HYATT REGENCY 京都の前身の京都パークホテルはどうなったのだろう、と調べてみました。
経営母体は丸玉観光㈱という会社で東京商工リサーチによると
同社は昭和6年3月の創業、23年7月に法人化したホテル・旅館の経営会社。全盛期には本社地で「京都パークホテル」や「京都セントラル」の2ホテルのほか、滋賀県大津市でレジャー・宿泊施設「びわ湖パラダイス」、旅館「旅亭紅葉」を経営、平成2年12月期には年商97億1700万円をあげていた。
しかし、施設の更新がレジャーの多様化に追いつけなかったうえ、バブル崩壊後の団体客の減少から集客難に陥っていた。また、既往の設備投資への借入負担が財務面を大きく圧迫し、平成6年12月期以降は常態的な赤字体質に陥り、累積赤字は約100億円にまで達していた。
このため、平成10年12月に主力事業の1つであった「びわ湖パラダイス」を閉鎖して跡地を売却したのに続き、「京都パークホテル」、「京都セントラルイン」を売却し順次事業を縮小、最終的に経営していた「京都パークホテル」も平成16年12月に米金融グループへ売却していた。そうした中、昨年4月開催の株主総会で解散を決議して、清算業務を進めていた。
そして、平成17年2月14日に京都地裁より特別清算手続開始決定を受けました。
買ったのはモルガンスタンレーの投資ファンドで、ハイアットは昨年7月から改装計画を始めていたようです(こちらのサイト参照)。
ところで『さおだけ屋はなぜ潰れないか』風にざくっと言えば、ホテルの収支は
稼働率×客室単価-経費
で構成されます(宴会場も同様の構造ですし、料飲売り上げは客室単価に含めて考えればまあ、そんなに間違ってはいないと思います)
したがって、収益性を上げるには①稼働率を高くする②単価を上げる(高級化、ディスカウントをしない)③経費を節減する、の方法しかありません。
なのでハイアットグループとしては、ワールドワイドの送客ネットワークで①②を高くするか、③で(高級路線なのでオペレーションコストはやたらにケチれないでしょうから)モルスタとの家賃交渉をがんばる、ということになります。
※ちなみに、ラブホテルの場合は高回転がきくので①の稼働率の向上と③で勝負することができます。
※また、ゴルフ場も収支構造的にはホテルと似ているのですが、倒産手続きを経て預託金債務を減らしてバランスシートを一気に改善するという荒業が効果的です。
一方、モルスタの購入価格は不明ですが、平成16年12月というと既に「ファンドバブル」が起きており、かなり競争も激しかったんじゃないかと思います。
そうなると賃料交渉でもそう簡単に譲歩するわけにはいきません。
まあ、こんな感じで昨年の前半、交渉がガシガシとされたんでしょう。
ハイアットとしてはそれまで日本に6つ(東京3、福岡2、大阪1)しかなく、京都は多少賃貸条件が高くてもぜひとも欲しかったという事情もあったかもしれません。
また、モルスタとしては、最悪賃料がおもったほど高くなかったとしても、おなかをすかせているREITにもっと低い利回りで売却する作戦が成功すれば利益を得ることができます。
※最近雨後の筍のように上場されているREITにとっては「ハイアット・リージェンシー・京都」は(利回りはともかく一般投資家には)ポートフォリオの目玉になりうるので無理しても買おう、という人がいるような(なので、IT企業だけでなくてREITなども中身を見てから買ったほうがいいですね)
なにはともあれ、そうやってお金が流れ出したことで、僕は新しいオペレーションのきれいなホテルに宿泊することができたわけです。
不良債権・企業再生ビジネスは「ハゲタカ」などとも言われますが、滞っているところにお金を回すという意味では、社会的に意義のあることだと思います(そっちの筋にお金が回るよりは健全です)
それに、ハゲタカが常に儲かる、というわけでもないですからね。
要は自分がカモにならないよに気をつけていればいいだけです。
そして、私たちの財布を狙っているのはハゲタカ(外国投資家)だけじゃないことにも注意が必要ですね(ライブドアの件やジャスダック・ヘラクレスの上場審査のいい加減さみると注意すべきは日本人のほうなのかもしれません)。
今は使用されてませんが、セントラルイン京都東館の場所でした。