一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

社会保障制度の悪用

2010-07-30 | よしなしごと

生きていれば111歳だったはずの都内最高齢者が遺体で発見された事件ですが、似たような事件は他にもあるようです。
なぜ年金は支払われたか…相次ぐ年金受給詐欺 「111歳」男性の遺体発見 (2010年7月29日 20:12 産経新聞)によれば

昨年2月に沖縄県うるま市で、死亡した祖母が生きているように装い、老齢福祉年金計約68万円を不正に受け取ったとして詐欺容疑で、孫の男とその妻が沖縄県警に逮捕された。 

平成20年12月には軍人恩給の受給者だった母親の死を隠して計150万円を不正に受給したとして、仙台地検特別刑事部が詐欺と有印公文書偽造・同行使容疑で娘を逮捕。15年6月には警視庁OBの父の死を隠し、警察共済組合の退職年金計440万円をだまし取ったとして、警視庁が詐欺容疑で息子を逮捕した。  

最近ではこんな事件もありました
向精神薬、生活保護の2746人に重複処方
(2010年7月28日19時58分 読売新聞) 

大阪市西成区の生活保護受給者に処方された向精神薬を巡る違法転売事件で、厚生労働省が調査したところ、今年1月時点で、少なくとも全国の生活保護受給者2746人が複数の医療機関から重複して向精神薬を処方されていたことがわかった。

入所高齢者の投票用紙で勝手に不在者投票した疑い、特養ホーム施設長ら3人逮捕/神奈川県警
(2010年7月21日 神奈川新聞) 

勝手に投票された高齢者はいずれも、投票に関する意思表示ができない状態だったという。

この手のセーフティーネットにかかるものは、不正のペナルティを制度に組み込むわけにも行かないし、不正防止に過度の費用をかけるのも難しい一方で公徳心の醸成を期待したり逆に厳罰化するというのも具体策に落とし込みにくいのが悩ましいところです。  

やはり本人確認の厳格化とかその前提としてのIDの統一、納税者番号制という方向が必要なのかもしれません。  

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『小説 琉球処分』

2010-07-29 | 乱読日記

絶版だったので図書館で借りたものの、2段組で600頁もあったので安易に延長すればいいと思っていたら予約が9件も入っていて貸出期間の延長できませんでした。 

なるほどこういう本は一定の需要はあるもので、図書館も存在意義はあるワイと思っていたら。

(6月)4日、国会で首相に指名された後の記者会見で菅直人民主党代表は、「 数日前から『琉球処分』という本を読んでいるが、沖縄の歴史を私なりに理解を深めていこうとも思っている」と述べた。(参照)  

と、話題の本になっていたのですね。 
さらに  

管首相が記者会見で「数日前から『琉球処分』という本を読んでいる」と述べたことから「小説琉球処分」の古本価格が1000円→8000円と急上昇し入手困難の状態になった。そこで講談社では復刊する事にした。(参照)  

とヒートアップしているようです。 
確かに調べてみると中古も売り切れ。
図書館で再度予約待ちをしているうちに復刊が出そうです。   


さて本書は、明治維新以降、琉球王国が沖縄県として日本国に併合され琉球王国が消滅したいわゆる「琉球処分」を琉球王国の視点から描いた小説です。 
まだ三分の一くらいしか読んでないのですが、かなり面白いです。 

冊封関係で清と薩摩藩の間を緩やかに泳いできた琉球王国が明治維新以後の日本国の国際的な主権の確立というハードは外交に巻き込まれていくところは、その日本自身が欧米列強の国際政治に巻き込まれていく縮図であり(結果は違いますが)、新たな政治力学に対するときのナイーブさと昔ながらの知恵の有効性と限界について考えさせられるものがあります。

このへんは、チベットが1913年の独立宣言以後諸外国と積極的に外交関係を結んだり、国際連盟に加盟したりしなかったことが現在の状況の一因になっていること--「独立」というのは自覚の問題でなく多くの国から共通のプロトコルで認められる必要があることなどが連想されますし。そう考えると開国したばかりの明治新政府は、不平等条約の改正や領土の確定など、いきなり出た外交の大海原でうまく立ち回ったよなぁなどといろいろ考えさせられてしまい、その結果読み進むのが遅くなってしまったということもあります。

これから読む部分の展開としては、清国・薩摩藩との関係の中で成り立っていた「琉球王国」の政治的立ち位置、江戸時代も清国や東南アジアと交易をおこなってきた琉球独自の視点、明治政府の「文明開化」に触れた琉球の若者の感動、王国内部の解明派と守旧派、世襲派と実力派の争いなどが繰り広げられることが期待されます。

スケールの大きさ、登場人物のキャラの立ち方など、大河ドラマの原作としてもとても面白いんじゃないかと思います。
(政治的なトーンが難しいかもしれませんけど)


PS  
首相が歴史を勉強するのに小説が適当かというツッコミはあるかもしれません。
ただそれをいえば幕末・明治についての「司馬遼太郎史観」の影響も大きいですよね。(みんなの党はみんなが坂本龍馬らしいし、皆さん大好きな『坂の上の雲』とか) 

もっとも明治維新から戦後にかけての歴史は現代につながる論点が多いだけに「客観的な研究書」というのが成り立ちにくい(そもそも歴史において成り立つのか?)ので、いろいろな視点から情報を集めるのはいいことじゃないかと思います。

せっかくなら菅総理の読後感も聞いてみたいです。


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泳心一路

2010-07-28 | よしなしごと

フジヤマのトビウオ:古橋広之進さんの記念碑が完成…東京
(2010年7月26日 20時03分 毎日新聞)

戦後の混乱期に競泳で世界記録を連発し「フジヤマのトビウオ」と呼ばれた古橋広之進さんの記念碑が、東京都北区の国立スポーツ科学センター(JISS)に完成し、26日除幕式があった。  

昨年8月に80歳で亡くなった古橋さんの一周忌に合わせて建立。古橋さんをモチーフにした御影(みかげ)石製の碑には、座右の銘「泳心一路」や、「戦争が終わって再び水泳ができるようになった時、魚になるまで泳ごうと思った」という言葉が刻まれている。  

散歩中に見つけたのですが、日大水泳部の合宿所の玄関には古橋広之進さんが平成20年に文化勲章を受章されたときの記念碑があります。  

こちらは合宿所にふさわしく「泳心一路」が大書されています。
ぱっと見た瞬間は読めなかったのでたちどまったのですが、なかなかいい言葉だなと写真に撮ってました。

 

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辻元議員社民党離党

2010-07-28 | まつりごと

辻元議員が離党についてブログにアップしてます。

私の離党届提出について  

理念と現実を往復しながら物事を具体的に動かす、これが政治だということも改めて確かめることができました。  

一度物事を動かす側に回ってみると、批判する側で正義とか主義主張と言う名の曳かれ者の小唄を歌い続けるより面白いというのはよくわかります。  

そんな中で、私は、現実との格闘から逃げずに国民のための仕事を一つずつ進めていきたいという思いが強くなりました。  

一言で言えばこれが社民党から離脱した理由なんでしょうね。
逆に言えば連立政権に参加しながらスタンスを変えなかった福島瑞穂氏のキャラが際だつ感じです。


で、早速
辻元氏離党の意向で「一緒に仕事したい」と前原国交相がラブコール  

この二人の相性については以前のエントリをご参照ください。 
良くも悪くも前原氏らしい発言かと。  


今回の離党を「機を見るに敏」と見るか更なる成長を目指したとみるかはこれからの活躍次第なので、同世代の人間としては(考えに賛同できるかはさておき)がんばってもらいたいものです。

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『それでも企業不祥事が起こる理由』

2010-07-27 | 乱読日記

(最近少ない)タイトル以上に内容が充実している本です。

著者は企業不祥事のときの第三者委員会のメンバーなどにしばしば登場する國廣正弁護士。 
前著に『なぜ、企業不祥事はなくならないのか』というタイトルの本があり、それとの連続性(柳の下?)を考えてなのでしょうか。
ただ内容はサブタイトルの「"法令遵守"を超えるコンプライアンスの実務」というほうが近いです(これも郷原氏の『「法令遵守」が会社をほろぼす』を横目で意識している感もありますが。)。  


本書はコンプライアンス、特にリスクマネジメントを中心とした実務の勘所を網羅的に押さえているので、実務に携わる人だけでなく一般知識としても役に立つ内容になってます。  

コンプライアンス(逆に言えば企業不祥事)のブームにのって出版されたビジネス本の悪い例にありがちな、事例紹介に大半を割いて考察が少なかったりすることもなく、また、タイトルはコンプライアンス全般についてなのに著者の得意な部分だけ深く掘り下げてあって他は簡単にしか触れていない、ということもなく、事例と論点をバランスよく取り上げています。  

各章の冒頭にある解説からポイントを抜き出すと以下のようになります。

第1章
法律論のみにとらわれたコンプライアンスの問題性を明らかにする。

第2章
メリハリのないモグラ叩き的コンプライアンス施策がリスク管理として機能しないことを検証する。

第3章
従来型の形式を重視するコンプライアンス施策では新しい型の不祥事には有効に対応できない現実を示す。

第4章
コンプライアンスの実現のためには、経営者から現場の社員まで「自分の頭で考える」ことが必要であることを示す。

第5章
危機管理の三つの基本(隠さない、決断する、説明する)を示した上で、危機管理実務の最前線を明らかにする。

第6章
企業の社会的責任(CSR)の観点から、企業は消費者とどう向き合うかを考える。

第7章
不祥事によりクライシスに陥った企業の経営者のあり方について、経営責任とは何かという切り口と、原因究明のための外部委員会である「第三者委員会」と経営者の関係という切り口から考える。


もうわかってるよ、という方も会社の中でわかっていない人にどう説明するかのヒントになるかもしれません。 小難しい法律論や海外直輸入の概念も出てきませんし、すっと頭に入ってくる良書だと思います。




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コソボ独立宣言についての国際司法裁判所の勧告的意見

2010-07-24 | 法律・裁判・弁護士

国際司法裁判所の勧告的意見は「独立宣言自体は国際法規や国連決議に反してはいない」なのですが、どうしても見出しになるとこうなってしまいがちです。

コソボ:「独立は合法」 国際司法裁が勧告的意見
(2010年7月23日 毎日新聞)

オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は22日、旧ユーゴスラビアのコソボが08年2月にセルビアからの独立を一方的に宣言したことについて、国際法違反にはあたらないとして合法との判断を下した。法的拘束力はないが、ICJが独立を追認する解釈を示したことで、コソボ承認の動きが国際社会で広がる見通しだ。   

国際法廷がコソボ独立の合法性について判断を下すのは初。セルビアは独立宣言が主権と領土の一体性の侵害であり、国際法に違反していると主張。セルビアの要請を受け、国連総会がICJに法的解釈である「勧告的意見」を求めていた。  

意見の中身を見ればあくまでもコソボの独立宣言が国際法上違法かどうかを判断しているだけ(「コソボ独立の合法性」を判断しているわけではない)なのですが、報道では上のように書きたくなるのでしょう。(マスコミ名誉のために言えば「独立宣言は適法」とした報道のほうが多いですが。)

「ドキュメント 戦争広告代理店」を読んだ身としては、セルビアの国際社会での立ち回り方の不器用さにも少し同情してしまいます。

そこで、国際司法裁判所のサイトを見ると、意見の内容が即日公開されていました(日本の最高裁ももうひとがんばり)。
http://www.icj-cij.org/docket/files/141/15987.pdfPHPSESSID=0cfe3e6f8cb41066025fc1b86d2cdf88  
冒頭の要約のところを読むと  

General international law contains no applicable prohibition of declarations of independence -- Declaration of independence of 17 February 2008 did not violate general international law.  
一般国際法においては独立宣言を禁止しているものはない--2008年2月17日の独立宣言は一般国際法に反してはいない。  

Whether or not the authors of the declaration of independence acted in violation of Security Council resolution 1244 (1999) -- Resolution 1244 (1999) addressed to United Nations Member States and organs of the United Nations -- No specific obligations addressed to other actors --The resolution did not contain any provision dealing with the final status of Kosovo -- Security Council did not reserve for itself the final determination of the situation in Kosovo -- Security Council resolution 1244 (1999) did not bar the authors of the declaration of 17 February 2008 from issuing a declaration of independence -- Declaration of independence did not violate Security Council resolution 1244 (1999).  
(「超訳」ですが)安全保障理事会決議1244号(1999年)は加盟国に特段の義務を課すものではなく、コソボの最終的な状態を決定するものでもなく、その決定を安全保障理事会の権限として留保してもおらず、独立宣言を発することを禁じてもいないので、独立宣言は安保理事会決議に違反するものではない。  

となっていて、 さらに  

Issues relating to the extent of the right of self-determination and the existence of any right of “remedial secession” are beyond the scope of the question posed by the General Assembly.  
自己決定の権利の範疇に関する判断や「救済的分離」の権利の存在するか否かの判断は、国連総会から求められている質問の範疇外である。 

とコソボの独立宣言の根拠付けをすることは避けています。 
(※英語がろくにできない上に国際法についての知識は皆無なので誤解・誤訳があったらご指摘ください。)  

つまり「独立宣言をしたこと自体は違法でない」としか言っておらず、「独立(宣言)をする正当な権利がある」とまで言及はしていないわけです。(詳しくはP31の82項で慎重な言い回しで回避しているあたりをご参照)  

(本来そういうものなのかもしれませんけど)政治的に中立的にかつ純粋な法解釈の範囲にとどめようという国際司法裁判所の意識が感じられます。  


ただ、結果的にはコソボ共和国(自称)の独立自体の正当性が認められたかのように取り上げられることになってしまったわけで、そうなると「独立宣言は国際法違反か」という問題の立て方で国際司法裁判所に持ち込むことを求めたセルビアの戦術が果たしてよかったのかという疑問もわきます。 
たとえ「違法だ」という結論が出たとしても、コソボ暫定政府の事実上の支配を排除するためには安保理事会が動いて・・・と相当迂遠な手続きが必要になるわけですし。

実際問題としては、この手の問題への対処としては、国際法的な是非はさておき、事実上の力を行使して独立を阻止してしまうという某安保理常任理事国が標高の高いところでやっている方式が一番実効性があるわけですが、ボスニア紛争で一度「悪者」になってしまったセルビアだけにそうもいかなかったのでしょうか。  

その辺を読んでいて「独立宣言」をぶちあげたコソボ暫定政府の政治センスが上回っているということなのかもしれません。

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『魔女の1ダース』

2010-07-23 | 乱読日記

これも旅のお供。
副題は「正義と常識に冷や水を浴びせる13章」というあるけど、米原万理さんも軸というか視点がぶれない人なので、読んでいて安心感+新しい気づきがあって最適。
早世されたのは誠に残念です。

対象に影響されず客観的にみながら、しかも他者として冷たく切って捨てるわけでもないという距離のとり方の上手さは塩野七生さんと共通しています。  


どこをとっても面白いのですが、なるほどと思ったのが料理の話。

調理方法についても、一応専門家の愚妹によると、
「日本料理などは、ほとんど日本の食材を用いないと作れない、いわゆる調理法が素材依存型であるのに対して、中華料理は大変抽象度が高い」 
というのである。つまり、世界中どこの国へ行っても、そこの食材に適応できる普遍性を持つものが多いそうだ。
もっとも、中国料理の極意は何でも食の対象にしてしまうことだから、調理法の普遍性と抽象度が高まるのは当然の成り行きではある。  

これ、料理を「企業」中国を「米国」に言い換えても通じますね。 

日本は「職人芸」とか「暗黙知」が持ち味なのに対して、米国企業は極端に言えばビジネスをエクセルシートに還元してしまうようなところがあって、そのおかげで同じ経営者がたとえばポーランドの縫製工場の次にナミビアのウラン鉱山を平気な顔をして経営したりするわけです。  

さらにexcel=中華鍋と考えるといろんなことに合点がいきます。 

とりあえずいろんなデータや変数(具材)をスプレッドシート(鍋)にぶち込んでキャッシュフロー(炒め物)とか企業価値(揚げ物)とかの形に盛り付ければビジネスプラン(中華料理)風なものはできるわけです。 
さらにビジネススクールなどで流行のキーワード(調味料)などをまぶせば、よりそれらしくなります。  

そして、実際に食べてみないと良し悪しがわからない、というところまで同じw



同じ章の「キルギスタン共和国のチャーハン」というのもいろんな隠喩になりそうですが、それは読んでお楽しみください。

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塩野七生 『日本人へ』 2冊

2010-07-22 | 乱読日記
旅のお供にちょうどの新書。

塩野七生さんのエッセイで言っていること、物事を見るスタンスは僕が読み出すようになったここ十数年あまり変わっていない。

そのブレない軸が、論評される側や場合によっては読んでいる自分自身のブレまくりぶりを浮き彫りにするから面白い。


「国家と歴史篇」のなかで出版社のリスク回避志向の話が出てきて、初版部数の縮小は単行本の執筆を専業とする作家の確定収益を減らし創作プランに影響を与えると警鐘を鳴らしている。
一方で本書は文芸春秋の連載の新書化で、こういう手っ取り早く新書化することで収益になる人気連載が今や絶滅危惧種である総合月刊誌を支えている、それも著者が書き下ろしを主にしている作家で、出版社の手っ取り早い収益重視とリスク回避のために初版部数を減らされているというのも皮肉。



電子出版になると紙に印刷されるまでのハードルが更に高くなるんだろうな。






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社長へのガバナンスの難しさ

2010-07-19 | あきなひ

今週号の日経ビジネス「特集 富士通 お家騒動の真相」

富士通側からの取材がメインなのですが、要するに前社長が暴走したのを穏便に止めることができなかったということのようです。

2008年に野副が社長になった時、僕は1年間取締役として残るが、その後は引くと半ば公言した。にもかかわらず昨年残ったのはこの問題(注、野副社長の暴走)があったからです。

野副の首に鈴を付けるというのは外形的には人事に関与しているわけですが、正味はガバナンスの正常化です。院政などという度量の狭い話じゃない。今でもそう思っています。
(秋草直之相談役)


社長の重要な仕事が後継者選びだとするなら、僕は失格です。

自分なりに考えた対策の一つは社長の選任方法。・・・最高権力者を選ぶには、その交遊関係とか人間性とかもちゃんとチェックしなければならない。

もうほとつは社長を組織の機関と見ること。・・・会社って「社長が言ってるから」で動くことがあるでしょ。これをやめさせる。・・・社長の善意を証明するために、性悪説に立った監視システムが必要なのかもしれない。
(黒川博昭相談役-野副氏の前任の社長)

日本に限らずですが、社長・CEOに対するガバナンスをどうきかせるかというのは会社組織の永遠の課題かもしれません。
特に日本の会社は、社長が人事権を通じて取締役会に対してガバナンスを効かせているというのが実情なので、社長の暴走・専横を止めることは難しくなります。

上の秋草相談役のコメントにしても、ご自分は正しい、という前提での発言ですが、その「正しさ」をなんらかの形で担保する必要があるという意識がないように見えます。
この点について、野副氏側も取締役会の解任決議などを踏まずに辞任勧告をしたのは手続的に問題があったと言っているようです。
でも、それなら辞任なんてしなけりゃよかったのにと思うのですが、結局社長は自分を社長にしてくれた前任社長には頭が上がらない、という精神構造は共有していたわけですね。

最後に頼ったのは社長の暴走を可能にした組織のロジックだったというあたりは『ヴェニスの商人』みたいです。




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便利な世の中、不便な世の中

2010-07-18 | よしなしごと
昨日定期券を落としてしまった。

降車駅で届け出ると、途中駅で捜索の手配をしてくれたが見つからなかったので、その場で定期券(Pasmo)の停止の処理をしてくれた。

以前の磁気カードだと失くしたら再発行はできないが、ICカードなら紛失したカードを失効させれば再発行ができるわけ。
費用も新しく発行するPasmoの保証金500円だけ。
定期券を販売している駅が限られているのでそこまで行かないといけないが、そこまでの電車賃は後で払い戻してくれるという丁寧さ。

再発行してもらい、Pasmoにチャージした金額もそのまま移されている。

今さらながら世の中便利になったものですね。


一方で不便になったことも。

くじ運が悪く、マンションの管理組合の理事長をやっているんだけど、7月からマンション管理法が改正になって、それまで管理会社が預かっていた印鑑を理事長が保管することになった。
これは、管理会社の従業員が管理費や修繕積立金を横領する事件が起きたことを受けての法改正なんだけど、今までは事前に外注業者などへの支払い予定を承認しさえすればよかったのに、これからは毎回振込依頼書に管理組合の印鑑を押さなければならなくなった。

今回最初のが来たんだけど、管理会社の方も印影不鮮明とかで二度手間になるのが面倒くさいのか、通常の振込依頼書の他に「予備」として白紙のものを1枚送ってきた。

以前もちゃんとした管理会社なら、組合の印鑑もきちんと管理していて、従業員が横領しようにも関係書類を偽造するなどの手間がかかっただろうに、白紙に印鑑をついたのを渡してしまったら、担当者の好き勝手ができるので前より悪くなると思うのだが。

ということで、予備の方は丁寧にお断りして返送したが、こんな実務がいろんなところでされているとすると、法改正した意味がなく手間と万が一のときの理事長の責任ばかりが増えることになりそうです。


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最近の話題3題

2010-07-15 | よしなしごと

その1

この世界でも寡占化が進んでいるようでメモ。

・・・暴力団の山口組への一極集中という状況が生じています。
・・・山口組の内部においては、名古屋に本拠を置く弘道会という組織による支配が強まっているということがあります。現在の山口組組長・・・や若頭・・・の出身母体がこの弘道会です。警察に対する対決姿勢が非常に強く、取調べ等にも協力しないことを基本方針としている組で、山口組全体にもその方針が浸透してきている状況です。
(金融法務事情7/10号の特集「反社会的勢力への実務対応」の座談会での警察庁刑事局組織犯罪対策部暴力団排除対策官 清野氏の発言)

大相撲の賭博問題摘発も名古屋場所の前ということに意味があったのかな?



その2

寿司屋にいたら、カウンターのちょっと離れたところで、ゼネコンの談合営業担当と思しき人々がNHKドラマ「鉄の骨」について熱く語っていました。

ドラマのディテールにつっこみ

「怪文書」というのは本命が出すものではないので、主人公が疑われるのはおかしい。
入札会場には各社の談合の仕切り役は出てこない。

など、思わず聞き耳を立ててしまいました。

このドラマ、どうやってまとめるんだろうと業界氏たちは真顔で心配してました。



その3

寿司屋でのパウル君ネタ。











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『何処へ行くのか、この国は―元駐米大使、若人への遺言』

2010-07-14 | 乱読日記

著者の村田良平氏は外務事務次官、駐米大使などを歴任した人で、副題にあるように、本書を脱稿し、出版を待つ間にこの3月に逝去されています。

「まえがき」で、現在の50歳以下の世代が、戦争や戦後のアメリカによる占領についての基礎的な知識を持っていないという問題意識の元、本書のテーマをつぎのように記しています。

①中学・高校でもしっかり教えていない70年以上前のあの戦争を考える重要な視点、②米軍による六年間以上にわたる占領が、日本に今なお及ぼしている影響、③冷戦中の日本外交、とりわけ重要だった米国との安全保障関係及び経済関係、及びこれらが冷戦終了以後日本にとっていかに変貌してきたか、④約30年位前から再び近隣の中国、韓国からの干渉が始まった「日本の過去の問題」に関する日本の対応振り、そして⑤目を将来に向けて考察すべき国家的課題の諸点、を中心テーマとして、本書を纏めました。

著者の「思い」が前面に出ているところは本書の評価の分かれ目になると思いますが、戦争に至るまで、そして戦後の米国による占領政策から日米安保、その変質に至るまで、網羅的に触れていて参考になります。

内容自体は「右・左」「親米・反米」というようなステレオタイプな切り口で切れる他の論者と共通するところもあるのですが、背景にある著者のリアリスティックな眼差しは、歴史の見方を一歩広げてくれます。

たとえば

日本は外国に侵されたことがなかった国だっただけに完敗のショックは大きく、議員も官僚もメディアも、「平和」という呪文を唱える傾向は今日まで続いている。異常現象である。日本は、原子爆弾の被爆体験はあるが、平和主義を他国以上に語る資格がある訳ではない。また、「平和」なる概念は決して一義的に明瞭でなく、憲法になじまない。戦争は今後も相手国の出方による相互作用として起こり得ると認識すべきものである。

一つは「平和主義」というものがあると信じる人が外務省にすらいることだ。私は平和とは一つの状態であり、それ自体に特別の価値はなく、一般論としてはその反対概念たる戦争より望ましいと思うだけである。日本国憲法が定めていると称される平和主義は、私に言わせれば、一つは大国米国の保護下の現実からの逃避である。

読んでいて、これはちょっと、と思うところも多いのですが、著者自身は政治的主張を抜きに真摯に議論をしている姿勢が伝わってくるので、僕の見方自身著者の言うところの戦後教育のバイアスがかかっているのかと考えながら読むという体験も(「戦後教育に洗脳されている」というのは一つのマジックワードでズルだとは思いますが)なかなか面白いです。


いいとこどりしたり、逆に全否定されたりしそうな本ですが、著者の持つ広い視座に敬意を持って読むべき本だと思います。

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『マイ・ブラザー』

2010-07-13 | キネマ
『月に囚われた男』を見たときに予告編が気になっていた映画。

池袋西口のシネマ・ロサで上映中。

池袋で「ロサ」といえば元地元民としては懐かしい名前で、映画館よりは居酒屋雑居ビル「ロサ会館」の方が有名でした(僕が学生の頃は『金太の大冒険』のパフォーマンスで有名だった「青春の館」という居酒屋がありました。)。
池袋西口というのは戦後「青線」地区だったところで、30年前はまだまだディープで、ロサ会館の区画より北側は覚悟がないと立ち入らないほうがいい場所。ロサ会館の近くも夜になると「おネエ」の客引きがいたりして。

シネマ・ロサは今では単館系を上映していますが、当時はポルノ映画専門館でした(こちら参照)。確か一階が和物、地下が洋物。当時はまだエロ動画はおろかアダルトビデオもなく、エロ系コンテンツとしてはエロ本かポルノ映画という時代だったし、当時は映画も安かったので、たまにお世話になりました。

 また、卒業旅行のときにドイツで見た映画を上映していて、偶然それを見た友人が途中で同じ映画だと気がつき(アメリカ映画だったがドイツ語のタイトルがついていたので入るときは分からなかった)、「この館内でモザイクの中を見たことのある奴は俺しかいるまい」と優越感にひたったと(映画の中身とは別の)興奮して電話をかけてきたのもここでした。
(こういうタイトルはいつまでも記憶に残っているので検索したところヒットしたのですが、タイトル・内容は割愛。ちなみに『ディープ・スロート』の監督の別名での作品らしいです。)


 映画館は椅子は今風にドリンクホルダーなどもついて座り心地のいいものになっていますが、造り自体は昔と同じで、ちょっと懐かしい気持ちで階段を下ります。

さて本題。
優秀な軍人で高校時代からスターQBだった兄(トビー・マグワイア)と、昔からオチこぼれで刑務所を出たり入ったりしている弟(ジェイク・ギレンホール)、そして兄弟の高校の美人チアリーダーである兄の妻(ナタリー・ポートマン)の三人とその家族を中心に、罪と贖罪、家族の絆を描いた映画です。(詳しくは公式サイト参照)
大きな設定以上に細かいエピソードや台詞回しが巧みで、特に子供の存在が効いているなかなか優れた脚本です。

ところでテロップにリメイクだとあったので、オリジナルのデンマーク映画『ある愛の風景』(2005年サンダンス映画祭で観客賞受賞)の予告編を見たら、エピソードも含めてかなり忠実なリメイクになっていることがわかりました。それだけ完成度の高い脚本だったのでしょう。
最後まで安易な解決をしないあたりは確かにアメリカ映画っぽくないとは思いました。

ただ『マイ・ブラザー』の方もうまくアメリカの田舎町の雰囲気に合わせたストーリーになってますし、トビー・マグワイアとジェイク・ギレンホール、それ以上に子役2人が好演しているので、リメイクとしてもいい作品だと思います。

PS
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、兄がアフガニスタンで置かれたような状況で、軍のマニュアル・ルールどのように対処することになっているのでしょうか。

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スペイン優勝

2010-07-12 | よしなしごと
スペインと自民党が勝ってオランダと民主党が負けた一晩でした。
(一緒にしては申し訳ないか)
決勝点は直前のスナイデルのFKがスペインのDFに当たったのにゴールキックの判定になってしまったあたりからのいやな流れを引きずっていてそこに付け込まれた感じでした。

ちょっと荒れ気味ではあったものの、気持ちが前面に出たいい試合でした。

タコのパウル君は予測全部当てましたね。確率的にもすごいことです。

次回の衆院選の選挙予測にかりだされるのでは?

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ブブゼラブーム

2010-07-11 | 動画・画像
"vuvuzela"なので「ヴヴゼラ」が正しいのでしょうがカタカナとしては「ブブゼラ」の方がおさまりがいいですね。


Twitter経由のネタ
ドイツ人が本気でブブゼラに取り組みだすと凄い事になる

後半の「ボレロ」は必見です(なるほどという選曲ですが、主旋律を吹けるのがすごい)。



上のサイトでは、ベルリン・フィルのブブゼラを使った演奏も見られます。

見ていて自分もやってみたくなるのは共通のようで。
タコのパウル君といい、ジョークでも真剣に取り組むあたりがドイツ人らしさなのかも。



こちらはブブゼラを使う相手を間違ってしまった人


コメント
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