一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

欧州EV事情

2013-08-28 | うろうろ歩き


ロンドンで見かけたルノーのEV。
ショッピングモールに展示していて、こちらは(たぶん)試乗車。

形から日産LEAFの兄弟車だとばかり思って、デザイン的には後発の方が洗練されてるな、などと言っていたのだが、実はRenault ZOE という別のモデルだったようだ。
ルノー、新型EVの販売に自信…「日産 リーフ を超える」などと自慢しているくらいなので、兄弟の競合というのは気にしないようだ。


隣には1人乗りEV。



Renault Twizy というようです。


これと同じコンセプトのトヨタCOMS(といってもトヨタ自動車でなくトヨタ車体の製品)には乗せてもらったことがある。

扉がなく、ジッパーで閉じるところも同じだが、デザイン的にはこっちのほうが好み。
側面のバーが安全そうだし、ビニール製の扉をうまく隠している。
ドライビング・ポジションもアップライトで乗りやすい感じ。

COMSは、見てくれの小ささよりは回転半径が大きいように感じた(ハンドルの切れ角のせい?)が、こちらもそうなのだろうか?



パリではEVのカーシェアリングがあった。



いろんな街角の公道に駐車場所があるので公的セクターが運営しているのだろう。




自動車のデザインなどで有名な「ピニンファリーナ」とあるが、自動車メーカーのマークがないと思ったら、ピニンファリーナがイタリア・フランスの会社と共同で製造しているもよう(参照)。





返却するときは、ちゃんと充電器につないでいる。


自動車の環境対応は日本が進んでいると思っていたが、そうではないらしい。

レンタル自転車もそうだが、公的セクターの実験精神は日本より高い感じがする。
日本だと、自賠責法の運行供用者責任を問われるリスクで二の足を踏んだり、営業許可が必要になったりと、いろいろありそう。

実験的な取り組みで経験を積むことで、はじめて運用のノウハウや設計へのフィードバックが得られるわけなので、実は彼我の差はじりじりと開いているのかもしれない。


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『友罪』

2013-08-21 | 乱読日記
上手い。が、上手さだけではない。


 -過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?- 

と「作品の詳細」に書かれてしまっているので、中盤までのストーリー展開は想像できてしまう。
しかし、登場人物の行動・心理の描写が詳細までリアルに描かれ、ぐいぐいと引き込まれる。

常に「善良な人」がいるわけではなく、逆に「悪い人」が常に悪いわけではない(最初から最後まで悪人というのは一人出てくるが)、という当たり前のこと、それぞれが考え、悩み、または本能的に反応しながら生きている。善意が裏目にでてしまうこと、同じ思いなのに行き違ってしまうことなど、ディテールを積み重ねて、救いのないようなストーリーをぐいぐい進めていく。


一方で、読者に、それぞれの登場人物の立場だったらどうする、また、他の登場人物の振る舞いをどう評価する、ということを考えさせる。


そういう意味では上手い小説であるだけでなく、誠実な小説でもある。
ただ、誠実さは、必ずしも優しさを意味しない。

上手さに乗って、映画を見るように一気に最後まで読むという読み方よりは、立ち止まりながら、考えながら読むのが、この本の味わい方のように思う。





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『リガの犬たち』

2013-08-19 | 乱読日記

刑事ヴァランダーシリーズの2作目。 1992年の作品。

「リガ」はラトビアの首都のリガを指す。
ラトビアはバルト3国のひとつ(Wikipedia参照)。

舞台は、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連邦も崩壊の瀬戸際に立つ1991年。 ラトビアでも独立の機運が高まるが、ソ連の介入に悩まされているという時期。

スウェーデンの海岸に死体の乗った救命ボートが打ち上げられる。被害者はラトビアと関係があるようだ、というところから本作は始まる。
そして、成り行きからヴァランダーはラトビアに渡り、捜査に携わることになる。

地図を見ると、ラトビアはバルト海を挟んでスウェーデンの対岸にある。

ただ、ヴァランダーも含めスウェーデン人にとっても、ラトビアは近くて遠い国として描かれている。

そして本作は捜査そのもの以上に、ヴァランダーの目を通して描かれるソ連邦崩壊直前のラトビアの様子が読み応えがある。  

「あなたはいま、非常に貧しい国にいるのだということを理解してもらわなければならない。周囲の東ヨーロッパ諸国もみな同じです。長い間、われわれは檻の中にいるような生活をしてきた。世界の豊かさを遠くから見ているだけだった。だが突然いま、すべてが手に入れられるものになった。ただし、それには条件がある。それは金を持っていることだ。西側が壁を壊して、それまで檻の中で生活をしていたわれわれとの境目をなくす手伝いをしてくれたわけだが、そのとき同時に開けた水門が渇望の激波をもたらした。いままでは離れたところから見るだけだったもの、触ることを禁じられ、手に入れることができなかったものに対する渇望だ。われわれはいまこの国がどうなるのか、まったくわからない状態にいる」

バルト海をめぐる密貿易や麻薬の密輸、私財の拡大という共通項で結びついた犯罪組織と権力の癒着など、制度が限界に達した国の様相が描かれる。


海を挟んで向かい側の国の体制が混乱をきたしたらどうなるのか、ということに我が国は備えているのだろうか、とも考えさせられる。


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『ファイアー・ウォール』

2013-08-18 | 乱読日記
スウェーデンの作家ヘニング・マンケルのスウェーデンの地方都市イースタの警察署に勤めるヴァランダーという刑事を主人公にした警察小説のシリーズ。

スウェーデンの警察小説といえば70年代のマルティン・ベックシリーズや、ミステリだと最近のミレニアムシリーズなど、ときどき(日本にも翻訳されるような)ヒット作が生まれる。

福祉国家のさきがけとして、社会問題にも直面してきたから、ということもあるのだろうか。

本作は1998年の作品。翻訳は2012年となる。
シリーズ第1作『殺人者の顔』(1991年、翻訳は2001年)を約10年前(少なくともブログを始める前)に読んで以来。

帯を見ると、このシリーズはイギリスでドラマ化され日本でも有料放送で放映されていたりDVDにもなっているらしい。

その関係で、10年以上のタイムラグを置いて翻訳がされたのだろう。
ドラマも1話90分、ケネス・ブラナーが主演で予算もきっちりかけているようなので、今度DVDも借りてみよう。


本作は、いわゆるサイバー犯罪を題材にしている。
1998年といえば、まだ2000年問題が話題になっていた頃のことなので、取り上げ方としてはかなり早いといえる。
とはいえ、自他ともに認めるローテクのスウェーデンの地方都市のベテラン刑事(既に50台前半になっている)であるヴァランダーが主人公なので、技術的なところは詳しくは触れていない。
犯人の企てが本当に実現可能なのか、逆にもっと簡単な方法があったのではないか、というあたりは、現在からみれば突っ込みどころはあるが、サイバー犯罪の技術自体がテーマではないので深く突っ込
むところではない。

逆に、15年前の作品だが古びた感じはしない。

複数の事件が同時におこり、それらがどう関係してくるのかという、警察小説の醍醐味も味わえる。

そして、マルティン・ベックシリーズでも言えるのだが、主人公の私生活や犯罪事情からスウェーデンの社会を垣間見ることができるのもこのシリーズの魅力である。


バツ一で不器用な男は生活がすさみがちである。しかも子供とはうまくいかない。
中間管理職になると、組織の矛盾もより目に付くようになる。また、ポストをめぐる争いにも巻き込まれる。
リタイヤして別の人生を歩き出す知り合いの話を聞くと胸が騒ぐ。

そんな中でも警察という仕事に愛憎半ばの感情を抱きながら仕事をしている主人公が、本シリーズのなによりの魅力である。





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石垣島

2013-08-11 | うろうろ歩き

8年ぶりの石垣島。

今年の3月に新空港ができて直行便が増えたので、便利になった。

以前の空港より市街地からは遠くなりましたが、空港を出ると海が見えてなかなか雰囲気が良い。

石垣島は公共交通機関がバスとタクシーしかないが、タクシーは安いし呼べばすぐ来てくれる(せっかく街中には尾石店が多いのにレンタカーだと飲めないし)。
そのうえドライバーが話好きな人が多く、おすすめ。



こんな感じのサトウキビ畑が広がる。

日差しは強く湿度もそこそこあるが、島なので最高気温は32~33度程度にまでしか上がらない。
風もあり日陰は涼しいので、東京よりは格段に快適。


サトウキビといえば1トンあたり16000~17000円のP補助金がTPPの関税等撤廃の適用除外になるかが沖縄・離島振興策とともに議論になっている。

一人のタクシードライバー氏は、以前は1200坪のパイナップル畑の専業農家だったがウルグアイラウンドの結果1990年にパイナップル缶詰の自由化によって「畑だけじゃ食えなく」なり、タクシーを始めたそうだ。
(興味のある方は「沖縄・石垣島におけるパインアップル生産の危機と再生」参照)

とはいえドライバー氏はマンゴーも始めていて、タクシーのお客さんに営業して直販もしている商売上手。マンゴーの木は数本で、すべて売り切れてしまっているので、定年になったら少し畑を広げようかな、と言ってた。

それぞれ、世の中の流れの中でたくましく生きている。

サトウキビはそもそも工場買取価格がトン当たり5000円程度なのにその3倍の補助金というのが離島振興策として適当なのか、ということも含めて議論すべきだと思う。
サトウキビ畑へのスプリンクラーの散水風景を見ると、水利権と離島の水資源の活用の仕方についても、8年前に比べて増えたホテル(なにしろ駅がないのに東横インがあるw)などの環境負荷抑制策なども含めていずれは議論になるのではないか。
ちなみに竹富島は一番高いところで標高20数メートルのサンゴ礁の島なので、石垣島から送水管で水を送っている由。





市街地の中心部のお土産街が命名権を売って「ユーグレナモール」になっていた。
株式会社ユーグレナはミドリムシの培養技術のベンチャーで、昨年IPOして以来株価はうなぎのぼり。
ユーグレナの培養工場は石垣島にある。
ミドリムシは栄養バランスに優れ、消化吸収もよく、またバイオ燃料にもなる。それに光合成をするので太陽光と二酸化炭素があれば大量生産できるし、CO2対策にもなると、地球の未来を救う力がある、というのが、上のキャッチコピーの由来。

昨年ユーグレナの出雲社長の話を聞く機会があったが、なかなかに熱い若者であった。
IPO当時株を買わなかったのが残念だが、通販ではユーグレナファームの緑汁を買っている。


モールの端には、直営のカフェもオープン。
ユーグレナを使った料理が食べられる。

石垣島にはこんな伸び盛りの会社もある(本社は東京だけど)。





尖閣諸島は行政上は石垣市に属する。
参院選のときに安倍首相が現役の総理の選挙運動としては初めて石垣島を訪れた。
安倍首相は歴代事務官のポストだった海上保安庁長官にも現場系の人をつけたり、思い入れはあるようだ。
与那国島に自衛隊の駐屯地を作るという話もある。

自衛隊・海上保安庁の人員配置がどれくらいの規模になるかはわからないが、観光と軍隊が主要産業のハワイをふと連想。


生臭い話はここまでにして、





夕陽は日没後の空の色の変化が美しい。

そもそも日没前後10分以上景色をぼーっと眺めること自体東京では考えられないことで、それだけでリフレッシュになる。







竹富島。

町並みが重要伝統的建造物群保存地区に指定されたので、平屋で沖縄瓦の建物しか建築できないことになった。
星野や旅館が全室離れ、というのもその関係。

島内は交通機関がないのでレンタサイクル屋が盛んだが、島の道は舗装された外周道路以外は白砂なので、漕いでいる人はけっこう大変そうだった。


********************

帰ってきた翌日は社会復帰のために休む予定だったのだが、急きょ会社の偉いさんに同行せねばならなくなり、クソ暑い東京で上着を着ることに。

前日までシュノーケリングでカクレクマノミと戯れたりしていたのに、

「昨日はイソギンチャク、今日は腰巾着」

というトホホなオチがついたw


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