黒澤明の『七人の侍』です。
あの映画は大東亜戦争へのオマージュで、侍は日本、守るべき村人はアジア、野武士は欧米、と見立てる話がありました。
これは驚いた。
というより、見方の新鮮さ、鋭さに感動しました。
戦後の映画のイメージのステレオタイプをひっくり返しています。
そのステレオタイプからすれば『七人の侍』はこうなる。
映画のテーマは安保闘争や労働運動で、指導する侍は戦後民主主義に目覚めた知識人、村人は搾取され前近代的支配に置かれたままの労働者・農民、野武士はアメリカ帝国主義とその手先の安倍さんのおじいさん達。
こんなとこでしょう。
戦後の映画や演劇は左翼思想に洗脳されていたから、保守の人も含めこう考えておかしくない。
しかしこんな先入見抜きで素直に見れば『七人の侍』=大東亜戦争へのオマージュも新鮮で説得力がある。
こう言われると戦後映画の評価を洗い直した方がいいかも。
大東亜戦争関係では、左翼思想汚染をのがれている数少ない例が『拝啓天皇陛下様』『独立愚連隊』くらいで、最悪が『人間の条件』というような感じでした。
しかしヒマがあったらこの辺も、もう一度見直してみます。