目を離していたらこんなことになってました。
投資主による投資主総会の招集の請求に関するお知らせ
(2010年11月24日 FCレジデンシャル投資法人)
1. 請求の内容
(1)請求者
エスジェイ・セキュリティーズ・エルエルシー
(2)総会の目的たる事項
本投資法人の解散の件
(3)当該請求の理由
本投資法人を解散し、本投資法人の全資産を売却する手続を通じて、本投資法人の投資主に対して、早期に投下資本回収の機会を与えることは、全投資主との関係においても唯一最善の策であることを理由とするものです。
前回のエントリのあとフォローしていなかったので、その後の経緯はyurakuさんのエントリをご参照ください。
今後ですが、請求に対して会社が投資主総会を招集しない場合は、内閣総理大臣の許可を得て招集することになります(投信法91条3項)。
そして投資主総会の決議方法ですが、投信法では解散決議は過半数の投資主が出席した投資主総会で出席投資主の2/3以上(規約で上積み可)の多数が必要になります(93条の2、2項3号)。
一方で、投資法人では「みなし賛成」という制度があって、投資主総会に出席しなかった投資主も総会に出席して賛成したとみなすと規約で規定することが出来るとされていて(93条)、FCレジデンシャルの投資法人規約にもその規定はあります。
解散を請求したSJは投資口の23.24%を持っていて、スポンサーであるファンドクリエーションと提携しているいちごアセットは29.42%を持っているのですが、いちごが反対したとしても一般投資主がみなし賛成に回ると解散決議が可決される可能性もあります。
ところで上の投信法93条では「(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除く。) 」という除外規定があります。
これはたとえば役員候補者が定数を超えてしまった場合とか、規約の改正案が複数出たときなどにはみなし賛成が機能しなくなるために置かれた規定だと思います。
今回、スポンサーのファンクリも(繰り返しますがいちごアセットが味方に付いた前提で)解散決議の否決を確実にするためには「相反する趣旨の議案」を出せばみなし賛成をなくすことが出来ます。
ただ、解散決議に相反する趣旨の議案となると「解散しない決議」ということになりますが、それは単に「解散議案に反対」なだけなので個別の議案として成立しないのではないでしょうか。
投信法では
投資主総会は、この法律に規定する事項及び規約で定めた事項に限り、決議をすることができる。
(89条)
と定められていて、「解散しない」という事項は決議事項としては定められていません(まあそれが普通でしょう)。
となると、今回「相反する趣旨の議案」を出すことは難しいのではないだろうか、というのが素朴な疑問です。
「賛成の反対の賛成なのだ」はバカボンのパパの口癖ですが、運用会社・スポンサーの対応、いちごやその他の投資主がどう動くかに注目です。
そして、解散になった場合、物件売却をどうやって進めてどれくらいで売れるのか、バルクセールの価格と鑑定評価の関係という意味ではかんぽの宿問題にも共通する論点もあったりするので、そちらも話題になりそうです。
最終的に「これでいいのだ」という落着になるのかどうかまで目が離せません。