褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ミッドナイト・エクスプレス(1978) トルコを舞台にした脱出劇

2025年02月12日 | 映画(ま行)
 人間の尊厳を感じさせる映画が今回紹介するミッドナイト・エクスプレス。タイトル名を日本語に直訳すると『深夜特急』ぐらいの意味になるが、暗喩として『脱獄』の意味が含まれる。もちろん本作の内容は列車に乗って旅行するストーリーのはずがなく、脱獄をテーマにした映画。
 ちなみに本作は実話を基に今や映画監督として巨匠にまで登りつめたオリバー・ストーンが脚本を担当。パワフルでバイオレンスなタッチは彼による貢献度が大きい。そして非常に見所が満載で印象的なシーンが多い映画になっている。

 アメリカ人が異国の地で絶望感に叩き落とされるストーリーの紹介を。
 1970年、アメリカが中東諸国との関係を悪化させていた頃。アメリカ人のビリー(ブラッド・デイヴィス)はトルコのイスタンブール空港でハシシ(麻薬)を密輸しようとした罪で当局に逮捕される。ビリーは刑務所に送られるが、そこには極悪な看守ハミドゥ(ポール・L・スミス)による暴力が支配していた。
 アメリカの領事館の介添えもあり裁判に持ち込むのだが、相手側の検事の追及は厳しく刑期4年が言い渡される。模範囚としてひたすら辛い日々を耐えて3年余り経った頃、寝耳に水の如く再度裁判が行われる。そこで彼は30年の刑期を言い渡されてしまう。トルコをめぐる国際情勢の悪化のために、世界への見せしめの犠牲にビリーはなってしまったのだ。そして、このままではトルコの刑務所で死を迎えることを悟ってしまったビリーは深夜特急に乗ること、すなわち脱獄することを決意するのだが・・・

 どこまでオリバー・ストーンが脚色したのかわからないが、ビリーがトルコ当局に逮捕されてハミドゥにこん棒で殴られるシーンは痛すぎる。罪を背負うのは当然だが、流石にこれが事実ならやり過ぎ。刑務所を舞台にした映画の殆どにロクでもない看守が登場するが本作もその例に漏れない。
 しかし、ビリーはアメリカへ帰りたい一心で耐え続ける。刑務所内でアメリカ人の友達もできて、脱獄をそそのかされるのだが彼は模範囚としての道を選ぶ。それなのに再びトルコのメンツのために利用されて、更に刑期30年を言い渡されるショックと絶望感は言葉で言い表すことができない。人間の尊厳を貶める国際政治の駆け引きには本当に腹が立つ。我が日本も拉致されたままになっている人々が居ることを思えば他人事で済まされないテーマが本作から感じられる。
 そして印象的なシーンの数々。ビリーが密告屋に対する報復の壮絶なシーン、生々しい恋人との面会シーンなど生半可な気持ちで見ることができない場面も出てくる。異国で刑務所に繋がれることの不安を感じさせるし、スリルも感じさせる。重苦しい雰囲気が漂うが最後には爽快感が味わえる、ということで今回はミッドナイト・エクスプレスをお勧めに挙げておこう

 監督はアラン・パーカー。子供たちばかりが出演しているダウンタウン物語、ベトナム戦争の傷の深さを描いたバーディ、オカルトホラー映画の傑作エンゼル・ハート、人種差別をテーマをサスペンスフルに描いたミシシッピー・バーニング、死刑制度の是非をユニークなタッチで描いたライフ・オブ・デビッド・ゲイル等お勧め多数の名監督です。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (アスカパパ)
2010-03-15 16:28:18
コメントとTBありがとうございました。
この映画には、感動を覚えたことが沢山ありますが、最も印象に残ったことを述べさせて頂き、コメントとさせて頂きます。
私はどちらかと言えば、最近の洋画の性描写には、嫌悪感を抱く場合が多々あります。
けれども、この映画の自慰シーンは別でした。その必然性を認めます。ビリーの心情が、痛いほど解りました。女優さんも立派でした。
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コメント&TBありがとうございます (ディープインパクト)
2010-03-16 09:03:13
 コメント&TBありがとうございます。確かに最近の映画の性描写には嫌悪感をだく映画もあります。
 特に露骨にホモの性描写を描いている作品は苦手です。(例えば、『ぼくを葬(おく)る』『ブロークバック・マウンテン』)
 しかし、ロバート・アルトマン監督の映画で『ザ・プレイヤー』と言う映画があるのですが、映画のヒットする要因として1つにセックスシーンだと言う台詞がありましたが、その言葉が現状のハリウッド映画にあてはまるのかもしれないです。本当は内容で勝負の映画であるべきなのですが、残念なことです。
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