一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

こっちの水は甘い・・・かな?

2008-10-23 | M&A

大荒れの株式相場のなかでは、もはや後日談程度の話題性しかありませんが。

日本ハウズイング株式会社に対する買付説明書の提出のお知らせ
(平成20年10月20日 株式会社リロ・ホールディング)

当社は、平成20 年10 月20 日開催の取締役会において、株式会社原弘産、井上投資株式会社および株式会社カテリーナ・イノウエ(以下、本売主)との間で、日本ハウズイング株式会社(以下、日本ハウズイング)の「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、本買収防衛策)に基づく対抗措置が発動されないことを条件として、本売主の保有する日本ハウズイング株式を譲り受ける株式譲渡契約(以下、本株式譲渡契約)を締結することを決議し、同日、日本ハウズイングに対し、本買収防衛策に基づき誓約書および買付説明書(以下、本買付説明書)を提出いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

ヘロヘロの原弘産(+井上投資)から買うだけでなくカテリーナ・イノウエとも話がまとまったんですね。
これに対しては日本ハウズイングはいきなり尻尾を振っています。

株式会社リロ・ホールディングからの買付説明書の受領について
(平成20年10月20日 日本ハウズイング株式会社)

当社は、本買付説明書提出に先立ち、リロ・ホールディングから当社株式の取得及び業務提携に関する非公式な打診を受け、リロ・ホールディングとの間で、両社の業務提携に関する初期的な検討を行っております。このように、当社は、本買付説明書が提出されることを予期していたものですが、その内容について早期かつ前向きに鋭意検討してまいる所存です。

根回しも済んでいたようですね。
それで翌日早速
株式会社リロ・ホールディングとの間の業務提携に関する正式協議の開始及び買付説明書に基づく当社株式買付けに対する対抗措置の不発動の決定に関するお知らせ

当社は、本日開催の取締役会において、本買付説明書の内容に関し慎重な審議を行った結果、
①リロ・ホールディングとの間で業務提携に関する正式協議を開始することとし、・・・「業務提携に関する基本合意書」(以下「本基本合意書」といいます)を締結すること
②本買付説明書に記載された内容のリロ・ホールディングによる当社株式の取得・・・については、本プランに基づく対抗措置の発動を行わないこと
を決議いたしました

お家騒動の相方のカテリーナイノウエもいなくなって万々歳、ということでしょう。

1.本買付説明書の受領及び本決定に至る経緯について
リロ・ホールディングは、平成20年10月中旬ころから、株式会社原弘産、井上投資株式会社及び株式会社カテリーナ・イノウエ・・・との間で、本売主の保有する当社株式の全部(合計3,977,000株・当社の発行済株式数の約27.09%。・・・)の譲受けに関する協議・交渉を行っておりました。一方、リロ・ホールディングは、当社に対し、当社との業務提携に関する非公式な打診を行っておりました。そして、当社とリロ・ホールディングは、両社の業務提携が各社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資することとなるかを初期的に検討するため、協議を行ってまいりました。・・・その結果、当社は、リロ・ホールディングとの間の業務提携の実現のため正式な協議・検討を開始することは、当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資する可能性が高いと考えるに至りました。

2番目のリリースでは業務提携の打診は株式取得より前ではなかったようなので業務提携の協議も「平成20年10月中旬ころ」からだったわけで、10日あまりで決断したわけです。
原弘産からの買収への対応と比べると電光石火の意思決定といえましょう。
取締役会での「慎重な審議」の内容に興味があります。

このリリースの別紙1として「リロ・ホールディングが当社の関係会社となること及び本業務提携に関する当社の考え方」というのがついてますが、原弘産の買収への反対意見の裏返し以上のものではありません。


結局最初から最後まで、なんだかなぁ、という感じがつきまとった案件ではありました。

カテリーナイノウエとしては出口が見つかってよかった、ということなんでしょうが、株価の動きを見るとほかの株主はあまり喜んでいないようです。(参照、またリロへの売却協議が始まったとされる10月中旬以降の株価が高値で張り付いていることについてはこちらをご参照。でも、買い続けていた合人舎はどうするんでしょうね。将来的には経営権争いが再発すると見てキャスティングボートを持っておこうということでしょうか。はたまた裏約束?)

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日本ハウズイングの株主総会の結果

2008-06-29 | M&A

日本ハウズイング第44 期定時株主総会決議に関するお知らせ
これだけではぶっきらぼうなので招集通知とあわせて整理してみます。

<会社提案(第1号議案から第5号議案)>
第1号議案 剰余金処分の件
(省略)

第2号議案 定款一部変更の件(1)(取締役の解任決議の決議要件の緩和)
これはもともとカテリーナ社からの株主提案。 
買収防衛策の導入が株主総会の普通決議なのに、取締役の解任の要件が定款で2/3に加重されているのは均衡を欠く、というもの。 
ごもっともな指摘でもあり会社提案にしています。

これは可決。  


第3号議案 定款一部変更の件(2)(買収防衛策にかかる規定の新設)
これは原弘産からの株主提案を会社提案にしたもの。 
買収防衛策の発動が「株主意思確認総会における株主投票、または書面投票のいずれかを選択できる」とされているものを会社法上の正式な株主総会の決議にする旨の定款変更。 
日本ハウズイングはこういって会社提案にしています。

 当社としては、株主総会におけるいわゆる勧告的決議が実務的に広く行われていることや、実際の運用として会社法に従って開催される株主総会において株主意思確認手続を行うことによって、株主総会の手続的な規制を株主意思確認手続に及ぼし、公正な運営をすることが可能であること等に鑑み、本株主提案権行使者による上記提案の理由が適切であると考えるものではありません。
 しかし、上記のとおり、当社が導入する買収防衛策のあり方及びその運用は当社の資本政策の根本に関わる重要問題であることから、株主の皆様のご意思を最大限に、かつ法的により明確な形で反映させることが望ましいと判断し、当社取締役会として本議案を会社提案とします。

これは否決されたのですが、4号議案で防衛策の修正により株主総会決議によることになったので、手続き的には同じことになりました。 
ただ、これが否決されたことで原弘産から後述のように法律論争を仕掛けられることになります。  


第4号議案 当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)導入の件 
これも原弘産からの提案を会社提案にしたもの。 
買収防衛策の「導入」という議題ですが、実質は現行の案の一部修正です。 
内容は、3号議案と同様、株主の意思確認を会社法上正式な株主総会決議とすることと、「当社取締役会は、(中略)不十分であると合理的に判断できる場合には」や「但し、当社取締役会は、不合理に取締役会検討期間の開始を遅延させ、または取締役会検討期間の引き延ばしを行えないものとします。」と取締役会による恣意的な運用を制約しようとする文言の追加です。 

これに対して日本ハウズイングは   

当社取締役会としては、上記のような変更を行わずとも、当社買収防衛策が恣意的に運用されることはないと考えておりますが、他方で、・・・変更が行われたとしても、当社として当社買収防衛策の運用の障害となるような点は一切なく、また当社買収防衛策の内容は実質的に何ら変更されないことから、当該変更自体についてはあえて反対することはいたしません。 

としています(まあ、そうとしか言いようがないですが) 。

これは可決。


第5号議案 当社買収防衛策に基づく原弘産グループに対する対抗措置の発動を当社取締役会に委任する件
これと株主提案の 
第6号議案 買収防衛策に基づく株式会社原弘産らに対する対抗措置不発動の件
ここが実質的に最大の争点です。

結果は5号議案は可決(賛成:54.73%、反対:45.26%)6号議案は否決(賛成:45.19%、反対:54.81%)と僅差ながら日本ハウズイングの勝ちとなりました。

またもうひとつの株主提案 
第7号議案 取締役2名選任の件
も同様の僅差で否決されています。


これに対して原弘産は 日本ハウズイング株式会社の株主総会の結果についてでつぎのように言っています。

1.4号議案~6号議案は「無効」 
会社法第295条第2項は、「前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。」と定めている。今回根拠となる第3号議案が否決されたため、第4号議案から第6号議案は、「この法律に規定する事項」でもなく、「定款で定めた事項」でもないため、株主総会で「決議をすることができない事項」となった、というのがその理由です。

2.TOBは実施しない 
1を言うならTOBを強行して取締役会決議で買収防衛策が発動された場合にその無効を争う法律論争をする、という選択肢もあったと思いますが(個人的にはその結論を(怖いもの見たさ半分で)見てみたい気もします)、総会の投票結果を見ると、ここで強行すると「悪者」イメージがついてTOBや訴訟でも不利に働くと考えたのかもしれません。

3.日本ハウズイングの経営陣への非難 
日本ハウズイングは、「成長戦略」をマニフェストとして掲げて委任状勧誘をしたにもかかわらず、株主総会において、小佐野社長は株主からの質問に対し、最後まで「成長戦略の達成については、努力はするが、コミットはできない。」「株価については約束できない。」などの答弁に終始したのは矛盾している、という指摘です。 
もっとも業績を具体的数字でコミットするというのはどこの会社でもやっていないと思うので(将来は確定的ではないし、だからこそ経営者がいるわけで)ちょっと揚げ足取り気味ですが、実際の総会での答弁も逃げ回り気味だったのかもしれませんね。(こういう問い詰め方は昔の総会屋さんがよくやっていたような感じもしますが(苦笑))

4.取締役の解任要件の緩和の評価と今後の経営監視強化の宣言  

本件株主総会における小林専務の答弁によると、「成長戦略は、2月18日の自社株TOBの決定及び原弘産から買付提案の段階では、検討に着手していない」とのことでしたから、当社が買付提案をしたことが外圧となって、「成長戦略」は立案されたものといえます。 そこで、株主の皆様は、当社に1,000円で株式を売却する機会は得られませんでしたが、これを「凌駕する・・・成長戦略を確実に実行することにより、原弘産の子会社になった場合の株価を上回るものと確信しております」(平成20年6月13日付日本ハウズイング経営陣作成に係る委任状勧誘文書)との現経営陣からの約束を得ることができたとともに、仮にこれが単なるその場しのぎの言葉であり、全く達成されなかった場合には、期中であっても臨時株主総会を通じて過半数の賛成により現経営陣を解任することができる権利を得たことになります。  

当社は、今後、日本ハウズイングの現経営陣自らが公表した「成長戦略」を達成することができるか否かを、また日本ハウズイングの株価が1,000円以上となるか否かを、一株主として厳しく監視してまいります。そして、現経営陣が、株主との約束を破り、これを達成しないことが明らかとなった場合には、直ちに取締役の交代の議案等の株主提案を行うとともに、臨時株主総会の招集請求を行い、現経営陣の経営責任を追及する所存であります。  

と、相変わらず意気軒昂です。  

確かに今回の買収防衛策は来年の定時株主総会までが期限なので、今回の原弘産に対する防衛策発動の取締役会への委任もリセットされ、来年もう一勝負できるわけで、「負け犬の遠吠え」とまでは言えないと思います。


ただ問題は、この1年間という時間がどちらに有利に働くかでしょう。 

不動産市況の軟化が続くと、原弘産自身の資金繰りが厳しくなり、日本ハウズイング株を放出せざるを得なくなる、という可能性もあります。 
こうなると、原弘産がグリーンメイラー化したり、逆に日本ハウズイング側がホワイトナイト探しをする余裕が出てくるかもしれません。 

また、全体の株価が回復したおかげで「成長戦略」は未達なものの株価が1000円を越えるなんていうラッキーもあるかもしれません(こういうときはどうするんでしょうかね)。  


引き続き四半期決算ごとくらいに話題になりそうですね。

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「内弁慶」は少なくとも内には強いはずなのですが

2008-06-21 | M&A

またまた気になってしまった日本ハウズイングのリリース。

原弘産主催説明会に関するご連絡について(2008年6月19日)

・・・当社としても、原弘産との間で意見交換をする意義を一概に否定するものではございません。しかしながら、当社は、なるべく均等に、かつ誤解のない形ですべての当社株主様に情報を提供すべきであり、説明会といった、必ずしもすべての当社株主様にご参加いただけるわけではない場で意見交換をすることは望ましくないと考えており、書面での明確なやりとりにて、株主の皆様に正確な情報を提供したいと考えております。
 また、当社は、同年6月27日開催予定の当社第44期定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において、原弘産グループの提案する議案について、原弘産にご説明いただく時間を十分に設けさせていただく予定です。これまでの当社及び原弘産グループによる様々な形での情報提供に加え、本定時株主総会において原弘産からのご説明の機会と時間を設けることによって、当社の株主の皆様には十分な情報提供がなされるものと考えております。
 したがいまして、本原弘産提案につきましてはお断りする旨本日原弘産に対して通知いたしましたので、お知らせいたします。  

でも、総会の場では既に委任状勧誘で勝負がついてしまっているのではないでしょうか。 
相変わらず日本ハウズイング側は後手後手に回っている感じですね。  
票読みは不利な中では説明会で直接対決したほうが活路を見いだせるようにも思うのですが。 
カテリーナ社もISSなども原弘産のTOB自体に賛成しているわけではないので、支配株主としての信頼性に疑問を呈することさえできればいいわけですから。

僕は原弘産自身日本ハウズイングの買収者としてホントにふさわしいか、ということに疑問なので(参照)、原弘産が上手な買収者としてふるまわれてしまっていることに歯がゆい気持がします。
ただ、日本ハウズイングは別のホワイトナイトを探すのでなくあくまでも「独立系」にこだわっているようなので、それなら買われちゃっても仕方ないかな、と思いつつあります。


さらに余計な突っ込みをすると「本定時株主総会において原弘産からのご説明の機会と時間を設けることによって、当社の株主の皆様には十分な情報提供がなされるものと考えております。」というからには株主総会の会場はどこだろうと招集通知を見ると

東京都新宿区新宿五丁目3番1号
東京厚生年金会館 地下1階 ロイヤルホール
(当社は、従来、当社会議室にて株主総会を開催してまいりましたが、本株主総会におきましては、より多くの株主様にご出席いただけますよう上記会場で開催することに決定いたしました。ご来場の際は、末尾のご案内図をご参照いただき、お間違えのないようにご注意願います。)

とあります。 でも「ロイヤルホール」って384㎡、定員350人です。(参照(真ん中やや下))
ひな壇や事務局席をつくると株主席は250人分くらいしか取れないですよね。
株主数の1117名(議決権を有する株主が何人かわかりませんが)に比べて足りなくなるってことはないのでしょうか。
特に話題の総会なのでいろんなつてを辿って出席しようという人が多いと思うのですが。
(これこそ余計な御世話か(笑))

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紙つぶての応酬

2008-06-19 | M&A

もういいや、と思いつつ、たまに見てしまう日本ハウズイングと原弘産のHPです。
この際相互リンクを貼ったらいかがでしょうか(笑)


さて、その後の動きです。

「原弘産グループに対する質問書の送付について」(2008年6月12日)

昨年株主総会決議で導入された買収防衛策(参照)に基づき過去に2回質問書を送付しています。
株式会社原弘産及び井上投資株式会社への質問書の送付について(2008年3月5日)
株式会社原弘産への再質問書及び回答書の送付について(2008年4月1日 エイプリルフールではないようです)
この補足として昨今の不動産会社をとりまく金融情勢を反映して買収資金の調達の根拠についての質問です。


「原弘産らの買付提案に対する社員の意見表明」
(2008年6月13日)

意見書の発信者が「社員一同」とあるのですが、誰なんでしょうか?
労働組合とかなら説得力があるんですけどね・・・

この意見表明を行うにあたって、全国25 部支店、12 営業所のすべてから1,000 名を超える社員の署名とともにお客様やお取引先様の声を踏まえた貴重な意見が集まりました。

とありますが、会社概要によると2007年3月31日現在で従業員4,691名うち「本社員」 1,083名 準社員 3,608名 なので、本社員(いわゆる正社員?)の9割以上の意見が一致したということなのでしょうか。(リスクマネジメント上はそこまで従業員の感性が均一だとそれはそれでまずいようにも思うのですが)
それとも準社員を入れた全社員の1/4の意見ということでしょうか。  
ブルドックソースや北越製紙のときとはちょっと雰囲気が違うような感じもします。


「原弘産のカテリーナ・イノウエに対する回答書に対する当社の見解及び反論について」(2008年6月16日)

これ、そもそも宛先がないのですが、カテリーナ社に対するものなのでしょうか。
そうだとすると「反論」というのが成り立たないと思います。
「(1) 当社のこれまでの事業の取組み」はいいとして「(2) 原弘産のこれまでの事業の取組み姿勢に対する疑問」「(3) 原弘産の提案する「ストックビジネス」の実効性には疑問がある」は、質問したカテリーナ社が判断することです。

そうやって読んでいくと 「(4) 株主の皆様へ改めてのお願い」

あれ??これは株主宛(カテリーナ社を含む、ということ?)だったのでしょうか。
そうだとするなら、上と同じ買収防衛策の一環としての質問権の行使をするのが筋では?


一方原弘産は6月18日に立て続けにリリースしています。

日本ハウズイング株式会社役職員の方々への、当社主催説明会へのご来場の提案について

日本ハウズイングの従業員の方々から、平成20 年6月13 日付で、「当社提案には反対」の旨の意見表明がなされました。これは、当社としては大変残念なことですが、皆様のご意見として尊重せねばならないと認識しています。他方、これまで日本ハウズイングの従業員の方々に当社が直接語りかける場がなかったのも事実です。そこで、一度、そのような提案をする当社のトップの発言を是非直接お聞きいただき、そしてその場で当社に直接皆様のご意見・ご感想を頂戴したいと考えております。

余裕の構えでしょうか。

さらに追い風?
議決権アドバイザー2社による議決権行使レポートについて

この度、機関投資家(生損保会社、年金基金、投資信託などの機関投資家)に議決権行使についてのアドバイスを行う、内外の大手議決権アドバイザー2社(ISS及び日本プロクシーガバナンス)が、買収防衛策発動に関する議案(第5号議案及び第6号議案)につき、日本ハウズイング提案1に反対し、当社側提案2に賛成する、とのレポートを発表したという情報を入手いたしました。なお、レポートの内容についての詳細は、ISS及び日本プロクシーガバナンス株式会社にお問い合せください。

ただこういう他社の非公開の情報をIR情報として流すのっていいのでしょうか?
会員向けのサービスの場合一般の株主はアクセスできないので、真偽が確認できない情報を流しているということにはならないでしょうか。

そして
日本ハウズイング株式会社への回答書の送付について

質問事項3.について当社の財政状態に懸念はございませんのでご安心下さい。これ以上は、取引所規則(適時開示)との関係もございますので、特定先のみに当社の財務状況等にかかわることを回答できませんことをご理解いただければ幸いです。
最後に、繰り返しになりますが、貴社が公表した買収防衛策によれば、既に取締役会検討期間を過ぎ現在は株主熟慮期間でございますので、昨日ご提案申し上げました6 月 21 日の説明会にご出席いただき、直接ご質問等を頂戴できれば、改めて、貴社株主の皆様の面前で、上記回答内容を含めてご説明申し上げます。株主総会も迫ってきており、株主の皆様に有益な情報提供をさせていただく観点からも、質問を書面にて頂戴するのではなく、6 月21 日の説明会へご出席頂き、意見交換等をさせて頂きますよう、重ねてお願い申し上げます。

ここの部分は「蹴たぐり」風な回答です。
資金調達の部分はけっこうネックなのかもしれないですね。

取締役会検討期間については、買収防衛策では

買付者等から情報・資料等(追加的に要求したものも含みます)の提供が十分になされたと当社取締役会が認めた場合、当社取締役会は、対価を円価現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は、原則として60日間を超えない検討期間、その他の大規模買付行為の場合は原則として90日間を超えない検討期間(以下「取締役会検討期間」といいます)を設定します。(下線筆者)

と期間の始期が流動的なので必ずしも原弘産の指摘が正しいとも言えないと思います。ただ逆にそのような恣意的な運用のされやすいルールの合理性が問われるかもしれません。  


また、最後の部分は、対面での対決への自信の現れという以上に日本ハウズイングの取締役の力量が見透かされているように思います。  
確かに今までのドタバタぶりを見ると、シナリオのない本番一発勝負の議論に耐えられる取締役がいると期待するのは難しいかもしれません。

いっそのこと、説明会に出席したものの議論でしどろもどろになってしまい、「こんな取締役を買収後もそのまま留任させようという計画自体、当社の実態がわかっていない証拠だ!」などという自爆テロをする、という手はいかがでしょうか

6億円という報酬額が注目を集め、アドバイザーや弁護士も力量を問われていると思いますが、実は彼らも「大枚はたいても、当の本人がしっかりしていなければどうしようもない」という展開を望んでいたりして・・・

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6億円の仕事

2008-06-12 | M&A

乗りかかった船でウォッチしている日本ハウズイングですが6月10日の
当社株主の皆様に対する当社委任状の送付等について
というまあ、普通の委任状勧誘かなと思える開示もなかなか・・・

これについてはgrandeさんが鋭いつっこみをされています(日本ハウズイング 開示タイトルと内容の齟齬が激しい そして内容がひどい)ので詳細はそこに譲るとして私が引っ掛かったのは

カテリーナ・イノウエについては、当社の元取締役である井上惠子氏1が大株主として実質的に支配する会社と認識しております。井上惠子氏は、原弘産買付説明書に基づく原弘産グループによる買付提案(以下「原弘産買付提案」といいます。)に反対する当社取締役会の意見を決定した5月13日の当社取締役会、及び当社取締役会として原弘産買付提案に反対することを確認のうえ本株主意思確認手続を実施することを決定した5月27日の当社取締役会のいずれにおいても当社の取締役として出席し、何ら異議を留めず賛成されています。当社としては、カテリーナ・イノウエによる上記のような対応を井上惠子氏が容認されていることについては、大変遺憾であり、当社取締役としての善管注意義務・忠実義務という観点から問題があると考えます。

さらに脚注で

なお、当社取締役井上惠子氏からは、平成20年6月6日午後6時ころに、突然、代理人の法律事務所を発信元としたファクシミリにより辞任届が送付されました。

とあります。  

守秘義務とか個別の契約上の義務があるならさておき、取締役を辞任した後に善管注意義務・忠実義務を負うという根拠がよくわかりませんし、そもそもそういう利益相反的な立場に立ちたくないからこそ辞任したんじゃないでしょうかねぇ。
それに、辞任っていうのはもともと一方的な意思表示だし、「突然」というのは受け取る側の主観ですよね。  

事実の開示とか理論的な主張でなく情緒的な部分で株主を味方につけることを目的としているのかもしれませんが(ブルドックソースにあやかろうとした?)、どうも逆効果な感じがして仕方ありません。
もっとも都合6億円もかけた弁護士やコンサルですから、私などの思いもしないような深謀遠慮があるの控えているのかもしれませんが・・・ 


grandeさんの指摘のように何気ないタイトルの開示でも、「開示タイトルと内容の齟齬が激しい」ので、今後とも別の意味で目が離せなそうです。


で、また、今日は「原弘産グループに対する質問書の送付について」
回答期限を考えると、株主総会までの質問としてはこれが最後のようにも思えるのですが、それにしては全部買付しないことと資金調達についてしか触れていません。
買付け価格について言及しなくていいのでしょうかね(これもなにか深謀遠慮?)

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「いい子にしないとカテリーナ様が来るよ」

2008-06-11 | M&A

6/9付原弘産のリリース
日本ハウズイング創業家資産管理会社による「原弘産を支持する」との意思表明について 

前のエントリをupする前にHPをチェックして置けばよかった(汗))

この意思表明はなかなか格調の高い文章であるとともに、昨今の買収防衛策ブーム(関係者によっては「パニック」であったり「特需」であったりするかもしれません)への問題提起を含んでいます。

・・・ところが、日本ハウズイングから原弘産に対する質問書に始まる質問・回答のやり取りを見ておりましても、あたかも法務・ファイナンスなどの分野の専門家の方々によるような、細部にわたる枝葉末節な論争が目立ち、日本ハウズイングの企業価値を高めていくために本当に必要なこと何なのか、日本ハウズイング現経営陣自身が自社の企業価値を向上させるための将来戦略をどう描いているのか、などの本質的議論がなされていない、いわば“株主不在の瑣末な論争”が行われているように見受けられました。

・・・日本ハウズイングは、本年5月21日の決算説明会で、一連の「買収防衛」のため、証券会社、弁護士事務所等専門家への報酬等約6億円を特別損失として平成21年3月期決算に計上することを明らかにしています。日本ハウズイングの平成20年3月期の当期利益は10億円程度ですから、上記報酬等約6億円は実の(ママ)その6割に相当する額です。上記のような常軌を逸した多額の報酬等の支出が株主の利益になるとは到底考えられず、日本ハウズイング現経営陣の保身のために費やされているとしかいいようがありません。また“対外向けの見栄えのするものはコンサルタントに作成をお願いしたい。”と、事業計画・ビジネスプランの作成など経営の根幹に係る部分まで外注に頼り、経営者が本来業務としてやるべき業務をせず、会社の大事な現金を無駄遣いしているのではないか、と考えています。   

これらのほかに、日頃から経営方針について考えているはずの日本ハウズイングの方が回答期限を守れなかったことなどが辛辣に批判されています(ホント、日頃の行ないは大事ですね・・・)。


もっとも今回カテリーナ社は原弘産の株主提案に賛成する、という意見表明をしただけで、TOBをしたら応じる、とは言っていません。   

カテリーナ社としては、ここで保有株式を売却しても法人レベルで課税されてしまうので、株式は保有したままできれば長期的に安定的な配当を享受するとともに、他の資産運用のための資金調達の担保になってくれればいい、というのが本音ではないかと推測されます。
その意味では、原弘産はカテリーナ社の一次試験は通過したものの、本当に日本ハウズイング社の経営を委ねる相手としてふさわしいか、会社食い物にするのでなく(たとえば「積極的で多彩な株主還元策」が誰のためのものなのか)企業価値向上のために真摯に行動することが期待できるかが問われるのはこれからだと思います。

見方を変えると、カテリーナ社は大株主として大人しくしていたら取締役の地位に安住して経営努力を怠っている現経営陣に対して「お灸」をすえようとしているのかもしれません。
(ということでタイトルはwikipediaのカテリーナ・スフォルツァからとってみました(下から2段落目をご参照)。)  

またはひょっとしたら、カテリーナ社はもう一つ別の経営基盤のしっかりした企業が名乗り出てくれることを期待しているのでしょうか。  
ただ既に泥試合風になった中で、現経営陣のホワイトナイトとして登場するのもあまりイメージがよくないですし、かといって敵対的買収者として登場するのも気が引ける、カテリーナ社を味方に付ければイメージ的にはいいかもしれないがそもそもカテリーナ社と組んで大丈夫?などという不安があるので、ここに割り込んでいくのも度胸がいる話ではあります。

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隣の芝生は青い、という人にどう対処するか

2008-06-10 | M&A

昨日のエントリに引き続き日本ハウズイングvs原弘産について。

原弘産は買収提案において日本ハウズイングの株式価値評価を4通り試算しています

買付説明書 によると

(1)ケース1
貴社の事業部門をそのまま継続して、かつ、今後開発建設事業において大きな損失を出さないことを前提として、株主価値評価を行いました。この場合の1 株あたりの貴社の株主価値評価額は、821 円です。
(2)ケース2
貴社の分譲マンション開発建設事業を当社に移管し、貴社が管理事業に特化することを前提として、株主価値評価を行いました。なお、本ケースにおいては、開発建設事業部門のリスクが低下することから、管理事業に特化した類似企業の株式リスクプレミアムを用いて、株主資本コストを算出しました。
なお、①来期に一度に開発建設部門を当社グループに移転する場合、②来期と再来期にわたって徐々に移転する場合を想定しました。その結果1株あたりの貴社の株主価値評価額は、①の場合は、1,009 円、②の場合は、987 円です。
(3)ケース3
貴社の分譲マンション開発建設事業を当社に移管し、貴社が管理事業に特化し、かつ管理事業に関連した営繕事業を強化することを前提(ケース2の②)として、株主価値評価を行いました。本ケースにおいては、営繕事業のビジネス拡大に伴うリスクを反映させ、株主資本コストはケース1とケース2の平均値を用いました。この場合の1株あたりの貴社の株主価値評価額は、1,001 円です。

つまり現状の開発事業部門はリスクが大きい(=資本コストの高い)割りに稼いでいないので、開発建設事業を切り離すと利益額は減るものの残った管理事業はリスクが低いので資本コスト(期待利回り)も低く、その結果企業価値が上がる(分子以上に分母が小さくなるので絶対値が上がる)というわけです。


では、効率の悪い開発事業を引き受ける原弘産のメリットは何でしょうか。

原弘産の本業はリスクの高い不動産開発事業です。そして決算短信を見ると、ここのところの不動産市況を反映して実際相当出入りの激しい業績になっています。
一方、日本ハウズイングは管理部門中心に伸び悩んでいるとはいえ安定的に収益を上げています。
今回原弘産の買付けが成功すると、50%超の株式を取得することで日本ハウズイングを連結子会社にし、その安定的な収益を取り込むことができます。
日本ハウズイングの発行済み株式総数は1,480万株で、@1000で50%を買収するのであれば資金は70億円ちょっとですみ、それによって26億円の経常利益が手に入るわけです。
原弘産の経常利益は19年3月期30億円、20年3月期は1.8億円ですから、リスクの高い開発事業に新たに投資する以上にはるかに効率的に収益を上げ、自社の株価をテコ入れすることが可能になります。

つまり、青く見える隣の芝生を自分の庭として取り込んでしまおうというわけです。


そうだとしたら、日本ハウズイングの取締役は、自社の株価と企業価値、成長戦略の議論に巻き込まれるのでなく、「企業価値はさておいてウチを買収してメリットがあるのは原弘産のほうなんだからそれに見合う価格を提示しろ」という切り口で反論したほうがいいのではないでしょうか。

この切り口は、買収先の収益で決算を作ってきたIT企業と同じだ、とかいざ自分の業績が苦しくなったら株をとっとと誰かに売却するに違いないとかそちらの方面にも展開できます。
そしてそれはカテリーナ社も望まないことだと思います。
(もっともカテリーナ社はそのへんのリスクに気づいて、原弘産にも質問をしているのかもしれませんが)


企業買収と防衛策の議論では「企業価値」が(未定義のまま)中心に議論されている影響からか、いくらが日本ハウズイングの正しい企業価値で、それを実現できるのは誰か、という方向に話が進んでいる用に思います。
しかし買収側には動機(メリット)があるわけなので今の株価やFAがはじいた企業価値評価などに引きずられずに買収側のメリットを最小にするレベルまで買収価格を上げさせる、そして「これ以上は出せない」というところで株主に対して「これで売るか、自分たちの経営に期待して株主でとどまるか」という選択をさせるのが今回の正しい戦い方ではないかと思います。

 

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日頃の行いの重要性

2008-06-09 | M&A
その昔仕事上で、資産家から遺産を相続したカタカナ名前の謎の女性、というのが登場してきたことがありました。
だいたいそういうときに限って外国に在住で、しかも代理人と称するどうみても愛人だか詐欺師じゃないかという胡散臭い輩が登場してきます。
そうなると商売としてはあまり深入りはしないのですが、その謎の女性は年齢は60歳だけど全身美容整形をしてどうみても40歳くらいにしか見えないとか妙な話ばかり伝わってきて興味だけが盛り上がった記憶があります(結局ご本人には会わずじまいでしたが)。


さて、日本ハウズイングに対する原弘産の買付提案については、そのうち巡回先のだれかがわかりやすいまとめを(紹介)してくれるだろうと横目で記事の見出しを見ているくらいだったのですが、大株主「カテリーナ・イノウエ」の登場でそれを思い出してしまいました。

ただしこちらのカテリーナ・イノウエというのはれっきとした株式会社で、カテリーナという名前も会社沿革を見ると、同社のマンション(?)のシリーズ名のようです。創業者の井上氏の思い入れのある名前のようです。


株式会社カテリーナ・イノウエの質問書(参照)自体は非常にまっとうな内容です。
日本ハウズイングの経営陣に対しては、原弘産の提案に文句を言っているだけで主体的な経営戦略を感じない(本業の管理事業の利益率の悪化を放置し、開発事業もいきなり撤退)このままでは株価の長期低迷は避けられないので、原弘産の提案に賛成しちゃうぞ、という厳しいトーンです。

創業者が急逝し、大株主の立場になった一族としては、自らの資産価値を最大化する方を選ぶというのは当然の選択であります。
質問書を見ると、原弘産の登場前から開発事業の見直しを経営陣に問うていたのに無視していながら原弘産からの買収提案が来た途端にいきなり撤退を表明するという経営陣の節操のなさも悪印象に拍車をかけているようです。

日ごろの行ないの悪さがここにきて大きく響いいるようです。


一方でカテリーナ社は、原弘産にも氏素性や買収後の経営への関与の仕方を質問しています。
現経営陣がダメで、原弘産が高値でTOBをかけて来たら売却してしまうという選択もあるでしょうが、一族の資産保有会社としては創業者の思いを受け継いで株主の地位は維持したいとか株式を売却しても法人レベルで課税されてしまうので継続保有したほうが経済合理性にかなうという理由で、少数株主にとどまる可能性も念頭に入れているのかもしれません。

質問状に対する両社の回答はこちら
原弘産
株式会社カテリーナ・イノウエからの質問書に対する当社回答書の公表について
日本ハウズイング
当社主要株主からの質問書に対する回答書の送付について

どちらも似たり寄ったりで、目標数字は掲げるものの具体策はあまり明確でありません(そんなものがあれば既にやっているのでしょうけど)。
ただこの「どちらも」というのはけっこう問題です。

最近の買収防衛策のなかには買付けルールとして買収者側に経営政策の提示を求めるものが多くあり、これが論点にもなっています。
会社側は通常何らかの経営計画を立てている一方で、買収者は企業の内部情報を知らない中で経営方針を出せと言われてもそんなに立派なものはできないのは当然で、それを理由に「濫用的買収者」と決め付けるのがいいのか、という話です。
つまり、会社の側は「ホームゲーム」の分有利なのは当然なんじゃないか、ということです。

しかし日本ハウズイングの経営陣は原弘産とどっこいどっこいの経営改善策しか出せず、ホームゲームの利点を生かしきれていません。
そこにカテリーナ社の(長年の)不満もあるんでしょうね。


ということで、依然として日本ハウズイング側が守勢に回っているようですが、どうも要領の悪さが否めない感じがします。
つづきではそのへんを考えてみようと思います。
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資生堂の買収防衛策「非継続」

2008-05-01 | M&A

今年の定時株主総会でひとつのトレンドになるかもしれません。

当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の非継続について
(株式会社資生堂 2008年4月30日)

 当社は、平成18 年6 月29 日開催の第106 回定時株主総会の決議により承認を得て、当社株式の大量取得行為に関する対応策(いわゆる事前警告型買収防衛策、以下「本プラン」といいます。)を導入しており、本プランの有効期間は平成20 年6 月25 日開催予定の第108 回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)終結の時までとなっております。
 当社は、本日開催の取締役会において、本定時株主総会終結の時をもって本プランを継続しないことを決議し、これに伴い、定款一部変更に関する議案を本定時株主総会に提案することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

非継続の理由としては

その結果、大量買付に関する法制度の整備状況も勘案し、当社としては、本定時株主総会において、本プランの継続をお諮りするよりも、新3 ヵ年計画を着実に実行していくことこそが、グローバル市場における当社の競争力と持続的成長性を高め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に繋がるものと判断し、本日開催の取締役会において、本定時株主総会終結の時をもって本基本方針を廃止し、以降、本プランを継続しないことを決議いたしました。

とさらっと書いてあります。

2006年に導入された買収防衛策は当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の導入についてによると

(5) 本プランの導入手続
本プランの導入については、以下のとおり、本定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただきました。
① 会社法第278 条第3 項但書の規定に基づき、別紙4 記載のとおり、当社定款第12 条に「新株予約権無償割当てに関する事項については、取締役会の決議によるほか、株主総会の決議、または株主総会の決議による委任に基づく取締役会の決議により決定する。」との規定を新設するとの内容を含む定款変更議案が、本定時株主総会において決議されました。(中略)
② ①による変更後の当社定款第12 条の規定に基づき、本定時株主総会における決議により、本プランに記載した条件に従い本新株予約権の無償割当てに関する事項を決定する権限が、当社取締役会に委任されました。
(6) 本プランの有効期間
上記(5)②の株主総会決議による、本プランにおける本新株予約権の無償割当ての実施に関する事項の決定権限の委任期間(以下「有効期間」といいます。)は、現3ヵ年計画の継続期間と同一の期間とするため、現計画の最終事業年度である2008 年3 月期に関する定時株主総会の終結の時までとします。

とあって、今回変更(削除)される定款自体は

第15 条
新株予約権無償割当てに関する事項については、取締役会の決議によるほか、株主総会の決議、または株主総会の決議による委任に基づく取締役会の決議により決定する。

としか書いておらず、別途買収防衛策導入の決議と発動の取締役会への委任について株主総会の決議をする、というタイプのようです。
なので厳密に言えば定款で授権されているといえるのかどうか、という論点はあるかと思います。

逆に、株主総会による買収防衛策継続の決議をしなければこの定款の条項自体は毒にも薬にもならないのでほうっておいてもいいのではないかと思うのですが、この際正々堂々と廃止しよう、ということなのでしょうか(買収防衛策継続の決議は議案として上程しなければそれまでですが、一方で定款変更議案が可決できなかったらどうなるんだろう、などというのは余計なお世話ですねw)。


ただ、深読みをすると「廃止」でなく「本プランを継続しない」と言っているので、将来他のプランを導入する可能性は否定していません。
そうだとすると、今回定款の規程も削除するのは、現在敵対的買収の恐れは少ない反面、2年前に導入した防衛策をそのまま継続すると、かえって足かせになる可能性がある、という判断があるのかもしれません。
万が一敵対的買収者が登場してきた場合には、TOBルールの質問権の行使や臨時総会を開いてなりふり構わず導入する、という選択肢はあるわけですし。
理由もさらっと書いてあるのはこのへんのこともあるのでしょうか。


ブルドックソース事件の判例の射程も不透明であり、買収防衛策に対する市場の評価も厳しくなっているという流動的な状況のなかで、しばらく様子見(というかちょっと「いい子」になってみる)、ということなのかもしれません。
また、『株主に勝つ・株主が勝つ』でも言われていた「次に判例を取る第1号にはならない」という意味合いもあるかと。


********(追記)********

<東証>資生堂が大幅に続伸――「買収防衛策廃止を好感」の声
(2008年5月1日 Nikkei Net)
という向きもあるようで、市場には好感されているようです。

2年前に拡大した授権資本は今回もそのままなのですが、いっそのことこれも元に戻したらもっと潔いと評価されたんでしょうか。

***********************

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どういう会?

2008-04-16 | M&A

toshiさんのブログ でも紹介されていましたが

健全なM&Aを促す法改正を
(経済同友会 企業・経済法制委員会 2008年4月14日)

なんかこのタイミングで妙なことを言っているな、という感じではあります。
経済産業省の北畑事務次官とのコラボかな、と思わせます。

提言の細かい内容はさておき、冒頭のスタンスがいちばん引っ掛かりました。

1.企業の存在意義と企業買収

企業は、法律的観点からは「株主のもの」であることは言うまでもないが、また同時に「財・サービスの生産・提供にとどまらず、そのプロセスにおいて社会のあらゆる範囲での人間の活動に大きな関わり合いを持つ『社会の公器』」(当会「第15 回企業白書」)としての性格も有している。
(中略)
その意味で企業経営者は、企業活動にかかわるあらゆるステークホルダーとのバランスをとりつつ、企業価値を持続的に向上させ、利潤を追求する事業体としての機能を果たしながら、社会に対するミッションを実現し、それを通じて生活水準・利便性の持続的な向上をもたらし、ひいてはグローバルな経済発展に貢献するという、きわめて重大な責務を負っていると言えよう。
(中略)
通常、上場企業の少数株式を有している株主には、経営の才覚が求められる必然性はない。しかしながら、一旦買収によって支配的株主となった瞬間に、その投資行為を通じて、企業にかかわる様々なステークホルダーとの関係が生じ、社会に対する責任を負うこととなる。

2.「健全な買収」と排除すべき「悪質な買収」

敵対的買収の脅威は経営に規律を与え、また買収によって企業価値の向上をもたらす場合もあり、こうした敵対的買収まで阻止する防衛策は認められるべきではない。あくまで、企業価値の向上に向けた努力を阻害し、企業価値を毀損しかねない「悪質な買収」に対してのみ、企業が適法にこれに対抗できる手段を保持し得るべきではないか、との考えに基づくものである。

そして悪質な買収の例として

  • いわゆるグリーンメーラー等の濫用的買収者による略奪的な経営支配
  • 短期的な運用利益の獲得を重視するあまり、中長期的な企業価値の向上、企業のミッションの実現を疎かにしかねない経営支配

をあげています。

しかし企業経営者の責任を支配株主の責任に転嫁しているところに論理の飛躍があるように思います。

「健全な買収」と排除すべき「悪質な買収」を言うなら、その前に「健全な株式公開」と「悪質な株式公開」についての規律の強化が先にあるべきだと思いますし、支配株主が「企業にかかわる様々なステークホルダーとの関係が生じ、社会に対する責任を負う」というのであれば、種類株式の上場のほうに切り込んでいった方が説得力があったように思います。
また、この論は「経営者の首をすげ替えるなら株主も責任を持てよ」というロジックにつながりかねない危うさを持っているようにも思います。

ところで、経済同友会のサイトの経済同友会とは を見ると  

経済同友会は、企業経営者が個人として参加し、自由社会における経済社会の主体は経営者であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から、変転きわまりない国内外の経済社会の諸問題について考え、議論していくところに最大の特色があります。
(下線は私)

とあるので、まあ、経営者の自由な発言、くらいに考えて聞き流した方がいいのかな、と思います。

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東急電鉄と東急ストアの株式交換

2008-03-31 | M&A

地元の駅の高架下にある東急ストアに行ったら、いきなり「閉店セール」をやっていました。
改装するとも書いておらず、でも、やめてしまうほど赤字店舗とも思えないし、東急グループとしては他のスーパーを入れるわけにもいかないだろうと思い、店員に聞いてみたところ、駅舎の耐震改修工事のために2年間閉店するとのことでした。

そこで思い出したのが先週見かけた記事

東京急行電鉄株式会社による株式会社東急ストアの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ

東急ストアは、新中期3か年経営計画に従って、「継続して成長できる企業力の確立」に向け、「スクラップ&ビルドによる利益改善」、「既存店収益力の回復」、「業務改革、業務改善による効率化の推進」を基本方針として、営業利益の安定的拡大を目指してまいりますが、経営計画の進捗を確実なものとするためにも、東急グループの中核会社である東急電鉄との協調体制のもと、スピーディな経営判断を行っていくことにより東急グループのシナジー拡大に貢献することが必要であると判断するに至りました。

現在でも東急電鉄は東急ストアの39.6%の株主ですが、より一層のシナジーを、ということのようです。

確かに東急ストアは東急電鉄の高架下に駅と一体的にあるものも多く、耐震補強工事をするとした場合には既存の借家人を立退かせる必要があります。
東急ストアに対しても、筆頭株主とはいえ他の株主もいるので立退料を1円も支払いません、というわけにもいかないですし、かといって移転実費を上回る分は利益として税流出したり他の株主に配当としていくとなると、連結ベースではあまり意味のない支出になってしまいます。

耐震補強にとどまらず、沿線の再開発にあたっては利害関係を完全に一致させることが大事ですし、そもそも東急ストアの時価総額は350億円なので、妙な輩に買い占められたり株主代表訴訟を起こされたりするならいっそのこと買ってしまえ(しかも株式交換ならキャッシュはいらないし、配当利回りも1%台なので)という判断なんだと思います。


それにしても、高架の耐震性のほうは大丈夫なんでしょうか(冷汗)
柱の補強は順次やっていたようですが、まだテナントをどかさないといけない部分は未了なんですかね。


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鉄の結束

2007-12-20 | M&A

新日鉄・住金・神鋼、相互の株式追加取得発表
(2007年12月19日 14:26 日本経済新聞)  

新日本製鉄と住友金属工業、神戸製鋼所の3社は19日、相互に出資比率を高めて提携関係を強化すると正式発表した。新日鉄と住金は相互に1000億円程度の株式を追加取得する。新日鉄と神戸鋼、住金と神戸鋼ではそれぞれ150億円の株式を追加取得する。19年度末までに株式市場で実施する予定。基幹生産設備で相互補完を推進して競争力を高める一方、M&A(合併・買収)で成長する鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に対抗する。
 
株式追加取得後は、新日鉄による住金への出資比率が9.4%(従来は5.01%)、住金による新日鉄への同比率は4.1%(同1.81%)へそれぞれ上昇する見通し。  

ちょうど12月5日の商事法務に長島大野常松法律事務所の藤縄弁護士が「検証・日本の企業買収ルール」という寄稿をされています。
その中で、経産省と法務省による買収防衛策指針が提案したライツプラン型防衛策が予想外に普及しない理由として以下の二点をあげています。  

日本の企業経営者の間に、買収防衛策指針の背景にある「企業価値が上がるのであれば買収提案を受け入れるべし」という規範意識簡単には育たない  

買収防衛策指針が提示したライツプラン型防衛策の設計思想と防衛策をめぐる司法判断との間の溝が埋まらず、(※)多くの実務化がライツプラン型防衛策の法的な有効性について確信がもてない

(※)「裁判所からの「株主意思の尊重」と「買収者の損失補償」という二つのメッセージは、日本のライツプラン型防衛策が参考にした米国のライツプランの①株主に対する信任義務に基づき取締役が買収の適否を一時的に判断する、②買収者に甚大な損害が生じることを抑止力として買収行動を停止させるという基本設計を否定するものである。  

ことの2つを上げています。 

そしてこの論文の目的は公開買付制度の見直しや種類株式の上場などを提言するものですが

自社が敵対的買収の標的になる可能性がゼロとは断言できない中で、株主総会での支持さえ得れば買収防衛が可能であるというのであれば、安定株主工作に手を染めるという誘惑は絶ち難いものがある。  

と、持ち合いの弊害にも警鐘を鳴らしています。  


藤縄弁護士の指摘は正鵠をついていて、しかも方向性としては正しいとは思うのですが、とはいえ本音ベースでは「アルセロール・ミタルに(事業上)対抗する」以上に「アルセロール・ミタル(からの買収)に対抗する」ことを意識せざるを得ないというのも現実なわけです。  


ところで3社の時価総額は、新日鉄4兆2000億円、住金2兆1000億円、神戸製鋼所1兆円、合計で7兆3000億です。
ミタル・スチールのアルセロールの買収資金269億ユーロ(1ユーロ=163円で4兆3000億)という規模を考えると、あまり3社が実質的な提携を進めて、ちびくろサンボのバターになってしまったトラとか溶鉱炉に放り込んだ鉄同様混然一体となってしまうと逆に「まとめて買っちゃえ」という気にさせてしまうかもしれませんね。

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どこへ行くのブルドック

2007-07-23 | M&A
ブルドック・ソースの新株予約券発行差止めの仮処分申立てですが、7月8日に高裁で抗告棄却の決定がなされたあと、7月11日に既に新株予約権の割当ては効力を発生しています。
となると、スティール・パートナーズは許可抗告・特別抗告をしても意味がないのではと思ったのですが、発行された新株予約権と株式の交換差止めに申立ての趣旨を変更しているようです。

そもそもそういうことが出来るのか、被保全権利は変わらないからいいのか、そのへんはよくわからないのですが、最高裁はこれに対して実質的な判断をするのでしょうか。
それとも、新株予約権の行使期間が9月1日からなので、もう一度高裁に差戻すのでしょうか。

結論的には変わらないように思うのですが、差戻された高裁の裁判官がまた別の浪花節を語るとさらにややこしくなるような感じもします。


ここまでは前振りで、昨日おとといのエントリを書いている間ずっとブルドックソースのネタが何かあったよなぁ、と頭の隅に引っかかっていたのですが、昔のCMソングで「どこへ行くの ブルドック」という歌があったことを思い出しました。

私は「どこへ 行くの ブルドック」というフレーズしか思い出せず、節回しも定かでないのですが、調べてみるとこんな歌だったようです。


♪ ブルドック ブルドック
どこへ 行くの ブルドック

ほっぺが おーちる
ブルン ブルン ブルン ブルン

おいしいねぇ~ ブルドック ソース ♪


仮処分の行方がどうなるにしても、今回キャッシュが落ちてきて美味しい思いをするのはスティール・パートナーズのようで。
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ブルドックソース高裁決定(その2)

2007-07-22 | M&A

(その2を書いていたらおさまりが悪くなったので、その1も加筆修正してます)

今回の高裁決定は決定文としては法律な論点をつめる以上にかなり「浪花節」の入ったものになっています。 特にスティールパートナーズを「濫用的買収者」と決め付ける認定する部分などは、

スティールを、高値で買い取らせることを目的に株を買い占める「グリーンメーラー的」などと大臣を筆頭に批判してきた経済産業省も「有事に導入された買収防衛策でも、入念な手続きをすれば認められるという画期的な判決だ」(幹部)と決定に大喜び。
2007年06月29日 朝日新聞)

とはしゃいでいた経済産業省の幹部などさらに狂喜乱舞してしまうかもしれません。


また、裁判官の価値基準というものがよくうかがえるフレーズが随所にあります(下線は筆者)。

本件は、前記認定のとおりの属性を有し濫用的買収者と認められる抗告人が、日本国内で創業以来100年余の歴史を有し、堅調にソースの製造販売事業を行っている相手方を本件公開買付けによって買収しようとするものである。相手方は、このような買収行為によって、場合によって解体にまで追い込まれなければならない理由はないのであって、・・・

妙な外人は堅気の日本企業に手ぇ出しちゃいけねぇよ、というところでしょうか。
ブルドックソースのシェアは27.4%と国内トップですが、独禁法違反で勧告を受けた直後だったりしたらどうだったんでしょう。

また、

我が国において、本件のような敵対的買収行為の対応が成熟し、しかもそれが相手方ないしそれ以下の内容、規模の企業にまで浸透するには、なお時間と経験を要するであろうことは諸々の現実に照らしやむを得ないものであり、各企業の今後の重い課題である。

とも言っています。
要するに上場企業にも「おみそ」がいる、ということですね。証券取引所はいやな顔をしそうです。
また、マザーズとかヘラクレスの企業は本業そっちのけでM&Aばかりやっている企業が多いことを考えると、この裁判官は「古き良き日本企業は保護されてしかるべきだ」という価値観に立っているようにも読めます。


この判決について、「これで日本の株式市場に外人(投資ファンド)の金が流れなくなるのでは」等という論調も一部にあるようですが、アウトサイダーを排除しよう、という動きはどこの国でも起こる話です。たとえば

インサイダー取引:ダウ社外取締役を提訴へ 米証券取引委
米ダウ・ジョーンズへの買収提案をめぐるインサイダー取引疑惑で、米証券取引委員会(SEC)が、ダウ社の社外取締役を務める李国宝・東亜銀行会長を提訴する方針を固めたことが18日明らかになった。
(2007年7月19日 10時06分 毎日新聞)

金余りの状況が変わらない以上、儲けられそうだと思わせる(上品に言うと「魅力ある市場にする」ということでしょうか)ことさえできれば、お金は入ってくると思います。


アウトサイダー排除といえば村上世彰氏の実刑判決もその一環ともとれますね。
ただ、この事実認定を最近とみに摘発・監督処分モードになっている証券取引等監視委員会(や親元の金融庁)が適用するとかなり幅広い取引まで網が掛けられる可能性があるんじゃないかというのがちょいと心配ではあります。

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ブルドックソース高裁決定(その1)

2007-07-21 | M&A

頭の上の蝿を追いかけるのに忙しくてニュースにひとことのようなエントリが続いてますが、遅ればせながらブルドックソースの高裁決定について。

そもそもこの買収防衛策自体が、スティール・パートナーズの新株予約権を現金で買い上げて損はさせない(というより出口を提供して利益を確定させる)もので、しかも株主総会の特別決議によっています。
一方でスティール・パートナーズも事前の質問に対し自ら会社経営をする意思がないと言ってしまっています。
なので「損してない(というより儲けた)からそれ以上文句を言うなよ」という結論になるのは当然かなという感じです。


地裁ではスティール側にも「株主としての経済的利益が平等に確保されていること」(=買収者に損をさせてはいけない)が要件になっているようにも見えましたが、高裁では

と、「過度の財産的損害を与えない」のであればいいと言っています。

また、地裁は権限分配論的な書きぶりですが、高裁は(このタイプの)買収防衛策の発動は株主総会の(特別)決議によらなければならないとも言っていないように読めます。


それはそれでいいのですが、今回の買収防衛策は結局は会社の現金でスティール・パートナーズの株式を買ったと同じことになるわけで、経営陣の防衛はできたけれども企業価値の防衛はできなかったのではないか、という疑問が残ります。

よしんばそうだとしても株主総会の特別決議を経ているので、大半(2/3)の株主が会社が損してもいいと言ってる、という理屈はありえます(多分高裁決定も大背景にはそういう判断があったのではないかと)。


しかしもし経営者と買収者が取得価格を裏で握っていたとすると、会社が特定の株主から株式を取得する場合には、他の株主も自分の株を同条件で取得することを求めることが出来る(会社法160条3項)のに比べて、他の株主が自分の株式を処分する機会を奪っていることにならないでしょうか。

特定のものからの株式取得は株主総会の普通決議で可能ですが、取得相手の株主は議決権を行使できません(会社法160条4項)。
たとえば40%の株式を保有している株主から会社法160条の買取手続きで買い取るには(全員が議決権を行使したとして)他の株主の30%超の賛成が必要な一方で、今回のような特別決議において取得条項付新株予約権の発行を決議する場合(当該株主にも議決権がありますから)他の株主の26%超の賛成があれば買い取ってもらえることになります。

今回はスティールからの仮処分申し立てでしたが、他の株主からの仮処分申し立てがあったても同じ判断になったのでしょうか。
また、一般株主から取締役に対し株主代表訴訟が提起された場合も特別決議の承認をもって「みそぎ」になるのでしょうか。

これについては

ちなみに、前記した本件の経緯に照らしてみると本件においては、この価格より定額であったとしても買収策としての相当性を欠くものではないとの評価も考えられる。なお、この点については、前記の経緯からして、我が国において類例も乏しく、過去に経験のない突然の外資ファンドの公開買付けに混乱した中での対応策であったともいえることからすれば、他の株主に不当、不合理な不利益を強いるものというのは的外れであり、本件総会の特別決議はこうした諸事情を了承した上での他の株主の意思表示と解すべきものである。

とあります。
しかし、株主が「こうした諸事情を了承」していたかというと疑問です。
スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド-エス・ピー・ヴィーⅡ・エル・エル・シーによる当社株券等に対する公開買付けへの反対の意見表明並びに新株予約権無償割当て及び関連議案の定時株主総会への付議に関するお知らせ
でも

なお、かかる396円という取得価額は、本日平成19年6月7日現在の本公開買付けにおいて公開買付者の提案する当社普通株式1株当たりの買付価格1,584円に本新株予約権無償割当てにより見込まれる希釈化の割合(4分の1)を乗じて得られた金額であり、本新株予約権無償割当てを通じて公開買付者に経済的損害を何ら与えないようにすることを目的として決定された金額です。

という説明しかなく、スティール・パートナーズの影響力を法的に安定した形で排除するために経済的対価については保守的にした(平たく言えば経済効果だけから言えば「盗人に追い銭」だ)けどいいでしょ?という議案の提示にはなっていないように思います。

取締役には過去に経験のない突然のことへの対応への混乱を容認しておきながら、株主はこのような混乱した状況下での議案に対し「こうした諸事情」を十分理解したうえで判断できる能力があると認めているのはちょっと妙な感じがします。


地裁・高裁決定の結論自体には異議はないのですが、今回の買収防衛は会社自体は防衛できなかったような感じがして仕方がないもので。

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