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中小企業も適用の対象となった退職給付会計と退職給付制度

2007-10-02 13:33:19 | 企業年金・退職金制度

昨年5月に、「新会社法」が施行されました。それにあわせて、日本公認
会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委
員会から「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。
株式会社は、商法により、計算書類の作成が義務付けられていますが、
中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠るところが望ましい会計処理
や注記等を示すものとして、上記「指針」はまとめられました。

退職給付債務については、確定給付型退職給付制度(退職一時金、厚生
年金基金、適格退職年金、確定給付企業年金)を採用している場合は、
中小企業では、簡便法による期末要支給額で計算できるとされています。
期末要支給額とは、期末に在籍している従業員に関して、退職金規程に
よる自己都合支給率で、退職金を計算した合計額です。
退職給付債務を計算し、そこから、退職給付のために積み立てている年金
資産を控除した金額を退職給付引当金として、B/S上の負債に計上するこ
とになります。

年金資産とは、確定給付型の制度で積み立てている金額のことです。
保険商品で積み立てている金額は、この年金資産にはなりません。
このことが、保険商品での退職金準備を勧める際に、ほとんど説明されて
いないことが、気になっています。

確かに、中小企業会計の指針は、強制適用ではありません。
が、今後、企業が計算書類を作成する際に採用する、せざるを得ない方向
にあることは間違いありません。

保険商品で退職金準備を進める際に、中小企業への退職給付会計の導入
を語らないのは、死亡保障額を設定するに当たり、遺族年金を計算に入れ
なかったり、医療保険では高額療養費を無視するといったことと同じ行為
だと、思います。


適年の移行事例集(中小企業庁)は参考になります。

2007-10-01 13:41:27 | 適格退職年金

中小企業庁が適格退職年金の移行事例集を出版しています。
2005年(平成17年)に行ったアンケート調査に基づき、適年から
の移行事例をまとめています。
適年の移行を検討している企業や、適年の移行実務を行っている
人には、大変参考になります。

こちらから、PDFファイルで、見ることができます。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/060329kigyonen.htm

移行企業とて、10例が紹介されています。
適格退職年金から確定給付企業年金へ移行した事例が2社、確定
拠出年金へ移行した事例が5社、中小企業退職金共済へは3社が
紹介されています。
経過企業として、既に適年から他の制度へ移行した企業の、その後
の経過も含めた事例としては、4例が紹介されています。
この4例は、全て確定拠出年金への移行企業です。

生命保険会社が行っている、適年からの移行対策セミナーでは、
保険商品との組み合わせでの移行対策が紹介されることが多い
ようですが、上記14例のうち、保険商品を組み合わせているの
は、1社だけです。移行先に中退共を使った企業で、養老保険を
使っています。

中小企業にも、退職給付会計の導入が採用されていく流れのなかで、
退職給付会計上、生命保険の積立金は年金資産にはならないてめ、
中小企業庁の紹介事例集の中では、保険商品は、あまり推奨されて
いないようです。