一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

もったいない

2006-07-31 | M&A

北越製紙労組、王子の統合提案に反対声明
(2006年 7月30日 (日) 20:19 朝日新聞)

王子製紙が北越製紙に経営統合の提案をしている問題で、北越製紙労働組合(五十嵐栄正委員長)は30日、経営統合に反対する声明を決議した。「敵対的買収の示唆に怒りを禁じ得ない。独立メーカーである北越と組合員の誇りを踏みにじるもので、到底受け入れられない」としている。

声明は「新潟地震以来の経営陣との良好な関係に基づく、組合員の高い意識と勤労意欲が北越の競争力の源泉」と強調。王子の統合提案について「組合員の生活と利益に重大な影響を及ぼす可能性がある」として、仮に実現すれば「強固な労使関係が損なわれる」などと批判した。

今回はライブドアや楽天や村上ファンドによる敵対的買収と違い、ビジネスプランがしっかりしているので(村上ファンドには彼らなりのビジネスプランはありましたが)、各関係者も十分に多方面から検証する価値があり、またそうすべきなのではないかと思います。


労働組合としては存在感のアピールは必要ですし、現経営陣への「貸し」にもなるという判断もあるのでしょうが、長期的に雇用と処遇を安定的に発展させるのはどちらか、ということについて真剣に考え、その立場からコメントする方が、この買収が不発に終わったときの北越経営陣へのプレッシャーにもなると思うのですが。
(そもそも人に言えないような超ぬるま湯の労働慣行があったりすれば別ですが、労使の蜜月は「新潟地震以後」ということはまだ2年ちょっということですよね。)


また、

王子の統合提案をめぐっては、新潟県の泉田裕彦知事も今月26日の定例記者会見で「(北越は)地域の宝であり、失うことは地域にとってマイナス」と述べている。

知事としても地域経済の発展に何が一番寄与するかを考えるべきで、何が失われてはいけない宝で(雇用?地場産業?北越製紙という名前?法人格?)、その宝を維持するために何が必要かを考えるべきだと思います。

王子製紙の完全子会社になることが「失われる」ことだとしたら、三菱商事への第三者割当増資はいいのか、とか、そもそも上場している(それも新潟証券取引所単独でなく東証にも)ことをどう考えるのか(=「会社は誰のものか」議論、ここでも登場!)とかツッコミどころ満載のコメントですね。

少なくともこの発言が北越経営陣とその「お仲間」の地元財界人が中心になったクローニー・キャピタリズムの維持(少なくとも配慮)が目的でないことを期待しましょう。


せっかくの本格的で真面目なM&Aの提案なのですから、感情論(それも重要な要素ではありますが)だけの議論は「もったいない」と思います。

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世界記録を機会にクリケットのルールを調べてみる

2006-07-30 | よしなしごと

BBC Newsを見ていたら、スリランカの選手がクリケットの得点の世界記録を出したという記事がスポーツのトップで取り上げられてました。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/cricket/5226500.stm

昔シドニーのホテルでテレビをつけたらクリケットの試合をやっていて、ルールは全然わからなかったのですが、画面に"Day 3"とあって、何やらえらく時間のかかるスポーツだわいと思ったことがあります。


せっかくだからルールを調べてみようとWikipediaで見てみました。

(末裔である)野球に例えると、ストライクゾーンの代わりに3本の杭が立っていて、投手が投げたボールが杭に当たってばアウト、というのが基本。
打者(2人ペア)はそれを阻止すべくヘラのようなバットでボールを打つ。ボールがノーバウンドで捕球されてもアウト。
一方、遠くへ打ち返した場合、ボールが戻ってくるまでにランナーがピッチャーのところまでいくと1点(要するにホームと2塁しかないということ。走らなくても良いし、逆に2人が走って何点でも取れるが自陣を離れたときにボールが戻ってきて杭を倒されるとアウト)
11人が順番に打席に立ち、10アウトでイニング終了、これを2イニング行ないます。
(用語は野球と違いますし、ルールも誤解があったらすみません。日本クリケット協会のHPに詳細な解説があったのですが、詳細すぎたので読みませんでしたw)

今回の記録はペアでの得点で世界記録、単独の得点でも世界3位だそうです。
(ただ、ルールをよく理解できていないので、記事を読んでも数字の合計がつじつまが合わないのがちょっと哀しいです)

野球と違ってゴロが捕球されてもアウトにならないようで、ボールを打ったけど得点できずに次の打者へ、という延々と攻撃を続けられるので時間がかかるんでしょうかね。


こう見るとつまらない競技のように思えますが、オーストラリア在住の人のHP(参照)によれば(単独の得点はオーストラリア人が世界記録保持者)速球派は時速130~150kmの球を投げ、変化球はワンバウンドするのでものすごい変化をしたりと、けっこう面白いとか。

グラウンドの広さからは日本向きではないですし、時間のかかり方はアメリカ向きでもないですね。
実際ほとんどが英連邦か旧植民地の国で盛んなようです。
ただ、それらの諸国でもさすがにゲームが長すぎるとして、最近はルールを多少変えた"one day match"というのも行われているようです。


フィールドが円形で(また野球で言えば)ピッチャーとバッターはフィールドの真中にいるので、ポジショニング(後方の打球の処理とか)にも戦略性が要求されたり、実際に見たりやってみればけっこう面白いのかもしれません。 http://www.allworldknowledge.com/cricket/index.htmlによれば Lord Larry Grayson(って有名な人なのかな?) 曰く

 "cricket, like chess, is won in the field,"
「クリケットはチェスと同じく布陣が勝敗を分ける」

でも、同時にこの記事ではこうも言ってます。 

とはいえ大概の野手はすることもなくボーっと突っ立ってることが多いのも事実だ

結局ピッチャーとバッターの勝負という色彩が強いゲームなのかもしれません(上のサイトによれば、11人のうちピッチャーを4人くらい入れるらしい)


うーん、やはり日本ではあまり流行りそうにないかも・・・


ちなみに、ポジションの名称(あんまりはっきりはしてないらしい)の解説もあったので下に引用しました。
下がピッチャー(Bowler)でCreaseというところの反対の端にバッターがいるという位置関係です。
バッターの横とか裏側の辺鄙なところの名称(フィールド外の人の名称まである)が面白いですね。

 


 

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『うつうつひでお日記』

2006-07-29 | 乱読日記
装丁がそっくりで、私も騙された勘違いしたのですがこれは『失踪日記』の続編ではありません。


作者もこう言ってます。




失踪日記が発刊される前、アル中病棟から退院してからの日々を、日記にして雑誌に連載していたものです。

帯に「何もしてません。 事件なし、波乱なし、仕事なし」とあるように、読書、食事、TV、マンガを書く、図書館に行く、というのの繰り返しの日常を淡々と日記にしています。


驚くのが、たまに「暗い考えが忍び寄る」とか睡眠薬(「眠剤」って言うんですね)とか安定剤を飲んで寝る、とあるのですが、読書量と読む速度、そういう状態でも1日数ページはマンガを書く(しかもアシスタントが複数いる)というところに驚きました。

「うつ」もいろいろ程度があるのでしょうし、これは回復してからの状態なのでしょうが、結構仕事(活動)してるな、と思います。
もともと売れっ子のときは殺人的なペースで書いていたということなんでしょうか(週刊誌への連載とかあるとそうですよね)。
または、やはりマンガを書くのが根っから好きだ、ということもあるのでしょう。


友人の精神科医の言うには、「うつ」になったらがんばってはいけないし、周りも「がんばれ」と応援するのは逆効果なんだそうです(そもそもがんばれないのが「うつ」なわけなので)。

日記を見る限りは、作者は、無理せずに出来ること・やりたいことを出来る範囲でしかやらない、またそういう状態について悩まない(たまに将来の不安、とか突然ダンベルで筋トレとかはじめたりしますが)という飄々とした姿勢を貫いていて、「うつ」と向き合う姿勢としては正解なのかも知れません。


本書はストーリーを作ってもおらず、事実を淡々と書いているだけなので、面白い話やドラマを期待すると期待はずれになります。
正直言って、今回のような便乗商法でないかぎりは単行本になるようなタイプの本ではないと思います。

ただ、それだけに『失踪日記』を下敷きにすると作者の飄々とした逞しさがリアリティを持って感じられます。


<ご参考>
吾妻ひでお『失踪日記』(前編) または宮澤賢治「眼にて云ふ」
吾妻ひでお『失踪日記』(後編)




角川書店

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「基本台帳」になってない・・・

2006-07-28 | よしなしごと

AVに15歳を派遣した疑い、芸能プロ社長ら逮捕 (朝日新聞)
(2006年7月28日 03時03分 朝日新聞)

福岡県警は27日、福岡県の少女(16)をアダルトビデオ(AV)制作現場に派遣したとして、東京の芸能プロダクション社長ら2人を労働者派遣法違反の疑いで逮捕した。少女は住民基本台帳カードを不正取得し、成人女性になりすましてビデオに出演していた。

気になるのは後段の部分

少女は昨年2月、福岡市で拾った沖縄県の成人女性の健康保険証を元に、航空会社の会員カードを取得。これらを身分証にして昨年12月、都内でこの成人女性名義の住基カードを不正取得して、AVメーカーに年齢を偽っていたとみられる。

住民基本台帳カードって、そんな簡単に取得できちゃうんですね。
これだけじゃよく分からないのですが、都内への住所変更をどうやって証明したんでしょうか。
「航空会社の会員カード」での確認というのも相当ズサン、というか、本来データの元になるべき方が伝聞みたいな資料を参考にするというのは本末転倒な感じがします。


それと、この少女が知恵があるのか、バックに入れ知恵する奴(このAV会社社長とか?)がいるのか、相当本人確認が甘いのか、そっちの方が問題が大きそうです。

AV会社社長がグルでないとしても、住基データのチェックをそういう刑事罰を逆インセンティブにして民間企業がやらなければいけない、というのでは「基本台帳」の意味がないですよね(それこそ個人情報保護の問題もあるので本人の言う事の裏をとるにも限界がありますし)。

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宮古島交通事情 (宮古島の話 その2)

2006-07-27 | うろうろ歩き

※時事関係のエントリと互い違いになってしまってますが、宮古島関係の最後のエントリ(予定)です。



石垣島もそうだったのですが、宮古島でも「制限速度」が字義通りの意味を持っていて、皆非常にのんびりと車を走らせます。

ただ宮古が石垣と違うのが、その他の交通ルールを守らないこと。
特に一時停止や優先道路はお構いなしに、路地からスーっと出てくる車が多いそうです。
また、ウインカーを出さずに右左折するのも多いそうです。
僕はそこまで激しいのは見かけなかったのですが、確かに交通量が少ないので、見通しのいい交差点などでは一時停止でなく徐行というのが多いです。

あと、路上駐車の仕方で「宮古停め」というのがあります。
これは道のどちら側だろうと自分の車の進行方向優先で停める駐車方法のことをいいます。
センターラインのある交互通行の道で、進行方向の右側に自分の用事のある家があった場合、Uターンなどはせずに、そのまま斜めに対抗車線を横切り、右側の家の前に反対向きに駐車してしまうやり方です(これは2,3件見ました)。

また、台風のときも、風速40m/sまでなら車を運転するそうです(それを超えるとさすがに危ない、とタクシーの運転手さんも言ってました)。
特に風速30m/sを超えると歩くのに支障が出るしすることもないので、飲みにいこう、ということになるとか(もちろんタクシーか帰りは運転代行です)。


こういうところなので今年に入って大きな事故が続けて起こったため、滞在中は交通安全週間だったこともあり、沖縄本島からも応援のパトカーや白バイ(この炎天下に白バイ、というのもご苦労様ですが)が宮古入りしてたそうです。


でも、普段の宮古島の交通安全を守るのは、これ









宮古島のいたるところにいます(特に東部の旧上野村周辺に密集しています)

このおまわりさんの形をした人形は、昔(昭和40年代?)全国的に導入されたのですが、今はほとんど見かけません。
しかし、宮古島ではきちんとメンテナンスしているようで

このようにペンキを塗りなおしたものも多く、真夏の直射日光にも負けません。

ヒゲをはやしているのは宮古島オリジナルのようです。
ちょっと目つきが危ないあたりも注意を引きますね。


また、台風が直撃すると強風で倒れてしまう事もあるようですが、すぐちゃんと元に戻されます。先ほどの上野村には台風のときに転んだ拍子に真中で2つに折れてしまったものもあったのですが、ちゃんとセメントで接着しなおして傷跡も痛々しくがんばっているおまわりさんもいます。

そして、地元の無料観光情報誌「宮古島タウンガイド」によると、このおまわりさん、立派に名前まであるそうです。その名も

「みやこまもる」君


日夜宮古島の交通安全に奮闘しています。

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正直村とうそつき村

2006-07-26 | M&A

「正直村とうそつき村」という頭の体操風のクイズがあります。

旅人が正直村とうそつき村の分かれ道にたどりつきました。
そこに村人がひとり立っています。
その村人が正直村の村人かうそつき村の村人かはわかりません。
正直村の人は質問に必ず正直に答え、うそつき村の人は質問に必ずウソの答えを返します。

旅人が1回の質問でどちらの道が正直村への道かをあてるにはどうすればいいでしょうか?



 

答えは



 

あなたはこっち(たとえば右)の道が正直村への道かと聞かれたら「はい」と答えますか?

(「うそつき村」と「いいえ」でもいいです)

正直村の村人であれば当然右が正直村なら「はい」違えば「いいえ」です。
うそつき村の村人だった場合、
右が正直村なら本来「いいえ」と答えるわけで、ということは「『はい』と答えますか」の問いに対しては「いいえ」の反対で「はい」といわざるを得ません。
右がうそつき村なら「はい」と答えるので、「『はい』と答えますか」の問いに対しては「はい」の反対で「いいえ」になります。


この答えのミソは、質問の中に2つの問いがあり、自分の行動を自分に評価させるという「自己言及」のメカニズムがはいっていることで、うそつき村人の人の答えも「ウソ×ウソ=ホント」にしてしまうところです。




王子製紙の北越製紙に対する「敵対的買収」にもこれと似ているところがあります。



当初マスコミは「王子製紙が敵対的TOB実施」と報道していたのですが、王子製紙のリリースを見るとTOBはまだ実施しておらず

① 王子は7/3に北越に対し提案した経営統合の実施を取締役会で決議した。これには北越へのTOB(@860円)およびその後の株式交換等による完全子会社化を含む。
② これに対し、北越はいきなり7/19に買収防衛策を策定、7/21には三菱商事に対する第三者割当増資(@607円)および業務提携を決議したが、これは王子の経営統合提案を阻害するものであり、誠実に協議してきた王子としては遺憾である。
③ 「本件増資および業務提携が撤回される事を条件に」統合提案を維持し、撤回公表後「可及的速やかに」TOBを行う

としています。

北越の買収防衛策はいわゆる「事前警告型」で、独立委員会の勧告を経て取締役会が対抗措置(買収者以外の株主への新株予約権の無償割当)を発動する、というものです。

ここで、北越には次の選択肢が残ります。

① 三菱商事との提携を撤回しない→王子はTOBを行わない
この場合は北越の株主に@860円を蹴って三菱商事に@607円で第三者割り当て増資をしたことの合理性を説明する必要があります。

② 三菱商事との提携を撤回したうえで買収防衛策を発動する
この場合、王子製紙が敵対的買収者だという説明に加え、一度取締役会で決議までした三菱商事との提携を撤回した理由も説明する必要があります。
また、理屈だけでいえば提携を一旦撤回した上で王子にTOBというカードを切らせ、それを買収防衛策で無効にしたうえで三菱商事との提携を復活させる、という方法もありますが、①を選べば新株予約権発行などのコストをかけずに済むわけです。
さらに、将来三菱商事との提携を復活した場合、下手をすれば「風説の流布」などと言われかねません。
なので、この選択肢はとりづらいと思います。

③ 三菱商事との提携を解消し、買収防衛策は発動しない
この場合、筋からいったらTOBに賛同せざるを得ないと思います。


つまり、王子に「三菱商事との提携の撤回」という条件をつけられたことで、北越は「三菱商事か王子かの選択(説明責任つき)」というカードを先に切らざるを得なくなりました。

いきなりのTOBであれば、北越は、「三菱商事との業務提携は反故に出来ない」として買収防衛策を発動したり、防衛策は発動せず反対の意向表明をして「株主の信を問う」という逃げの策もあったわけですが、今回は自分の「いいえ」に対して「『いいえ』でいいんですね」と念を押される村人と同じ立場になってしまったわけです。


一方、王子製紙は「武装解除するならアクションを起こす」という(北越の取締役会がリスクを取るという決断をすれば機会損失はあるかもしれないですが)コストのかからないポジションを取れたことになります。
いわば回答を待つ旅人の立場ですね。


北越の取締役は「だって僕はうそつき村の出身だから"No"としか言えないんだもん」とは言えないわけで、そこが生身の人間のつらいところです。

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「消費生活用製品安全法」(パロマ事件に関連してのメモ)

2006-07-25 | 法律・裁判・弁護士

前のエントリでパロマの湯沸器問題について行政がいちいち安全性に介入するのも、という話をしたのですが、新聞記事を読んでいて「消費生活用製品安全法」なるものの存在をはじめて知りましたので、備忘録代わりのエントリです。

これは本来は生活用品の中で特に危険が高いものについて技術基準を設けて適合製品(=マークを表示)のみ販売を認めるというものです。

現在法律で「特定製品」として規制されているのは

① 家庭用の圧力なべ及び圧力がま(一定の基準以上のものに限定されますがその定義は省略、以下同じ。)
② 乗車用ヘルメット
③ 乳幼児用ベッド
④ 登山用ロープ
⑤ 携帯用レーザー応用装置
⑥ 浴槽用温水循環器

と、かなり限定されていて(個別の法律で規格が定められている製品はその法律により、この法律の適用がないことが原因)、このうち③(追記参照)⑤⑥が特に監督の厳しい「特別特定製品」とされています。

その他の「消費生活用製品」(つまり普通の製品)については

主務大臣は、消費生活用製品の欠陥により一般消費者の生命又は身体について重大な危害が発生し、又は発生する急迫した危険がある場合において、当該危害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、政令で定める場合を除き、必要な限度において、その製品の製造又は輸入の事業を行う者に対し、その製造又は輸入に係るその製品の回収を図ることその他その製品による一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる。
とされています。
※制度の概要は経済産業省のHPをご参照ください

昨年の松下の石油ファンヒーターはこの条文に基づき回収命令が出されたのですが、一般の製品についてこの「緊急命令」はめったに出されないいわば「伝家の宝刀」とのことです。


今回の事故(事件)は、メンテナンス会社不適切な改造の問題とメーカーがそれを知りつつ周知を怠った問題が絡み合っていますし、製造後の期間の経過の問題もあり、法律的な責任(被害者への民事上の損害賠償責任とか刑事責任)についてはメーカーが当然に責任を負うかどうかは微妙な部分もあると思います。
※報道を見る限りはパロマの対応は「論外」に近いものであったことが明らかになりつつあるようですが・・・

しかし企業全般が「作った後のメンテナンス(またはメンテナンス不備)上の事故は知ってても関係ない」というスタンスを取りつづけるようだと、政府もちょっとの事故で「伝家の宝刀」を振り回すことになるので、結果として企業自身の首を締めてしまうことになりかねません。


その意味でもパロマの対応が適切であったかをきちんと検証し、他の企業もこれを他山の石とすることが必要だと思います。
*****************
 
2007.2.21
コメントでご指摘いただき、誤りが判明したために訂正しました。
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ハブとパイナップル(宮古島の話 その1)

2006-07-25 | うろうろ歩き

昨年石垣島に行ったのですが、宮古島の人は、観光地としては石垣の方がメジャーだけど、海は宮古の方がきれい、というのが共通の思いのようです。

実際海はとてもきれいです。

特に宮古島は周辺の伊良部島、来間島、池間島などの全体が珊瑚礁の上に浮かんでいるような地形になっていて(後2つは橋でつながっています)、どの浜辺でもシュノーケリングが楽しめ、また、珊瑚礁が切り立って水深が深くなっているところ(「ドロップオフ」という)はダイビングのポイントになっています。
(石垣はどちらかというと島の間の水深の深いところでマンタを見る、というようなポイントになるようです)

実際、シュノーケリングでも珊瑚にいろいろな魚(やウツボやウミヘビやイカ)だけでなくウミガメまで見ることが出来ました(運がよければイトマキエイも見られるとか)



(宮古島と池間島を結ぶ池間大橋)


しかも、宮古島には山がないので川もなく、大雨のときに海に陸の赤土が流れ込む事もないので、海が汚れずに珊瑚礁も長持ちしているそうです。

では慢性的な水不足かというと(石垣にはダムがあります)、珊瑚礁(石灰岩)の地層の下に粘土層があり、その間に雨水が溜まるので、宮古も水不足にはならないとか(そのかわり水道水は硬水でそのままでは飲めません)


今回はじめて知ったのは、宮古島にはハブがいない、ということ。
今までは、与論島以北は北限を超えるのでいない、としか知らなかったのですが、沖縄周辺の小島でも、ハブのいない島がいくつかあるそうです。

そして、それらの島に共通しているのが、それらの島ではパイナップルが育たないこと。

どうやらハブの苦手な土壌というのがあるのではないか、というのが俗説なのですが、だれも検証したことはないとのこと(最近では宮古でも土を入れ替えてパイナップル栽培をしている農家もあるとか)


食べ物は石垣と共通する部分が多いですが、宮古ではカツオとタコが比較的多いでしょうか。
「カツオ味噌」という酒盗と島トウガラシと味噌を混ぜたようなちょっとピリ辛の味噌はご飯につけると美味しかったです。
沖縄そばでいえば「宮古そば」は比較的カツオ出汁が強めです。また、なぜか具が麺の下にあるのが本来の姿だそうです(スープと具を作っておいてから茹で上げた麺を乗せるのかな?)。
また「雪塩」という細かい粒の塩などを扱っている世界一ミネラルの豊富な塩(ギネスブック認定)を造っている製塩所とか、宮古島の海水のにがりで作る石嶺豆腐店の豆腐(これは確かに美味かった^^)なども名物です。
牛肉は「石垣牛」の方が有名ですが、最近では宮古でも牧畜が盛んになってきたそうです。


あと、宮古の人は石垣の人に勝るとも劣らず商売っ気がないですね。

最後の2日はレンタカーを借りたのですが、送迎という約束だったのに配車してくれるし、さらに、「いい車があいてるから値段同じでいいからこっちにしなさいよ」と結局営業所に連れて行かれて3ランクくらい上の車を貸してくれるし、最後の空港での乗り捨ても、ホントに「乗り捨て」(島で車盗んでも逃げられないからいいのでしょうか)でOKでした。

繁華街の駐車場も、係りの人に声をかけたら

「そこの駐車券に時間書いといて」

と言われてしまいました。
つまり入庫時間と出庫時間をクッキーのカン箱に入れてある「駐車券」に自分で書いて、料金と一緒にポストに入れる、というシステム。
みやげ物屋の人に聞いたら、普段は無人のことが多いそうです(「へえ、珍しく人がいたんだ」だって^^;)

確かに1時間100円、3時間まで200円、5時間まで300円、一晩500円という価格なので、人を置く方が割高なのかもしれません。(ちなみに六本木ヒルズの駐車場は1時間800円です)


ダイビング・ショップの人も、夕飯のお勧め所の解説に忙しくて代金を受け取るのを忘れてるし、お釣りをダブルでもらいそうになったことも何回かありました。


石垣と宮古、どっちがいい?と聞かれたら・・・悩んでしまいますね
(まぁ、仕事をやめて楽隠居できるのならどっちでもいいですw)

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ルートビアと花酒 (宮古島の話 その0)

2006-07-24 | うろうろ歩き

今回は宮古島の話ではありません。


行きは那覇乗接ぎで、那覇空港でしばらく暇をつぶしました。

宮古・石垣方面は直行便が少ないのがネックですが、那覇空港でのお楽しみがこれ



A&Wのルートビア

ターミナル3階の隅っこにお店があります。

一時A&Wというハンバーガーショップは東京にも進出した事があり、通っていた中学生の駅前にお店があったのがきっかけです。
そこが他のチェーンと違ったのがこのルートビア。

もともとアメリカの家庭で作られる伝統的なハーブ飲料だったようで、ハーブとか木の根とか香料が原料になっているようです。
色はカラメル色で、炭酸入りで表面が軽く泡立っています。
これがジョッキで出されてました。
味は、薬草が入っているような独特の喉越しと刺激があります・・・飲んでみてくれ、としか言いようがないですねw

でも、一度病みつきになるとダメで、部活の後にジョッキでぐびぐび飲んでプハーッというのが醍醐味になってました。

ただ、その店はうまくいかなかったらしく、結局2,3年で撤退、東京周辺では城山ヒルズや横田など米国人度の高い場所では最後まで残っていたそうですが、今は沖縄にしかないらしいです。
東京でもいくつかのスーパーやお店で缶入りのものを売っている(通販でも買える)ようですが、どうも缶入りだと雰囲気が出ません。


飲めない、と言われると飲みたくなるのが人情で、沖縄に行くと、必ず1回はA&Wに寄ります。
でも、空港はイートインでも紙コップなのが少し残念です。



で、まだまだ時間があるので、本屋で沖縄・宮古関連の本を立ち読み。

そこで読んだのが日本際西端の島、与那国島の「花酒」の話。

花酒というのは泡盛の一種(製法は後述)ですが、なんとアルコール度数が60度もあります。
60度もの酒は日本ではここだけだそうですが、それを守るためにはドラマがありました。

昔、司馬遼太郎が島を訪れ、花酒にいたく感動しこれを随筆で紹介したところ、それを読んだ国税庁から「種類のアルコール度数は45度が上限となっており、60度もの酒を造るのはまかりならん」と醸造の禁止を求められてしまいました。

ところがこれに怒った蔵元の社長が国税庁に直談判に行き
「花酒は戦前から造っていて、戦後はアメリカ軍だって認めていたのに、日本に復帰した途端にやめろとは何事だ」と啖呵を切って、特例として醸造が認められたそうです。

早速空港の売店を探して1本購入。


ラベルの下端に誇らしげに説明書きがあります。

花酒とは、泡盛製造の過程で最初に得られる純度の濃い極めてアルコール度数の高い(60度以上)貴重な酒類です。花酒は泡盛とまったく同じ原材料と製造法ですが、アルコール度数が45度をこえる場合は、酒税法上原料用アルコールとなります。
※アルコール度数が高いため火気に注意してください。

売店の注意書きにも

消防法上郵送が出来ないので機内持込でお願いします。

とありました。


宿で早速あけてみると、一瞬消毒用アルコールと泡盛の香りの合わさったような刺激臭が鼻をつきます。
説明書きにあるように花酒1:水2~3で割って飲むと、ちょっとクセの強い泡盛という感じがしますが、慣れてくるとその香気が身体にまわり、自然に暖まるような感じになります(海を眺めながら昼間から酒くらってればなんだってそうかもしれませんがw)


いずれにしろ、都会で大勢で競って飲む酒ではないですね^^;



PS ロンリコ151って75度のラムがありましたが、あれも「原料用アルコール」なんでしょうか。しかも「郵送禁止」といっても通販で売っているような・・・

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ニュースの棚卸

2006-07-23 | よしなしごと
休み中にほとんどテレビや新聞を見なかったので、テレビの「一週間のニュース」などを見ながら脳みそをupdateしました。

脊髄反射的なコメントですので、事実誤認等あるかもしれず、また、感想的で結論がないものになってしまいますがご容赦を。


レバノン南部侵攻 イスラエル 数千人部隊集結 (産経新聞)

これは旅行に行く前からの事件です。
アメリカはイスラエル支持で制裁決議には拒否権行使、ということでの北朝鮮制裁の国連決議との比較(中国・ロシアをどう巻き込むかがやはり重要だな)と、敵地攻撃能力論と何をもって「先制攻撃を受けた」と判断するのか(イスラエルはヒズボラによる兵士誘拐というレバノン国の正式な行為でないものを理由にしている)が難しいよな(たとえば日本人拉致とか麻薬の大量密輸とかはどうなのか)など、いろいろ考えさせられます。


昭和天皇、合祀に不快感 靖国のA級戦犯に触れ (共同通信)

「やはり昭和天皇も」論と「このタイミングで、なぜ」「昭和天皇の本心ではない」論とかが入り乱れてますが、素朴な疑問を2点
① 靖国神社自体に反対する論者が「天皇のお言葉」を自分の論拠に加えるのっておかしくないか?
② 最近企業では営業秘密の保持について従業員にも厳しい縛りをしようという動きにあるが、宮内庁長官がメモを自宅に持ち帰って、遺族が公開するというのは公務員の守秘義務上どうなんだろう?それとも「公益的な告発」扱いなのかなぁ。考えてみれば政治家や経営者の回顧録はどうなんだろう(話がずれちゃいましたw)


パロマ、82年に不具合を把握 (朝日新聞)

これも旅行前から。
不正改造を知りつつ周知しなかった、というのはメーカーとしてはまずかったと思います。
ただ、一般的には(そもそもの製品の不具合=リコールは別にして)自動車や機械製品では不正改造や耐用年数を越えての使用はユーザー側のリスクなわけで、それをどのようにメーカーとユーザーと国が分担するかというのは、冷静に考えた方がいいと思います。
死亡した学生のような賃貸マンションの場合は、貸主の債務不履行責任も議論すべきだと思いますが。
でも、すべて安全関係については国の検査が必要ということになるとPSE法と同様の問題も出てくるので難しいところです。


ジャワ島沖地震の死者547人、不明323人 (読売新聞)

スマトラ島の津波のときも旅行中でして、「僕が旅行に行くと災害が起きる」というジンクスにはなってほしくないのですが・・・


九州から東海まで激しい雨に 鹿児島など記録的な大雨 (朝日新聞)

沖縄地方は6月中旬に梅雨明けしていたのですが、帰ってきてもまだ梅雨明けしていないとは思いませんでした。


王監督、積極的に歩く 「声にも張り」」と広報 (共同通信)

長島監督同様「世間の期待」が残酷なプレッシャーをかけているように思うのですが。
それともそれを糧にする(しなければ資格がない)のがスーパースターなのでしょうか。


萩本監督が解散撤回 茨城ゴールデンゴールズ (共同通信)

記事が多くて経過を追いきれていないのでよくわかりませんが、極楽トンボの山本圭一が事情聴取されたのが原因とか。
38歳の売れっ子で忙しいはずの芸人を選手にしている野球チームというのもどうかと思うのですが、「事情聴取」で解雇(吉本興業も)ということは、芸能人の倫理規制は相当厳しいということなんでしょうか。
欽ちゃんの「庶民感覚」のセンサーはこうだ、というのがことの顛末なんだと思います。


利益準備金忘れ、9月に再び株主総会へ 東洋シヤッター (朝日新聞)

リリース参照
株主総会をめぐる会社法・旧商法のゴタゴタの話はいろいろ聞きましたが、これは論外。
これを見過ごした会計監査人は資格停止にすべきだと思います。
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宮古島に行ってきました

2006-07-23 | うろうろ歩き
昨日遅くの便で帰ってきました。


ご指摘のとおり、想像図どおりではなかったのですが、天候にも恵まれ(特に台風のはざまを縫った絶好の日程でした)、海もきれいで食べ物も美味しく、非常に充実した休暇でした。



とりいそぎホテルからの風景をupします。



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しばらくお休みします

2006-07-18 | よしなしごと
ちょいと南の島に行ってきます。
(想像図)


ホテルではPCが使えないようなので、更新はしばらくお休みします(使えても持っていきませんがw)

ではまた来週。

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『シリアナ』

2006-07-17 | キネマ
石油利権をめぐるアメリカの石油会社とCIAとアラブの王族と、そこで下級市民として扱われる非産油・イスラム国出身者などが複雑に絡み合った関係を描いた映画。

スティブン・ソダーバーグ製作総指揮ジョージ・クルーニーがアカデミー賞助演男優賞をとりました。


でも、結果から言えば、今ひとつでした。
(以下ちょっとネタバレあり)




石油メジャーやCIAがアラブ諸国で親米的な政権を作るべく王族にくい込んでいたりするのはもはや周知のことがらで、また、石油メジャー同士のM&Aをめぐる争いもまあ、こんな事もあるのかな、という感じです。
多分時代の方が先行してしまっていて、今や、そういう裏技が(過去のものも含めて)表に出る可能性を前提にした上でどうするか、が課題になっている中で、テーマ自体の目新しさはあまりありませんでした。


確かに複雑に絡み合ったストーリー展開は見ごたえがありますが、ちょっと複雑にしすぎて120分くらいあるのですが、それでも過程がなく結果だけをなぞっていて=よくできたあらすじを追うことで精一杯で消化不足の感じがしました。


特に最後。
結局CIAは悪者だけど力はある
イスラム原理主義のテロ組織は悲劇を拡大再生産する(それにしてもスティンガーミサイルの使い方としては一番非効率なのでは?)
石油メジャーも司法省も弁護士事務所も汚い奴らばかりだけど、競争原理がればそこそこ自浄のメカニズムは働く
アラブの王子とともに国の自立を考えるようになっていたマット・デイモンもつらい目に会うと最後はアメリカの我が家に帰って来て安らぎを得る


と、結局いろいろ問題提起しながらも観客に「アメリカ人で(orなら)よかったな」と思わせる終わり方になっています。


『トラフィック』のときはアメリカにとって救いのなさがあったのですが、やはりアラブの石油問題、はアメリカにとっては遠い国の出来事なんでしょうか。







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宮内さん(オリックス)のイメージってそんなに良かったんだ、という話。

2006-07-16 | あきなひ
ジムに行って走りながら「サンデープロジェクト」を見てました。

「オリックス宮内会長の実像」とかいうコーナーがあって、規制改革・民間開放推進会議(長い名前・・・)の議長という改革派の顔と共に、村上ファンドの生みの親という顔が明らかになったなかで、その功罪を語る、というようなコーナーでした。

おそらく「規制改革の名のもとに私腹を肥やす」という論調を期待したのだと思います。
しかし、コメンテーターはマスコミ全体の方向性の定まっていない中で、「改革の旗手」でもあった宮内氏を断罪する事にも、擁護することにも及び腰、というところが露骨に見えてました。

首尾一貫していたのが金子勝慶応大教授。ひとり「宮内悪人説」を唱えてました。まあ、彼のスタンスからはそうなんでしょう。

また奥村宏、元中央大学教授も若干批判側でしたが、金子氏の毒気に圧倒された感がありました。

擁護派の急先鋒が堀紘一(元BCG社長で今は)ベンチャーキャピタルの経営者。
「宮内氏と20年来の友人」でありながら「村上ファンドには最初から批判的だった」などと誰も信じないだろうポジション取りをしてから話し始めました。
何とか言う大阪大学大学院教授も「中立的な立場から言うと」という枕が鬱陶しかったけど結局宮内氏肯定論。

板倉雄一郎(ITベンチャーを立ち上げて上場直前で倒産させてしまった顛末を書いた『社長失格』で有名になった人。今はコンサルらしい)はどちらからも仕事がもらえるように配慮してかニュートラルな立ち位置でした。


そして田原総一郎の司会のお約束で、議論は混乱する割りにCMの時間を取るさばきだけは上手いというまとまらない話で時間切れ。


一番問題になったのは、宮内氏が「推進会議」議長の地位を利用したか、または現役の経営者がそういう公的役職につくのはおかしいのでは、ということ。

後者については金子氏が「タクシーの台数制限撤廃にしても、車両リースでもうかるオリックスの意見だけで、薄給で酷使される運転手の側の意見がないのはおかしい」などと暴走してました。
しかし、こういう委員会に民間の意見を取り入れるというのは、ビジネスの現場を知らなければ意味がないわけで、そうだとすると現役の経営者(=現場で働いている部下から情報収拾ができる)でないと現実的には機能しないんですよね。
(タクシー運転手の話は、そこで薄給でも働かざるを得ない人がいるという失業問題の世界に近いと思うのですが)

それから、「地位利用」の話は、法改正には時間がかかるので、オリックスだけが新規参入のアドバンテージを持っていたとはいえないと思います。


なので、宮内会長の「責任」というのは(村上ファンドに具体的にグリーンメイラー的、あるいは違法行為の指図をしていたのなら別ですが)、あまり意味のない議論だと思います。


それよりも、そもそもそんな議論が出てくるということは、オリックスの企業イメージが世間では「改革派(のクリーン)な企業」というイメージで見られているんだな、と感心してしまいました。


もともとオリックスはオリエント・リースというリース会社が前身です。
リース会社というのは(銀行のように預金を集めることができないので)銀行から借り入れたり、自ら社債を発行して資金調達をし、その資金を(銀行のおさえているような優良先への企業融資でなく)リースや比較的リスクの高い貸出をして収益をあげるという「さやヌキ」のが基本構造です。

そうすると、①少しでも有利な条件で資金調達をする②出来るだけ多く資金運用方法を増やす、のが企業発展のポイントになります。
上の①が企業の資金調達の自由化(直接金融へ)、②がさまざまな投資商品の自由化と利害が一致したわけですね。

その意味では宮内氏の「会議」の議長は適任だったと思います。

ただ、オリックス自身は「さや取り」の出自なので、「改革・解放」(って以前の中国みたい)に賛同したというよりは、経済原理に則って収益機会の拡大を目指して事業分野を広げてきただけだと思います。

仄聞する範囲では、オリックスという会社は成果主義が徹底しているようで、同じ商品を営業してても「課が違えば別の会社」とばかりに営業をかけるようなところがあるようです。

そもそも、そういう会社なんですよね。


結局
① オリックスは改革・解放路線が自らのビジネスチャンスの拡大につながった
② 宮内氏を議長にする、という選択は政治の側の価値判断が先にあるという前提においては適任だった
③ ただし、宮内氏もオリックスも改革・解放自体が目的なわけではない(逆に既存のリース会社に非常に有利な規制が出来たら擁護に回るかも)
④ なので、「改革・解放で私腹を肥やした」という批判は的外れ
⑤ オリックスも他の企業と同様に改革・解放の恩恵にはあずかったろうが、それは他企業と同じだし、もしオリックスしかもうからなかったとしたら、それは政策判断としてそもそも誤っていた

という事になるんじゃないかと思います。



逆にいえばいままでオリックスは宮内さんの「若手進歩派財界人」「改革派」というイメージが企業イメージとなり、新規参入した特に個人向けの商品で営業上得をしたことがあったかもしれません。


まあ、その分のお化粧ががはがれた、ということで、それ以上でもそれ以下でもないような話だと思います。
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知識と経験

2006-07-15 | よしなしごと
前回のエントリの最後を

「義務教育はせめてコンビニで売っている品物をちゃんと使える程度の知識は教える必要があるのではないか」

とまとめようと思ったのですが、ふと数日前に医学都市伝説さん経由(いつもネタ元にさせていただいてます)で極端大仏率さんのこちらのエントリを思い出してしまいました。

「カップ麺は湯を注いだら蓋をして(3分)待つ」と容器にも書いてあり子供の頃から教わっていたのだが、なんのことはない蓋をしなくてもちゃんと麺は出来る、という話。
あけている蓋から失われる熱量はたいしたことはないのではないか、という、宇宙物理学者の(理論的でなく)実践的な論考です。

頭で考えるだけでなく経験も大事、といういい例です。


話は変わりますが、昔、咳止めの「ブロン液」を一気飲みすると「とべる」という話がありましたね。これは(当時の処方にはいっていた)コデインが麻薬作用があるからのようですが、これは逆に知識が悪用された例ですね。


また、中学時代にこんなことがありました。
部室でコッソリと麻雀(音がしないようカード式のタイプ)をやっていると、そこに、天井からいきなり人が降って来たんですね。
「部室の天井裏に先輩の隠したエロ本がある」と聞いて天井裏に登った奴が、天井のベニヤ板を踏み抜いてしまったわけです。

強度不足の怖さを身を持って体験した彼がもし建築士になっていたとしたら、姉歯氏のようなことはしなかったのではと思います。
(「小梁のない強度不足の天井板の危なさ」でなく、もっと別の教訓を得るべき、という説もありますがw)



致命的な事故につながらない程度の知識は必要ですが、経験でそれを身に付けていく、というのも大事、という普通の結論になってしまいました。


ライターで火さえつけなければ「コールドスプレーを部屋に撒く」という行為もそれなりに何らかの効果があったかもしれませんね(吸い込むとトリップできるとか?w)

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