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適年から中退共へ移行、中退共の掛金を5千円・1万円等の定額設定には、ご注意ください。(2)

2010-05-20 06:45:13 | 適格退職年金

最近以下のような問い合わせがありました。

「適年から中退共へ移行するので、適年委託先の生命保険会社に証明書※の
発行を依頼したら、適年から中退共への移行時の掛金を5千円と1万円にして
持ってきた。これでいいように思うがどうだろうか?」

当然、保険会社には、養老保険を組み合わせたいという思惑があります。
保険料が多くとれますから。。。

でも、この問い合わせの背景は、「従業員に説明する時、説明しやすい」という
ことでした。

適年から中退共への移行では、適年の資産を加入者別に分配した持分額と
適年の受益者であった月数から、月数を優先させて計算し、適年の移行時の
掛金を決めるというルールがあります。
中退共で作ったもので、その通りでなくても、もちろん大丈夫なのですが。。。

中退共のルールでは、縦軸(左側)に月数があり、横軸(上)に掛金額があり、
その下に積立額が記載されている一覧表を使って計算します。
受益者であった月数を縦軸から選択し、その横の積立額を見て、一番近い積立額
のところを上にたどっていき、移行時の掛金を決めることになります。
ポイントは、月数、積立額、掛金の順にみるということです。
この方法で行うと、適年の持分は、ほとんど中退共の掛金の積立額となります。
但し、余りの金額がでます。適年の積立方法と中退共のそれが違うためです。
この余りの金額が、『残余の額』です。

ですから、移行時の掛金は、従業員ごとに異なりますので、5千円とか1万円とか
の定額にはなりません。
5千円や1万円の定額掛金の場合は、まず掛金ありきでの計算で、『残余の額』が
多くなります。

『残余の額』は、従業員が退職するまで中退共で預かり、1%(現行利回り)の
利息を付けて、退職時に従業員に支払われます。

だったら、いいじゃないか
中退共のルールで計算して、移行時の掛金がばらばらになるより、定額のほうが
従業員に説明しやすい

ちょっと待ってください
『残余の額』には、付加退職金がつかないですよ。
付加退職金というのは、利回りが1%以上になった場合、そのうちの一定割合を
基本退職金に上乗せするものです。『残余の額』にはつきません。

従業員(というより誰でもそうです。もちろん私もですが。)は、本来受け取れる金額
より少しでも少ないと、いやだと思います。

保険会社の思惑や説明の手間を優先させた判断は、感心できません。

※証明書とは、『適格退職金計約を締結していたこと等の証明書』といいます。
 適年の加入者であった従業員ごとに、受益者であった月数と持分額を記載
 したものです。