一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「描く!マンガ展」 @高崎市美術館

2016-02-29 | うろうろ歩き

大分、北九州と美術館を巡回していたのが関東に来たのでこの機をとらえて行ってきた。
湘南新宿ライナーだと直通で2時間。グリーン車がついているので奮発すればのんびり本が読める。 

展示の概要はこちら
大きく2つのパートに分かれている。

一つ目は、手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄Ⓐ、水野英子らの「巨匠」のデビュー前後の作品を展示し、デビューに至る経緯や当時の出版状況などを解説している。

印象的だったのが、雑誌という限られたメディアを媒介にお互いに影響を受けたり、共同の活動の場をつくったりし、しかもそれらを20代前半でしていたこと。皆早熟で、しかも若さだけの熱意があったのだろう。

余計な感想だが、手塚治虫は没後勲三等瑞宝章を受勲されている。
ただ、マンガ業界の地位は内閣府賞勲局的にはそこから上がっていないようで、それ以後の受勲者のランクは勲三等以下にとどまっている(ようだ-調べたわけではなく展示からの印象)。
まあ、そこが役所らしくもあり、勲章などに合わないのがマンガ家のいいところでもある。

二つ目は、あずまきよひこ、さいとう・たかを、島本和彦、竹宮惠子、平野耕太、PEACH-PIT、陸奥A子、諸星大二郎8名の作品の展示とともに、創作の様子や、原画や拡大パネル等で提示している。

面白かったのが、各作家の描線の特徴についての田中圭一の解説。
田中圭一といえば 『神罰』 の作者であるが、ここでは下ネタ炸裂ではなく、京都精華大学特任准教授(マンガ学科ギャグマンガコース)として専門家の観点からマニアックな解説をしている(ちなみに竹宮惠子は精華大学の学長でもある) 。
パロディを得意とする田中圭一だからこその、分析が光っている。
ただ、陸奥A子の描線の解説の例で、山本直樹が出てくるあたり、「らしさ」が垣間見えた。


(ちなみにパート2は撮影可でした)


マンガ家の創作風景については、NHKの「浦沢直樹の漫弁」で見ていたこともあり(しかも、本展示にあるさいとう・たかをも取り上げられていた)、身近に感じられたのもよかった。


高崎市美術館では4/10まで開催している。

その後の巡回情報はこちら参照。

 

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『オデッセイ』

2016-02-27 | キネマ

火星探査チームのメンバーであるマッド・デイモンが一人で火星に取り残される、という話。

原題の"The Martian"を直訳して「火星の人」だとちょっとずれるし「マーシアン」だとわからないからこの邦題にしたのだろうが、日本で「オデッセイ」だとホンダのミニバンがイメージされそう。

火星で一人取り残され、限られた食料と資材の中で生き残ろうとするマット・デイモンの奮闘と、速く救出ミッションを送り出そうとするNASAのチームの奮闘が見どころ。
突っ込みどころはけっこうあるが、142分の長尺を感じさせなかった。

以下、印象を

・冒頭が「Mars Day1」、以後シーンごとに「火星/地球 〇日目」という表示が出るが、火星の自転周期を知らなかったので(スマホで調べるわけにもいかず)、「〇か月後」などのセリフをもとに地球の日数から暗算したりして最初は気が散ってしまった。
 これから見る方のためにお伝えすると、火星の自転周期は24時間40分でほぼ地球と変わりません。

・70年代~80年代のディスコ・ミュージックが題名やサビをもじった使われ方をしていて、世代的には面白かった。

・良くも悪くもアメリカ映画。アメリカ流のジョークが好きか嫌いかで好みが分かれるかも

・登場人物がステレオタイプな感じ(特にNASA)

・中国での配給を意識した部分あり。逆にロシアは・・・

・3Dで見たが、あえて3Dでなくてもいいかも。動きとしては単調なので4DXはどうなんだろうか


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『ガールズ&パンツァー』

2016-02-25 | キネマ
Twitter界隈で話題だったので、DVDを借りて観たが、けっこうハマってしまったw

ご存じない方はこちら参照。

映画やプラモで懐かしい第二次大戦中の戦車への思い入れやウンチクを刺激するというあたり、マーケティング的には「艦コレ」(こっちはやってない)に通じるものがあるのだろうか。

ストーリーもちゃんとしていて、細かいネーミングやBGMなども凝っている(そもそもなんで横文字タイトルが"GIRLS unt PANZER"と"GIRLS"だけ英語なのかとか、大洗の道路はアスファルト舗装でなくコンクリート舗装なのかとかいう無粋なつっこみはなし)。
キャラクターの造形などはそれほどアニメに詳しくないので省くが、オッサンでも(家族の目を気にしなければ)楽しめる。



劇場版が4DXで上映されるらしいので、観に行ってしまいそうだ・・・


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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(ネタバレあり)

2016-02-23 | キネマ




ラストシーンのライトセーバーの渡し方、逆だろう!





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『ヤクザと憲法』

2016-02-21 | キネマ
最近は備忘のための本や映画のレビューがメインなのですが、それでもブログに向かうエンジンがかからずに花粉症の季節を迎えてしまいました。
リハビリをかねて映画のレビューからぼちぼちと。

で、表題作。

東海テレビのスタッフが、暴力団事務所を密着取材したドキュメンタリー映画。
撮影にあたっては、

 ・暴力団事務所に密着取材謝礼は支払わない
 ・登場する人は基本モザイクなし
 ・取材映像は事前に見せない

をルールにした。


映画では、暴対法以降風当たりが厳しくなったヤクザの日常を、部屋住みの組員を中心に、「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語る組長や、自らがかかわる案件で刑事告訴された山口組の顧問弁護士の訴訟の経過なども同時進行で描かれる。

詳細は公式サイト
http://www.893-kenpou.com/


銀行口座が開設できなかったり(そうすると子供の給食費の引き落としができず、金を持参すると親がヤクザだとばれてしまう)、自動車保険金を請求すると詐欺と疑われたり、顧問弁護士には陰に日向に圧力がかかる、という日常と、その中でシノギをしていく様子(一部モザイクがかかっていたり、取材拒否があったりする)が描かれる。

暴対法や企業の暴力団排除によって、暴力団と構成員の経済活動は日常生活に至るまで相当制約がかかっているし、警察は徹底的にマークして微罪でも検挙する。
それを日本国憲法で保障された基本的人権の侵害ととらえるか、また、様々な事情で「普通の社会」からはずれた人々の受け皿としての機能をどうするかということについて考えるいい機会を与えてくれる作品だと思う。


ただ、主戦場は既にそこではないのではないか?

印象的だったのが、組長だけは小ざっぱりした服装をして、人相風体もイケてる自営業者風だったこと(下の予告編の冒頭に登場する人。本人は殺人で15年の実刑判決を受けた人なのだが)。
おそらく暴力団を支える資金源は、映画のオフレコ部分で示唆されたような覚せい剤の密売のようなものではなく、より経済犯罪に近い部分で組織的になされているのではないかと思った。

一方で、映画では警察による保険金詐欺容疑での組員の逮捕・家宅捜索の様子が描かれているが、こういう微罪を検挙するだけでなく(毅然とした姿勢を示す、とか所轄のノルマとかの事情もあるのだろうが)、より組織的な経済犯罪(振り込め詐欺にしても後手に回っている感じがする)にこそ積極的に取り組んでほしいと思う。


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