一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

新聞の段組の変更

2008-02-29 | ネタ

朝日新聞、文字を大きく情報たっぷり 3月31日から
(2008年02月17日 朝日新聞)

朝日新聞は3月31日(月)付から文字を大きくします。1ページは15段を基本にしてきましたが、これを12段とします。文字を大きくするうえに1段11文字を13文字に。目にやさしく、すっきりと、より読みやすい新聞に生まれ変わります。

新紙面…ゆったり12字12段組み 3月31日スタート
(2008年2月15日 読売新聞)

 読売新聞社は3月31日(月)から、基本文字を一回り大きくします。1ページを14段組みから12段組みに変えますので、これまで以上にくっきり、ゆったりとした紙面となり、格段に読みやすくなります。

購読者の高齢化に対応、ということなんでしょう。
今や新聞をゆっくり読むという層は高齢者に相当偏っているのかもしれませんね。

でも、1行の文字数は朝日13文字、読売12文字と、それぞれ独自の対応をしているのがマスコミらしくもあります。



ところで、読売新聞のウェブサイトによると

1981年以降、新聞界には3次にわたる文字大型化の波が訪れた。読売新聞も83年、従来よりも面積を一気に26・5%拡大した文字(N字)を採用。同時に1行15字を13字に転換した。89年には、18・5%大きな文字(P字)に変え、1行12字のスタイルとした。 
さらに、高齢社会を見越し、2000年12月には、P字よりも22・4%広い現在の文字(S字)に移行した。併せて50年続いた15段組みを14段組みとしたことで、見やすさ、読みやすさは一層アップした。

ということで、実はこのトレンドは、実は20年以上前からだったようです。
※ ちなみに1981年といえば、最近サイパンで逮捕されて話題になっている三浦和義氏の「ロス疑惑」事件が起きた年でもあります。


ところで、従来新聞の1ページ全面を使った広告は、俗に「15段広告」と言われていました。
今回の段数の変更にもかかわらず、便宜上広告単価の「1段いくら」は、従来の15段ベース(読売は14段ベース)の単価がそのまま適用されることになるそうです。
ただし、実際の面積あたりの単価を増やすわけではないので、理論的には、新しい紙面1段あたりの価格は旧単価の15/12相当になるようです。


何かとてもわかりにくいですね。


たとえば紙面の2/3の広告を打った依頼主は、実際は8段分だけ掲載されたにもかかわらず(旧単価の)「10段分」という請求を受け取ることになります。


でも、こんなやり方を続けていると、それこそ

 

 

「疑惑の十段」






と言われてしまうのではないでしょうか?






おあとがよろしいようで・・・




 

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外国人労働者

2008-02-28 | よしなしごと
おかげさまで生きております。
結局単なる二日酔いだったようです(^^;


ということで、昨日は、朝食は頭痛がしたのでヨーグルトだけ、昼は時間がなかったので移動の途中で松屋の牛めし、夜は打ち合わせ(食事なし)が遅くまであったので、これまた始まるまでの移動時間の合間にドトールでサンドイッチ、というかなり寂しい食生活でした。

で、久しぶりに松屋に行ったのですが(牛丼はたまに食べたくなるので2ヶ月ぶりぐらい?)、店員が全員外国人だったのにはちょっと驚きました。
何か香港ベースのクルーのJAL便に乗ったときのような気分です。

僕の目の前の店員のおばさんの名札をみると「シフトリーダー」という肩書きがついた「サンタマリア」さんのようです。
名前と容貌から察するに(ユースケの親戚ではなく)フィリピン系の人かと思います。

外国人労働者の受け入れが議論されていますが、これらの人の就業ビザってどうなているんだろうかと牛めしをかきこみながら考えてました。

日本人と結婚している(そんなにまとまっているのだとろうか?)、短期アルバイト扱いならビザ不要(なのか?)、など思いつくことには限度があるのですが、上場企業の松屋なのでグレーゾーンでの「勝負」はしていないと思うので、何か理由があるのでしょう。
「全員」ということから、合法的な外国人労働者のチームを派遣する会社のようなものがあるのでしょうか。

そういえば会社の近所のコンビニも朝のシフトは「キム」さんとか「ヨウ」さんとかが多いな・・・


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頭痛

2008-02-27 | よしなしごと
朝起きたら久しぶりに頭痛

昨晩家で飲んだワインがどうも味がおかしかったのでしばらく置いてから2口目を飲んで、やはりおかしかったので処分しました。

そのせいかどうかわかりませんが、冷凍餃子ではないですが、かなり前にどこかのワインに基準以上の添加物だかなんだかが混入していたということなども思い出してちょいと不安になったものの、中身は捨てちゃったので文句も言えません。


まあ単にそのあと別のワインを開けたので単に飲みすぎのせいだと思いますが万が一ブログの更新が長期間滞ったら、ニュースを注意していただければとw


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『弁護士の就職と転職』

2008-02-26 | 乱読日記

著者は、長島・大野・常松法律事務所という現在日本で(多分)2番目に大きいローファームから独立すると共に弁護士のヘッドハンティング会社を起業した人です。

弁護士をめぐる就職・転職事情を、クライアント、大手ローファーム、ブティック系の中規模の事務所、一般民事の個人事務所、そしてヘッドハンターの立場から客観的に見ています。

「志」や「社会的使命」は当然大事にしても、やはり弁護士業も霞を喰らって生きていられるわけではなく、経済原則(需要と供給、事務所経営、依頼者の懐具合)からは逃れられない、ということをさまざまな角度から分析しているので、読む人によっては実もふたもない、と思うかもしれません。
ただ、部分部分については普段僕なども感じているところでもあり、それを体系的にまとめて「現実」として提示したところに本書の価値はあると思います。

司法試験合格者が年間3000人になる、というので弁護士会や法務大臣が見直しに動いていますが、単に人数が増えただけ収入が頭割りで減る、というわけではなく具体的にそれぞれの立場の弁護士にどういう影響が出るのかを考えるのにも役立ちそうです(そのためには「地方都市の弁護士」についての分析がほとんどないのがちょっと残念ですが。)

これから弁護士を目指そうという人には、一読をお勧めします。
そして、弁護士以外の転職や「キャリアアップ」を考えている人にも役に立つ視点が数多くあります。

一言で言えば「自分が何がしたいか、自分に何ができるかでなく、採用する側がどういう人を取りたいか、それはどうしてか」という視点での分析が大事、ビジネスの世界の物言いに変えれば人材についても「供給者の視点でなく顧客の視点が大事」ということです。
人間とかく「俺のスキルは・・・」から入ってしまいがちなものですから。



ところで雑誌「ビジネス法務」の2008年3月号に「法曹資格を持たないロースクール修了者の企業での採用を考える」という記事がありました。

これは、新司法試験の合格率が予想より低かった(ロースクールが予想より多かった、とも言われていますが)ために、ロースクールを出ても司法試験の3回の受験資格中に合格しなかった人の就職先をどうする、ということについて、企業法務、弁護士、ロースクールの人が行った座談会です。

このテーマについての結論は記事の末尾にある、牧野和夫大宮法科大学院大学教授の

ですから、純粋な法律の仕事ということでこだわってしまうと、逆にチャンスが狭くなってしまうと思うのです。純粋に法律の専門職ということになればそれは資格を取った方がよいという話になりますので

という発言に尽きていると思います。


企業で「法律の仕事」をするといっても、そもそも「法務部」がちゃんとあって二桁以上のスタッフがいる会社というのは商社とかメーカーのようなかなりの大企業に限定されていて、上場企業でも4,5人の法務担当がいれば御の字、というあたりが実情ではないでしょうか。
なので、上で紹介した本の流儀で言えば「小さい市場に絞って就職活動をするのは難易度が高くて当然」ということになると思います。

逆に法務の仕事にこだわらなければ有用な人材なら採用する、というのがそれこそ企業の経済原則です。

しかし経済原則を超えてこれが「べき」論になるとちょっと抵抗が出るのも事実です。
社会人経験があれば中途採用の要件にあてはまるのですが、大学卒でロースクールにはいると採用上は「大学院卒」として新卒採用になります。そうなると年齢制限とか、そもそも卒業時期が秋というのが採用のスケジュールとあわないという技術的な問題もあります。
大企業以外は採用にかけるコストにも制限があるので、このへんは送り出すロースクール側の工夫も必要だと思います。


でも、先日のエントリ(参照)に登場した工学部の教員をやっている友人に言わせれば、理系のポスドク問題(参照)とくらべると試験に落ちた人のことまで業界が心配してくれているだけずいぶんましだ、「社会的に有為な人材」というならきちんと研究をしてドクターをとった理系の人材の就職のほうを考えるべきではないか、ということにもなりそうですが・・・

 






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『残業ゼロの仕事力』

2008-02-25 | 乱読日記

過労死の原因は明らかに過度の残業ですが、正規の勤務時間における仕事の密度をいくら濃くしても、それが過労死につながることは絶対にありません。

トリンプの社長を10年以上にわたってつとめ、「毎日ノー残業デー」にしながら業績を伸ばし続けた吉越浩一郎氏の本『残業ゼロの仕事力』
最近のソフトカバーのビジネス書の例に漏れず、キャッチーなタイトルと読みやすく整理された内容です(一日の通勤時間の往復で読了。多分講演メモをライターが整理したのではないかと。)。

若手ビジネスマンや中間管理職以上に経営者にとって示唆に富む本です。

内容は今の日本の企業の常識には反しますが非常に論理的です。

  • 残業ばかりしていると、一日のうち睡眠時間・通勤時間を除くとほとんど自分のための時間がない。
  • 人生の自由時間でいえば、60歳の定年以後が圧倒的に多い。それをどれだけ豊かに暮らせるかは、働いているうちに自分の人生における関心や優先順位をつけられるかにかかっている。
  • したがって残業は個人の人生にとってマイナスである。
  • 一方残業は会社にとってもホワイトカラーの「効率的に仕事をする能力」をスポイルしているという意味でマイナスである。
  • 残業をなくすには勤務時間内の仕事の効率をギリギリまで引き上げるとともに、社員に「こんな思いをするなら残業なんてしないほうがましだ」と思わせるまで(トリンプでは部門毎に反省会を義務付けたりのボーナス原資を減らした)社長が断固たる決意で踏ん張り続けなければいけない。
  • 人間の仕事のキャパシティは「能力×時間×効率」で決まる。前2者に制約があるのであれば効率を上げるしかない。
  • 効率を上げるには「大きな問題を細分化する」「デッドラインをつくる」ことが大事
  • 優先順位などつけている暇があったら少しでも小さな問題から解決すべき。そこで新たな課題が見つかればその問題に対してデッドラインをつくって解決すればいい。
  • デッドラインは相手を見て決めるのでなく「会社にとって何が正しいか」で決める。
  • 会議には担当は徹底的に吟味したたたき台を持ち寄る(小さな問題に分ければそれは可能)。そうして、ひとつの問題に対して短時間で結論を出すことでひとつの会議でさまざまな意思決定が効率的にできる。そこで新たな問題が明らかになれば、またデッドラインを設定する。
  • 問題が整理されていれば情報の共有や議論は容易で、会社が下すべき結論は短時間でしぼれるはず(「会議は発表会でもなければ、わかりきったことを確認するために行うものでもありません。」)。

著者は強引に進める手法を「ワンマンだ」という批判に対して、つぎのように反論します。

  • ピラミッド組織では情報がトップに行くほど集中するのは当然。
  • その情報を抱え込むのが「ワンマン」(「俺しかわからないのだから黙って俺の言うことを聞け」)
  • 強い「リーダー」は集まってきたすべての情報を部下にオープンにし、さらに決断に至るプロセスまで含めてトップダウンで部下に伝える(「今こういう問題が起きているからこうやって解決するぞ」)。そうすれば反対意見を生み出すことができる。

ではトップが部下と同じ情報しか持っていないのに「俺に従え」と言えるのは

何が会社にとって正しいのかを論理的に考え、なおかつ判断に至るスピードが速く、決断する勇気を持ち、責任を取る覚悟がある。そして、その判断が圧倒的に正しい。
トップは、これらすべての点で組織内の誰よりも秀でていると証明して見せなければならないのです。

つまり、冒頭の「経営者への示唆に富む」という表現は、より正確に言えば「経営をすること」に意義を見つける人には示唆に富むが「経営者であること」に意義を見つける人にはあまり役に立たない、ということですね。

 





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『市場と法  いま何が起きているのか』

2008-02-24 | 乱読日記
しばらく積読していた三宅伸吾『市場と法 いま何が起きているのか』を読みました。

著者は日経新聞の経済法制担当の編集委員で、ライブドア事件や敵対的買収をめぐる争いなどの特集記事を数多く書いています。

本書は過去の記事をまとめるだけでなく、ここ数年の経済法制の変化を俯瞰するような内容になっています。

ライブドア事件などはかなりこのブログでも書いていたはずが、「ああ、こんなこともあったよなぁ」などと懐かしく思い出すとともに、現時点から見直してみると、ひとつの時代の流れ、方向性を感じることができます。
特に刑事司法や東証、公取委の「厳罰化」についてはここ数年で大きく舵が切られたという感を改めて持ちます(独禁法はまだ「現在進行形」ですが)。

最終章の「市場国家と法律家」の章はタイトル以上に「市場国家と法規制のあり方」全般を格調が高く語っており共感するところ大です。


ちょっと残念なのは、そのまえの「弁護士と法律事務所」、「裁判所と政治」の章が踏み込みが足りないように感じるところです。
取材源に対しては厳しいことも言いにくいということもあるのでしょうが、「この弁護士/裁判官がこうした」という象徴的な出来事を取り上げているものの、大きなトレンドへの視点がここでは若干不足しているように感じました。
特に日経新聞への連載記事などの頃は細切れになっているせいもあり、傍からは弁護士への提灯記事のように思えたものがあったので、本になった時点では俺はこんなことまで知っているんだ、と食い込んだ取材をしたことをアピールするのでなく、もうひとつのジャーナリストの役割である大きな視点で書いてほしかったな、と思います。


このテーマに興味のある方は、まとめ本として手元に置いておく価値は(特に前半部分については)あると思います。






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『モンティ・パイソン』復刻版

2008-02-23 | 買い物
脊髄反射で予約してしていた商品がようやく届きました。

日本では70年代に(当時)「東京12チャンネル」で放映していたときには毒気が十分で、かつあまりにばかばかしいギャグに衝撃を受けたものです(しかも国営放送BBCの番組というのですから驚きました。
「手旗信号版『嵐が丘』」とか「Silly Walk」とか「ホロアホ鳥」とかは今でも覚えています。


これは"Man who speaks only the ends of words"






NHKも最近「サラリーマンNEO」などを始めましたが、この手の「まじめな悪ふざけ」はイギリス人の得意とするところですね。

当時の日本の吹き替え陣(広川太一郎、納谷悟郎、山田康雄)も充実していて、本家の毒気は十分はわからないまでも、雰囲気は伝わっていたと思います。

今回は英語で聞いてみてどこまで毒気が伝わってくるかも楽しんでみようと思います。


しばらく週末は退屈しなくて済みそうです。



PS 
この頃はラジオの深夜番組などでもクオリティの高い番組がありましたね。
タモリの「4ヶ国語麻雀」などもこの頃だったと思います。
※音声ファイルはこちらのページから(途中からですけど)
※米国人、ベトナム人、韓国人、中国人の4人が麻雀をして、米国人は騒がしく、ベトナム人は熟考し、韓国人が中国人からあたったはずがチョンボだったのでトラブルになる、という話です。


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日本の政府系ファンド

2008-02-22 | まつりごと

津田財務次官:政府系ファンドは相当リスクの高い運用必要-慎重姿勢
(2008/02/21 17:36 JST bloomberg)

一瞬、阿呆か、と思ったのですが、誰が言い出したんでしょう。

津田次官は「海外の政府系ファンドの多くは、石油収入や財政の黒字を資金にして長期の対外投資をしているが、日本の財政には原資はない」と指摘。

ということは自民党あたりでしょうか。

借金をチャラにするためにギャンブルでひと勝負というのを国がやってはいけません。

検討などをしているうちに、敵対的買収をされた場合のホワイトナイトになる、なんて経団連あたりが下心を出して後押ししたりすると妙なことになるので、早めにつぶした方がいいと思います。


でも、それって日本企業自体が政府資金でMBOして国営企業になって市場から撤退するわけで、いわば「革命なき社会主義化」ですから、社民党や共産党も賛成するのかな・・・?

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大学教員からみた学生の就職活動

2008-02-22 | よしなしごと

そろそろ2009年度の新入社員の就職活動が本格化しているようです。

昨日の朝日新聞の「私の視点」というコラムに加藤恵津子国際基督教大学準教授が「早期採用活動 学生に熟成のための時間を」という文章を書いていました。

多くの大学生は一年次に学問の基礎を身につけ、二年次に志望専攻の入門科目を取り、三年次から専攻の中・上級科目を修めつつ、卒業研究のテーマを絞っていく。

だが早まる一方・・・の採用活動は、すべての学生を浮き足立たせ、残りの大学生活を真剣に送ろうという気力をそいでいないか。

企業には学生が「優秀な人間になる」時間を与えてほしい。

私も採用の面接官をすることがあるのですが、大学3年生(または4年になったばかり)だと、卒業論文のテーマも決まっておらず、「大学で何をやったの」と聞いても、サークルの幹事だとかなんとかいう話しかかえってこないことがよくあります。

それでも10人に1人くらいは「明らかに優秀」という学生がいるのですが、人事部からは一定数上げてくれ、と言われると、残りのドングリの背比べ(学生の能力というよりは面接官の眼力からはそう見える)の中から何人か「ままよ!」と選ぶことになります(私は天邪鬼なので、そういうときには妙にそつなくこなす「いかにも○○大学」というような学生は意図的に落とすようにしているのですが・・・)。

それはさておき、上のような問題意識は大学教員にはある程度共通しているようです。


先日某国立大学法人の工学部の教員をしている友人も同じようなことを言っていました。

学生は上のコラムのように段階的な学習・成長をするのでなく、(少なくとも彼の学科においては)卒業論文を書くことによって一気に成長するそうです。
それまでは座学で知識を受け取るだけ(なおかつ1年生は(工学部なのに受験科目として選択しなくてもよくなっている)高校の物理を教えている、というレベルだそうです)だった学生が、はじめて自分の頭で一から考える機会が卒業論文です。
テーマの絞込み、仮説の検証には指導教官だけでなく先輩や同級生との議論も大事ですし、スパコンとか実験設備という限られたリソースを融通しあうことも学びます。
卒業論文を作ることで、初めて「自ら学ぶ」ことの難しさと楽しさを経験として身につけることになるといいます。

ところが今では3年次から就職活動を始め、4年次の最初には就職が決まってしまうと、卒業論文にも身が入らず、結局それは企業においても必要な資質が磨かれる機会を失ってしまうことなのではないだろうか、というのが友人の危惧です。
そして、将来研究者になってほしい人材も、早い時期に就職が内定するとそちらに流れてしまいがちで、学界的にも損失です。


友人は、学生の能力は卒業論文を読んで、指導教官にインタビューすればほぼ正確に把握できるといいます。
指導教官も自分の学生の就職には協力したいが、長期的な評判を考えると学生を過大評価し続けるわけにもいかないのでウソをつくということもさほど考える必要はありません。

逆に3年生だと能力的にはそんなに違いがないので、専門性よりは基礎的能力・人間力が問われるわけだろうが、それを見定める企業の眼力もどうかと思う。
何年か前、研究室の教官から見ると「困ったちゃん」が就職できて優秀な奴が機希望の企業に内定が取れないということがあり、けっこう落ち込んでいた。
ある日、内定先の人事部の人が指導教官である友人に挨拶に来ることになった。
しかしそれを指導教官たる友人に言っておらず、友人は学会で出張だったためその企業を空振りさせてしまったことがある。そして何より本人が内定先の人事部長に無駄足を踏ませてもへらへらしている。
如才ない学生なので企業も騙されたのだろうが、採用してしまったなと思っているだろうな・・・

友人の提言ももっともなのですが、卒論の仕上げの時期と就職活動が重なるのも大変だと思います。
そうなると、大学はきっちり勉強して卒業させ、卒業後に就職活動、と言うことになりますが、そのためには卒業後1年間兵役なり(宮崎県知事の苦し紛れの)徴農制なり社会奉仕なりを義務付ける、というのもいいかもしれません。

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『はじめての課長の教科書』

2008-02-21 | 乱読日記
これも小飼弾氏のブログ経由

小飼氏曰く「一読して感じた。本書こそが、今日本で最も読まれるべき本であると。」と絶賛でしたが、そこまでは行かないとしてもサラリーマンには読んでみる価値は十分にある本だと思います。


欧米流の経営モデルでは経営者と従業員という大きく2つの階層に分かれるなかで中間管理職は衰退していくと言われていますが、一定以上の規模の日本企業においては中間管理職、ミドル層、すなわち課長こそが現場と経営をつなぐ役割を果たしているにもかかわらず、日本のビジネス書には経営(者向け)の本はあるが中間管理職向けの本がなかったことが本書の執筆のきっかけといいます(確かに経営戦略と自己啓発の本はたくさんありますね。)。


著者は課長の経営者の最下層であるとともに、逆に経営層としては個々の従業員、現場、専門知識の情報に最も近いというポジションから課長に必要なスキルや直面する問題をわかりやすく説いています。

多くの経営書にありがちな「これをやればうまくいく」というフレームワークを提示したり、誰かの成功譚から教訓を引き出すのではなく、「課長」というポジションを分析して必要なものを導き出す、という真っ当なアプローチをしています。
そして、「課長」は経営者のスキルとしてはリーダーシップよりマネジメント力が求められること、そしてそのマネジメント力というのは経営層からの要求と個々の部下や現場の事情をうまく調整することだと喝破します。
つまり部下を管理するだけでなく、会社組織の中での自分の課の管理のされ方をコントロールすることも大事だということが強調されています。
ここの部分の指摘が本書をユニークなものにしていると思います。

内容的は具体的で読みやすく、中間管理職をやったことのある人には心当たりのあること(自ら実践していることや反省すべき指摘)が盛り沢山だと思います。


ただ、本書は「(より)よい課長になるため」の本であって、課長からより上の経営者を目指すための本ではありません(多少はそういう記述はありますが)。

そこから先は、また別のポジションにあった立ち居振る舞いが求められるわけですが、いきなり企業家を目指す人にも自分の会社が首尾よく大きくなった時の組織管理にも生かせるかもしれません。




PS
著者の酒井穣氏はブログNED-WLTを開設していて、私もここに昔訪問した記憶があるのですが、何のエントリがきっかけだったか忘れてしまいました・・・







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確認はひとに任せて飲んだくれ

2008-02-20 | 飲んだり食べたり

<お知らせ>
一昨日のエントリ「空港会社の外資規制についての雑談」に追記しました。

さて、私といえばエントリの裏をとるのをコメントにお任せにして(「ある経営コンサルタント」さんありがとうございましたm(__)m)当の雑談の際に飲んだワインを尋ねて購入したお店に行ってました。

当のワインはこれ。

 

カリフォルニアのRobert Hallというワイナリーの Cabernet Sauvignon (Paso Robles) 2004

「酸味少な目、タンニン多目」という大雑把なリクエストへのお勧めで購入したのですが、香りと深みが豊かで大満足でした。
私の拙い表現力ではよくわからないでしょうからワイナリーのサイトの(2005ヴィンテージの)解説をご参照ください。

 Intense dark, ruby red color with complex plum, black currant and cocoa aromas echoed by rich, persistent flavors of plush ripe fruit, dark chocolate and spice all supported by balancing, rich velvety tannins.

以下のような賞や評価をとっているそうです。
Best of Class / Gold Medal – National Women’s Wine Competition 2007
Critics Gold – Critics Challenge Wine Competition 2007
90 Score – The Beverage Tasting Institute, September 2007 “Exceptional!”

酒販店の店主は「日本ではウチでしか輸入していない」と豪語していました。
(ネットショップのほうでは売っていないようですがお店にはおいてありました。)
価格もワイナリーの通販でUS$18を税込み3000円未満と比較的リーズナブルです。

調子に乗って、先日候補に上げてもらった他の二種類も一緒に購入してしまいましたので、また飲んだくれて適当なエントリを書くことになるかもしれませんが、あらかじめご寛恕いただければ幸いです(^^;

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移動郵便局!

2008-02-19 | よしなしごと

バスの「移動郵便局」スタート 全国初、愛知県豊田市で
(2008年2月18日(月)19:54 共同通信)

日本郵政グループの郵便局会社は18日、過疎地域などで一時閉鎖した簡易郵便局の代わりに、改造したマイクロバスで地域の公共施設などを巡回する「移動郵便局」を全国で初めて、愛知県豊田市の「小原福祉センターふくしの里」で試験的に開始した。バスは現金自動預払機(ATM)1台や窓口業務のカウンターを備えており、郵便物の引き受けのほか、ATMによる預貯金業務などを行う。

同じ件での日経の記事

車両は職員2人とセコムから派遣された警備員で運営する。郵便物やゆうパックの引き受けのほか、現金自動預け払い機(ATM)による送金などが可能。地域ごとに週2回巡回する。  
過疎地に多い簡易局は受託者の高齢化などが原因で一時閉鎖が増えている。今回の地域では従来、農業協同組合が簡易局を運営していたが昨年9月に撤退した。移動郵便局は新たな受託者が見つかるまでの応急措置となる。

これはいいアイデアだと思います。


現物はこんな車。


山間地などではそもそも簡易郵便局も家から遠い人もいるでしょうから、「建物つきの簡易郵便局」というものにこだわらずにその費用を振り向けることで、巡回の回数を増やしたり、「停留所」を増やせばかえって今以上に利便性が向上することもあるんじゃないでしょうか。

預金データの無線通信など技術的にもいろいろな工夫をして実用化にこぎつけたと思いますので、ぜひ全国に普及させてもらいたいと思います。

 

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空港会社の外資規制についての雑談

2008-02-18 | あきなひ
※追記あり

空港の外資規制などについての友人との話
ワインが美味しくて詳細の部分は定かではないのですが備忘のメモ
(ウラは取っていませんので誤解があればご指摘いただけると助かります)


今回もめている空港の外資規制については議論が錯綜している。
安全保障のために外資規制をすべきだ、という総論での議論はあるものの、各論でどういう風に規制するのかとなるとけっこう厄介な問題がある。

TBS対楽天のときに注目された放送法のように特別法で外資規制をしている分野はあるが、それらについてはWTOで相互参入自由の除外としている。
運輸行政については「航空」(JAL,ANAなどの「エアライン」)については除外しているが「空港」は除外していないので、後付で特別立法をしたときにWTOとの関係で問題が出るのではないか。

国交省は成田空港会社の上場において外資規制のために黄金株(または何らかの種類株)の上場も検討している(このへんは昔のエントリでちょっとふれています)ようで、このへんは企業価値研究会などの提言が追い風になっているが実現は未確定。
もっとも実際問題として種類株の上場によりあまり露骨な「裏口外資規制」がされるとそれはそれで日本市場全体が敬遠されるという副作用のほうが大きいのではないかという問題はある。

そもそも空港という許認可に依存して成立している企業を上場させる意味って何なのだろうか、とか羽田空港を「外資に買われちゃって大変」とか言う割りに羽田での国際線増便などをしている航空行政もよくわからん。
(またたとえば空港会社が言うことを聞かなくなったら横田基地を払い下げてそっちに便を集中するなどということもできるわけで、そうなったときの大株主としての国の利益相反orインサイダー的な立場ってどうなんだろう・・・)

また、成田空港会社を上場したときの上場益はこの状況だと特定財源にはしにくいので、だとすると国交省が上場を進めるインセンティブはないのではないか(財務省からのノルマでこれが達成できないと予算編成でいじめられるとか?)。


外資規制に話を戻すと、包括的外資規制には外為法による事前許可制度がある。
日本空港ビルディング(=羽田空港会社)の豪ファンド、マコーリーの取得についても現在そちらのほうで審査中らしい。
(問題があるならそれで拒絶すればいいじゃないかとも思うのですが。)
(追記参照)
また、現在もめているのがJ-Power(電源開発)へのチルドレンズなんとかファンドの問題が、今経産省の審査中になっている。
こちらは市場開放・外資導入を目指す経産省は許可するのではないかという噂がある。

※ でも「デイトレーダーはばか」などという経産省事務次官の発言を聞くとホントに市場を開放しようとしているのかは疑問w
(まあ、タニマチである財界向けのリップサービスが過ぎたということか)
ちなみに当日の議事録http://www.meti.go.jp/topic/data/80208aj.pdfでは「つまり、コーポレートガバナンスとの関係でも、『会社は株主のものだ』というよりは、『株主も含めた、従業員、取引先、消費者などのステークホルダーのもの』という方が実態ではないでしょうか。」
と言っているので、「デイトレーダーはばか」と言った返す刀で「『会社は自分のもの』と考えている経営者がいたらそいつはド阿呆」などと言っていればバランスが取れていたんだけど・・・

話を戻すと、電気事業法にも外資規制がないからこういう問題が起きているわけだけど、一方で電気事業法には電力の安定供給義務などが定められていて、不当に価格を吊り上げようとすれば政府のチェックがかかる、また原子力発電所を保有していることから、株式を北○鮮に転売されたりして核技術の流出が心配されるとするなら、それは別の原子力関連法規とか武器輸出規制などで対応できるから今までこういうことになっていたのではないだろうか。
空港会社についても個別業法や許認可でコントロールできるのであれば、あえて入り口で外資規制をかけなくてもいいのではないか(放送法は「言論の自由」などと絡んでくるので入り口で規制をしている、という整理か)。


そうはいっても予想外のことは起きうるので心配、ということであれば、アメリカの石油会社ユノカル(この会社はよほど買収の遡上に上がりやすいようですねw)をペトロチャイナが買収しようとしたときに米国政府が差し止めたような外為法規制を事後でもできるようなメカニズム(これはWTO上はいいんだろうか?)を入れるということで議論したほうがいいのではないか。
でも、そういう「伝家の宝刀」を作ると日本政府は抜くのをためらって結局竹光になってしまうことも多いんだよな・・・


などと、こちらも結論のない議論になってしまいました。
(あの美味しかったワイン、何ていったっけ・・・)


<追記>
「ある経営コンサルタント」さんのご指摘(ありがとうございます!)で外為法についてレビューしてみました。
ご紹介いただいた
http://www.boj.or.jp/type/exp/tame/faq/data/t_naito.pdf
によると法規制の内容は

対内直接投資等のうち、事前届出の対象となるのは、届出業種、すなわち「 別表第一および別表第二に掲載されている業種に該当する業種」または「別表第三に掲載されている業種(別表第一に掲載されている業種を除く)に該当しない業種(別表第一および別表第二に掲載されている業種を除く)」を営む本邦企業に対する投資(注)の場合です(したがって、仮に別表第一、別表第二および別表第三のいずれにも掲載されていない業種に対して対内直接投資が行われる場合には、事前届出が必要になります)。事前届出は、取引または行為を行う日前3か月以内に行う必要があります。
一方、事後報告の対象となるのは、事後報告業種、すなわち「別表第三に掲載されている業種(別表第一に掲載されている業種を除く)に該当する業種」を営む本邦企業に対する投資(注)の場合です。事後報告は、取引または行為を行った日から起算して15 日以内に行う必要があります。

とあり、別表第二に「発電所」とあるのでJ-Powerは事前届出の対象になるのに対し、「空港」事前届出の対象になっていないようです。(「航空業」や「航空機使用業」さらにご丁寧に「鉄道施設提供業」はあるのですが「空港施設提供業」はなぜかありません)

なので、日本空港施設(=羽田空港会社)の買収は後手に回ってしまったということですね。

コメント (2)
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せっかちな世の中

2008-02-17 | あきなひ
東芝、HD―DVD撤退検討 ブルーレイ支持が拡大
(2008年2月16日(土)22:13 朝日新聞)

標準規格争いではβ-max対VHSとあわせて(今回はソニーが雪辱したわけですが)これもビジネススクールの教材になりそうですね。

ただ、昔と違うのはスピード。
商戦が本格化したのは昨年半ばくらいだと思うのですが、一年足らずで勝敗がついてしまったわけです。
これはソニー陣営の「先手必勝」戦略もあったのでしょうが、ウォルマートなど効率を重視する大形小売チェーンでの取り扱いがされなくなることなどが大きなインパクトになったようです。
流通段階の各プレイヤーも効率を重視することが求められるので、自然と「勝ち馬」に乗るようになり(家電もコンビニの棚の清涼飲料水と同じような厳しい選別にさらされているわけですね)一気に趨勢が決まってしまう時代になったともいえます。


昔以上に市場の眼が厳しくなっていることを実感させる出来事ですね。
ソニーもβ-maxの頃はほぼシェア割りが決まった後も単独でかなりがんばったのですが、今だったらもっと早い時点での決断をしていたかもしれません。


効率的な反面せっかちな世の中になったともいえますが。


記事によると東芝のこれに伴う損失は数百億円ということです(投資額に比べて大きいのか小さいのかわかりませんが)。
ただ東芝は昨年9月に銀座東芝ビルを1600億円で売却しています。
これは市場がヒートアップしていた最後という絶妙なタイミングなので、今売りに出していたらやはり数百億円単位で安くしか売れなかったはずです。
この時点からHD-DVDの撤退をにらんでいたのでしょうか。だとすればなかなか見事な撤退戦だと思います。


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久しぶりの神楽坂

2008-02-15 | 飲んだり食べたり
久しぶりに旧友と神楽坂

自家製の干物が自慢という「ちょい干してっ平」
毘沙門天の向かい側、表通りに立ち並ぶビルの間の狭い路地を抜けたところにあります。



神楽坂の路地裏によくある民家を改造したお店で、一階は小じゃれた雰囲気な一方で二階は普通の民家の6畳二間をぶち抜いたところにテーブルが並んでいるといういたって庶民的な感じになります。

最初だったのでコース料理を頼んだのですが、味は美味しいもののお店の人の言うとおりちょっと足りずに、カサゴを追加注文。
このカサゴが美味しかったです。
結果的にはコースでなく大き目の干物を2尾くらい+野菜焼き+単品何品か、というのがいいと思います。
また、冬場は焼酎豚鍋(周りで食べている人がいなかったのでどんなものかはわからず)もお勧めだとか。

もう一度来てガッツリ食べてみようかと思います。
ただ、飲みすぎたときは帰りの急階段に要注意です。


二軒目は共通の友人の親戚がやっている「naorai」という紹介制のバー。
紹介制といっても怪しい店ではなく、落ち着いて飲んでほしいということからのようです。
コンセプトは「国産酒バー」ということで、日本酒、焼酎だけでなく国産のワイン、地ビールも珍しいものがたくさんあります。

今回気に入ったのが大和葡萄酒の古代甲州という白ワイン。
口当たりにコクというかインパクトのある味わいで、美味しい肴とちびちびとという日本酒のような飲み方が似合います。
地の酒には地の肴と改めて実感しました。


友人と人生談義のつもりが、店主を交えて酒談義になり、閉店まで長居してしまいました。

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