褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 女相続人(1949) 女の復讐劇

2025年02月20日 | 映画(あ行)
 文豪ヘンリー・ジェイムズの『ワシントン広場』を原作とする映画化作品が今回紹介する女相続人。内向的で優しい性格な女性だと思って付き合ってみたら、次第に気が強い女性に変貌してしまったなんてことを経験したことのある男性は多かれ少なかれ居るだろう。時々、思わぬことから女性の強さを感じることがあるが、まさに本作の主人公の女性がその通り。前半と後半の性格がガラッと変わるのだが、女性の強さというよりも男性からみれば恐ろしさを感じさせる。

 父娘そして男女の愛憎を描いたストーリーの紹介を。
 1850年ごろのニューヨークのワシントン広場の近くにおいて。豪邸を構えていて医者をしているオースティン(ラルフ・リチャードソン)は、美しく社交的な妻が亡くなってしまうのだが、娘のキャサリン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)は、なぜか内向的で容姿も人並以下に育ってしまった。そのことを心配したオースティンは未亡人となってしまって家に転がり込んできた妹のラヴィニア(ミリアム・ホプキンス)に娘のキャサリンの世話を頼むのであった。
 ある日のこと、ラヴィニアはキャサリンを異性と知り合うチャンスを作るために、社交の場へ連れていく。そこでキャサリンに言い寄って来たのがモリス(モンゴメリー・クリフト)という青年。2人は一目で惹かれあうのだが、オースティンはモリスが仕事もせずにカネを浪費していることを知り、2人の結婚に反対する。
 キャサリンは父オースティンの一言にショックを受けて、父が亡くなった時の相続を断ってモーリスと駆け落ちしようとするのだが・・・

 キャサリンは地味で大人しい女性なのだが、父が死んでも大金の遺産を保証されているので将来の暮らしには何の不安もない。そこへ現れたのが無一文同然のモンゴメリー・クリフト演じるモーリス。キャサリンはモーリスを大いに愛する。しかし、モーリスは本当にキャサリンを愛しているのか、それとも彼女の財産目当てで結婚を申し込んでいるのか。そして2人は結ばれることができるのか?この展開がなかなかサスペンスフルで見どころ充分。そこへ父と娘の喧嘩が勃発するのだから大いに盛り上がる。
 そして、いざという時にモーリスはひ弱さを見せてしまう。そこからは奥ゆかしい性格だと思われたキャサリンの憎しみが爆発で本領発揮。キャサリンがモーリスのことを「金と愛を両方とも求めるとは強欲だ」と言い放つが、その言葉を聞いて俺はなぜか心の底から震えてしまった。
 女性から恨まれると酷い目に遭うことを勉強したい男性には特にお勧めだし、ストーリー展開も抜群に面白い女相続人をお勧めに挙げておこう

 監督は名匠ウィリアム・ワイラー。あらゆる分野において名作を創り続けた。歴史大作ベン・ハー、ロマンチックコメディの名作ローマの休日、サスペンス映画必死の逃亡者探偵物語、西部劇の傑作大いなる西部、アメリカ人のヨーロッパに対する憧れを描いた孔雀夫人等お勧め多数

ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ






 
 





 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 ミッドナイト・エクスプレス(1978) トルコを舞台にした脱出劇

2025年02月12日 | 映画(ま行)
 人間の尊厳を感じさせる映画が今回紹介するミッドナイト・エクスプレス。タイトル名を日本語に直訳すると『深夜特急』ぐらいの意味になるが、暗喩として『脱獄』の意味が含まれる。もちろん本作の内容は列車に乗って旅行するストーリーのはずがなく、脱獄をテーマにした映画。
 ちなみに本作は実話を基に今や映画監督として巨匠にまで登りつめたオリバー・ストーンが脚本を担当。パワフルでバイオレンスなタッチは彼による貢献度が大きい。そして非常に見所が満載で印象的なシーンが多い映画になっている。

 アメリカ人が異国の地で絶望感に叩き落とされるストーリーの紹介を。
 1970年、アメリカが中東諸国との関係を悪化させていた頃。アメリカ人のビリー(ブラッド・デイヴィス)はトルコのイスタンブール空港でハシシ(麻薬)を密輸しようとした罪で当局に逮捕される。ビリーは刑務所に送られるが、そこには極悪な看守ハミドゥ(ポール・L・スミス)による暴力が支配していた。
 アメリカの領事館の介添えもあり裁判に持ち込むのだが、相手側の検事の追及は厳しく刑期4年が言い渡される。模範囚としてひたすら辛い日々を耐えて3年余り経った頃、寝耳に水の如く再度裁判が行われる。そこで彼は30年の刑期を言い渡されてしまう。トルコをめぐる国際情勢の悪化のために、世界への見せしめの犠牲にビリーはなってしまったのだ。そして、このままではトルコの刑務所で死を迎えることを悟ってしまったビリーは深夜特急に乗ること、すなわち脱獄することを決意するのだが・・・

 どこまでオリバー・ストーンが脚色したのかわからないが、ビリーがトルコ当局に逮捕されてハミドゥにこん棒で殴られるシーンは痛すぎる。罪を背負うのは当然だが、流石にこれが事実ならやり過ぎ。刑務所を舞台にした映画の殆どにロクでもない看守が登場するが本作もその例に漏れない。
 しかし、ビリーはアメリカへ帰りたい一心で耐え続ける。刑務所内でアメリカ人の友達もできて、脱獄をそそのかされるのだが彼は模範囚としての道を選ぶ。それなのに再びトルコのメンツのために利用されて、更に刑期30年を言い渡されるショックと絶望感は言葉で言い表すことができない。人間の尊厳を貶める国際政治の駆け引きには本当に腹が立つ。我が日本も拉致されたままになっている人々が居ることを思えば他人事で済まされないテーマが本作から感じられる。
 そして印象的なシーンの数々。ビリーが密告屋に対する報復の壮絶なシーン、生々しい恋人との面会シーンなど生半可な気持ちで見ることができない場面も出てくる。異国で刑務所に繋がれることの不安を感じさせるし、スリルも感じさせる。重苦しい雰囲気が漂うが最後には爽快感が味わえる、ということで今回はミッドナイト・エクスプレスをお勧めに挙げておこう

 監督はアラン・パーカー。子供たちばかりが出演しているダウンタウン物語、ベトナム戦争の傷の深さを描いたバーディ、オカルトホラー映画の傑作エンゼル・ハート、人種差別をテーマをサスペンスフルに描いたミシシッピー・バーニング、死刑制度の是非をユニークなタッチで描いたライフ・オブ・デビッド・ゲイル等お勧め多数の名監督です。

ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ







 

 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 驟雨(1956) リアルな夫婦生活を描く

2025年02月08日 | 映画(さ行)
 生涯独身の俺にはわからないのだが、おおよそ夫婦の倦怠期というのは結婚して何年目ぐらいから入るのだろう。倦怠期なんか訪れず末永く夫婦ラブラブなんて人も少なからず居るのだろうか?そんなことを、ふと考えさせられた映画が今回紹介する驟雨。ちなみに読み方は『しゅうう』と呼び、意味は『急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨のこと』(goo辞書より)。
 本作の佐野周二原節子が演じる夫婦が突然言い合いを始めたり、また元通りになったりする様子の例えとして驟雨がタイトル名になっている。よく夫婦をテーマにした映画に、夫婦の絆を描いた作品を見受けられるが、本作から夫婦の固い絆を感じることはできない。なんせ冒頭から退屈そうに夫婦そろって欠伸をするシーンから始まるのだ。

 これがごく普通の夫婦関係だと感じさせるストーリーの紹介を。
 結婚して4年目になる並木 亮太郎(佐野周二)と文子(原節子)夫妻だが、子供もおらず日常の会話も特にはずむこともない。日曜日の朝から、くだらないことで言い合いを始めた2人だが、ばつが悪くなった遼太郎は家を出てしまう。そして夕方になると新婚旅行に行っていたはずの姪っ子のあや子(香川京子)が家へやってくる。
 文子はあや子の旦那に対する愚痴を聞いてあげている時に、亮太郎が帰ってくるのだが彼は何かとあや子の旦那の肩を持つ発言をしてしまい・・・

 昭和30年代の東京を舞台にしており、この時代の資料的な要素も本作から見てとれる。駅の様子、商店街、そして会社勤めのストレス、女性の社会進出に対する抵抗感など興味を惹きつけられる。そんな時代背景よりも、笑わせるのが何気ないことを発端としての夫婦喧嘩が繰り広げられること。現在なら夫婦間によるDVなんかが問題になるが、この時代の夫婦喧嘩の長閑さを感じさせるし、笑わせる。
 また、亮太郎が昔風の日本の夫像を感じさせるように、家庭のことにはまるで無関心で妻に丸投げ。亮太郎はどうやら胃潰瘍らしく薬を服用しているのだが、その薬も自分で取ればいいのに、偉そうに妻に指図して薬を取らせる始末。しかし、このぐうたらさも笑わせる。まあ、男って偉そうにしていても所詮はこんなもんだということが本作を観ればよく理解できる。
 度々描かれる夫婦喧嘩は笑わせるし、難しい近所付き合いもユーモアをもって描かれている。そして夫婦って良いよねと思わせるラストシーンが逸品だ。ちょっとばかしコメディが入っているかのような驟雨を今回はお勧めに挙げておこう

 監督は日本が誇る名匠成瀬巳喜男。本作とよく似ているタッチのめし、そして女の執念を感じさせる浮雲がお勧め

ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ










 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 スリ(1959) 渋い犯罪映画

2025年02月06日 | 映画(さ行)
フランス映画界の巨匠ロベール・ブレッソンの作品と聞いても個人的に心に響かなかったのだが、前々から気になっていた映画が今回紹介するスリ。本作でスリの仕方を学ぼうと思って観るのは間違い。むしろスリの快感に溺れていく主人公の心理描写に個人的には惹きつけられた。

 早速だが犯罪から抜け出せない若者のストーリーの紹介を。
 ミシェル(マルタン・ラサール)は、競馬場で婦人からスリをして成功したかと思いきや1分後には逮捕されてしまう。しかし、証拠不十分で釈放される。だが今度は地下鉄でスリの現場をみてしまい、それを切っ掛けにスリをしまくる。そんな彼に警察やスリのプロも近づいてくるのだが・・・

 スリのシーンだが、その手際の良さに惚れ惚れする。スリの練習のシーンなんかも描かれており、思わず参考にしたくなる人もいるはずだ。しかし、そんなことよりもミシェルの犯罪をすることに対して、特に後ろめたさを感じない適当すぎる考え方に思わず納得してしまいそうになったり、病に苦しんでいる母親に会おうともせず信念に従ってせっせとスリを繰り返す強情さ、それでいて人情に脆い面を見せたりする精神面に興味が惹かれる。あのドストエフスキーの名作『罪と罰』にかなり影響を受けている様子が見てとれるので、読んでいると更に興味深く観れるだろう。
 主人公の男性は寡黙で全体的にトーンは低め。その分主人公の行動や心理をシャープに切り取っているので、全体で80分にも満たない短い作品になっているのが良い。俺と同じようにロベール・ブレッソン監督作品と聞いて心が躍らない人も多いとは思うが、彼の作品が合わないと思う人にとっても映画スリは一見の価値があるということで、今回のお勧めに挙げておこう

 監督は前述した通りロベール・ブレッソン。先日ブログにもアップしたブローニュの森の貴婦人たちはお勧め

ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ






 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 エンド・オブ・ウォッチ(2012) リアル警察映画

2025年02月01日 | 映画(あ行)
 最近はジェイソン・ステイサム主演のアクション映画ビーキーパーの評判が良いようだが、監督のデヴィッド・エアーの傑作が今回紹介するエンド・オブ・ウォッチ。我らが大谷翔平のドジャースの本拠地で知られるロサンゼルスを舞台にしているが、その中でも重犯罪地区であるサウス・セントラルでストーリーが繰り広げられる。日本からも多くの人がドジャーススタジアムへ応援に駆け付ける人が多いと思うが、どんなに間違ってもサウス・セントラル地区に入ってはいけないと忠告しておこう。
 本作を観ればわかるが、この地域はやばい。ロサンゼルス市警の警察たちだが、日本の警察が天国に思えるぐらい、日常的に命の危険に晒されている。しかも、その犯罪がえげつないのが多いので、警察官になりたがっている人もロサンゼルス市警として働くのはだけは止めろ。

 ロサンゼルス市警の2人組が色々と危ない目に遭うストーリーの紹介を。
 ロサンゼルス市警でコンビを組んでいるテイラー(ジェイク・ギレンホール)とサヴァラ(マイケル・ペーニャ)は白人とメキシコ系として人種は違うが、固い友情で結ばれている。テイラーはいつもカメラを持ち歩いており、警察の内部や自らの捜査をしている仕事ぶりを撮っている。
 そんな2人は冗談を言い合いながらも仕事は真面目で毎日のようにおこる事件を片っ端から検挙していく優秀ぶりを見せる。しかし、彼らはメキシコ系の麻薬カルテルのアジトを検挙したことから、逆に追い詰められることになる・・・

 冒頭から撮影マニアのテイラーによるハンディカメラの映像で不審者を追いかけるシーンがあるのだが、これがドキュメンタリータッチで真実性があって迫力がある。全体に渡ってこのようなシーンがあるのが新鮮で面白く効果抜群だ。
 ちょっと不審な車を止めたら、相手がいきなり発砲してきたりで何時銃弾が飛んでくるかわからない怖さもある。そして、えげつないのが怪しい家に飛び込んだら、悲惨な姿になっている死体がゴロゴロあったり等、日本に住んでいたらあり得ないような事件のオンパレード。
 しかし、本作が巧みなのが事件ばかりを羅列するのではなく、結婚式や子供が生まれる幸せそうなシーンを入れながら、その直後に突拍子もない事件が起きるような構成になっていること。そんなシーンをみて、警察を家族にすることの不安、覚悟を感じさせる。そういう意味で本作はガチのリアル警察映画と言えるだろう。
 優秀で熱心な警察であるほど危険な目に遭わされる怖さを感じさせるし、ガチの警察の仕事を映画で味わえる。そして何よりも警察に対する愛を感じさせるのが良い。動き回るカメラワークが苦手な人は、酔いそうになる人が居るかもしれないが、個人的には非常に楽しめた。嘘くさい警察映画に白けてしまう人だけでなく、スリルを感じさせる映画として今回はエンド・オブ・ウォッチをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したデヴィッド・エアー。ブラッド・ピット主演のフューリーがお勧め

ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
映画ランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする