しかし、水深の深さに加え、壊れかけて視界も不良な沈没船の中のに入ることは常に危険と隣り合わせで、アメリカで1000万人以上いるというスキューバ・ダイバーのうちでも本格的なレック・ダイバーは2~300人しかいないそうです。
本書は、そうしたレックダイバーのがニュージャージー沖に沈んでいたどこにも記録されていないUボートを発見し、その正体を特定するまでを描いたノン・フィクションです。
著者は関係者への膨大なインタビューから常に危険と隣り合わせのレック・ダイビングの実態、ダイバーたちの人生、そしてUボートの正体を特定するまでの苦闘を鮮やかに描きます。
なにしろ登場する人物が個性的で、特に中心となった2人のダイバーの人生はそれだけでドラマになりそうです。
ダイバーたちは、まずは沈没船がUボートと確認するため、次に安全に内部に潜るため、そして型式や艦名を明らかにするために何を引き揚げればいいかについて図書館から国立公文書館、さらにはドイツやイギリスの研究者からも情報を集めます。
一方でUボートは水深70mという深い場所にあり、しかも内部は狭い上に入り組んでいてしかも損傷しているため、船内での探索活動には時間の制限があるうえに危険が伴います。
それでもダイバーたちは、苦難のうえ、ついにUボートの艦名を特定し、その証拠を引き揚げます。
僕は昔ダイビングを少しかじったことがあり、また子供の頃第二次世界大戦関係は(当時のプラモデルブームなどもあり)いろいろ本を読んでいたこともあり、ツボにはまってしまい上下二巻を一気に読んでしまいました。
でも、ダイビングやUボートに興味がない人でも十二分に楽しめる、人間ドラマと海洋サスペンスと戦記物を足し合わせた魅力がある本だと思います。
お勧めです。