性を締めだす。だが、そのような技はある種の論理--断片的な論理-- にも頼っていることに、われわれは気づかなければならない。特別な活動のために選別された特殊なアイデンティティは、たいていの場合、勧誘される人の生来のアイデンティティだ。フツ族となるのは実際にフツ族であり、「タミルの虎」は明らかにタミル人であり、セルビア人はアルバニア人であってはならないし、ナチズムに感化される反ユダヤのドイツ人は、たしかに非ユダヤ系のドイツ人なのだ。その自己認識の意識を殺害の道具に変えるためになされることは、①それ以外のあらゆる帰属と関係の重要性を無視し、②「唯一」のアイデンティティの要求をことさら好戦的なかたちに再定義することである。ここに概念上の混乱とともに不穏な影が忍び寄ってくる。

余談になりますが、以前サンデル教授の「熱血授業」の東大での出張授業をTVで観たときに、授業後のインタビューに答えた受講者のひとりが「僕はリバタリアンだから・・・」と言っていたので、授業では結論を出すのが重要なのではなくて、議論のプロセスや背景を学ばせるから評判になったんじゃないのかな、と思ったのですが、頭のいい人ほどかえって結論に飛びつきやすいということもあるのかもしれません。(ちなみに本書ではコミュニタリアンの共同体の考え方についての批判もあります)  


本書はオススメという以上に、多くの人に読んで欲しい本です。

 

 

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帰宅困難者対策

2012-03-13 | よしなしごと
3月9日に「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」の中間報告が出てました。(参照

ただ残念ながらこの報告書は最強震度を震度6強と前提していて、(こちらの20ページ目(本文の18ページ)参考資料2参照)、首都直下地震:震度7を予想…「6強」見直し 文科省(毎日新聞 2012年3月7日)は反映していないもののようです。
最終報告までに全面見直しになるのでしょうか(大変そう)。


ざっと読んだ感じですが、6強であればインフラは3日あれば復旧する、輸送手段としては3日後に鉄道の一部が不通、という前提のようです。
なので一時滞在施設として企業と提携して、企業に3日分の水・食料の備蓄を求めようとしています。

ただ、震度7となると3日で復旧とはいかない可能性もあるでしょうし、中間報告で想定しているバスによる代替輸送についても、道路や特に橋が通行可能になるのかが問題になると思います。

そうなると、まず重要なのは、被災時にインフラや交通機関の復旧、そして食糧支援の目処についての情報を十分に届かせること、またその情報が十分に届かないことを想定して、その場合に人々がどう行動するかの分析とそれへの対策を作ることなのではないかと思います。

一時避難所として期待されている集客施設や大規模オフィスビルなども、一旦帰宅困難者を受け入れたら「3日経ったので出て行ってください」とも言えないでしょうし、かといって闇雲に大量の物資を備蓄するわけにも行かないと思います(特に下水用の水、トイレ問題など)。
ある程度の大きさのある広域避難所(東京ドームとか国技館)を指定して、外部からの物資を集中して送り届けるようにし、3日以上インフラ復旧がかかるようならそこに再度避難する等の工夫が必要かもしれません。


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区切り

2012-03-11 | 東日本大震災
東日本大震災から1年ということで、テレビでも特番が組まれている。

ただこれで「犠牲者を弔おう」「震災後の対応に反省すべきところを反省しよう」そして「復興に向けて前を向こう」、というひとつの「区切り」にしてしまうことで関心が薄れてしまうのではないか。

「復興はまだ先が見えない」と指摘されてはいるし確かにそれは事実だが、これからは「国(復興庁)や県はけしからん」という「他人事」になってはしまいかねない。

ちょうどNHKで"激論!知事VS仮設住宅"という番組をやっているが、そこに対立構造を持ち込むことで、視聴者は局外者としての視点を持ってしまうように思う。
(どうせなら"激論・瓦礫処理:首都圏住民VS被災地住民"とかをやればよかったのに)


企業もウェブサイトの頭に「東日本大震災の被災者の皆様に心からお見舞い申しあげます」と載せていたが、1周年を機にとりやめるところが増えるのではないだろうか。
現にさっき利用した銀行のサイトにはなくなっていた。

「じゃあいつまでやればいいんだ」とか「そもそも載せなければよかったかもしれないが他社が載せているのにウチだけ載せないのもまずいんじゃないか」などという議論が交わされたであろうことは想像に難くない。
実際自分が担当していたら悩むとは思う。
その会社が被災地支援への具体的な取り組みをしていてそれを紹介するコーナーがあれば別だが、そうでなければちょっと体裁は悪いが1年を「区切り」に取りさげよう、ということになるかもしれない。


そういう小さいことの積み重ねが全体の雰囲気に影響を与えないようにしないといけないと思う。



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団酒なう

2012-03-10 | スコップ団
スコップ団の花火の成功を祈りつつ、東京で団酒をちびちびやってます。





天候がどうこうっていう技術的なことじゃなく、ここまできたこと自体が成功なんだと思う。


ラベルの手貼り感がいいね。



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『南極料理人』

2012-03-07 | キネマ
美味しい素材を手堅く料理した、という作品。


今ほど通信事情がよくなかった1997年という舞台設定が効いています。

この25年間の通信技術の進歩ってかなりのものがあるなぁといまさらながらに感心します。


PS
ところで最初の漢字変換が「難局料理人」。
確かに今はこっちの方が必要だけど、人材不足なようで。



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立派な橋三題

2012-03-06 | よしなしごと
一昨日、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の映画のレビューで小島にかけるにしては公共工事としては過剰に見えるくらい立派な橋、などと言いましたが、画像はこれです。





しかし、立派な公共工事といえば世界に冠たるわが国にもこんな橋があるようです。

「この絶景はどこ?」海外サイトの話題をさらっていた山口県の景色





そういえば宮古島と北にある池間島のあいだにかかる池間大橋も絶景を貫く立派な橋でした。




『ミレニアム』の原作とは違うにしろ、無駄な公共工事というのは言いすぎ天ツバだったかもしれません。
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おつコップ!

2012-03-05 | スコップ団
昨年秋以降はバタバタしていて参加できなかったスコップ団だが、昨日が震災一周年を機に活動休止する最後のスコッピングだった。

最後ではなく、節目なのだろう。


メディアに取り上げられたためにやっかみを受けたり、参加者が増えすぎて活動の趣旨が伝わりきらなかったりといろいろあっただろうが、強い思いで駆け抜けたのだと思う。


かける言葉もない。


正直、その思いを共有できると言っては失礼になるだろう。
ただ、せめて少しは共感できた自分であったと思いたい。



おつコップ!




あとは3月10日のこれ

U-streamの中継もあるようだが、見ない。

鎮魂は、彼らの家族や友人ためのものだから。



不十分だが自分なりに手助けができたことで十分。

つぎに何をすべきかを考えるのが、オヤジの仕事だろう。



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『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(スウェーデン版の映画の方)

2012-03-04 | キネマ
(若干のネタバレがあります)


原作が面白かったので(参照)、まずは本国での映画版を鑑賞。


原作の構成が複雑なので映画化は大変だったと思いますが、原作をできるだけ生かした形でうまくまとまっていたと思います。
その分153分という長尺になりましたが、テンポと構成がいいので長さを感じませんでした。
ただ、映画から入るとどこまで話が続くんだよ、と途中で不安になるかもしれません。

主役のリスベット・サランデル役を演じるノオミ・ラパスが原作のイメージに近い役作りをしています。
(ただ原作の「24歳だけど未成年にしか見えない」というにはちょっととうが立っている感じがしましたが、向こうの人は年齢を体形で判断するのかもしれません、て余計なお世話)

一方で、もう一人の主人公ミカエル・ブルンクヴィストの描き方はちょっと平板な感じがしましたが、中年男のけっこうフリーな恋愛関係などは映画向けではないので仕方がないところでしょうw
逆に3作分の映画化権を買ったのか、2,3に続く前振りもしっかりしています。

時間があればハリウッド版リメイクも見てみたいですが、もう、劇場公開終わってしまったかも。
(もっともこっちは劇場で見るというのも資本力に流された感じでちょっと不公平かなと思うので、それならそれで仕方ない)



最後にいくつか細かい突込みを。

・舞台になった島に渡る橋が豪華すぎる。
原作にある地図だと、川を渡るくらいの橋なんですが、映画では相当立派な橋が映ってます。映像的な見栄えを考えて立派な橋を選らんだのだと思いますが、島の規模を考えると公共工事としてはありえない感じがします。

・協力会社
テロップの最後に流れた中にトヨタとヤマハがありました。
原作ではリスベットの乗っているバイクはカワサキだったように思います。ヤマハががんばったのでしょうか(でも2作目はハーレーが出てくるんだけどなぁ)
一方でトヨタ車は出てきた記憶がなく、ミカエルが借りたレンタカーが韓国の起亜自動車だったのが印象に残ってます。

・製作
製作(スポンサー?)の中にドイツのテレビ局のZDFが名を連ねていたのですが、犯人の動機として反ユダヤ-ネオナチ的なことは原作にはなかったのですが、このあたりは「反ネオナチ」-原作の作者の意図にもそれはあります-をできるだけ出したいという意向があったのでしょうか(逆に原作がそういうトーンなのでスポンサーについた?)

・独房
ミカエルが収監されている独房ですが、下手なビジネスホテルより快適そうです。
これが実物だとしたら、スウェーデンの拘置所はどれだけ恵まれてるんだよ、という感じです。



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『さよなら!僕らのソニー』

2012-03-03 | 乱読日記

本を読んだのではなく前振り

日経BP online戦わずして転んだソニー、復活の可能性はあるか  『さよなら!僕らのソニー』著者、立石泰則さんに聞く 

最後にスティーブ・ジョブズの評価について一言。ジョブズが凄いのは追放された10年間を耐えたことにある。世界的にヒットしたiPhon やiPadをつくったことではない。10年間、信念を変えず、心が折れなかったことが凄い。彼がアップルに戻ったときやりたいことをやれたのは、10年間信念が変わらなかったから。変わったのは、彼を取り巻く周囲の人たちだ。ジョブズ信奉者は、このことがわかっていない。

ジョブズについてこのコメントが正鵠を得ているのかどうかはわからないが、大事なこと。

ただ、個人についてはそういえるが、組織として信念を持ち続けられるか、逆にこれが「硬直性」「過去の呪縛」になってしまわないかが難しいところ。

そのへんがソニーという会社について本の中で書かれているのだろうか。

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