一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

駅より病院

2014-09-21 | 乱読日記

昭和天皇実録とか朝日新聞問題への塩野七生の寄稿とか面白そうだったので、久しぶりに文藝春秋10月号を買ったら、予想外に面白かったのが冒頭のエッセイで太川陽介が「ローカル路線バス乗継ぎの旅」について書いたもの。

意外かもしれませんが、乗継ぎのバスが途切れたとき、地図でまず探すのは大きな病院です。いまは鉄道の駅より身近な病院の方がバスに繋がる。

ここにきて安倍政権の地方創生がブームになりつつあるし、その火付け役にもなった増田寛也氏の「消滅自治体」もキーワードとしてよく出てくる。

国土交通省も「コンパクト&ネットワーク」と言い出している。

コンパクトという方向性はいいと思うが、その中心に何を置くかまで国が決めるのでなく、上のように自発的にできてくるネットワークの方をより大事にした方がいいと思う。

役人が考えるとどうしても中心に駅とか役所とかを置きたがるが、現実には役所への用より病院に行く機会の方が多いはず。

であれば本来は「ネットワーク&コンパクト」の方が順番としては正しいように思われる。

そして「消滅自治体」問題も、消滅して困るのは地域のコミュニティであって、自治体自体ではないのではないか(平成の大合併でも庁舎は残っているところは多いし)と思った次第。

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『生きるとは、自分の物語をつくること』

2014-09-12 | 乱読日記

小川洋子続きで、河合隼雄の対談本があったので購入。

奇しくも河合先生が急逝される直前におこなわれた対談となった。最後に「すこし長すぎるあとがき」として小川洋子の追悼文が載っている。

『博士の愛した数式』をめぐって数学者を志していた河合先生の思いとから「物語」の重要性について話は広がる。
亡くなって以来久しぶりに河合先生の話を聞く、という懐かしさもある。

小川洋子が自ら小説を書くということについてこう語っている。

 私は小説を二十年近く書いているのですが、ときどきインタビュアーに「なぜ小説を書くんですか」と無邪気に質問されて、たじろいでしまうことがあります。私にはそんなに特殊な仕事をしているという気持ちはないんですね。  
 人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。小説で一人の人間を表現しようとするとき、作家は、その人がそれまで積み重ねてきた記憶を、言葉の形、お話の形で取り出して、再確認するために書いているという気がします。

こういう人がつくる小説だったと改めて納得。


これは村上春樹の姿勢とも似ている感じがするが、村上春樹は「壁と卵」のスピーチとか、より大きな物語に移りつつあるような感じがする(最近の小説は読んでいないのであくまでも印象)。

 

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『博士の愛した数式』

2014-09-10 | 乱読日記
『薬指の標本』からはいった小川洋子。次は映画化された(観ていないがヒットしたらしい)『博士の愛した数式』。

博士(老数学者)と家政婦母子(特に息子の「ルート君」)との人と人とのつながりが、数学という補助線を引くことで鮮やかに描かれている。
逆に、人間関係を補助線に、数学の魅力が描かれているともいえる。


気に入った。


(追記)
阪神の背番号26だった頃の江夏豊と1992年の阪神タイガースが横糸としてからんでくるが、1992年同様、今年も阪神は終盤で失速の模様。




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親不知

2014-09-08 | 自分のこと
また2週間以上間が空いてしまいましたが、8月の末に親不知を抜いて、しばらく大人しくしてました。

左の下の親不知がもぐった上に斜め生えていて、かかりつけの歯医者には隣の歯にあたったところが虫歯になるとか、歯垢がたまると炎症を起こしやすいなどと抜くのを勧められていたのですが、ここ数年痛みが出ることもなかったので放っておりました。

今回決断の決め手になったのは、隣の歯との間が怪しくなってきたことと、「歳をとって体力が落ちた時に、炎症を起こしてから抜くと負担が大きい」という殺し文句でしたw


で、某大学病院を紹介されて手術、と相成ったわけです。

大学病院で抜く、というので身構えていたら、普通の歯科の椅子に座ってやるのでちょっと拍子抜け。
当日、大学病院らしく学部生と研修医?が一人ずつつき、合計3人に口の中を覗き込まれるという状態でスタート。
「こうやって切開する」などと解説付きなのですが、本人は見えないのでよくわかりません(カメラの実況付きだとちょっと怖いかも)

事前の診察でレントゲン写真を見たときは大学病院の先生は「そんなに難しい方ではないので2,30分で済みますよ」とと言われ、最初は順調だったのですが、最後の方でうまく抜けなくなったようで
「あれ?」
とかいう声が聞こえます。
このへん、指導教官でもある先生としては黙るわけにもいかず、難しいところですが、先生の声があわてている感じではなかったので安心感はありました。

結局歯の根っこがまっすぐ先細りになっていなくてちょっと膨らんでいたために、そこが引っかかっていたのが原因。

あとで抜いた歯(といってもいくつかに切断された残骸)を見せてもらいました。
けっこう歯石がたまって黒くなっていたので「抜いておいてよかったですね」と言われ、こちらも決断が正解だったと一安心。

結局1時間弱かかったのですが、自己負担は3,890円。3割自己負担なので総額でも13,000円です。

日本の健康保険制度の恩恵もそうですが、ちょっと診療報酬低いような。

かかりつけの歯医者が大学病院を紹介するのもわかる気がします。
たぶん道具さえあれば町の歯医者でもできるように思いますが、1時間かけて13,000円にしかならないのなら、15分の虫歯治療を4回やった方が効率がいいし自由診療のチャンスもあるから、万が一の時のバックアップとか、医療過誤のリスクとかを考えると大学病院に回したほうがいい、ということになるのでしょう。



抜歯後3,4日はほっぺたが腫れていたのですが(会社では指摘されなかったのは、腫れがその程度だったのか誰も関心がないからか?)痛みはさらに2,3日残りました。
1週間後に抜糸(3針縫った)をしたときに、もう普通の生活をして大丈夫とOKが出たのですが、まだ若干痛みというか違和感が残っているという状態で、なんとなく勢いが出ない今日この頃であります。


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