復興交付金の2次配分決定 要望上回る 被災3県が評価
(2012年05月26日土曜日 河北新報)
復興庁が25日発表した復興交付金の第2次配分額は、被災自治体の要望を大きく上回った。要求を削り込まれた第1次配分とは、打って変わっての大盤振る舞い。岩手、宮城、福島3県の知事らは「被災地の声をしっかり受け止めてもらえた」と評価した。
「ここまでは想定していなかった。120点だ」。要求の倍近い配分額の通知を受けた村井嘉浩宮城県知事は、報道陣を前に笑顔を見せた。
1次配分で「復興庁は査定庁だ」と激しく批判したことに触れ、「査定庁は取り消す。今回は国と十分なすり合わせをし、妥協点を見いだすことができた」と述べた。
前回は自治体側も準備が不十分で震災復興と関係のなかったり優先順位の低そうな事業をあげてきたのも一因だったようで、復興庁も申請方法の見直しや交付金配分の考え方を示したりした結果だと思うので「大盤振る舞い」というのはちょっと言い過ぎのように思います。村井知事の「十分なすりあわせ」というのが正しいような。
ところでこれに先立つ5月21日には復興庁から復興の現状と取り組みが公表されています。
農業・漁業の復興状況を見ると、漁業については漁港の97%が復旧(部分復旧も含む)し、水揚げは約78%(金額で約84%、ともに前年同月比)の水準まで回復したものの、産地市場は64%、水産加工施設は約50%しか再開できていません。
一方、農業では農地の約39%(面積ベース)、農業経営体の約40%が再開したにとどまっています。 (p13~25)
p29~31では「福島県の状況と課題」を取り上げています。
全避難者16万人のうち11万人が避難指示区域からの避難者で、しかも避難者の1/3以上の6.3万人が県外に避難しているというところが対応の困難さを象徴しています。
避難指示区域の見直しについてもふれられていますが、一方で復興庁が4月に公開した空間線量の予測資料http://www.reconstruction.go.jp/topics/shiryo3.pdfを見ると、年間20mシーベルトという基準値が妥当だとしても5年後でもかなりの範囲がそれを上回るという予測ですし、5年も離れていると地域コミュニティを修復するのは難しそうです。
p46~48では上の復興交付金の「すり合わせ」についてもふれられています。
現時点での進展度合いをどう評価するかはさておき、復興の現状についてわかりやすくまとめられています。
ただ、統計数字だけだとたとえば95%復旧したらほとんど終わったように思えてしまいますが、残りの5%の当事者にとってはゼロなので、そこをどのように支えていくかも考える必要があるでしょう(これは失業率などについてもあてはまります)。