褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 カビリアの夜(1957) 大いなる人生賛歌を感じます

2015年06月27日 | 映画(か行)
 騙され続けて人間不信になりそうな瀬戸際に立ちながら、それでも人を信用し続けている俺みたいな非常にいたいけな女性が主人公の映画が今回紹介するカビリアの夜。哀しいことにジュリエッタ・マシーナ演じるカビリアだが全く男を見る目がない。近づいて来た男達からは金を分捕られてしまうだけでなく、危うく殺されそうになったりする。俺に言わせれば、いつもニコニコして良い人そうに見える男に限って腹黒い奴が多いから、そんなのが近づいて来たらすぐに逃げろ。我ながらいつも通り的確なアドバイス。ちなみに自信過剰な奴も気のチッチャイ奴が多い!

 不幸のどん底から抜け出ようと、幸せを望めば望むほど、どんどんドツボにはまっていくストーリー。しかし、これが意外にも観ている最中は陰鬱な気分にはならない。それは何故なのか?カビリアだが、お世辞にも美人とは言い難く、スタイルも惹き付けられるものは何も無い。しかし、どんな不幸な目に遭っても決して笑顔を忘れないし、踊っているシーンは見ていて楽しい。本作を観れば、やっぱり女性の笑顔というのは素敵だな~と感じる。

 さて、この世の中において、もっとカビリアのような女性がたくさん居たら、きっと素敵な世界になるのにと思わせるストーリーとは如何なるものか。
 両親は小さい時に亡くし、今は娼婦として身を立てていたカビリア(ジュリエッタ・マシーナ)。恋人だと信じていた男に河へ突き落とされ、持っていたお金も盗られてしまう。そんな不幸な目に遭いながらも、いつかは良い男を見つけて幸せな結婚生活を夢見ていた。
 イタリアの大スターからナンパされ、彼の豪邸へ連れて行ってもらう出来事がありながらもロクな結果が得られない。しかし、若くて、大人しそうな会計士であるオスカー(ランソワ・ペリエ)という名前の男性から声をかけられる。初めこそ警戒していたカビリア(ジュリエッタ・マシーナ)だが、彼の真摯な態度と言葉にやっと求めていた幸せが手に入ると思われたのだが・・・

 カビリアが出会う男達はとんでもない奴ばかりと思いきや、今回改めて観ると実は良い人も登場していたことに気付いた。洞窟に暮らしているホームレスに無償で施しをしている男。この男の見返りを求めず、ただ困っている人を助けたいという純粋な気持ちはちょっとした一服の清涼剤の役割を果たす。この前後のシーンを考えると、なかなか絶妙なタイミングで善人を登場させている。
 しかし、そんな希望が湧いてくるシーン出てからも非常に辛辣な展開が続く。幸せになりたいという想いは、聖母マリア様の力を持ってしてでも叶えることはできないし、カビリアが持っている物を全て無くしてしまう。だいたい何かを得たいと思えば、何かを失ってしまうのはこの世の道理。カビリアだけでなく、現代に生きる我々にとっても偽りの幸福を求め過ぎるあまり、大切な物を無くしてしまっているのと同じこと。このメッセージは大きな教訓として感じることができるが、悲しいことにやっぱりカネが欲しい。

 ひたすら騙されながらも、それでも人を信じ、人生を信じるカビリア。彼女の生き方は落ち込んだ気分になってしまうが、ラストシーンではわずかな希望の火が灯され、大いなる人生賛歌に昇華する。この世の中を良くするのは男性の笑顔ではなく、輝ける女性の笑顔。そしてニーノ・ロータの音楽は心に沁みるし、幸せを掴んだかのように思えたカビリアの台詞が素敵過ぎて泣けてくる。
 これからの人生に希望を見いだせない人、フェデリコ・フェリーニ監督の映画を観たことが無い人、昔のイタリア映画が観たいと思っている人、ストレートに感動する映画を観たい人に映画カビリアの夜はお勧めだ

カビリアの夜 完全版 [DVD]
フェデリコ・フェリーニ
東北新社


 監督は前述したようにイタリアというよりも世界的な名監督であるフェデリコ・フェリーニ。多くの傑作をこの世に出していますがお勧めは。とにかく余韻が抜群です。ちなみに本作とにも出演しているジュリエッタ・マシーナは彼の奥さんです。

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映画 コンドル(1939) 気持ちの良い男達です

2015年05月29日 | 映画(か行)
 ダンディな男が登場する映画で、パッと思い出す映画といえばハンフリー・ボガード主演のカサブランカ。あの映画はボガードの格好良さが際立っていたが、今回紹介する映画コンドルは幾人もの格好良い飛行機野朗が登場する。若いイケメンは俺の記憶では出てこなかった気がするが、友情、誇り、勇気、プロ意識、そして優しさを持ち合わせた男達が登場するが、この映画を観た人はきっと次のような感想を持つはずだ。『真の格好いい男とは、これだよこれ!』。

 今の時代の感覚からいけば飛行機って安全じゃんと思ったりするが、この映画に登場する飛行機は危ない、危ない。なんせ本作が公開されたのが1939年だが、当時の飛行機の設計、管制塔、天気の見張り番の状況を窺い知ることができるが、この時代の飛行機を操縦するパイロット達はまさに命懸けという言葉がぴったり。本作に登場する可愛くて綺麗な女性達が『危ないから、もう飛ばないで』と泣きながらお願いしてくるシーンがあるが、それでも自らの使命感に奮い立つ男達は、空を飛び続ける。もしも俺がチョッとばかし可愛い女の子からそんなことを言われたら、何の迷いも無く飛行機に乗らずに女の子の方へ向かって走っていく。

 さて、伊達男ぶりを遺憾なく発揮するケーリー・グラントとチャーミングなジーン・アーサーの恋の行方を中心に、パイロットが今もモテル理由がよくわかるストーリーとはいかなるものか。
 南米の港湾都市バランカにおいて、ショウガールであるアメリカ人のポニー・リー(ジーン・アーサー)が船から降り立つ。そこで彼女は2人の男に誘われるように食事に行くのだが、その場所は航空会社兼レストラン。実は、その2人の男は航空会社のパイロットであり、航空会社と言っても郵便配達が主な仕事で非常に小さな会社だ。
 良い感じになってきたポニー・リー(ジーン・アーサー)と航空会社の男達だったが、彼女は信じられない光景を見てしまう。先ほどまで一緒に飲もうとした男が、航空会社のマネージャーであるジェフ・カーター(ケーリー・グラント)から、いきなり仕事を命令され、飛行機に乗って離陸すると直ぐに濃霧に遭い引き返してくるのだが、着陸に失敗して死亡。
 ショックで打ちひしがれるポニー・リー(ジーン・アーサー)だったが、ジェフ・カーター(ケーリー・グラント)はまるで何も無かったように、酒を飲み、その場に居たお客さんと大いに盛り上がる。冷酷非情な態度をとるジェフ・カーター(ケーリー・グラント)に対して当初は嫌悪感を持っていたのだが、次第に彼に惹かれていき・・・

 こんな航空会社があったら事故ってばかりのような気がするし、最初の方で着陸に失敗して炎上している場面を見せ付けられているだけに、多く出てくる飛行機が飛んでいるシーンはなかなかスリルがあって楽しい。とくにアンデス山脈を越えていくシーンは非常に印象的だ。
 ある者はもちろん仕事のために飛び、ある者は過去の自らの汚名を晴らすべく飛び、または友情のために飛ぶ。このような飛行機野朗を見ていると、なんだかとっても気持ちの良い奴ばかりで、やっぱり男には自分の命よりも大切な物が存在するということがよくわかる。
 そして、ケーリー・グラントの台詞が格好良い。特に『俺は女には一度も頼ったことが無いし、これからも頼らない』なんて、いつも頼りっぱなしの俺なんかが聞くと、本当に心が震える。他にもラストのコインの使い方なんかは洒落ていて演出の妙を感じさせるし、脇役に至るまでキャラクター設定も抜群で違和感のある奴なんか出てこない。
 メチャクチャ古い映画だが本作を観れば男の値打ちがよくわかるし、馬鹿なことに無邪気に、はしゃいでいる男の行動が理解できない女性が観ても、きっと楽しめる。豪快かつキメ細かいタッチの演出の両方を備えた稀な作品として映画コンドルは老若男女を問わずに万人にお勧めしたい

コンドル [DVD] FRT-296
ケイリー・グラント,ジーン・アーサー,リチャード・バーセルメス,トーマス・ミッチェル,リタ・ヘイワース
ファーストトレーディング


 監督は名匠ハワード・ホークス。コメディから西部劇まで多く名作、傑作を連発してきた。他のお勧めはジョン・ウェイン主演のリオ・ブラボー。痛快娯楽映画の傑作西部劇です。

 キャストでは本作でもコケティッシュな魅力を振りまいているのがジーン・アーサー。1930年代のハリウッド作品の名作に出演すること多数。特にフランク・キャプラ監督のオペラ・ハット我が家の楽園、そして名作西部劇シェーンがお勧め。

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映画 影の軍隊(1969) レジスタンス闘士のストーリーです

2015年04月30日 | 映画(か行)
 対ナチス・ドイツを描いたレジスタンス映画なんかは今でも描かれているようにワンサカある。その殆んどはレジスタンスの闘士たちが祖国のためにナチス・ドイツと戦っているシーンが多く描かれているのだが、今回紹介する映画影の軍隊は、観終わった後に『アレレ~、こいつ等殺す相手間違ってんじゃん』と思わせるような暗い気分になる映画であり、ナチス・ドイツ相手に戦っているようなシーンなんかほとんど無い。この映画で描かれているのはレジスタンス達がコソコソ逃げ回ったり、捕まって拷問を受けたり、脱獄を手伝ったり等のエピソードの積み重ね。
 そして更に衝撃的なのがレジスタンス内における鉄の規律。組織内の裏切り者を粛清していく様子は、なんだか日本においても幕末の志士達を震え上らせた新選組の内部事情を見ているような気分になる。レジスタンスの中には優しい人間も出てくるのだが、演出は非常に冷徹で感情が入り込む余地が無いのが本作の特徴だ。

 さて、実話をベースにしているらしい対ナチス・ドイツのレジスタン達の運命を描いたストーリーとはいかなるものか。
 1942年のナチス・ドイツ占領下のフランスが舞台。密告を受けてドイツ軍に捕えられたシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)は隙を見つけて脱走。その後レジスタンス仲間と合流して、密告した裏切り者を粛清する。
 シェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)は新任務のためにレジスタンス組織のボスであるジャルディ(ポール・ムリス)とロンドンへ向かう。しかし、ロンドンでの任務中にフランスでは仲間のフェリックス(ポール・クローシェ)がナチスに捕まってしまうとの報告を受け、彼の救出のためにシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)はフランスに戻り、女レジスタンスであるマチルダ(シモーヌ・シニョレ)の協力を得て、フェリックス(ポール・クローシェ)を救出しようとするが失敗に終わる。しかも、ナチス・ドイツの魔の手は再びシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)に向かってくる・・・

 多くのナチス・ドイツに対抗するレジスタンスを描いた映画といえば、レジスタンス側を善として描いていることが多いが、本作においては悪の部分が描かれている。まあ、考えてみれば戦争において勝った方が必ずしも正義で、負けた方が悪者なんて考え方が非常に狭い見方。レジスタンス側にも非の部分があったはずだ。本作を観れば非常にそのことがよく理解できる。
 しかし、この映画は冒頭から、『悪しき思い出も、また懐かしきけり』との言葉が紹介され、続けてフランスの象徴である凱旋門をドイツ軍が行進するというような自虐的なシーンから始るあたりから、もう他のレジスタンス映画とは一線を画している。
 そしてその後に続く展開がとても重く、渋くて、派手さなんてまるでない。そして画面からしてなんだか暗い。そして極めつけがラストシーン。やっぱり戦争って勝っても負けても悲惨だよな~と思わせるのに充分過ぎるほどの衝撃を観ている者に与えてくれる。
 ドハデな撃ち合いを期待している人には向かないが、大人が観賞するには非常に見応えのある映画。それなりの緊迫感があるし、なんだか意味深なシーンも多く出てくるだけに深読みすることが好きな人は、けっこうはまるかもしれない。あんまりフランス映画を観たことが無い人にもお勧めだし、監督がジャン=ピエール・メルヴィルと聞いて、『オ~、カッコエエ~』なんて思った人にはお勧めだ

影の軍隊 [DVD]
リノ・ヴァンチュラ,シモーヌ・シニョレ,ジャン=ピエール・カッセル,ポール・ムーリス
ジェネオン・ユニバーサル

 
 監督は前述したようにフランス人のジャン=ピエール・メルヴィル。渋くて、格好良い映画を撮る監督さん。この人のお勧めは犯罪映画の仁義、アラン・ドロンがクールで格好良い殺し屋を演じるサムライがお勧め。

 主演のシェルビエを演じるのがリノ・ヴァンチュラ。多くのフランス映画の名作に出演している名優。この人のお勧めはジャン・ギャバン主演の現金に手を出すな、ジェラール・フィリップが不運の画家モディリアーニを演じたモンパルナスの灯、アラン・ドロンと競演した冒険者たちがお勧めです。

 女レジスタンスであるマチルダを演じるのがシモーヌ・シニョレ。この人のお勧めはマルセル・カルネ監督の嘆きのテレーズ悪魔のような女の2作品ともサスペンス映画として上手くできておりお勧めです。

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映画 霧の中の風景(1988) テオ・アンゲロプロス監督の映画です

2015年04月23日 | 映画(か行)
 今回紹介する映画霧の中の風景はギリシャが生んだ偉大なる映画監督であるテオ・アンゲロプロス監督の作品だ・・・と聞いて心が躍らない人には眠たいだけの映画かもしれない。実は俺も数年前に映画館でリバイバル公開されるのを聞きつけ、電車で1時間以上かかるところを駆けつけて観たことがあるのだが、我慢しきれず爆睡してしまった。そして、今回改めてDVDで観ることになったのだが、もちろん事前準備としてたっぷり睡眠をとってから観たことは言うまでもない。

 さて、この映画についてだがストーリーは実に単純。ギリシャのアテネからドイツへ、まだ幼い姉弟が見たことのない父親を探しに行く旅映画(ロードムービー)。観ている最中『あれっ、ギリシャとドイツって隣同士の国だったけ?』とずっと疑問に感じていたのだが、観終わってから地図帳を引っ張り出して調べたが、案の定と言うべきか隣同士の国であるはずがない。
 姉さんの方ですら、まだ小学生の高学年ぐらいの年齢(弟の方はまだ小学校にも行ってないか?)。そんな幼い姉と弟が2人だけで母には内緒で、いきなり国外へ出て行くとは無謀すぎるチャレンジであることが誰の目にも明らかであり、『可愛い子には旅をさせよ』という有名な諺を思いついた人もビックリしてしまうような旅。なんせ、金なんか持っているわけが無いので、タダで国際列車に乗ってしまうような褒められるチャレンジ旅行でもない。
 そもそも、なぜそこまでして見たことがない父親に会おうとするのか、ただ母親が鬱陶しいだけで父親に会いたいと思うのか、しかも父親が本当にドイツに行ったのかどうかも怪しいことが示される。とにかく旅がもたらす過酷な出来事は幼い姉弟にどのような経験をもたらすのか。そして姉弟は最後に父親を見つけることができるのか、それとも・・・、それでは簡単にストーリー紹介を。

 ギリシャ、アテネにおいて。母子家庭に育っていて、父親を見たことがない姉ヴーラ、弟アレクサンドロスは、母親から父はドイツに行ったと聞かされる。ヴーラとアレクサンドロスは父親を一目で良いから見たいと思っており、毎日の如く駅へ通いつめるのだが、流石に電車には乗れないでいた。
  しかし、ついに2人はある日のこといつも通り駅へ通っていたのだが、父親に会いたいという想いを我慢できずにドイツ行きの国際列車にタダ乗りしてしまう。2人は寝ているところを乗務員に見つかってしまい、途中の駅で降ろされてしまう。しかも、2人は警察に連れて行かれるのだが、それでも父親に会いたいという熱い気持ちは、幼き2人をひたすらドイツへ向かわせるのだが・・・

 見ていると2人の姉と弟は、まだ幼いからこそ無謀なチャレンジができたことがわかる。国境を越えるのにパスポートが必要なことも知らなかったのだ。そんな2人が旅の途中で出会う人間には悪い人間も居れば、良い人も居る。しかし、そんな出会いは2人の心理に様々な影響を与える。実はこの映画は、父を訪ねて何千里?というようなロードムービーの形態をとっているが、本当のところは2人の成長物語だと観る方が感動を得られるだろう。
 電車に揺られながら、本当にドイツに居るのか居ないのかわからない父親に語る台詞はなかなか感動させる。そして良い人代表として2人が出会う旅芸人一座の若者と姉ヴーラのやりとりも感動させる。かつて俺が本作を映画館まで観に行ったときに、寝てしまっている間にこんな感動的なシーンがたくさんあったのかと思うと何だかショックを受けた。
 そして、この映画は観ている最中も、観終わった後も考えさせるシーンが出てくるのも特徴だ。幼き姉弟が警察署を脱出するシーンは何だかお伽噺を見ているような気分に少しだけさせるし、結婚式らしき行いがされているところで馬が引きずられているシーン、海からでかくて指が欠けている手の彫刻が引き上げられるシーンなど非常にメタファー的な要素が入っていたりして、思わず作り手の意図するところはなんだったんだ?と悩んでしまいそうになる。

 そして美しくも儚さを感じさせるのがラストシーン。現実と夢想の境界線が非常に考えさせられるシーン。この世の中には相対するものがあくさんある。善と悪、生と死、子供と大人・・・等など。しかし、それらの区別する基準は実はハッキリしているものではなく、非常にボヤけている。生と死について述べると、昨日出会った時はあれほど楽しそうにしていた人が、翌日には自殺していたなんてことを考えると、生と死の境界線は実は難しい。
 現実なのか夢なのかハッキリわからないような結末から、前述したあらゆる対比がこの映画に描かれていたことに気付いた時に、俺はこの映画は傑作だと感じた。

 映像的にはギリシャって海が燦々としていて天気が良いと思っている人が多いと思うが、本作は全編にわたって天気が悪い。いつも足場が泥だらけで綺麗な靴で歩きたくない場面ばかり出てくる。なんでこんなに天気が悪いシーンばかりなの?と感じる人がいると思うが、これがこの監督のスタイルとしか答えようが無いと言ったところか。
 アンドレイ・タルコフスキー監督の映画で、どうして家の中なのに雨が降っているの?と聞くのと同じ類の質問だ。

 テオ・アンゲロプロス監督の映画が好きな人ならば、もちろん旅芸人の記録エレニの旅ぐらいは観ているだろう。そんな人が観れば、なかなか本作は彼の中でも異色的な作品として興味が持てる。たまにはハリウッドの娯楽色の強い映画よりもヨーロッパの芸術的映画を観たいと思っている人には、充分に睡眠をとってから観ることをお勧めしておこう

霧の中の風景 [DVD]
タニア・パレオロゴス,ミハリス・ゼーケ,ストラトス・ツィオルツォグロス,エヴァ・コタマニドゥ,アリキ・ヨルグリス
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)


 この映画はBlu-rayもあったんですね
霧の中の風景 Blu-ray
テオ・アンゲロプロス,トニーノ・グエッラ,タナシス・ヴァルティスト
紀伊國屋書店


 監督は一昨年の交通事故による死が本当に惜しい世界を代表する映画監督テオ・アンゲロプロス。政治的背景を描くこの監督の映画は難解であり、ときどき普通の内容なのに3時間を超える作品もあったり、突拍子もなくビックリするようなシーンが現われたり、出演者に無名な人や素人を使ったりする時もあれば、有名な俳優を使う時もある等、非常に個性的な監督さん。お勧めは4時間を超える大作旅芸人の記録、3時間の大作エレニの旅は眠たくなりそうな時に、歌や掛け声が流れてきたり、でかい怒鳴り声が響いてきて、心地良く寝させないのでお勧めです。もちろん内容もいいです

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映画 ゴッドファーザー(1972) 全てが最高のマフィア映画

2015年01月17日 | 映画(か行)
 ストーリーは勿論のことだが、監督、俳優、音楽、映像、バイオレンスなど全てがサイコ~であり、名作としての貫禄を充分に感じることができる映画といえば、これゴッドファーザー。唯一ユーモアが足りないが、本作に関しては笑いの要素は必要ないので、そんなことは減点の対象にはならない。
 だいたいマフィア映画の主人公といえば、直ぐに怒鳴り散らし、平気で目の前に居る人間を撃ってしまうような近寄りがたい雰囲気の奴が多いが、本作のマーロン・ブランド演じるイタリア系(シチリア系)マフィアのドン・コルレオーネは全く真逆のタイプのマフィア映画の主人公。大きな声を張り上げるどころかカスレ気味の声でボソボソと話し、しかも次々と人が勝手に集まってくる超人気者。しかし、集まってくる奴らはどいつもこいつも面倒くさい頼みごとばかりしてくるのだが、このマフィアのドンは嫌な顔を一つも見せずに寛大な心を持って頼みごとを聞いてやるような大変律儀な性格だ。そんな素敵な人柄が幸いしたのかどうかわからないが、裏では政治家や警察にコネを持っていて、賭博や労働組合まで仕切っている暗黒街の超大物として君臨している。
 そして、ドン・コルレオーネの信条を表わす台詞が『家族を大事にしない奴は男じゃない』。実は本作と言うよりもゴッドファーザーシリーズ全編を通してマフィア映画の体を成しながら、家族の絆及び血の結束を描いた映画だ。

 ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)には3人の息子と末の娘、四人の子供たちがいる。長男のソニー(ジェームズ・カーン)は気が短く、結婚して子供も居るのだが大変な女好き。次男のフレド(ジョン・カザール)は優しすぎて気が弱い。三男のマイケル(アル・パチーノ)はマフィアの家庭に生まれたことを嫌悪しており堅気として生きていくことを決意している元軍人。末娘のコニー(タリア・シャイア)は何だかいつも泣いているだけの印象。同じ父母から生まれた兄弟のはずだが、性格はバラエティに富んでいる。
 そして、更に少年時代から路頭に迷っていた所をソニー(ジェームズ・カーン)に連れて来られ、ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)に家族同然、ソニー(ジェームズ・カーン)達と兄弟同然に育てられたドイツ系アメリカ人のトム(ロバート・デュヴァル)、血は繋がっていないがコルレオーネ家にすっかり馴染んでいる様子が見てとれる。
 血の繋がっていない者も含めて非常に個性的な兄弟の面々だが、その中でもメインなのは三男のマイケル(アル・パチーノ)。前半の堅気生活と後半のマフィアの世界にどっぷり足を突っ込んでしまってから、別人のように変わってしまうマイケル(アル・パチーノ)の成長物語でもある。

 さて、男が命懸けで家族を守ろうとするマフィア映画の金字塔的作品のストーリーとはいかなるものか。
 ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、多くの人が集まり娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が盛大に行われている。その一方でドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)を個人的な相談事で訪れる者も居たりで、娘の結婚式に関わらずビジネスも絡んでドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は何かと忙しい。
 結婚式の最中に数年振りにマイケル(アル・パチーノ)が婚約者のケイ(ダイアン・キートン)を連れて帰ってきた。豪華な結婚式に驚いているケイ(ダイアン・キートン)にマイケル(アル・パチーノ)は父親が非合法的なビジネスに関わっているマフィアであることを正直に話し、自らは一切父親のビジネスに手を出さないことを誓う。
 マイケル(アル・パチーノ)とケイ(ダイアン・キートン)は仲良くデートを楽しむが、驚くべきニュースが飛び込んで来る。父親のドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)が何者かに弾丸を数発ぶち込まれ、重傷を負わされたことを知る。これを機にニューヨークのマフィア五大ファミリーの戦いが勃発。マイケル(アル・パチーノ)は堅気として生きていくことを決意していたのだが父親が撃たれたことに怒りを覚え、自らがマフィアの世界に飛び込み、過酷な運命に巻き込まれてしまう・・・

 脅迫、裏切り、粛清と何かとバイオレンスの匂いが漂うが、哀切漂う音楽『愛のテーマ』が血と死を洗い流す。イタリア系マフィアなんて聞くと人殺し集団かと思わせるが、元々はシチリアからアメリカに移民してきた人々が迫害される中で、それに対抗するための自警団組織。イタリア系移民にとって実はマフィアは心の拠り所。まさに本作の冒頭でドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)に頼みごとをするシーンを観ていると、マフィアの役割がよく理解できる、って本当かよ!?
 そして、実は俺がこの映画に興味が惹かれるのがコルレオーネファミリーに忠誠を尽くすトム(ロバート・デュヴァル)の存在。イタリア系社会における血の結束において、ドイツ系の血を引くトム(ロバート・デュヴァル)が完全にイタリア系社会に入り込めず苦悩しているシーンは本当にこの映画を奥の深いものにしていると思う。現在のところゴッドファーザーシリーズはPARTⅢまで作られているが、そのPARTⅢにおいてロバート・デュヴァルが出演を拒否してしまったが、おかげで少々薄っぺらいドラマになってしまったように思われるのが本当に惜しいと思う。
 他にも感動的な親子愛、ラスト近くで魅せる暗殺群集劇の素晴らしい演出、凄すぎるキャスト陣、フランク・シナトラやバグジー・シーゲルのような実在の人物のモデルを効果的に使っているシーンなど語り足りないことがまだあったような気がするが、実は俺が今まで観た映画の中で1番好きな映画がゴッドファーザー。俺が1番好きという理由だけでも万人にお勧めだ

ゴッドファーザー [DVD]
マーロン・ブランド,アル・パチーノ,ジェームズ・カーン
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン


ゴッドファーザー DVDコレクション 製作30周年記念 スペシャルBOX
マーロン・ブランド,アル・パチーノ,ロバート・デ・ニーロ
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン


 監督はフランシス・フォード・コッポラ。ベトナム戦争の狂気を描いた地獄の黙示録、ジーン・ハックマン主演のシニカルな味わいのあるサスペンスカンバセーション…盗聴…、ジェフ・ブリッジス主演の車好きにお勧めできるタッカー、ジョン・グリシャム原作の映画化でマット・デイモン主演のレイン・メーカー、再チャレンジのお話?であるコッポラの胡蝶の夢など他にもお勧め作品が多数ある監督です。

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映画 コンタクト(1997) 色々なテーマを内包しているSF映画です

2015年01月14日 | 映画(か行)
 時々、SF映画の形態のように見せておいて哲学的なテーマを内包しているような映画を見かけることがあるが、その多くの作品が『コレって、失敗作じゃねぇ~?』『映像明瞭、意味不明!』『眠た~い』なんて感想を抱く作品が多い。そのような映画に限ってSF映画の金字塔的名作とか呼ばれる作品が多いから、俺の頭がボケてんのか?なんて思ったりして自分に自信を無くすことがしょっちゅうある。
 しかし、今回紹介する映画コンタクトは表面状は単なるSF映画だが、内包されているテーマ性は多様で奥が深く、前述したような名作と呼ばれるSF映画にありがちな退屈感は全く無い。確かに最初の方は、宇宙人って本当に存在するのか?なんて話を科学者達が真剣に取り組んでいる様子を見ていると、なんだかスタップ細胞を発見しようとしているレベルと大して変わらないように見えなくもないが、本作の結末はスタップ細胞の茶番劇とは異なり、感動及び癒しを与えてくれる。

 SF映画らしい綺麗な映像を随所に見ながらも、現代を生きる我々人間に色々な教訓を示唆してくれる気分になる映画コンタクトのストーリー紹介を簡単に。
 SEIT(地球外知的生命体探査)を専門とする研究者であるエリー(ジョディ・フォスター)は、幼少の頃から天体や科学に興味を持ち、最愛の父親テッド(デヴィッド・モース)を9歳の時に亡くした後も、今ではひたすら宇宙人と接触(コンタクト)できることを夢みて、研究に没頭する日々を送っていた。
 宇宙人なんか居るわけが無いだろう、なんて世間の雑音も耳にする中で、何年も宇宙人との接触を試みてきたのだが、ついに研究費用は打ち切られ、独自に見つけたスポンサーからの援助も見込めそうに無くなってしまって研究続行のピンチに陥ってしまうのだが、ある日のこと遂にベガ(織姫星で有名)からの電波をキャッチし、そこには重要そうなメッセージが隠されていることまで発見するのだが、ここからエリー(ジョディ・フォスター)に様々な試練が訪れる・・・

 広い宇宙(スペース)において、本当に地球人以外にも宇宙人は居るのか?なんて永遠に議論されるようなテーマが込められているのは勿論だが、この映画にはそれ以外にも我々の身近におけるテーマも描かれている。科学のあり方、科学と宗教の対立、政府の科学に介入する姿勢、そして人類が存在する価値観など。日本では原発の大事故が起こり、世界ではテロが起こる等、チョッと古い映画ではあるが、現在の人間社会が直面している問題を考えるうえで非常に教示的な面が多く語られているだけに今こそ見直したい映画だ。
 そして、本作が非常に優れた映画である理由として人間ドラマがしっかり描かれていることがあるだろう。ジョディ・フォスター演じる科学者が最初はデータ的な裏づけの無い物は全て否定するようなガチガチな実存主義者だったのだが、彼女が体験することによって導き出された答えには、観ている我々に感動と同時に大いなる癒しを与えてくれる。

 それ以外にも何気ない冒頭のシーンが実は意味深だったり、少しばかりサスペンス的な面白さがあったり、何だか取って付けたような恋愛シーンも観る人によっては非常に興味深く観ることが出来るだろう。他にもハリウッド映画らしい素っ頓狂なアメリカ中心主義、何気に無駄に思えたり役目がよくわからない登場人物、アメリカ人にとって日本ってそんな役割かよ~とチョッと腹が立ったり等のような楽しみ方もできる。さらに豪華スター及び懐かしいスターまでキャストを注意して見ていけば更に楽しめる。 
 SF映画好きには充分に楽しめるし、奥の深い内容の映画が好きという人、なんで自分が存在しているのか悩んでいる人、そしてチャレンジ精神を持ちたいと思っている人に映画コンタクトは大いにお勧めだ

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ジョディ・フォスター,マシュー・マコノヒー,ジョン・ハート,ジェイムズ・ウッズ,デイビット・モース
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ジョディ・フォスター,マシュー・マコノヒー,ジョン・ハート,ジェイムズ・ウッズ,デイビッド・モース
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督はバック・トゥ・ザ・フーチャー以来、ずっと人気監督であり続けるロバート・ゼメキス。他にもロジャー・ラビットフォレスト・ガンプ/一期一会永遠に美しく…等がお勧め。最近ではデンゼル・ワシントン主演の重厚な人間ドラマが描かれているフライトが良いです。

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映画 拳銃の報酬(1959) 強烈なラストシーンと言えばこれ!

2014年09月18日 | 映画(か行)
 よくフィルム・ノワール映画の傑作に挙げられることが多いのが今回紹介する映画拳銃の報酬。実はいきなりだが、俺自身がフィルム・ノワールの本当の意味をわかっていない。俺的には、あんまりラストシーンが気持ち良くない犯罪映画の類で使っていることが多い。
 本作はハリウッドが昔から得意とする大金強奪をメインにした映画。そうなると強盗シーンがもの凄くハラハラドキドキするような展開を期待する人が多いと思うが、チッとも強盗シーンは盛り上がらないし、それまでのシーンに到っても特別凄いと思わせるシーンは何も無い。時々、本作をアクション映画に分類している記事を見かける時があるが、本当にアクション映画と思って観たら肩透かしを食らってしまう。犯罪サスペンス映画と言いたいところだが、これだけ盛り上がりに欠けるとサスペンス映画に分類してしまうのも的外れ。サスペンス風味の中に人種偏見問題をぶち込んだ社会派映画と言ったほうが的を得ていると思う。

 白人と黒人なんて分け隔てても、結局は人間なんて行き着く先はみんな一緒。白も黒も焼け死んでしまえばただの灰。ある意味、人種問題の愚かさを悟った気分になれるストーリーとはいかなるものか。
 元警官でありながら法廷侮辱罪で一年間刑務所暮らしをしていたバーク(エド・ベグリー)は既に年老いて、ぼろアパートに住んでいる。しかし、このままでは負け組みの人生に終わってしまうことに嫌気がししていた彼は一攫千金を狙って、銀行強盗を計画していた。
 彼は旧知の間柄であったスレイター(ロバート・ライアン)と酒場で歌手をしている黒人のジョニー(ハリー・ベラフォンテ)を誘って銀行強盗を実行しようとする。スレイター(ロバート・ライアン)は前科者であり、今では女に食わさせてもらっている落ちこぼれの老人。ジョニー(ハリー・ベラフォンテ)は博打好きが祟って、元妻と愛娘と別れさせられた上に、借金まみれ。ニッチモサッチモいかないダメダメ3人組の男達は、ボロボロの人生に終止符を打つべく銀行強盗を実行するのだが、スレイター(ロバート・ライアン)は異常なまでの黒人差別主義者であることから、事態は思わぬ方向へ転がっていくのだが・・・

 本作をフィルム・ノワール映画の傑作と言う意見には、半分以上は冗談のつもりで聞いておくぐらいにしておいた方が良いと思う。銀行強盗計画にいたっては仲間選びからして、なんでこの2人だったの?なんて思わざるを得ないし、もう少しマシな強盗方法があっただろうと誰もが思うはず。俺なんかはワザと失敗するための銀行強盗計画だったの?なんて思ったぐらいだ。
 しかし、この映画の最大の見どころはラスト数分間に集約されている。特に最後のわずか数秒の間に、人種偏見の愚かさ及び醜さを強烈に感じ、今までの違和感が漂いまくっていたシーンはラスト数秒のためのネタフリだったことに気付いた時は、思わず1人で拍手喝采した。
 正直観る人を選ぶ映画だと思うが、個人的には冒頭からジャズが流れてくる始まり方はお気に入りだし、ダメダメな男達が金の魔力に引き込まれてしまい更にドツボに嵌まっていく様子は好きな展開。100分足らずという比較的短めの時間もオッケ~。本作に登場する黒人俳優がチャリティーソングの名曲ウィ・アー・ザ・ワールドを世に送り出した提唱者であるハリー・ベラフォンテであることを知っている人ならば、本作は更に感慨深いものを感じることができる。内心では観てもらえれば多くの人が大満足できると思っている映画拳銃の報酬を今回はお勧めしておこう

拳銃の報酬 [DVD]
ハリー・ベラフォンティ,ロバート・ライアン,シェリー・ウィンターズ,エド・ベグリー,グロリア・グラハム
紀伊國屋書店


 監督はミュージカル映画の不朽の名作であるウェスト・サイド物語サウンド・オブ・ミュージックを世に送り出した名匠ロバート・ワイズ。彼のお勧め作品はポール・ニューマンが実在のボクサーを演じた傷だらけの栄光、スティーブ・マックイーン主演で1920年代の中国を舞台にした砲艦サンパブロなどがお勧めです。

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映画 コレラの時代の愛(2007) コロンビアが舞台です

2014年06月26日 | 映画(か行)
 チョッと前(4月の中頃)になるがコロンビアというより、南米を代表するノーベル文学賞受賞作家であるガブリエル・ガルシア=マルケスが亡くなられた。彼の作風は世界の知識人と呼ばれる人達に影響を与え、日本でも大江健三郎が彼の影響を受けていると言われる。先日のFIFAワールドカップ2014ブラジル大会で日本代表はコロンビア代表チームに敗れてしまったが、コロンビアが舞台であり、ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作品である小説コレラの時代の愛の映画化が今回紹介する作品。
 初恋の相手である女性を、50年以上を経ても一途に愛し続ける男の物語。ちなみに主役の男優はコーエン兄弟監督のノーカントリーでは、人を殺すことに一途なオカッパ男を演じたバビエル・バルデムだ。
 決して相手の女性は、いささかも美貌の衰えがないヴァンパイアみたいな女性ではなく普通の人間。当然のことながら年数を重ねるごとに顔はシワだらけになり、黒髪も白髪になり、歩き方も非常に心許ないし、体のラインもすっかり崩れてしまっている。容姿の衰えは目に見えてわかるほどなのだが、それでも同じ女性を愛し続ける。そんな純粋な男の物語なのだから感動するのは当たり前の話のように思えるが、ノーベル賞を獲る人が書く小説はやっぱり我々の想像を超えるトンデモなストーリー展開が繰り広げられる。果たしてこの男の生き方に、どれだけの人が共感できるのだろうか、またどのような人が共感できるのか。
 この男の言っていることは純情そのものだが、その行為自体は何だか?が付きそうなストーリーとは如何なるものか。

 飼っていた鳥(オウム?)を捕まえようと高い木によじ登っていた 老人フベナル(ベンジャミン・ブラット)が足を滑らせて死亡。夫であるフナベル(ベンジャミン・ブラット)の葬儀で悲しみに暮れるフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)だったが、彼女の前にいきなり年老いた男フロレンティーノ(バビエル・バルデム)が現われる。そしてフロレンティーノ(バビエル・バルデム)が彼女に言い放つ。『この時を待っていたんだ!』
 さて、すっかりお互いに70代を超えてしまった2人の間には、今までの50年以上もの長きの間に何があったのだろうか?
 時は戻り、1897年のコロンビア、カルタヘナにおいて。電報配達人の仕事に就いているフロレンティーノ(バビエル・バルデム)は配達先の裕福な家庭で暮らすフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)に一目惚れ。それから2人は文通を通してお互いに恋に落ちる。
 しかし、彼女の父親であるロレンソ(ジョン・レグイザモ)は娘を貧乏人と結婚させたくないために、2人の仲を引き裂く行為に出る。すっかり離れ離れになった2人だったが、恋愛感情は冷めなかったのだが、ロレンソ(ジョン・レグイザモ)の策略もあり、フェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)はフベナル医師(ベンジャミン・ブラット)と結婚してしまう。
 彼女の結婚に立ち上がれないほどのショックを受けたフロレンティーノ(バビエル・バルデム)だったが、いつか再び彼女に愛を告白しようと、何年もその時を待とうと心に誓うのだが・・・

 告白のタイミングをずっと待っていたら50年以上も経ってしまった。その間、この男は何をしていたのか?俺なんかは、どうせなら力づくで彼女を奪い取ったら良いやん、と思ったりしたのだが、この男が取った選択は彼女の夫が死ぬまで待つ事。念願が叶って、やっと告白ができたわけだ。しかし、夫が死んで悲しみに暮れているところへ『この時を待っていた』なんて失礼にもほどがある。こんな罰当たりな奴がこの女性と結ばれるわけがないだろうと思ったり、どうせ年老いた女性と本当は恋愛したくないからワザと適当なことを言っているのか、なんて思ったりしていたのだが、この男が女性を一途に思う気持ちは、チョッとドン引きしてしまうぐらい本物であることがわかってくる。
 まあ、彼女の相応しい男になるために貧乏人から抜け出すために上流階級の仲間入りをしようとする辺りのくだりは、なんとなく納得できる。しかし、この男は彼女が結婚してしまった時に決心した事の1つとして、『僕は彼女と結ばれるまで純潔を誓う』なんて、男を全く知らない女の子のようなことを言ったりしているが、実際はある事を切っ掛けにして、片っ端から女を抱きまくる。しかも気持ち悪いことに、1人目は・・・、2人目は・・・、3人目は・・・、というふうに抱いた女性の特徴をノートに書き込んでいる。何だかただの変態な気がしなくもないが、なぜそのようなことをするのかもっともらしい説明があったような、無かったような・・・
 そして、更に驚くのが女を抱いた人数。さすがにカサノバの千人斬りには及ばないが、軽く三桁を超える人数。しかも年老いていくのに伴いペースが落ちていくところか、さらにペースを上げていくから驚き。なぜコレほどまでに次から次へと女を引っ換え、取っ換え抱きまくるのか?これまたもっともらしい理由づけがされている。その理由が、1人の女性を愛し続けるために色々な女を抱きまくる、ということ。きっと多くの人はハア~?と思うはずだ。個人的にはな~んとなくわかるような気がするし、けっこう共感できるのだが
 
 コロンビアの大自然、ラテン音楽、タイトルにあるコレラ菌の流感や国内内戦などの激動の展開が、退屈になりそうな内容にちょっとしたスパイスとして効いている。そして内容が内容なだけにエロいシーンも多いが、けっこうそのようなシーンがコミカルで笑えたりする。50年以上にも渡る壮大な恋愛映画と思わせておきながら、実はコメディー映画たったのか?なんて思えるコレラの時代の愛は、ワールドカップで少しでもコロンビアという国に興味が湧いてきた人はもちろん、ちょっと変わった感動を味わいたい人にお勧めしたい映画です

コレラの時代の愛 [DVD]
ガルシア=マルケス,ロナルド・ハーウッド
ギャガ


 主演はノーカントリーのバビエル・バルデム。スペインを代表する名優。コーエン兄弟監督のノーカントリー、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督で父子の絆に感動するBIUTIFUL ビューティフル、アレハンドロ・アメナバール監督の尊厳死という重いテーマについて考えさせられる海を飛ぶ夢、ミロス・フォアマン監督、ナタリー・ポートマン共演の宮廷画家ゴヤは見た等、お勧め多数です。

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映画 華麗なるギャツビー(1974) アメリカ文学作品の映画化です

2014年06月21日 | 映画(か行)
 第一次世界大戦後の1920年代のジャズ・エイジを代表する作家であるF・スコット・フィッツジェラルドの代表作であるグレート・ギャツビーの映画化作品が今回紹介する華麗なるギャッツビー。既に何回か映画化されている作品であり、最近でもレオナルド・ディカプリオ主演で映画化されたのも記憶に新しいところ。レオナルド・ディカプリオ版の華麗なるギャツビー(2013)の映画評論は他の人のブログに任せて、こちらでは1974年に公開されたロバート・レッドフォード主演バージョンを紹介する。
 ちなみに俺は学生時代に原作を読んでいるのだが、正直何が言いたいのかサッパリわからなかったし、今となってはまるで印象も残らない。しかし、グレート・ギャツビーが何回も映画化され、現在でもアメリカ文学の最高峰たる存在に位置し、多くの読者に読み継がれるのはなぜなのか?そんな疑問を解決するためだけに同じ小説を2回も読む気が起こらないが幸いにして映画は観る気になれる。

 どうも文字だけを読んでいたのでは、その情景が頭の中に全く思い浮かばないという俺と共通の悩みを抱えている人にとっては映画というのは本当にありがたい。そして映像化された作品を観ると、なるほどアメリカ人が大好きそうな内容であり、最近になっても人気者のレオナルド・ディカプリオを引っ張り出してまで映画化したくなる理由がよくわかる。
 本作の描いている1920年代のアメリカといえば第一次世界大戦後の空前の好景気に沸き、そこからは新しい価値観、文化が生まれ、西欧の伝統の殻をぶち破り独自の道を切り拓くことになるアメリカの最も華やかだった時代。本作を観れば、小説を読んでいてもあまりにも浮き世離れし過ぎて何だかシックリ来ない人にも、その豪華絢爛たる世界観が楽しめる。
 そして、本作品が何ゆえに1970年代半ばに制作されることになったのか?それはプロデューサーが単にF・スコット・フィッツジェラルドのファンだったからなのか、よほど原作のグレート・ギャツビーに想い入れがあったからなのか?それとも・・・?

 
 お金さえあれば悩み事なんかは直ぐに解決できて、何でも望みが叶う。やっぱり世の中は、お金が全てなんだよな~という考え方は果たして正しいのか、正しくないのか?豪勢な生き方を選んだ男の人生の結果について考えさせられるストーリーとは如何なるものか。
 ニューヨークの郊外ロングアイランドにおいて、ニック(サム・ウォーターストン)は、毎晩豪勢なパーティーが繰り広げられる大邸宅の隣人ギャツビー(ロバート・レッドフォード)が一体何者なのか?とずっと気になっていた。
 ところがある日のこと、ニック(サム・ウォーターストン)の元にギャツビー(ロバート・レッドフォード)からパーティーに参加の招待状が届く。ニック(サム・ウォーターストン)はパーティーに参加するがギャツビー(ロバート・レッドフォード)は姿も見せず、彼の正体はスパイだの人殺しだの様々な憶測が飛び交っていた。
 ニック(サム・ウォーターストン)は何回かパーティーに参加する内に、ギャツビー(ロバート・レッドフォード)と会うようになり、次第に親しくなっていく。そしてギャツビー(ロバート・レッドフォード)の謎めいた生い立ちを知るようになり、更に彼がなぜ毎晩豪勢なパーティーを開催するのかを知ることになるのだが、果たしてその真相とは・・・

 ハリウッドの二枚目スターだったロバート・レッドフォード演じるギャツビーが毎晩パーティーを開催する理由なんかは早いうちに観ている者に知らされる。なんだか有り余っているお金を無駄に浪費するために使っているような気配が漂うが、本当の理由を知った時、俺なんかは同じ男として、なるほど!と感じた。大金持ちになりたい夢を叶えるためには、それなりのパワーとなる源が必要だと思うのだが、この辺りの説得力は抜群で俺の心にも大きく響く。
 この映画が製作された1970年代半ばのアメリカと言えばベトナム戦争の泥沼にはまり込んでしまい、衰退を辿り始めて迷走している最中。そんな時にアメリカの最も華やかな時代を舞台にした映画を撮ることはまさに懐古趣味的な側面が見て取れる。しかしながら、本作のギャツビーが辿る運命を考えると、大金持ち及び大金持ちになりたがっている人々に対しての皮肉的なメッセージを感じることができる。
 本作の見どころはギャツビーの辿る運命は勿論だが、1920年代を再現した豪華衣装、豪華な雰囲気が見逃せない。特にデイジーを演じるミア・ファローの衣装はピカピカ光っていて、見ていて目が痛くなるほど。だいたいあんな衣装は日本人で着こなせるのは叶姉妹ぐらいなもんだろう。
 とにかく金持ちになりたい人、逆に金持ちになりたくてもなれないとひがんでいる人、この世の中は全て金で動いているんだと考えている人には映画華麗なるギャツビーを観れば、本当の幸せはお金では買えないことがわかるはずだ

華麗なるギャツビー [DVD]
ロバート・レッドフォード,ミア・ファロー,カレン・ブラック
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


華麗なるギャツビー [Blu-ray]
デイヴィッド・メリック
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン



 原作です
グレート・ギャツビー (新潮文庫)
野崎 孝
新潮社


 主演のギャツビーを演じるのは、かつてのハリウッドの二枚目スターロバート・レッドフォード。最近は俳優としてだけでなく、映画監督としても佳作を連発しています。
 彼のお勧めの映画は有名どころでは明日に向かって撃て!スティング等が挙げられます。他にダスティン・ホフマンと共演した大統領の陰謀がお勧め。

 派手な衣装で登場するデイジーを演じるのがミア・ファロー。かつてはウディ・アレン監督作品に多く出演。その中でもカイロの紫のバラがお勧め。他にロマン・ポランスキー監督のローズマリーの赤ちゃんがチョッと怖いですがサスペンスタッチの盛り上げ方は抜群に面白く、お勧め。

 他にデイジーの旦那トム役でブルース・ダーン。最近も話題作のネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅に出演するなど息の長い活躍を見せる名優。彼のお勧め作品はアルフレッド・ヒッチコック監督の遺作になったファミリー・プロット、ジョン・フランケンハイマー監督、ロバート・ショウ共演のブラック・サンデーがお勧め。

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映画 コンドル(1975) 政治サスペンス映画です

2014年05月21日 | 映画(か行)
 アメリカには多くのポリティカル・サスペンス映画(政治サスペンス)の傑作がある。しかし日本の映画には政治映画というのはあるが政治サスペンス映画というのがなかなか思い当たらない。個人的には映画に娯楽を求めてる人間として、重い内容の映画でもサスペンスタッチで描いてしまうハリウッドの観客を楽しませるというサービス精神は本当に貴重だと思っている。
 実は今回紹介する映画コンドルは若くて、ハンサムな時代のロバート・レッドフォード主演であるが、観ていてマット・デイモン主演の大ヒットアクション映画ボーン・アイデンティティと非常に似ているように思ったのだが。巨大組織から逃げまくろうとしたり、女性を無理矢理巻き込んでしまったり、腕利きの暗殺者に狙われそうになったり、逆に巨大組織に対して反撃に打って出るところなど同じ。明らかに違う点はロバート・レッドフォード演じる主人公はマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンのように、やたら物忘れが激しいこともなければ、超人的な格闘能力など持ち合わせていないごく普通の人間ということ。
 ごく普通の人間が巨大組織、ハッキリ言って世界中に悪さを仕掛けるCIA(アメリカの情報機関)のことだが、こんな恐ろしい組織から狙われたら、もちろんマット・デイモンよろしくジェイソン・ボーン以外の人は助かる見込みが無いと考えるのが普通だろう。
 
 当然のことながら本作はサスペンス映画として充分に楽しめる作りなっている。しかし、普段からアメリカという国を注意深く見続けている人にとっては本作がバリバリのリベラルの視点から描かれている事に興味が惹かれるはずだ。だいたいCIAについて、チョッと知っている人ならばこの映画で描かれているような卑劣なことを世界中で行っていることぐらいは知っているはずだが、ラストシーン近くでCIAで働いているおっさんがロバート・レッドフォード演じる主人公に面白いことを言っている。『我々はアメリカを守るために存在しているんだ』と。確かにCIAはアメリカと敵対する国の情報をコッソリ入手する機関。それによって自国アメリカ人を守っているという理屈だが、この映画を観ているとある矛盾に気付く。アメリカを守るためと言っている割に、この映画でCIAが殺害しているのは自国のアメリカ人。市民を守るはずの警察が、市民を目掛けて拳銃で狙い撃ちしているようなものだ。

 日本のリベラルを自称する人が言っていることを耳を済まして聞いてみると、何だかまるで日本の役に立たないことばかり言っているだけでなく、お前ら日本を滅ぼしたいの?なんて思わせるようなことばかり言う奴が多いが、この映画を観ると、アメリカのリベラルと呼ばれる人達の凄みがよくわかる。だいたいハリウッドが作る社会派映画なんていうのはリベラルが立ち位置の作品が多いが、それによって権力の監視する役目を担っているのが個人的に凄いと思う。

 さて、CIAってワル~イ組織だな~、なんて思えるポリティカル・サスペンス映画のストーリーとはいかなるものか。
 ニューヨークにおいて、白昼堂々とアメリカ文学史協会が武装した3人の男たちに襲われ、その場に居た職員達はマシンガンで撃ち殺されていた。実はアメリカ文学史協会というのは仮の姿で、実際はCIAの末端組織。たまたま昼飯の買出しに出かけていたコードネーム”コンドル”ことターナー(ロバート・レッドフォード)は帰ってきて、あまりの惨状に吃驚仰天。慌てて近くの公衆電話に駆け込み、CIA本部に連絡して救助を頼み込む。
 CIAの偉いさんと落ち合うことになったターナー(ロバート・レッドフォード)だったが、なんと助けに来たはずの人物から銃撃を受けてしまう。すっかりパニックに陥ったターナー(ロバート・レッドフォード)は、偶然見掛けたキャサリン(フェイ・ダナウェイ)を強引に拉致して、彼女の住んでいるアパートに身を隠そうとするのだが、彼の元に暗殺者ジュベール(マックス・フォン・シドー)の影が忍び寄る・・・

 ハッキリ言ってCIAから狙われて逃げ切ることなんて不可能も同然。しかも狙われる理由が不条理過ぎるし、無駄に周りの人物が殺されていくからシャレにならない。だいたいロバート・レッドフォードが逆に反撃に打って出るが半ばヤケクソに見える。確かにサスペンス的な盛り上がりは見せるものの、その手法は特に目新しい物を感じることも無い。
 しかし、この映画の価値は最後まで観ればわかる。そしてアメリカのリベラルの真髄をまざまざと実感させられる。しかし、このような政治映画が広く受け容れる事ができるアメリカってナンダカンダ言っても羨ましい気分になれるコンドルは社会派サスペンス映画が好きな人にはお勧めだ

コンドル [DVD]
ロバート・レッドフォード,フェイ・ダナウェイ,マックス・フォン・シドー
ジェネオン・ユニバーサル


コンドル [Blu-ray]
ロバート・レッドフォード,フェイ・ダナウェイ,マックス・フォン・シドー
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は社会派作品からコメディまで幅広い分野に渡り傑作を撮ったシドニー・ポラック。ダスティン・ホフマン主演のトッツィーはかなり笑える。ポール・ニューマン、サリー・フィールド競演のスクープ 悪意の不在が社会派作品としてお勧め。他にロバート・レッドフォード、バーブラストライサンド競演の追憶は女性にはお勧め。
 主演のコンドルを演じるのが今さら説明不要の大スターロバート・レッドフォード。シドニー・ポラックとは多くの作品でコンビを組んでいます。ポール・ニューマン競演の明日に向かって撃て!スティングは2つは有名すぎるぐらいの作品でお勧め。ダスティン・ホフマン競演の大統領の陰謀、バリー・レヴィンソン監督で野球映画の傑作ナチュラル、ラッセ・ハルストレム監督、モーガン・フリーマン、ジェニファー・ロペス競演のアンフィニッシュライフ・・・等などお勧め作品が多過ぎです。

 ある意味ロバート・レッドフォードに拉致されて嬉しそうなのがフェイ・ダナウェイ。1970年代の作品を並べれると、この時代はまさに向かうところ敵なしの感がただよう女優。ウォーレン・ベイティ、ジーン・ハックマン競演の俺たちに明日はないに始まり、ロマン・ポランスキー監督、ジャック・ニコルソン競演のチャイナタウン、シドニー・ルメット監督のネットワーク、スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン競演のタワーリング・インフェルノ、ジョン・ヴォイト競演の泣かせる映画チャンプがお勧め。

 なかなか渋くて、良い味を出している殺し屋役にスウェーデン人の名優マックス・フォン・シドー。ホラー映画のエクソシストで有名ですが、個人的にはイングマール・ベルイマン監督の作品で強烈な印象が残っています。処女の泉第七の封印がお勧め。他にピレ・アウグスト監督のペレは超お勧め。スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ競演のマイノリティ・リポートもお勧めです。

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映画 カポーティ(2005) フィリップ・シーモア・ホフマンの代表作と言えばこれ!

2014年02月18日 | 映画(か行)
 先日、ハリウッドの名優フィリップ・シーモア・ホフマンが46歳の若さで亡くなった。ポール・トーマス・アンダーソン監督の常連であり、スパイク・リー、コーエン兄弟、シドニー・ルメット作品に出演するなど名監督の作品にも多く出演し、主役から脇役までこなし、抜群の存在感を多くの映画で見せ付けてきた個性派俳優。自宅のアパートで死体が発見されたらしいが、その自宅から注射器20本、ヘロインが50袋も発見されたらしい。確固たる地位を築き、スランプなど全く無縁に思われたのだが、一体何が彼を薬物に頼らざるを得ないほどの状況に追い込んでいたのか?きっと俺のような凡人には想像できないストレス、悩みを抱えていたのだろう。いや~、それにしても惜しい。
 さて、多くの名作、個性的な作品、大作にも出演していただけに彼の代表作を挙げるとなると、なかなか難しいのだが、やはり名実共にトップクラスである事を証明した作品となると自身がアカデミー主演男優賞に輝いたカポーティだろう。

 タイトル名が示す通り、アメリカの小説家であり、ノンフィクション小説の分野を切り拓いたパイオニアであるトルーマン・カポーティの伝記映画。ゲイの人物であり、チョイチョイ奇行が目立つ天才作家だが、彼の最高傑作であり、彼の名をを一躍有名にしたのが小説冷血冷血の創作過程の内容が丹念に描かれているのが今回紹介する映画カポーティの特徴だ。しかしながら、小説を一冊仕上げる過程を見せられる映画と聞かされても大してワクワクする人など居ないのが現実だろう。もしかしたらトルーマン・カポーティって誰?なんて思っている人にとっては全く退屈極まりない映画なのだろうか

 古今東西において、コイツは天才だと言われる人物は多く出現した。しかしながら、若い頃から天才と呼ばれながらも意外に大成しなかったり、その才能の片鱗を見せたのはほんの一瞬だった、なんてことがどれだけ多いことか。実際に映画の世界において天才子役と、もてはやされながらも、いつの間にか消え去った人物が多く居るのは皆さんご存知の通り。
 実は本作の見所は、決して小説の書き方が上手くなる方法では無く、天才が脆くも凡人以下に成り下がってしまうところ。現在においてもノンフィクション小説の分野において最高傑作の誉れが高く、多く読み継がれている冷血を世に送り出しながらも、なぜトルーマン・カポーティのその後において、すっかり書くペースが落ちてしまったどころか、長編を完成させることも無いほど落ちぶれてしまったのか。

 それでは傑作冷血誕生によって、すっかり才能を枯渇してしまう天才作家の落ちっぷりが驚異的なストーリーとは如何なるものか。
 1959年アメリカのカンザス州において、一家四人が惨殺される事件が起きる。その事件を新聞で目にし、興味を惹かれたトルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、幼馴染みであり女性作家でもあるハーパー・リー(グレゴリー・ペック主演で映画化された『アラバマ物語』が有名)(キャサリン・キーナー)を連れて、現地へ向かう。
 事件を基にノンフィクション小説を完成させようと決意したカポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、犯人であり死刑執行猶予中の身であるペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)に獄中取材を試みる。カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)の真摯な態度はやがてペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)の心を開かせ、2人の間には友情が芽生える。しかし、その裏でカポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)はペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)の信頼を傷つける内容の小説に着手していたのだが・・・

 当初はカポーティー自身の名誉とお金のために他人の人生に土足で入り込んだのは良いが、ところが予期せぬ良心の呵責に悩んでしまう。常識的なセンスを身に付けてしまったために、天才から一気に凡人以下に転がり堕ちていく様子が鮮やかに描かれている。
 俺はこの様子を観ていて気付いたことがある。『なぜ、俺は天才に成り切れないのか?』そして、もう俺は凡人でいいや、と思う境地に達した。

 それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマン亡き後に本作を観ると、どことなくトルーマン・カポーティの人生と重なるように見えるのは気のせいだろうか?既に観た人には再見することをお勧めするし、未見の人にもカポーティはお勧めだ

カポーティ コレクターズ・エディション [DVD]
ジェラルド・クラーク
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 こちらが冷血の小説です 
冷血 (新潮文庫)
佐々田 雅子
新潮社


 監督は本作で名を上げたベネット・ミラー。ブラッド・ピット主演の野球映画マネーボールがお勧め。

 
 主演のトルーマン・カポーティを演じるのは前述しているようにフィリップ・シーモア・ホフマン。彼の他のお勧め作品は名女優メリル・ストリープとの堂々たる演技合戦が見れるダウト〜あるカトリック学校で〜、今となってはアル・パチーノ主演のセント・オブ・ウーマン/夢の香りの悪い高校生役が懐かしい。他にポール・トーマス・アンダーソン監督のマグノリアブギーナイツ、出番は短いですがハードエイトもお勧め。トム・クルーズ主演のミッション:インポッシブル3の悪役も印象的でお勧め。
 本作での演技では声を大きく変えているので、ぜひ彼の他の作品と聞き比べてください。

 カポーティの幼馴染みのパイパー・リー役でキャサリン・キーナー。彼女のお勧め作品となると奇才スパイク・ジョーンズ監督のマルコヴィッチの穴が奇想天外のストーリーで笑える。他にパーシー・ジャクソンとオリンポスの神々も笑える神様映画としてお勧め。

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映画 ギルバート・グレイプ(1993) 未来への希望を感じます

2014年01月10日 | 映画(か行)
 毎日がイライラの連発で、人生が全くの思い通りにならなくて嫌気がさしている人はきっと多いだろう。そんな人々に癒しと希望を与えてくれる映画が今回紹介するギルバート・グレイプ。今や大スターになってしまったジョニー・デップレオナルド・ディカプリオが若くてフレッシュな魅力で兄弟を演じているのも注目だ。
 ジョニー・デップ演じる主人公のお兄ちゃんの境遇が何とも切ない。生まれ育った田舎の町から一度も出たことが無いのだが、父親は17年前に首を吊って自殺しており、それ以来母親は家から一歩も出ずにまるでアザラシの如く太ってしまっている。家の中を歩くたびにミシミシ音が鳴っている様子が、今にも床が抜け落ちそうで怖い。
 そしてレオナルド・ディカプリオ演じる弟は知的障害を抱えていて、しかもやたら高いところが大好きで、ちょっと目を離した隙に給水塔に登ってしまうように非常にはた迷惑な弟。おまけに姉ちゃんは失職中で、妹はわがまま。そんな一家を小さな食料品店で働いて支えているのだが、もはや彼の人生は介護に明け暮れ、夢も無ければ希望も感じられない。そんな彼の唯一の楽しみと言えば、自分が働く食料品店に度々やってくる中年夫人との不倫。しかし、それとて見ていてそれほど羨ましくも感じない。
 青春のエネルギーを使う間もなく、すっかり燃え尽き症候群に罹ってしまったように思えるジョニー・デップ演じるお兄ちゃんが如何にして、これからの人生に希望を見いだすのか?

 ちなみに邦題のギルバート・グレイプはジョニー・デップ演じる主人公の名前。単に主人公の名前を邦題に持ってくるセンスの無さには呆れるばかりだが、原題はWhat's Eating Gilbert Grape。頭の悪い俺はeatの意味が『~を食べる』しか思い浮かばないために、そんな恐ろしいストーリーだったけ?と一瞬面食らったが、実はeatには『〈病気・心配が〉〈人を〉やつれさせる;…を大いに困らせる, ひどく悩ませる, いらいらさせる』の意味があり、そのような原題の意味を知った上で見るとなかなか奥深いストーリーだと感じるし、なかなか意味深な台詞が多く出てくることに気付く。

 さて、楽しくない日々を送っている主人公及び多くの人々に希望を与えるストーリーとは如何なるものか?
 アイオワ州の小さな町であるエンドーラにおいて。エンドーラの町から一歩も外へ出たことがないギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)だが彼にはそれなりの理由があった。17年前に父親を亡くし、そのショックで家から一歩も外へ出ることが出来ずに過食症の末に見るも無残な姿になってしまった母親と重度の知的障害に罹っている弟アニー(レオナルド・ディカプリオ)の世話で自分のことなど考える余裕すらなかった。
 ある日のこと、旅の途中でキャンピングトレーラーが故障して、エンドーラの町に留まっているベッキー(ジュリエット・ルイス)とギルバート(ジョニー・デップ)は知り合い、急速に親しくなっていく。ベッキー(ジュリエット・ルイス)はギルバート(ジョニー・デップ)に、一緒にこの町を出て旅をしようと提案するのだが彼はなかなか決心がつかない。そしてついにギルバート(ジョニー・デップ)は言うことの聞かないアニー(レオナルド・ディカプリオ)に対して、日頃のたまったイライラを爆発させてしまうのだが・・・

 ベッキー(ジュリエット・ルイス)がギルバート(ジョニー・デップ)に諭すように『メスのカマキリは交尾した後に、オスのカマキリを殺すのよ』なんて言う台詞が何気に飛び出してくるが、果たしてこの台詞は一体何を意味するのか、けっこう悩ましい。男はロクでもない女と付き合ったら悲惨なことになるのよ、と言う意味なのか?もし、そうだとしたら一体誰の事を指しているのか?チョイチョイ意味深な台詞が出てくるのがこの映画の魅力の一つ。しかし、そんな台詞に気付かなかったとしても誰もが観終わった後に『ああ~、良い映画を観たな~』という素敵な気分になれる映画。この映画には大いなる家族愛、誰もが経験する青春の悩み、そして旅立ち等のような普遍的なテーマが描かれいるからだ。
 特にジョニー・デップレオナルド・ディカプリオの兄弟の絆の固さには泣けてくる。そしてレオナルド・ディカプリオって実は凄い役者だったんだ、と言うことに改めて気付かせてくれるありがたい映画でもある。
 多くのジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオのファンである女の子は必見なのは言うまでもないが、今まで傷ついた人生を送ってきたと悲観している人、これからの人生に希望を持ちたいと願っている人にはギルバート・グレイプはお勧めだし、それ以外の人にもお勧めだ

ギルバート・グレイプ [DVD]
ジョニー・デップ,レオナルド・ディカプリオ,ジュリエット・ルイス
角川書店


 監督はスウェーデン人のラッセ・ハルストレム。俺にとっては本当に癒される作品を連発してくれる監督。スウェーデン時代の作品ではマイライフ・アズ・ア・ドッグやかまし村の子どもたちがお勧め。ハリウッドに移ってからも良作品を連発。トビー・マグワイア、シャリーズ・セロン、マイケル・ケイン共演のサイダーハウス・ルール(個人的には彼の作品では1番好き)、チョコレートがなぜか食べたくなるジュリエット・ビノシュ主演、ジョニー・デップ共演のショコラ、ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマン、ジェニファー・ロペス共演のアンフィニッシュ・ライフがお勧め。

 主演は今さら説明の必要がない大スタージョニー・デップ。今や名優と言っても良い存在になりましたが、名優にありがちな堅苦しさが無いのが持ち味。個人的に彼の作品で最も好きなのがロバート・ロドリゲス監督、アントニオ・バンデラス共演のレジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード。この映画のジョニー・デップは凄いと思いました。

 知的障害の役を完璧なぐらいに演じたのが、これも今さら説明の必要の無い大スターレオナルド・ディカプリオ。今回はロバート・デ・ニーロ、エレン・バーキン共演のボーイズ・ライフをお勧めに挙げておきます。ロバート・デ・ニーロに引けをとらない演技を若くして見せています。
 
 ギルバート・グレイプの運命をを変える女の子ベッキー役にジュリエット・ルイス。最近はあまり見かけなくなりましたが若い頃から個性的な魅力を持った女優さん。マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング共演の怖いサスペンス映画ケープ・フィア、ブラッド・ピットの強烈な殺人鬼役が観られるカリフォルニア、ゲイリー・オールドマンが悲惨な刑事を演じ、レナ・オリンが強烈な悪女役を見せつける蜘蛛女がお勧め。

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映画 クラッシュ(2004) 人種差別、偏見を描きます

2013年11月23日 | 映画(か行)
 アメリカ映画において黒人に対する差別、偏見などを描いた名作、傑作は多くあるが、今やアメリカも黒人の大統領が誕生する時代。もはやそんな時代において黒人だけに対する差別や偏見の映画を描いても時代遅れであり、それほどウケない。今回紹介する映画クラッシュは、まさに他民族国家ならではのアメリカが描かれ、異なる人種、人間同士によるぶつかり合いが楽しめる映画だ。
 白人、黒人、ヒスパニック系、ペルシャ系、中国系などの人種が登場するが、人種の違いによるぶつかり合いだけでは無く、時には家族間でのぶつかり合いが辛辣に描かれている。早い話が異なる人種が一緒に過ごすことの難しさを感じると同時に、同じ家族同士ですらも理解することが難しいということを、本作を観ると痛感するストーリーだ。
 
 しょっぱなから車が衝突していると思わしきシーンから始まるが、そこからのストーリー展開はまさに人間同士のクラッシュの連続。人種的偏見は更なる偏見を呼び、人間同士の馴れ合いの交流ですらロクなことをもたらさない。黒人の2人組みが白人エリート夫婦を襲って車を奪って逃亡したり、白人警官が黒人女性に対して権力を使ってのセクハラ、ペルシャ系なのにアラブ系と間違えられていることに不満を持ちその腹いせにメキシコ系の人間に対して銃で撃とうとしたり等等、次々とトラブルが起きる展開。
 しかし、この映画の凄いところは人々は憎しみ合いながら、そして傷つけ合いながらも、やっぱり人間同士はお互いが寄り添って生きているという希望が見られること。ナンでもカンでも相手の言いなりになれば良き人間関係が出来上がると思っている人が多いようだが、本当の人間関係を構築するのに馴れ合いでは決して成立しないという主張は個人的に多いに賛同できるところだ。

 さて、差別、偏見、憎しみを乗り越えた人間同士のつながりを描いたストーリーとはいかなるものか。
 アメリカ、ロサンゼルスの深夜において。ロサンゼル市警の黒人警察であるグラハム(ドン・チードル)と彼の恋人であり、仕事上でもパートナーであるヒスパニック系のリア(ジェニファー・エスポジート)の乗った車が衝突される。リア(ジェニファー・エスポジート)は相手の中国系の女性と言い争い、その間グラハム(ドン・チードル)は車を降りて、偶然近くで発見された死体を見て驚く。衝突されてから36時間前に戻るのだが、果たしてその36時間の間に一体何が起こったのか?
 人種差別、偏見、憎悪、汚職、罵り合い、人間はどうしてここまで争うのか?争った末に見えてくる希望の光とは?そして驚愕の真実が明らかに・・・

 ブラッド・ピットやジョニー・デップ級の大スターは登場しないが、けっこうなスターが多く登場する群衆劇。巧みな伏線、構成が光る脚本によるストーリー構成のおかげで、人間関係に悩むことなく見ることができる。
 人間同士の衝突が数多く描かれ、それらが修復されていく過程が感動的。一度にたくさんのストーリーを観た気分になれる非常にお得感を得られる映画だ。しかしながら登場人物全員がハッピーな気分で終わるわけではなく、俺が見たところ、生き残っている人間にも2名ほど、これからの人生を厳しい十字架を背負って生きていかなければならないように思える。しかも、その2名が最初から人種偏見、差別に染まっていなかったという点が、この映画を奥深く、いつまでも余韻が残る効果をもたらしている。 
 アメリカ映画によって、これからも人種差別、偏見を描いた映画は、今後もたくさん生まれると思うが、今のところその分野において決定版とも言えるクラッシュはお勧めです

クラッシュ [DVD]
サンドラ・ブロック,ドン・チードル,マット・ディロン,ブレンダン・フレイザー,テレンス・ハワード
東宝


クラッシュ [Blu-ray]
サンドラ・ブロック,マット・ディロン,ブレンダン・フレイザー,テレンス・ハワード,タンディ・ニュートン
東宝


 監督は本作が初監督作品であるポール・ハギス。本作品では監督として凄い力量を見せていますが、トミー・リー・ジョーンズ、シャリーズ・セロン共演のミステリー仕立ての反戦映画告発のときは骨太の傑作でお勧めです。

 
 キャスト陣が豪華。しかも演技派が揃っているのが素晴らしい。
 黒人刑事でドン・チードルが出演しています。脇役でもオーシャンズシリーズブギーナイツ天使のくれた時間などヒット作、名作への出演が多いですが、主役級としてホテルルワンダ、スティーヴン・ソダーバーグ監督のトラフィックがお勧め。

 人種差別主義者の刑事としてマット・ディロンが出演しています。今となってはフランシス・フォード・コッポラ監督の青春映画アウトサイダーランブル・フィッシュの2本が懐かしい。
 キャメロン・ディアス主演のメリーに首ったけ、ケビン・ベーコン共演のエロサスペンスワイルド・シングスがお勧め。

 マット・ディロン演じる白人刑事にセクハラされる黒人女性を演じるのがンディ・ニュートンミッション・インポッシブル2でトム・クルーズ役が有名か。他のお勧めとしてはガイ・リッチー監督のロックン・ローラー。他に出番は少ないですがウィル・スミス主演の幸せのちから

 マット・ディロンと組まされる若手白人警官にライアン・フィリップ。ロバート・アルトマン監督のゴスフォード・パーク、クリス・クーパー共演のアメリカを売った男がお勧め。

 他にサンドラ・ブロックテレンス・ハワードマイケル・ペーニャ等も出演しています

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映画 刑事(1959) アモ~レ、アモ~レ、アモ~レ

2013年10月09日 | 映画(か行)
 名作と呼ばれる映画には、どういうわけか素晴らしい音楽が一緒にセットになっていることが多い。今回紹介する映画刑事が、まさにそれ。『アモ~レ、アモ~レ、アモ~レ、アモレミヨ~・・・』【歌名:Sinno me moro(死ぬほど愛して)←どうしても聴きたい人はググッてください】と冒頭から流れる歌声とメロディに魂が揺さぶられる。
 いわゆる刑事物と呼ばれる映画だが、単なる犯人を探し出して追い詰めるサスペンスではなく、殺人事件を捜査していく過程で、ローマ市内に住む一般庶民の哀切を描き出した傑作だ。当然、タイトル通りに主要な刑事が4、5人ぐらい出てくるのだが、どいつもこいつも頭が切れるという感じがしない。主演のピエトロ・ジェルミ演じる刑事のリーダー格にしても、黒いサングラスを掛けたりして、渋くて、格好良いのだが、捜査能力自体は大した事が無いし、他の刑事も一生懸命には捜査をしているのだが、けっこうなオッチョコチョイ。また凄い知能レベルの犯罪者達が登場するのかと言えば、俺が見たところでは、全くそんな奴は出てこない。とにかく刑事達は一度や二度失敗しても地道にコツコツと捜査し、悪い奴らも必死で、無い知恵を振り絞って逃げ隠れする。

 最近の刑事映画を観ていると、犯罪者がニコニコしながら登場してそのままニコニコしながら捕まって刑務所行きで終り、なんて作品を見せられて拍子抜けすることがある。また刑事も刑事で現場にも出向かず、観ている側が推理する間も無く、ほとんどノーヒントで思いつきだけで解決してしまうような映画があったりする。しかし、やっぱり捕まえる方も一生懸命なら、捕まえられる方も一生懸命に頑張る。個人的には刑事も犯罪者も努力している姿を見せられる方が、共感度は大きい。
 そして、やっぱり何度も書くが冒頭から流れるアモ~レ、アモ~レ・・・の音楽が最高。そして、この音楽がラストで抜群の効果を発揮させる。さて刑事映画にして一般庶民の悲哀を描き出し、ラストで色々と複雑な感情が込みあがってくるストーリーとはいかなるものか。

 ローマのアパートにて強盗が逃げ出し、銃声が一発聞こえてくる。イングラバロ刑事(ピエトロ・ジェルミ)たちはアパートに駆けつけるのだが、被害者であるアンザローニは何故か非協力的。アンザローニの女中でもあるアッスンタ(クラウディア・カルディナーレ)は隣室のバンドゥッチ家の女中でもあり、彼女は事件の時にはバンドゥッチ家に居たと言う。
 イングラバロ刑事(ジェルミ)達はアッスンタ(カルディナーレ)を尾行すると怪しい行動をしたディメッチオ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)を発見。ディメッチオ(カステルヌオーヴォ)とアッスンタ(カルディナーレ)を署に連行するが、2人は婚約しており、ディメッチオ(カステルヌオーヴォ)には彼女には言えないアリバイがあった。
 それから一週間後にバンドゥッチ家でバンドゥッチ夫人のリリアーナ(エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ)が惨殺される事件が発生する。一週間で同じアパートの隣同士の部屋で事件が起きたことに深い関係があると見て、イングラバロ刑事(ジェルミ)達は簡単に事件解決すると思っていると、次から次へと容疑者は出てくるのだが事件解決までには到らず万策尽きたように思われたのだが・・・

 戦後のイタリアと日本はボロボロの廃墟から立ち上がってきた点で似ているが、そんな中で登場してきた1940年代半ば~1950年代後半にかけてのイタリア映画は傑作が揃っているが、本作品刑事も、そんな中から登場してきた作品で当時のローマ市の住民の生活感が伝わってくる映画だ。
 息詰まるほどのサスペンス感があるわけでもなく、ハデさもない。チョイチョイ笑えるシーンも織り交ぜて、昔の日本もこんな感じだったんだよな~と思いながら、どこか懐かしさを感じる。急転直下で事件が解決してしまうことに、今までの捜査の努力は一体何だったんだよ、と笑ってしまいそうになったが、ラストはキツイこのまま事件解決せずに迷宮入りした方が良かったのにと思わせる描き方が、本当にいつまで経っても余韻が残る。サスペンスやスリルだけを求める人が飛びつく映画ではないが、人生、人間ってこんなもんだよな~と達観できる人には刑事はお勧めです

刑事 [DVD]
C.E.ガッタ,アルフレード・ジャンネッティ,エンニオ・デ・コンチーニ
ニューライン


 監督は主演も兼ねるピエトロ・ジェルミ。同じく監督と主演を兼ねた作品で鉄道員はホームドラマの傑作でお勧め、この映画も音楽が良かった。他に中年男の哀しい不倫を描いたわらの男も監督と主演を兼ねた映画でお勧めです。

 出番は多くありませんが印象的な役柄でクラウディア・カルディナーレが出演しています。ルキノ・ヴィスコンティ監督、バート・ランカスター、アラン・ドロン競演の山猫がお勧め。

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映画 キングダム・オブ・ヘブン(2005) 現代にも通じる歴史劇です

2013年09月30日 | 映画(か行)
 遠い昔の歴史劇と聞かされると、全く世界史の苦手な人にとってはチンプンカンプンで最初から観るのを諦めてしまう人がいるが、確かに中には観ていて途中から全く話に付いていけない作品もある。しかし、今回紹介する映画キングダム・オブ・ヘブンは、日本人にも人気のあるリドリー・スコット監督作品。内容は中世のエルサレムを舞台にした十字軍とイスラム帝国の戦いを描いた歴史戦争映画。既にグラディエイターで歴史戦争映画で抜群の娯楽性を見せ付けているリドリー・スコット監督作品なだけに、今回も面白さは保証付き。そして主役も二枚目俳優の通称オーリーことオーランド・ブルーム(ロード・オブ・ザ・リング、パイレーツ・オブ・カリビアンなどの大ヒットシリーズ作品で有名)なだけに、女性が観ても楽しめるはず?
 
 確かにグラディエイターは観ているだけでハートが燃え上がり、心が熱くなる映画。特に歴史の知識が必要でもなく、また歴史を学ぶ要素も特になく、観終わった後に哲学的な考えが浮かんでくるわけでもない。ノーテンキな気分で観ていても充分過ぎるほど楽しめる作風。
 しかし、今回紹介する映画キングダム・オブ・ヘブンは、現在にも通じる中東地域の紛争の要因であるエルサレム問題についてお勉強した気分になり、しかも現在のすっかり平和ボケしてしまった日本人にも何かと示唆するシーンも多い映画。宗教、共存共栄、リーダーシップ、政治など様々なテーマが内包されている。多くの名作、ヒット作を連発するリドリー・スコット監督だが、俺が観た彼の作品の中では最も彼の凄みを感じ、そして最も好きな映画でもある。

 本作品の舞台背景となる聖地エルサレムについてだが、キリスト教側のエルサレム王であるボードゥアン4世とイスラム帝国側のリーダーであるサラディンの間で、危ういながらも微妙な均衡の基で保たれていて休戦状態。エルサレム王であるボードゥアン4世もイスラム帝国側のリーダーであるサラディンも優秀な政治家であり、カリスマ性を持っていた。歴史的にずっとエルサレムではキリスト教イスラム教が対立が続いているように思われるが、この時は2人の優秀なリーダーのおかげで、戦争を回避できていたのだ。しかし、本作においてもある出来事をを切っ掛けにして、史実の通りに両者は戦争に突き進むことになる

 
 さて、一見すると日本人にとっては、全くどうでも良いじゃんと思える遠い場所、はるか昔の戦争の出来事を描いた映画だが、実は日本人こそ学ぶべきことが多い歴史戦争映画のストーリーとはいかなるものか。
 12世紀の中世の時代。フランスのある村において鍛冶屋をしていたバリアン(オーランド・ブルーム)は愛する妻が自殺して悲嘆に暮れていた。そこへ彼の父親だと名乗るゴッドフリー(リーアム・ニーソン)が現われ、一緒に十字軍として参加して、エルサレムへ行こうと誘われる。
 エルサレムへの道中で父親のゴッドフリー(ニーソン)が倒れたり、自らも襲撃されるなどのトラブルに遭いながらも、エルサレムに到着し騎士として一人前の男として育っていくのだが、やがて彼はエルサレムの時の王でハンセン病に罹っていて命が幾ばくも無いボードゥアン4世(エドワード・ノートン)を支えることを誓うのだが、やがてバリアン(ブルーム)は過酷な試練に襲われる・・・

 もちろん戦争場面は投石シーンの描き方も含めて抜群に面白いのは確かだ。しかし、この映画を観ていて思うのが、なぜ戦争になってしまったのか?バリアン(オーランド・ブルーム)は余命わずかのボードゥアン4世(エドワード・ノートン)からエルサレム王を継承するように頼まれるが、彼は断ってしまう。観ている我々からすれば確かにバリアン(ブルーム)は敵方のイスラム教の人間からも尊敬されている人物であるように、彼がエルサレム王を継承すれば戦争を回避できたのは明白。
 しかし、彼自身は伝統、秩序を重んじる人間。そして王に就く者は完璧なる人格者でなければならないし、ましてや罪を犯している者(実は彼は人殺し)が王の立場に就いてはいけないと思っている。それ故に彼はエルサレム王になることを断ってしまうのだが、それが悲劇の始まり。
 エルサレム王を継承したのは、イスラム教憎しのキリスト教の狂信者であるギーマートン・チョーカシュ)。ギー(マートン・チョーカシュ)は自らサラディン(ハッサン・マスード)に喧嘩を売ってしまい、悲惨な敗北を喫してしまう。
 戦争とは馬鹿が王に就いたら起こってしまうのは当然だが、王という位に就く者の心構えとして、完全なる善人では務まらず、時には悪に手を染めることも必要だと言うこと。優しいだけが取り得の人物では戦争を防げないということがよくわかる。
 そして一度戦争が起これば、負けることがわかっていても全滅覚悟で戦わなければならないこと。そうでなければ本作のように講和条件を引き出すことが出来ない。最初から白旗を揚げて降参していたのでは、奴隷として扱われるだけで苦しみから解放されないのは、歴史が証明していることである。それは我々、日本人がよくわかっている理屈でもある。
 さらに国王たるものは民のためにあるべき。現在の世界においても自国の民に毒ガスを噴射している独裁者がいるが、民主主義が如何に大切であるかが改めてよくわかる。

 決して、キリスト教にもイスラム教にも偏ったイデオロギーは感じられず、公平な視線で描かれているのも非常に好感が持てる。現在にまで到る聖地エルサレム問題の歴史の勉強をした気分になり、戦争に対して至極真っ当な主張は共感でき、俺こそリーダーであるべきだと自認する人には格好の教科書でもあるキングダム・オブ・ヘブンは万人にお勧めできるが、特にエセ平和主義者には必見です

キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産) [DVD]
ウィリアム・モナハン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズ・カット) [Blu-ray]
オーランド・ブルーム,エヴァ・グリーン,リーアム・ニーソン,ジェレミー・アイアンズ,エドワード・ノートン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はリドリー・スコット。ヒット作多数であるようにお勧め映画がたくさんある。前述したグラディエイターブラックホーク・ダウンエイリアンワールド・オブ・ライズブレード・ランナー、そして彼の中でも異色作に当たるニコラス・ケイジ主演のマッチスティック・メンもお勧め。

 主演はオーランド・ブルーム。前述したように2つの大ヒットシリーズ映画で有名ですが、それ以外にお勧め映画が見当たらないのが残念。彼自身は大して目立たないところでは同じリドリー・スコット監督のブラックホーク・ダウン、ブラッド・ピット主演のトロイはお勧め。

 エルサレム王の妹シビラを演じたのがエヴァ・グリーン。本作品でも美貌が光っていましたが、ベルナルド・ベルトルッチ監督のドリーマーズはかなりエロイし、お勧め。ダニエル・グレイヴ主演の007 カジノロワイヤルがお勧め。

 他に裁判官のティベリウス卿を演じていたのが名優ジェレミー・アイアンズ。ピレ・アウグスト監督、メリル・ストリープ、グレン・クローズなど豪華キャストの愛と精霊の家、ローランド・ジョフィ監督、ロバート・デ・ニーロ競演のミッションがお勧め。

 他にもエドワード・ノートンリーアム・ニーソンなど名優が出演しています。

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