北越製紙労組、王子の統合提案に反対声明
(2006年 7月30日 (日) 20:19 朝日新聞)
王子製紙が北越製紙に経営統合の提案をしている問題で、北越製紙労働組合(五十嵐栄正委員長)は30日、経営統合に反対する声明を決議した。「敵対的買収の示唆に怒りを禁じ得ない。独立メーカーである北越と組合員の誇りを踏みにじるもので、到底受け入れられない」としている。
声明は「新潟地震以来の経営陣との良好な関係に基づく、組合員の高い意識と勤労意欲が北越の競争力の源泉」と強調。王子の統合提案について「組合員の生活と利益に重大な影響を及ぼす可能性がある」として、仮に実現すれば「強固な労使関係が損なわれる」などと批判した。
今回はライブドアや楽天や村上ファンドによる敵対的買収と違い、ビジネスプランがしっかりしているので(村上ファンドには彼らなりのビジネスプランはありましたが)、各関係者も十分に多方面から検証する価値があり、またそうすべきなのではないかと思います。
労働組合としては存在感のアピールは必要ですし、現経営陣への「貸し」にもなるという判断もあるのでしょうが、長期的に雇用と処遇を安定的に発展させるのはどちらか、ということについて真剣に考え、その立場からコメントする方が、この買収が不発に終わったときの北越経営陣へのプレッシャーにもなると思うのですが。
(そもそも人に言えないような超ぬるま湯の労働慣行があったりすれば別ですが、労使の蜜月は「新潟地震以後」ということはまだ2年ちょっということですよね。)
また、
王子の統合提案をめぐっては、新潟県の泉田裕彦知事も今月26日の定例記者会見で「(北越は)地域の宝であり、失うことは地域にとってマイナス」と述べている。
知事としても地域経済の発展に何が一番寄与するかを考えるべきで、何が失われてはいけない宝で(雇用?地場産業?北越製紙という名前?法人格?)、その宝を維持するために何が必要かを考えるべきだと思います。
王子製紙の完全子会社になることが「失われる」ことだとしたら、三菱商事への第三者割当増資はいいのか、とか、そもそも上場している(それも新潟証券取引所単独でなく東証にも)ことをどう考えるのか(=「会社は誰のものか」議論、ここでも登場!)とかツッコミどころ満載のコメントですね。
少なくともこの発言が北越経営陣とその「お仲間」の地元財界人が中心になったクローニー・キャピタリズムの維持(少なくとも配慮)が目的でないことを期待しましょう。
せっかくの本格的で真面目なM&Aの提案なのですから、感情論(それも重要な要素ではありますが)だけの議論は「もったいない」と思います。