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褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ゴーン・ガール(2014) フィンチャー節が炸裂です

2017年04月10日 | 映画(か行)
 多かれ少なかれ結婚生活に憧れる人はいるが、今回紹介する映画ゴーン・ガールを観れば、理想的な結婚生活とはどういうものかよくわかる、と言うのは嘘。実はこの映画の主人公達は誰もがうらやましがる様なロマンチックな出会いをし、愛し合いながら結婚したはずの素敵なカップル。幸せになるしかないように思われた夫婦は一体どこで歯車が狂ってしまったのか、偽りに満ちた結婚生活が暴かれた時に、夫婦の絆ってかくも弱いものだったのかと、観ている我々は知らされる。
 しかし、突拍子もない展開をたどって行くのを見せられて、こんな夫婦はいね~よ!なんて思ったりしたのだが、観終わった後に俺の思っていることが180度変わってしまった。夫婦の関係ってこんなものだよね~って。サスペンスタッチの映画の宣伝文句に衝撃の結末というフレーズがよく使われるが、本作の結末は普通の家族が望んでいるところに落ち着いたことに、ある意味で衝撃を受けた。

 次々に驚きの展開が連続するだけにネタバレ厳禁のタイプの映画。実は前述していることですらネタバレの可能性が少々あるのだが、ほんの少しだけストーリーの紹介を。
 ミズリー州の田舎が舞台。非常にめでたい五回目の結婚記念日において、ニック(ベン・アフレック)は家に帰ってみると、その光景に驚く。妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことに気付いたのだ。警察も直ぐに駆けつけ、エイミーは有名人の娘でもあり、家の中で争った形跡があることから事件の可能性があると捜査を始める。
 ニックは勧められるままにテレビの記者会見に出て、エイミー失踪の手掛かりを呼びかける。しかし、なぜかニックにとって不利になる証拠が次々に出てくる。やがて彼は警察や世間から犯人じゃないのかと疑われてしまい・・・

 外見からして魅力的な美人妻はどこへ消えてしまったのか?というミステリー感で楽しませてくれるのかと思いきや、大体的なマスコミ報道でわかってくるのは、美人妻がどこへ消えてしまったのか?ではなく、ニックのいい加減な結婚生活。マスコミによる1人の人間に対する集中砲火を浴びせるかの如くのような報道の仕方は日本でも最近見られるが、まさにニックがそんな状態。捏造、印象操作、大衆を煽るこの報道の仕方は、もし自分の身にかかったとなると怖い。
 他にも警察は殆んどニックを犯人と決め付けて捜査をするし、雇った弁護士は無罪を晴らすことよりもカネに興味のある奴だったり、社会に対する警報を同時に描いてしまうあたりなんかは、さすがセブンの監督であるデヴィッド・フィンチャー。凶器を使ったシーンも含めてフィンチャー節が炸裂している。しかし、なんて言ったってドン引きさせるのは女性の恐ろしさ。5年間夫婦をやってきて、奥さんの本性を知らなかった旦那のアホさも相当だが、あらゆる面で旦那を上回る頭のキレが凄い。
 サスペンス映画が好きな人を充分に満足させる面白さがあり、大人の男女なら満足できる。それに「俺は女の事は全てわかっているんだ」と豪語している男には特にお勧めできる。更に、あんまりいい加減なことは書けないが、個人的には夫婦で一緒に観るのがお勧めの方法。観終わった後に議論すればきっと白熱すること間違いなし。いずれにしろ最近のサスペンス映画では味わえない余韻に浸ることができるゴーン・ガールを今回はお勧め映画として挙げておこう。

ゴーン・ガール(初回生産限定) [DVD]
ベン・アフレック,ロザムンド・パイク,ニール・パトリック・ハリス,タイラー・ペリー,キャリー・クーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は前述したデヴィッド・フィンチャー。凝ったビジュアル、脳ミソを刺激するような作風が俺のお気に入り。セブンファイト・クラブの有名どころはお勧めだし、衝撃的な結末という点ではゲームが良いです。




 
 
 



 
 

 

 
 
 
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映画 グラディエイター(2000) ローマ帝国が舞台の歴史劇か? 

2017年03月30日 | 映画(か行)
 今日ではローマ帝国が始まって以来、最も平和で繫栄していたと評価される1世紀末から2世紀末にかけての五賢帝時代。優れた皇帝が五人続いた珍しい時代がローマ帝国にもあったわけだが、その中でも最後の皇帝が哲学者としても有名なマルクス・アウレリウス。その息子であり、父親とは違って皇帝の座を自らの娯楽のために利用したのがコンモドゥス。親子でありながら何かと対照的な二代にわたる皇帝が治めていたローマ帝国を時代背景に描いたのが、今回紹介する歴史映画グラディエーター
 歴史映画と聞くと世界史が苦手な人は何かと敬遠しがちで、観ていても人間関係や事実関係が把握できずに、結局は長い時間だけが過ぎてストーリーに付いて行けなかった、ということを多くの人が経験しているだろう。しかし、本作については、そんな心配は全くの無用。もちろん皇帝マルクス・アウレリウスを知らなくても大丈夫。だいたい本作は歴史的事実なんか殆んど無視して作られているし、ストーリー自体がどん底に陥った男が立ち上がるという、誰が観ても熱くなれるド定番の展開。本作から歴史を学ぼうとするのは間違った考え方で、頭の中をすっからかんにしてして観るのが正しい観賞の仕方だ。

 
 さっそくだが、歴史劇では無く、人間ドラマであるストーリーの紹介を。
 ゲルマニア遠征において、ローマ帝国軍の総司令官であるマキシマス将軍(ラッセル・クロウ)は蛮族との戦いに苦戦しながらも勝利する。しかし、その一部始終を見ていた皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)は戦いには勝ったものの味方の兵が多く討ち死にしたことにローマ帝国の衰退が近いことを感じていた。しかし、それ以上に皇帝アウレリウスを悩ましていたのが自らの老いによる後継者問題。彼には嫡男である皇太子コンモドゥス(ホアキン・フェニックス)が居るのだが、コレがとんでもない野心家で素行が悪い。けっきょく次の皇帝に最も信頼している部下であり、人望が厚く、高潔なマキシマスを指名する。
 そのことを知った皇太子コンモドゥスは父親の皇帝アウレリウスを殺害し、皇帝の座を略奪。そして自分に従わない態度をとったマキシマスを処刑しようとし、更にはマキシマスが故郷に置いてきた愛する妻子を惨殺する。なんとか処刑を逃れたマキシマスだったが、変わり果てた妻と息子を見て疲労とショックで意識を失い、気付いた時には奴隷として飛ばされていた。
 生きる目的を失ってしまったマキシマスだったが奴隷たちの中で剣闘士(グラディエーター)としてメキメキと頭角を現していき、思わぬ形で今や皇帝として暴政を行っているコンモドゥスと再会するのだが・・・


 日頃からローマ帝国のために血と汗を流して働き続けた将軍マキシマスだったが、奴隷に陥ってしまう。しかも愛する家族は無残な姿で殺されている。そりゃ~、誰だってこんな目に遭ったらショックで立ち直れない。しかし、彼を立ち上がらせたのが、誰にも止めることができない復讐という言葉。とにかく皇帝コンモドゥスの卑劣な計略をことごとくすり抜けて、対決シーンにまで持っていく展開に興奮を感じさせる。しかし、さすがはリドリー・スコットと言うべきか、復讐は本当に正義なのか?といった疑問を観ている我々に投げ掛けるような結末は考えさせられるし、人間の大事な物は何かということを感じさせる。
 冒頭からの戦争シーンからしてハートが燃えるし、豪華コロッセウムを舞台にした戦いにおいても興奮する。ストーリーだけでなく映像の面でも惹きつけられるし、勇壮な気分になれる音楽も観ている我々が戦っている気分になれる。
 とにかく勧善懲悪がハッキリしていて、迫力充分の戦いの数々はアクション映画が好きな人にお勧めできる。そして息子を持っている父親ならば大いに感動できる仕組みになっているのも好感が持てる、ということで今回はグラディエーターをお勧め作品として挙げておこう。

グラディエーター [DVD]
ラッセル・クロウ,ホアキン・フェニックス,コニー・ニールセン,オリヴァー・リード,リチャード・ハリス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は今や名作、傑作を多く残しているリドリー・スコットエイリアンブレードランナーといった古典的SF映画作品はお勧めできるし、戦争映画であるブラックホーク・ダウン、中東で暗躍するスパイ映画ワールド・オブ・ライズ、本作と同じく歴史劇であるが奥深いテーマが隠されているキングダム・オブ・ヘブンが良いです。




 
 




 

 
 

 
 

 
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映画 恋人たちの食卓(1994) 豪華料理に目を奪われます

2016年11月24日 | 映画(か行)
 今やアジアの人間で最もハリウッドで成功した映画人であるのが台湾人のアン・リー監督。彼の台湾時代の映画の代表作といえば今回紹介する恋人たちの食卓だろう。冒頭から華麗で手際の良い手さばきで料理を作っているシーンから始められるのを見ていると、まさか料理のドキュメンタリー映画をみせられるのかと個人的に不安(ドキュメンタリー映画は嫌いなんです)になったが、実際の映画の内容は出てくる料理と同様になかなか味わい深い一品になっていた。
 最初の方から、ある一家の四人で囲まれた食卓の上にある料理の豪華さにビックリし、その半端無い物量に大食いの俺もドン引き。よく子供の時に親から、食べ物は残さず食べなさい!なんて教えられたが、全部残さず食べろといわれても、殆んど拷問に近い多さ。しかし、この映画の本筋は食事がメインではなく、男親と3人娘のホームドラマが骨格にあり、家族というものを大いに考えさせられるストーリーなのだ。

 それでは早速ストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 台湾の一流ホテルのシェフだったチュ氏(郎 雄)はその腕を奮いにかけて料理中。彼は妻を早くに亡くし、3人娘を男親1人で育ててきた。1週間に1回だけ集まって4人揃ってチュ氏の料理を食べるのがこの家族のしきたりだった。
 ところが家族4人揃って楽しく料理しながら会話も弾むのかと思いきや、何やら不穏なムードが漂う。3人の娘たちは仕事、恋愛に悩み、特に次女は父親に対してもある種の不満を持っており、各々の怒りが爆発するのだが・・・

 何だか途中から何処かのオバサンが娘を連れてアメリからやって来たりで、けっこう多くの登場人物が出てくる。しかし、それぞれキャラが立っているので人物把握で混乱することはないだろう。それに全体的なムードはホノボノとしたコメディ調だから、観ていて飽きたり、ダレルようなことはないと断言しておこう。
 三姉妹の中では次女がキャリアウーマンで、しかもスタイルが良くて美人。もちろん三姉妹の中で俺の好みはこの次女。まあ、そんな個人的な話はどうでも良いが、この三姉妹の結末がチョッとした驚きがあるのも楽しい。料理を作るのも奥が深いとしたものだが、人生はもっと奥が深い。父親と娘の絆の深さに、あ~やっぱり家族って素敵だな~と思わせるエンディングは素晴らしい。
 料理番組が大好きな人には大いに楽しめるシーンが多いし、年頃のお嬢さんとの接し方がわからないお父さんはこの映画を観るとヒントを得られるかもしれない。他に優しい笑いに飢えている人、結婚願望が大きすぎて他のことが手につかない独身女性などなど、幅広い層にお勧めできる映画として恋人たちの食卓を今回は紹介しておこう

恋人たちの食卓 [DVD]
ロン・ション,ヤン・クイメイ,ワン・ユーウェン,シルヴィア・チャン,ウィンストン・チャオ
ジェネオン エンタテインメント


 監督は前述したアン・リー。文芸作品からアクション、そして同性愛、エロい映画まで幅広い分野の映画を撮る名監督。お勧めは多数ありますが今回はライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日をお勧めしておこう。



 
 

 

 
 
 
 
 
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映画 恐怖の報酬(1953) メガトン級のスリルを味わえます 

2016年11月04日 | 映画(か行)
 俺が最もハラハラドキドキ感を味わった映画が今回紹介する恐怖の報酬。手に汗握る映画を撮るのに最先端テクノロジーなんか使わなくても、演出の腕があれば充分に撮ることができることを証明している映画だ。ニトログリセリンを一滴垂らして爆発させるだけで、観ている者にその威力のイメージを植え付けて、恐怖とスリルを極限状態にまで高めてくれる。
 こんなことを書いておきながら、前半は全くスリルなんか感じない。どいつもこいつも暑いだの、腹減っただのグダグダ言う奴ばかりが登場する。お前ら少しは働けよ!と言いたくなるが、実は街自体がボロボロの状態で働きようがないし、劣悪な環境。どん底状態に陥ってしまった人間が流れてくる場所だということが直ぐにわかる。
 このように前半は観ていると全く楽しくないし、なんだか息苦しくさえ感じられたりするが、これが怒涛のメガトン級のスリルを味わえる後半へ向けての前フリ。とことんボロボロに陥ってしまった人間の性格描写が丹念に描かれることによって、少々気が狂ったように思える男達が、目的に向かって邁進する姿にスリル、興奮、ド根性、笑い(?)に疲労など、観終わった後に様々な感情を起こさせてくれる映画だ。

 すっかり命よりも大金に目が眩んでしまった男たちの意外な運命は果たして?それでは簡単にストーリーの紹介を。
 南米の国のある街において。そこはすっかりボロボロに陥ってしまった人間が流れてくる場所になってしまっているが、マリオ(イヴ・モンタン)もその1人。なんとか極貧生活から抜け出したいと思いながら、ダラダラした生活を続けていた。そこへ文無しでありながら態度が横柄なジョー(シャルル・ヴァネル)がやって来る。彼らは故郷が同じフランスであることを知り、直ぐに仲良くなる。
 そんなある日のこと、500キロメートル離れた街で油田が爆発するという大惨事が起きる。石油会社は大火災を消すためにニトログリセリンの爆風を利用して消火することを思いつく。大量のニトログリセリンを安全装置のないトラック2台で運ぶことを、2000ドルの大金を褒賞として運転手を四人募集することを決定。
 一発逆転の人生が向こうから転がり込んで来たことに、喜び勇んでマリオとジョーは手を挙げて、他にルイージ(フォルコ・ルリ)とビンバ(ペーター・ファン・アイク)の2人で、トラック2台に分かれて、大量のニトログリセリンを運びだすのだが・・・

 後半はドキドキの連続。ボロボロのトラックでニトログリセリンを運ぶだけでも恐怖なのに、途中の障害がまた凄い。特に途中でドデカイ岩がトラックの行く手を邪魔しているシーンには、俺は一瞬笑ってしまった。手に汗握るスリルが楽しいのは勿論だが、大金にすっかり魅了されてしまった人間の本性の描写が凄い。単にハラハラドキドキするだけの映画なら掃いて捨てるほどあるが、そこへ人間の欲望をこれほど意地悪く描いた映画はなかなか見られない。特に命知らずの強者だと思われていた男が、急にショボイ奴に成り下がっていく様子はアリャ?と思いながらも、けっこう身近にも居ることに気付いたりする。
 全体的に汗まみれ、泥まみれ、埃まみれで清潔感のない映画だが、もっと汚いのが強欲さ。このような映画を観ると、何でもホドホドが良いよね~という事に気付かしてくれる。

 まあ2時間半ぐらいの長い映画だが、細かいところでの演出は楽しめるし、後半の怒涛のスリルの面白さは文句なし。そして、観終わった後に極度の疲労感に襲われるのはドMの人間にはたまらない。モノクロで昔のフランス映画だと聞くと退屈に思われる人が多いと思うが、こんな面白い映画をそんなことで見逃しているとすれば非常に勿体ない。今回は超お勧め映画として恐怖の報酬を紹介しておこう。

恐怖の報酬 CCP-174 [DVD]
イヴ・モンタン,シャルル・ヴァネル
株式会社コスミック出版


 監督はアンリ=ジョルジュ・クルーゾー 。フランス映画を代表する偉大なる名匠。他にお勧めはどんでん返しの妙を感じさせる悪魔のような女、やたらラストシーンが強烈な情婦マノン、個人的にはかなりの推理サスペンスの傑作だと思っている犯罪河岸が良いです。




 

 

 







 
 
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映画 現金に体を張れ(1956) 脱力感に襲われます

2016年05月09日 | 映画(か行)
 時間軸が過去に戻ったり、アッチコッチに行ったりして描く手法の映画は最近ではそう珍しくもないが、当時の映画の手法としてかなり画期的な作品が今回紹介する映画現金に体を張れ。競馬場を舞台にした大金強奪犯罪の意外な顛末を描いた傑作だ。
 人生の負け犬たちが一発大逆転を狙って大金強奪を企むストーリーの映画なんてワンサカあるが、最近アップしたアスファルト・ジャングルも同じようなタイプの映画。だいたいどの映画も結末は欲に目が眩んで仲間割れを起こしてしまい、悲劇的な結末が訪れるパターンが殆んど。しかし、俺に言わせれば結末以前に計画段階から既に破綻が生じてしまっているために、そりゃ~ダメだろうと思える映画ばかり見せられている気分になったりする。特にこのような映画を観て思うことはアメリカ人は本当にチームワークが悪い。

 さて、本作だが強盗そのものは緻密で計画バッチリ。首謀者の人望が厚いようで、なかなかのリーダーシップを発揮してうまくチームを纏め、しかも分単位どころか秒単位での事細かな時間割まで決められていたり、非常に細かいところにまで気を遣った競馬場での大金強奪の様子が見ることができる。まあ、見ているとチョッと失敗しそうな場面も出てきたりするのだが、これが緊迫感を高める効果を生み出したりしている。
 しかしながら、数名がチームを組んでいると必ず1人はどうしようもない奴が出てくる。本作においても例外ではなく、競馬場の売上金200万ドルを強奪しようすうる大それた犯罪計画なのに、それをバラしてしまう口が軽い奴が登場。また、個人的な事情があるとは言え、バラす相手が悪過ぎ。この映画を観ているとお金って人をダメにすることだけでなく、性悪女ってとんでもない災いを招くことを人生訓として感じることができる。

 さて、競馬場での大金強盗の一部始終だけでも面白く描かれているが、実はそこからの二段落ちに衝撃が走るストーリーを簡単に紹介を。
 刑務所から出たばかりのジョニー(スターリング・ヘイドン)は数名の落ちこぼれや貧困にあえぐ男達を集めて、競馬場の売り上げ金を強奪する話を持ちかける。間違いなく成功するはずの緻密な計画を立てたはずなのだが、メンバーの1人であるジョージ(エリシャ・クック)は美人な妻であるシェリー(マリー・ウィンザー)に近日中に大金が入ることをバラしてしまう。
 さて、いよいよ決行の日がやって来て、まんまと競馬場から大金を強奪することに成功したジョニー達だったのだが、シェリーのとんでもない悪企みの前に事態は意外な方向へ転がっていくのだが・・・

 時間軸がアッチコッチに飛ぶ構成が当時の観客はどう思ったのかわからないが、記憶力の悪い俺にすれば非常に親切な設計。よくサスペンス映画で、コイツ誰だったけ?なんて余計なことを考えさせられて細かい中味が抜けたまま映画を見てしまうハメになることがショッチュウあるが、本作は時間軸が行ったり来たりするおかげで、コイツはそう言えばあの悪徳警官だったよな~って感じで思い出せる仕組みになっている。各々の強盗メンバーの決行当日の行動状況が非常に丁寧かつスピーディーに描かれているために、全くだれるところがない。
 しかし、実はこの映画の見せ場は競馬場での大金強奪シーンが終わってから。メンバー達が大金強奪の祝勝会をあげる前に集まっていたのに、その場が一瞬にして血みどろの地獄絵巻と化すシーンはかなり衝撃的。そして、運良く集合場所に遅れた首謀者のジョニーだったが、彼に訪れる結末は映画史に残るラストシーンを見せてくれる。
 しかし、強奪計画はそこそこ上出来だったのになんでこんな結果で終わってしまったのか?口が軽い男のせいなのか、欲の面の皮が推定30センチの性悪女のせいなのか、それともいきなり飛び出てくる犬が悪いのか。まあ、俺の出した答えは、もっとしっかりしたスーツケースを買っておけ!ということになる。
 犯罪映画が好きな人には大いにお勧めしたいし、スタンリー・キューブリック監督作品と聞いて心が躍る人、そして汗水垂らして働いて手に入れたお金だからこそ価値があることに気付ける映画現金に体を張れを今回はお勧めしておこう

現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD]
スターリング・ヘイドン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


 監督は前述したスタンリー・キューブリック。彼のお勧めはたくさんありますが、薄っすら笑える博士の異常な愛情を今回は挙げておこう。


 

 

 

 
 

 

 
 


 
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映画 コックと泥棒、その妻と愛人(1989)  芸術的な作品?

2016年05月04日 | 映画(か行)
 タイトル名だけ見ると、ただ登場人物を羅列したような何とも味気ない雰囲気が漂うが、中味はなかなかパンチの効いた映画が今回紹介するコックと泥棒、その妻と愛人マイケル・ナイマンによる音楽は素晴らしく、ジャン=ポール・ゴルチエによる衣装は華やかで、天使のような歌声は幸せな気分になり、めくるめくシーンごとにセットや衣装などの色彩が変わっていく場面転換は非常に鮮やか。それに主な舞台は高級料理店の中なので美味そうな料理が出てくる。これだけの情報量だと芸術的で優雅な気分に浸れる映画なのかと思える。
 しかし、実際に本作を観てみるとアラ、ビックリ!暴力、残酷、罵声、エロ、グロのオンパレード。美と醜悪の対比する要素が取り入れられているのだが、鑑賞中も見終わった後も印象に残るのは醜悪の方ばかり。そりゃ~、そうだ、最高の絵を制作しようと、その達人を10人集めて描かさせようとしても、その中に1人でもド下手が存在するとロクな絵が完成するように思えないのと一緒のこと。まあ、多くの人が本作を見終えた後は、もう二度とこんな映画を見るものかと思ってしまうだろう。
 ならば観る者に不快感を与えるだけの内容の映画かと思いきや、これが現在の我々の身近でも思い当たるような節があり、それどころか古今東西に渡って通じる奥深いテーマ性が込められているから、非常に深読みのしがいがあるのだから困ったものだ。まるで金持ちしか行けないような高級レストランを舞台にしただけなのに、人間の食に対する欲望、権力者の横暴、思惑が絡む人間関係、説明できない男女の愛など、実は哲学、政治、社会、道徳、愛など幅広く考えさせれるのだから、本作を観れば観るほど賢くなれる、って自分でも書いていてホントかよ!

 さて、いくら高級で美味い料理が出るとわかっていても、絶対にこんなレストランには行きたくないと思わせるストーリーの紹介を簡単に。
毎晩の如く、妻のジョージナ(ヘレン・ミレン)と部下を連れて、自らがオーナーを務める高級フレンチレストランにアルバート(マイケル・ガンボン)がやって来た。大泥棒であるアルバートは非常に乱暴者で身勝手な人間。ところかまわず大声を出し、気に入らない人間がいると殴る蹴るの暴行を働き、時には残忍な方法で人殺しもする。妻のジョージナは彼のことを嫌っているが、その恐ろしさのおかげで虐待を受けていても逃げることができない。高級レストランのシェフであるリチャード(リシャール・ボーランジェ)も他のお客様にとっては非常に迷惑なアルバートに対して恐れから追い払うこともできない。
 今日も夫のアルバートに連れられて高級フレンチレストランに来ていてジョージナは、常連のお客であり、いつも片隅で本を読んでいるマイケル(アラン・ハワード)と目が合う。ジョージナとマイケルはどちらから誘うともなくトイレへ直行し、エロ行為。
 それからはこの2人は高級レストランで出会うたびに、アルバートの目をこっそり盗んでは、リチャードが厨房近くの一室を貸してくれるおかげもありエロ三昧の日々。ところが2人の関係がアルバートにバレテしまい、彼の暴力を恐れた2人は高級レストランを逃げ出し、マイケルの部屋で愛し合う幸せな時を過ごすことになるのだが・・・

 冒頭から暴れまくるアルバートだが、これが自称”美食家”という、もの凄い勘違い野朗。俺の回りにも、自分で自分の事を何の根拠も無く、俺は凄いんだと言っている奴をチラホラ見かけるが、そういう奴と知り合いになると本当に迷惑すぎることこの上ない。そんな人間が権力を持ってしまった時の怖さをこの映画からは特に感じる。
 だいたい歴史上において良い意味でも悪い意味でも名を遺す人物はけっこうな愛食家が多い。そういう意味では食というのは欲望の象徴でもあるのだが、本作の食欲に対する描き方がなかなか興味深い。アルバートの残忍な人殺しの方法は食べることに対して暗喩的に描かれ、また自称”美食家”の前に出される料理は、そこら中に居るグルメと呼ばれる人も恐らく食ったことがない珍品物。他にも冷凍庫や厨房にある食材がえげつない。俺もマンマと演出家の狙い通りに一瞬食欲が失せたが、しばらくするといつも僕に美味しい料理を提供してくれる人に感謝の気持ちが芽生えてきたのは何故だろう?
 映像美を感じさせながらもグロテスクである映画コックと泥棒、その妻と愛人は、ちょっとばかり他の映画にない魅力に惹かれる珍品中の珍品である映画。ゴールデンウィーク中に見て欲しい映画として今回はこいつをお勧めしておこう

コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]
リシャール・ボーランジェ,マイケル・ガンボン,ヘレン・ミレン,アラン・ハワード,ティム・ロス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は奇才中の奇才であるピーター・グリーナウェイ。その作風は不思議な映像はもちろんですが、難解な作品が多い。個人的には今回紹介したコックと泥棒、その妻と愛人が1番のお勧めですが、他に僕が観た中ではベイビー・オブ・マコン(当時観た時はボカシが多かったですが)は良かったと思います。

 再見して驚いたのはジョージナ役が今やベテラン女優として確固たる地位を築いているヘレン・ミレンだったこと。ロバート・アルトマン監督のゴスフォード・パーク、スティーヴン・フリアーズ監督のクィーンがお勧めです。




 
 
 
 
 
 


 
 
 

 
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映画 禁じられた遊び(1952) 無垢なる子供の純粋さに悲しくなる

2016年03月28日 | 映画(か行)
 映画のタイトルにもなっている旋律の哀愁が漂う音楽は非常に有名。本作を観たことが無いと言う人でも、音楽は一度くらいは耳にしているはずだ。そんな音楽に乗せて、まだ年端もいかないような少女と、少女よりちょっと年上の少年の出会いから別れが描かれているストーリーが今回紹介する映画禁じられた遊び

 俺のようなすっかり心が汚れきった大人の男性が女性との出会い求める場合は余計なことを想像してしまう。しかし、本作における純真な少年と、無垢なる少女の出会いには汚れた部分は微塵も無い。少年と少女の純粋な出会いと交流を見せられると、異性を見るたびに発情したり、なんだか直ぐにドキドキしてしまう俺のような邪な考えを持っている大人は大いに反省させられるはずだ。
 だが、その一方で、無垢なる心を持った少年と少女の交流は恐ろしいほどまでに残酷。経験不足から生じる死に対する無知、中途半端にしかしらない宗教の知識、世間の常識に対する欠如等から引き起こされる行為は、善意の表れであるのに、常に慈悲なる心で接する聖母マリア様ですら、この少年と少女の行動を許すことができない罰当たりな事。しかし、純粋な気持ちを無くしてしまった多くの大人は、無邪気な少年と少女の交流を一刀両断で否定できる奴は多くは居ないはずだ。

 さて、音楽も名曲だがフランス映画の名作として未だに色あせることがない名作であるストーリーの紹介を
 1940年の6月のフランス。パリはドイツ軍に占領されて逃げ惑う人達の中には幼い少女ポーレット(ブリジット・フォッセー)が居る。ドイツ軍の爆撃機の機銃掃射はポーレットの両親と愛犬を目の前で撃ち殺す。死の意味が理解できていないポーレットは両親の死に悲しむ様子も見せず、逃げ惑う群衆から離れ、死んだ愛犬を抱えて森の中を彷徨っていた。そんな時に彼女はミシェル(ジョルジュ・プージュリー)と出会う。ポーレットから両親の死を聞かされて可哀相に思ったミシェルは彼女を自分の家に連れて行き、家族もポーレットを暖かく迎え入れる。
 ミシェルとポーレットの交流は順調に続くが、ポーレットはミシェルから『死んだ者はお墓に埋められる』ということを教えられる。そんなことすら知らなかったポーレットは死んだ愛犬を土の中に葬ったのを切っ掛けに次第にエスカレート。ヒヨコ、モグラ等ありとあらゆる死骸のお墓を次々に作る事に夢中になってしまう。
 しかも、ポーレットはお墓の上に十字架が必要なことを知り、とんでもない要求をミシェルにしてしまい、彼女のためを想ったミシェルもとんでもない物を教会から盗もうとし・・・

 冒頭から逃げ惑う市民を狙って爆撃を行う様子を見ているだけでもショックを受けるが、少女が両親の死よりも愛犬の死に反応する様子が更にショック。よほど飼っている犬が可愛かったんだと思ってたら、実はそれほど熱い気持ちが犬に対しても無かったことが判明。この少女の死に対する知識の無さだけでなく、まだ人間としての感情さえ芽生えていないことに驚かされる前半の描写がラストシーンで効いてくる。
 無垢なる純粋さが残酷さを引き起こしてしまうことは別に戦争中に限ったことではない。いつもニコニコ、どこから見ても良い人である俺の優しさが相手にとって必ずしもプラスのことをもたらさないことは経験済み。いつの世の中においても善意が必ずしも報われるとは限らないし、本作を観ればそのことが大いに理解できるし、ますます悲しくなる。さて、純粋な交流で結ばれている少年と少女を引き裂かすのは、一体何であるのか?そのことを知った時、我々のような大人は自分を省みることになる。
 そして、ラストの少女の叫びは少年との別れが悲しくなってきたことだけでなく、少しだけ死の意味を理解してしまった少女の心の成長も表わしているように俺には思えた。俺なんかは40歳をとっくに超えてもあの偉人である孔子のように不惑を迎えるどころか、戸惑うことだらけ。あ~、もっと成長したいと思っている今日この頃だが、成長することの残酷さまで表現したラストシーンには俺自身が大いに悩まされた。きっとラストシーンは観る人によって色々と感じ方があるだろうし、異なることもあるだろう。深~イ余韻に浸りたい人には映画禁じられた遊びをお勧めしておこう

禁じられた遊び [DVD]
ブリジット・フォッセー,ジョルジュ・プージュリー
ファーストトレーディング


 監督はフランス映画界に一時代を築いたルネ・クレマン。本作以外に彼の代表作であるアラン・ドロン主演の映画太陽がいっぱいはお勧め。戦争映画の中にはオールキャスト出演の大作映画がありますが、そんな楽しみを求めている人にはパリは燃えているかもお勧めできる(古い映画なのでオールキャストと言っても知らない人ばかり出演している印象を持たれるかもしれませんが)。







 

 

 

 

 


 
 

  
 
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映画 グラン・トリノ(2008) 男の責任感の重さを感じます 

2016年03月13日 | 映画(か行)
 クリント・イーストウッド監督の作品において最高傑作との呼び声が高い映画が今回紹介するグラン・トリノ(主演も兼ねる)。名作とよばれる映画は多くのテーマを内包しているものだが、本作もその例外ではなく、その多様なテーマ性から色々と考えさせられる映画。基本的には偏屈で頑固な古きアメリカ親父を代表する老人と黄色人種でモン族の少年の交流が描かれている。この2人は異なる世代、人種、民族と正反対の間柄であるが、彼らに共通するのは『アメリカ』と『男』。クリント・イーストウッド演じる古きアメリカ人は、これからの時代を担っていくモン族の少年に何を教え、何を遺していくのか

 もう少しクリント・イーストウッド演じる老人のキャラクターを説明すると、自動車産業の発展で一時代を築いたデトロイトにおいて、かつて50年間フォード社で組立工員ととして働き、現在はそのままそこで隠居暮らし。そして過去に朝鮮戦争に従軍し、その活躍ぶりから勲章をもらっている。自宅の庭には国旗を上げており、その毒舌っぷりは人種偏見丸出しで、ただ今の共和党の次期アメリカ大統領候補のドナルド・トランプ氏に匹敵するぐらいのウヨクチックな人間。朝鮮戦争での経験が彼をそうさせたのか特に黄色人種が大嫌い。今や奥さんが亡き後は、息子や孫たちとも仲が悪く、飼っている犬が唯一の友。そんな彼の宝物は愛車72年型のグラン・トリノ
 そんな男がなぜモン族の少年と交流するようになったのか?そして、その交流の結末はコレいかに?それではストーリーの紹介を。

 朝鮮戦争の帰還兵であり、フォード社の工場でかつて働いていたウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)。今や妻は先立ち、子供たちはとっくに家を出ており、愛犬デイジーと一緒にデトロイトで1人暮らし。かつては自動車産業で栄えていてデトロイトも、今ではすっかり日本車ばかりが走っており、しかもこの場所に住んでいるのは移民達ばかりで、治安が悪化。ウォルトはすっかり荒廃してしまったデトロイトの現状を嘆いていた。
 そんなある日のこと、隣の空き家に引っ越して来たアジア系のモン族の家族の少年タオ(ビー・ヴァン)が、同じモン族のチンピラグループ達に脅され、ウォルトの宝物である愛車72年型グラン・トリノを盗もうとするのを発見。しかし、驚いたことにこの事件を切っ掛けにウォルトとモン族の隣家の交流が始まり、それはウォルトとタオの師弟関係に似たような友情が芽生える。
 タオがモン族のチンピラ達から根性焼きを入れられていることから、ウォルトはチンピラ達に報復。しかし、その事は更にタオの家族にとんでもない悲劇を呼び込んでしまい・・・

 デトロイトを舞台にしていながら、これが的確にアメリカという国の現状を描き出している。自国産業の墜落、移民達の流入、銃社会の悲劇、治安がボロボロ、他民族国家における民族間の争い・・・等など、イーストウッド監督の問題だらけのアメリカ社会に対する考えが観ている我々にもよく理解できる。しかも、もうこの映画も2008年制作の映画なのだが、この映画で描かれている問題点が現在においても全く改善されていないことに気付かされる。

 しかし、多くの社会的なテーマを盛り込んだ映画は、問題提起はするが、解決策はほとんど示さない。だが、本作におけるクリント・イーストウッド監督が凄いのは、その答えをしっかり描いているところ。この解決方法がまさに男の責任感の重さを感じさせ、自らの落とし前をキッチリつける鮮やかな方法。しかし、悲しいことにアメリカだけに限らず、世界中の各国のリーダーが、けじめのつけ方をわかっておらず、その勇気がない。だから世界は今もどこかで流さなくてもいい血を流している。
 他にもイーストウッド演じる老人が朝鮮戦争での経験を若き神父に語りながら逆に説教するシーンは非常に奥が深いやりとりを感じる。イタリア系の散髪屋、アイルランド系の建築士との会話のやりとりは人種差別発言のオンパレードでけっこう笑える。しかも、イーストウッド演じる老人の名前コワルスキーからもわかるようにポーランド系アメリカ人という設定が心憎い設定。そしてダーティー・ハリーでマグナム44を構えていたイーストウッドが手で銃の構えを作るシーンがけっこう出てくるようなファンサービスも上手く活かされている。
 最初はダメダメでショボイ男だと馬鹿にしていたタオの中に『けっこう、こいつ良いとこあるじゃん!』と思い、そして未来のアメリカを我が子孫ではなくタオに託すかのようなラストシーンは静寂だが感動的。これだけ色々とテーマを詰め込みながら説得力のあるストーリー運びは、さすがクリント・イーストウッド監督、もう80歳も半ばだがまだまだ映画を撮ってほしいと思わせる映画監督。これまでのイーストウッド監督の総決算的な作品として、また新たなる伝説の始まりかのように、この作品以降も話題作、傑作を連発することになる記念碑的作品としてお勧めの映画です

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 監督は前述している通り、御大クリント・イーストウッド。彼のお勧め作品は本作のグラン・トリノ以降の作品として、”君の瞳に恋してる”、”シェリー”のヒット曲で知られるフォーシーズンスのミュージカルにして伝記映画のジャージー・ボーイズ、戦争映画の傑作アメリカン・スナイパーが良いです。


 
 
 

 
 
 
 
 
 

 
  

 

 
 
 
 
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映画 キングダム/見えざる敵(2007) テロリストとの対決です

2015年11月24日 | 映画(か行)
 フランスで100人以上の犠牲者を出してしまったパリ同時多発テロ。イスラム国と名乗るテロリスト集団の関与が噂されているが、ビン・ラディン亡き後も姿や形を変えて次々と現われてくるイスラム原理主義者のキチガイ集団は絶滅するどころか、ますます増殖する一方。映画アイアンマンに登場するような、あんなアホなテロリストばかりだったら今頃はすっかり壊滅していると思うのだが、現実は一般市民を巻き込むなど世界中がテロリストの危機に晒されている。果たしてイスラム原理主義者による無差別テロはいつ終りを告げるのか、その答えらしきヒントが最後の方に女の子の口から述べられている映画が今回紹介するキングダム/見えざる敵。中東のサウジアラビアを舞台に、アメリカのFBI捜査官とイスラム原理主義テロリストの対決を描いた軍事アクション映画だ。
 FBI捜査官達がノコノコと外国のサウジアラビアまで出掛けてドハデな銃撃戦を繰り広げる様子はトンデモなノーテンキ娯楽アクション映画を見せられている気分がするが、石油最大消費国のアメリカと石油最大産出国サウジアラビアのズブズブの外交関係、宗教及び政治体制が全く異なるこの両国がなぜ表面状は仲良くしているのかを歴史的背景を交えつつ教えてくれる非常に勉強になるありがたい映画でもある。

 さて、その傲慢な態度が世界中から嫌われているアメリカだが、その行動力が非常に頼もしくも感じられるストーリーの紹介を。
 サウジアラビアの首都リヤドの外国人居住区において、警官を装ったテロリスト達が銃を乱射し、自爆テロを敢行する事件が発生。さらに数時間後同じ現場でFBI捜査官や医療チームが集結する中で大爆発が起き100人以上の死傷者が出る。その中にはFBI捜査官のフラン(カイル・チャンドラー)も居た。
 同僚で親しい仲だったフランが死んだことに憤りを感じたFBI捜査官のロナルド・フルーリー(ジェイミー・フォックス)は亡き同僚の復讐をするために現地捜査を上層部に願い出るが、政治的理由によりあっさり拒否られる。
 しかし、そんなことでめげないロナルド・フルーリーはマスメディアを利用し、駐米サウジアラビア大使を脅しサウジアラビアに裏ルートから入国。同じFBIの各分野のエキスパートである仲間の3人を引き連れて、5日間の期間限定ながら現地捜査を開始し、潜伏しているテロの首謀者をとっ捕まえようとするのだが・・・

 自信満々でサウジアラビアに乗り込んできたFBIの連中だが、捜査が難航する。彼らの前に立ちはだかるのが、厳格なイスラム教の考え、王国支配であるサウジアラビアの国家体制、そして意外にも仲間であるはずのアメリカ政府高官からも横槍が入ったりする。FBIの連中がテロの親玉を挙げる前から大変な労力を使わされる様子を見ていると、実はテロリストを武器、資金など裏から援助しているのは、こいつ等かと気付かさせられる。まあ、そんなことに気付かない人でも後半の30分間のドンパチには大いに満足できるはずだ。
 うっかりなのか、仕方なくなのか、テロリスト達の勢力範囲に入ってからの市街戦での四方八方からミサイルが飛んでくるのは迫力満点。観ている我々も地獄の戦場に叩き落された気分になる。しかも、戦闘シーンの真っ最中に『正しき行いが、必ずしも報われるとは限らない』という摂理が描かれていることによって、非常に奥の深いアクションシーンになった。
 そして本作を観ていると、ナンダカンダ言ってもアメリカって良いよね~と思える。同胞が目の前で拉致されても何年も放ったらかしの某国の人間にとっては、アメリカ人の実行力は本当に羨ましい限りだ。ちょっと古い映画になってしまった感はあるが、今観るとなかなか考えさせるし、とにかく娯楽品としても一級。まさに今こそ観るべき映画として、キングダム/見えざる敵をお勧めとして挙げておこう

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 監督はアメリカ大好きの人にとっては面白いアクション映画を連発しているピーター・バーグ。リーアム・ニーソン、テイラー・キッチュ、浅野忠信共演のバトルシップ、ウィル・スミス、シャリーズ・セロン共演のハンコック、マーク・ウォルバーグ主演のローン・サバイバーがお勧めです。

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映画 崖(1956) 人間はみんな崖っぷちに立っています

2015年09月30日 | 映画(か行)
 この世の中、いたいけな貧乏人の弱みに付け込んで騙して笑っているような連中が居るが、そんな奴等でも心の中から不安と恐怖は消すことができない。今のところ順風満帆、我が世の春の状態が続いている俺ですら、いつ何がきっかけで転落の人生が始ってしまうのかと怯えている。俺だけでなく、金持ちも貧乏人も常に良心という名の崖っぷちに立たされ、不安と恐怖に怯え続けながら生きているのだ。
 だいたい小さな喜びを積み重ねることに幸せを感じない人間が多すぎる。お金が常に懐にガッポリ入ってくることにしか幸せを感じることができない人間こそ実はとても悲しい人間だ。そんな教訓めいたことを教えられた気分になれる映画が今回紹介する。非常にいたいけな貧しい人から、金を巻き上げていくことにしか生きがいを感じられない詐欺師の運命を描いたストーリー。せめて大富豪を狙って金を巻き上げるのなら少しは良い気分になれそうだが、貧しく信仰心が篤い人間を狙って金を奪っていくシーンを見るのはあんまり良い気がしない。しかし、そんな詐欺師が良心の呵責に悩みだしてからの展開こそが本作の真骨頂。まさかこんなクズみたいな詐欺師から感動を得るとは我ながらビックリした。

 
 さて、ハリウッド映画ならば詐欺師の鮮やかな手口に大いに楽しめるとしたものだが、フェデリコ・フェリーニが詐欺師を描くと非常に苦味を感じさせるストーリーの紹介を。
 冴えない風貌のオーギュスト(ブローデリック・クロウフォード)、全く売れていない画家だが明るい性格のピカソ(リチャード・ベイスハート)、ちょっと男前で女垂らしのロベルト(フランコ・ファブリッツィ)の3人は詐欺仲間。今日は男爵と呼ばれる男からの詐欺の仕事を請け負う。
 3人は神父の姿に変装し、貧しくて信仰心の篤い家族から金を奪うことに成功。その後も貧民街に暮らす人々をアパートの斡旋の詐欺で金を騙し取り、ガゾリンスタンドでいざこざを起こして金を奪ったりしていた。しかし、オーギュストは久しぶりに会う娘と一緒に映画館にいたところ、かつて金を騙し取った男と鉢合わせしてしまい、半年間の牢獄生活を余儀なくされる。
 牢獄生活から出たオーギュストだったが、詐欺仲間のピカソはすっかり足を洗ってしまい、ロベルトは他所へ行ってしまっていた。オーギュストは違う仲間達と再び神父の姿に変装して、またもや貧しい家族を狙って金を騙し撮ろうとするのだが、そこには自分の娘と同じ年頃の足の不自由な女性が居り・・・

 前半はちょっとしたコメディタッチの雰囲気があり、ピカソ役のリチャード・ベイスハートがお笑い担当として楽しませてくれる。しかし、そんな雰囲気もオーギュストが長く会ってなかった娘と出会ってから一変する。ここからのオーギュストの心の葛藤がこの映画の見せ場だ。この詐欺師の小心さが暴かれ、初めて訪れる良心の痛みはチンケな詐欺師にどのような結末が用意されているのか。お金欲しさに本当の幸せを見失ってしまう詐欺師の人生が、俺の人生を暗示しているようで何となく気持ち悪い。
 しかしながら、本作は卑しい根性を持っている人間の本質を突いているし、だからこそ詐欺師が最後のド根性を見せるシーンは俺のような人間には大きな感動を呼ぶ。とにかくお金にしか興味を持てない人、人間って結局のところ何なんだろう?と哲学的な気分に浸りたい人、負け惜しみだとわかっていながら金持ちになることが人間の幸せじゃ無いよね!と頑なに信じ続けている人、今がまさに崖っぷちに追い込まれている人等に映画はお勧めだ

崖 [DVD]
フェデリコ・フェリーニ
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督は前述したイタリアが生んだ巨匠フェデリコ・フェリーニ。映画史に残る名作を連発し続けた大監督。これが本当の青春だよね~と感じさせる青春群像、世界映画史に残る大傑作、騙されても騙されても人を信じ続けることに大いなる人生賛歌を感じさせるカビリアの夜、現代ローマ(と言っても1960年の作品ですが)に生きる人間の退廃が描かれている甘い生活等がお勧めです。

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映画 北国の帝王(1973) 男同士のプライドの激突です

2015年09月05日 | 映画(か行)
 1930年代の大不況のアメリカが舞台。失業者で溢れかえり、彼らはホーボーと呼ばれる浮浪者になり、職を求めて新たな場所へ向かうのに列車のタダ乗りが流行っていたというのが時代背景。リー・マーヴィン演じるホーボー界のエースであり、彼らの間では最高の尊称である北国の帝王と呼ばれる男と、アーネスト・ボーグナイン演じる列車の車掌であり常にハンマーを持ち歩き、ホーボー達のようなタダ乗りをする奴等に対しては容赦なくハンマーを打ち下ろして惨殺するような世界一恐ろしい車掌。意地でも無賃で列車に乗りたい男と乗せたくない男のプライドを賭けた戦い。なんだかショボイことにこだわって命懸けで戦う様子は男性なら熱い気持ちになれるが、恐らく女性にとっては『何のために戦っているの?』となりかねないのが今回紹介する映画北国の帝王だ。
 だいたいイケメンの若くて格好良い男性同士が戦うのなら、まだ女性が観ても救いはある。しかしリー・マーヴィンアーネスト・ボーグナインというどこから見てもブサイクな男同士の戦いなので、俺としても積極的に女性にはお勧めしにくいのが本心。確かに若くてチョット二枚目な奴も出てくるが、こいつがエライ卑屈な人間として描かれているのだ。

 さて、観る人によっては『お前ら勝手にやってくれ!』なんて対決が描かれているが、個人的には血が騒ぐほどの熱くなれるストーリーを紹介しよう。
 1933年、アメリカは大不況に襲われ失業者が続出。彼等はホーボーと呼ばれ、職を求めるために列車にタダ乗りし各地を放浪するのだ。そんなホーボー達の間でも絶対に乗ってはいけないとされるのがオレゴン州のウィラメット・バレーを通過する19号車。この列車には冷酷無比で知られる鬼車掌のシャック(アーネスト・ボーグナイン)が乗っているからだ。ところがホーボー達の中で”北国の帝王”と尊敬の念で呼ばれ、彼らに物資を調達するエース(リー・マーヴィン)だけは、19号車に乗ることに成功していた。
 今回もエースは19号車にタダ乗りすることをシャックに堂々と宣戦布告。さて、ここにエースとシャックの列車に乗って目的地まで着けるか、着けさせないかの戦いが始ろうとするのだが、若きホーボーであるシガレット(キース・キャラダイン)がエースの後を付回していることから事態は意外な方向へ転がっていく・・・

ホーボー界で1番なんかになっても嬉しくもないだろうと、見ていて思ったりしていたのだが、その時々の時代背景によっては何が自慢になるかわからない。しかし、どんな業界だって1番になるべき人間は自らの信念とする帝王学を持っている。それは誇り、思いやりの気持ちなどあるだろうと思う。そして本作の凄いところは単なるオッサン同士の戦いのように見えて、ラストではそんなトップに立ち、その立場を維持するための帝王学を感じさせるところ。今日においても日本の元総理大臣ともあろう人間が、お隣の国で土下座するような態度を世界中に見せてしまっているが、あの姿に誇りもなければ、思いやりも感じない。あのようなパファーマンスだけで帝王学など持ち合わせていない人間が日本の最高権力者の座に就いていたことに驚き、本当に日本は危なかったんだと思わざるを得ない。
 それはさておき勇ましい音楽が流れてきたり、ちょいちょい1930年代の政治状況が出てきたり、そしてホーボーと呼ばれる浮浪者たちの生活の一端を見ることができたりで、注意して観ていると対決シーンだけでなく色々と興味深く見れる場面が多いのも、ちょっと気づきにくい特徴だ。
 男同士のプライドを賭けた熱い戦いを見たい人、ブサイクなオッサンの顔のドアップに耐えられる人、アベノミクスで日本が更に不況になっていくんじゃないのかと不安に思っている人には北国の帝王はお勧めだ

北国の帝王 [DVD]
リー・マーヴィン,アーネスト・ボーグナイン,キース・キャラダイン,チャールズ・タイナー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はロバート・アルドリッチ。男同士の戦いの傑作を多く撮っています。ゲイリー・クーパー、バート・ランカスター共演の西部劇ヴェラクルス、ジェームズ・スチュアート主演の砂漠で不時着してしまった困難を描く飛べ、フェニックス!、無期懲役、死刑囚たちを戦争の最前線に送り込む戦争映画特攻大作戦、女同士の怖い戦いを描いた何がジェーンに起こったか?、バート・ランカスター主演で刑務所内でのアメフト対決が燃えるロンゲスト・ヤード、ジャック・パランス主演の反戦映画の傑作攻撃、お勧めがたくさんありすぎます。

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映画 木靴の樹(1978) まるで絵画を観ているようです

2015年08月30日 | 映画(か行)
 19世紀を代表するパルビゾン派の画家であるジャン=フランソワ・ミレー。『晩鐘』、『落穂拾い』などで知られる画家だが、まるで彼の絵画が動いているような錯覚を起こす気分になりそうな映画が今回紹介する木靴の樹。ミレーが多くの作品で農民の働く姿を描いているが、本作も19世紀前半のイタリアの農村が舞台で何組かの農民たちの暮らしが描かれている。
 ここに描かれている農民たちは地主に搾取されまくっている小作人達。彼らの生活は極貧とも言えるものだが意外に悲壮感がない。彼ら小作人同士の間には協調性があり、音楽があり、祈りがある。今や現代社会は楽して金を儲けようとする拝金主義が蔓延り、日本においても子供をしつけられない親が増えてしまい、隣人との関係が疎遠になってしまった結果、凶悪な犯罪事件が起こったりする。すっかり正しきモラルが崩壊してしまった現代に生きる我々に、労働の尊さ、家族のあるべき姿、この世の中を支配するのは決して金持ちではなくて農民であることを教えてくれる有りがたい映画が木靴の樹だ。
 物語自体は色々なエピソードの積み重ね。タイトルの木靴の樹から俺なんかは『木で作った靴を履いてるの?』なんてことを想像したが、そんなこともこの映画を貫くテーマでもなく、小さなエピソードの一つに過ぎない。しかしながら、最後はこのタイトルが観ている我々に響いてくる設定だ。

 
 さて、貧しいながらも自らの境遇を決して蔑むことなく、力強く生きる農民たちの姿を描いたストーリーとはいかなるものか。
 北イタリアの農村において。バティスティ(ルイジ・オルナーギ)一家など何組かの家族が地主のもとで小作人として働いている。しかし、農地、住みか、農具、家畜、そして川の辺の木々に至るまで地主の所有物のなかで、収穫の3分の2が地主にむしり取られていて、小作人達の生活は非常に貧しい。
 ある日のこと、子だくさん貧乏のバティスティ家だが、働き手が欲しいにも関わらず6歳になる息子ミネク(オマール・ブリニョッリ)は神父の勧めもあり往復12キロもある学校へ通わせることにする。しかし、ミネクは学校からの帰りに履いていた靴を壊してしまい、家にたどり着いたミネクの足は痛々しい。そんな息子を哀れに思った父親のバティスティは彼のために地主所有の木を伐採し、靴を作ってやるのだが・・・

 実は本作はプロの俳優は使わず地元の素人を使い、撮影も人工照明を一切使わず自然の光のみ。そんなこともあって農民たちの生きていく様子がドキュメンタリータッチで描かれている効果が表れ、リアリティに溢れる映画になった。収穫の様子、豚をするシーン、農民たちの生活などリアルそのもの。そして色々なエピソードは心が暖まるのもあり感動的。なんだか奇跡的なことが起こったり、チョッと笑えるシーンもある。そして大地、信仰、家族など色々と考えさせられる。しかしながら、ラストシーンはけっこうな驚きの結末でアリャ!となってしまうように心地良さが無いが、それでも農民たちの逞しさはなぜか希望を感じさせる。
 比較的ストーリーは淡々と進むのに3時間というのはちょっと長い。俺の場合だが昔に映画館で観たことがあるのだが、その時は3時間の上映時間の殆んどが睡魔との戦い。この映画を観る前のアドバイスとしては睡眠時間をたっぷり取ってから観るのが良いだろう。
 何かとモラルが狂ってしまったような日本だが、本作を観れば古き良き日本人が持っていた価値観を感じることができる。カンヌ国際映画祭の最高の賞にあたるパルム・ドール賞に輝くなど名作として知られている作品。イタリア映画の名作に興味がある人、貧しい生活に我慢ができない人、3時間の長時間に耐えられる人、良い映画を観たいと思っている人には映画木靴の樹はお勧めだ。

木靴の樹 [DVD]
ルイジ・オルナーギ
東北新社


木靴の樹 Blu-ray
ルイジ・オルナーギ,フランチェスカ・モリッジ,オマール・ブリニョッリ,カルメロ・シルヴァ
紀伊國屋書店


 監督はイタリア映画伝統のネオリアリズモを継承するエルマンノ・オルミ。ルトガー・ハウアーを主演に起用した聖なる酔っ払いの伝説がお勧めです。

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映画 グッドフェローズ(1990) 夢を実現した男のストーリー

2015年07月16日 | 映画(か行)
 30年以上前(小学生の時)のことだが、学校の先生から『君は将来は何になりたいの?』と聞かれたが、その時の俺の答えは『天皇陛下になりたいです!』。今、思い返しても俺って恐るべき馬鹿野朗だったことに我ながら驚きと恐怖を感じる。そんな素っ頓狂な夢を語っていた俺と同等なアホな夢を語りだす主人公の半生を描いた映画が今回紹介するグッドフェローズ。『俺は大統領よりもマフィアになりたかった』ハア~?と思うようなことを語りだす。しかし、この男が俺と違って偉いのは、しっかり夢を実現するところ。ちなみに本作は実話なだけに、マフィアの内部事情が興味深く描かれる。
 しかしながら、マフィアの内部事情なんて聞いても興味が惹かれない人も居るに違いないし、そんな人にとってはただ退屈な映画だと思われるかもしれない。しかし、観ている誰もが開始してから5分経過した時点では、すっかり本作に魅了されることになるだろう。

 
 少年時代からの夢だったマフィアになる夢を叶えた男の人生は本当に幸運だったのか?それでは簡単にストーリー紹介を。
 幼い頃よりマフィアの世界を見てきた、ヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)はやりたい放題のマフィアの世界に憧れを抱き、念願が叶ってニューヨークのブルックリンを牛耳るマフィアであるポーリー(ポール・ソルビノ)の組織に加わることに成功する。
 やがてヘンリー(レイ・リオッタ)は組織内でジミー(ロバート・デ・ニーロ)やトミー(ジョー・ペシ)達と仲間になり、彼らは数々の悪事に手を染める。そして、ヘンリー(レイ・リオッタ)はカレン(ロレイン・ブラッコ)と結婚し、マフィア稼業も順調に運んでいた。
 ところがある日のこと、ケネディ空港で600万ドル強奪事件が発生する。ジミー(ロバート・デ・ニーロ)が首謀となってヘンリー(レイ・リオッタ)も関わっていた事件なのだが、そのことを切っ掛けに次第に歯車が狂っていく・・・

 ヘンリー(レイ・リオッタ)、ジミー(ロバート・デ・ニーロ)、トミー(ジョー・ペシ)の仲良し3人組が前半はやりたい放題の大暴れ。殴りまくり、蹴りまくり、刺しまくり。特にトミー(ジョー・ペシ)に関しては、気に喰わぬことがあると、一瞬で拳銃をぶっ放す。なんせ軽い冗談も通用しない奴だから近くにいるだけで怖い。
 しかし、この映画は次から次へと色々な出来事がテンポ良く出てくる。脅迫、賄賂、殺人、家族、麻薬、人種・・・等、非常に中味が濃い~映画。ロックな音楽はセンスが良く、重厚なノリと笑いのサジ加減も抜群なだけに娯楽を求める人にも充分に楽しめる。
 マフィア映画が好きな人、バイオレンスタッチの映画が好きな人、実話のストーリーが好きな人、一見したところ観る人を選ぶような映画に思えるが、けっこう万人受けする映画。今回はグッドフェーローズをお勧め映画として挙げておこう

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 監督は今や巨匠的存在であるマーティン・スコセッシ。本当に名作、傑作が多数。狂気の人間を描かせると本当に凄い映画を撮る。今回はお勧めとして彼には珍しいブラックコメディのアフター・アワーズを推しておこう。

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映画 カリートの道(1993) 男の哀愁が漂っています

2015年07月09日 | 映画(か行)
 この世の中において悪事ならずともちょっと興味本位で手を突っ込んでしまうと、なかなか抜け出ることが難しい事がたくさんある。賭博、酒、覚せい剤、風俗・・・、そしてマフィアの世界。刑務所から5年振りにシャバに戻ってきたマフィアの超大物が、すっかり人殺しに嫌気がさし、真っ当な堅気として愛する女性と一緒に楽園で暮らそうと夢を見るストーリー。酒ぐらいなら意志が強ければ辞めることぐらいできそうなものだが、マフィアの世界は自分の力だけでは縁を切るのが大変だということがわかる映画が今回紹介するカリートの道
 本作は数々のマフィア映画の傑作に出演している名優アル・パチーノ主演の映画だが、ゴッドファーザー狼たちの午後の時に比べて、本作では更に渋味が増し、そしてバリバリに男の哀愁を漂わせる。友情と愛の狭間で苦悩する姿は、観ている我々も熱くさせる。

 さて、必死で愛する女性と楽園で暮らすために、マフィアの世界から足を洗おうとすればするほど、トホホになっていくストーリーとはいかなるものか。
 ニューヨーク一体を支配していたマフィアの大物であるカリート(アル・パチーノ)は30年の刑期を、親友である弁護士クラインフェルド(ショーン・ペン)の惜しみない尽力のおかげで、わずか5年で刑務所から出てきた。
 彼は麻薬ビジネスにおいて仁義を重んじるタイプのマフィアだが、いざ戻ってみると麻薬の取引きの現場では人殺しが横行し、裏切りも日常茶飯事。仁義も信頼もへったくれのない世界にすっかり幻滅したカリート(アル・パチーノ)は、ますますマフィアの世界から足を洗うことを決意し、しかも5年振りに再会した元カノのゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)が相変わらず美人だったことに生きる目的を得て、ニューヨークを飛び出て、南国バハマで彼女と一緒に暮らすために、せっせとお金を貯めることに精を出すのだが否応なしに血の抗争に巻き込まれていく・・・

 よくテレビを観ていると、『もう覚せい剤には手を出しません』って言っておきながら何回も逮捕されている人を見かけるが、アル・パチーノ演じるカリートのマフィアの世界から抜け出して、心機一転とばかりにバハマでレンタルカー店への転職したい願いは本物。ところがマフィアの世界は大物であればあるほど、その世界から抜け出ることは難しい。
 カリート(アル・パチーノ)の大物振りがわかるところは、昔なじみの人間が次々に訪れて来ること。次から次へと彼の元を『また一緒に仕事をしようぜ』とか『あいつを消してしまおうぜ』なんて話を持ってくる奴がしょっちゅう現れる。断われば逆恨みされてしまうように、本人の意思とは違ってなかなかマフィアの世界から抜け出られない様子がとって切ない。そして、仁義、友情を重んじる彼の姿勢は立派だと思うのだが、そのことがもたらす結末は自然に目頭が熱くなる。
 そして本作の監督はけっこうカルトなファンも多いブライアン・デ・パルマ。彼の特徴である流暢なカメラワーク、サスペンス、長回し、エンターテイメント性、シャレ、エロは本作でも健在。彼の作品を多く観ている人ならば、エレベーターののシーンはニコニコしてしまうだろう。
 他にもアル・パチーノが元カノを抱くためにチェーン錠を簡単にぶち破って家の中にドカドカ入ってくるシーンは熱い物を感じさせるし、グランドセントラル駅での追跡シーンは流石はブライアン・デ・パルマだと思わせる名シーン。ストーリーだけでなく色々な演出が楽しめるのも本作の優れているところだろう。そして今やハリウッド・ナンバーワンの演技派に登りつめた感のあるショーン・ペンが、ちょっとインパクトのある姿で出演しているのも見所だ。
 ちょっと渋いオジサンが好きな人、大人向けのマフィア映画を観たい人、ブライアン・デ・パルマと聞いて心が躍る人、アル・パチーノが好きな人等など結局のところ映画カリートの道は万人にお勧めだ

カリートの道 スペシャル・エディション [DVD]
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ジェネオン・ユニバーサル


カリートの道 [Blu-ray]
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 監督は前述したようにブライアン・デ・パルマ。個人的には非常に当たり外れの大きい監督。しかし、演出とストーリーが噛み合ったときはすごく面白い映画を撮る。お勧めは最近もリメイクされ話題となった基ネタの方のスティーヴン・キング原作のキャリー、色々な古典を題材に盛り込み毒気のある傑作ミュージカル映画ファントム・オブ・パラダイス、ヒッチコックを意識しまくったサスペンス殺しのドレス、本作と同じくアル・パチーノ主演の成り上がりのキューバン・マフィアの運命を描いたスカーフェイス、格好良い男たちに痺れるアンタッチャブル等が面白いです。

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映画 カビリアの夜(1957) 大いなる人生賛歌を感じます

2015年06月27日 | 映画(か行)
 騙され続けて人間不信になりそうな瀬戸際に立ちながら、それでも人を信用し続けている俺みたいな非常にいたいけな女性が主人公の映画が今回紹介するカビリアの夜。哀しいことにジュリエッタ・マシーナ演じるカビリアだが全く男を見る目がない。近づいて来た男達からは金を分捕られてしまうだけでなく、危うく殺されそうになったりする。俺に言わせれば、いつもニコニコして良い人そうに見える男に限って腹黒い奴が多いから、そんなのが近づいて来たらすぐに逃げろ。我ながらいつも通り的確なアドバイス。ちなみに自信過剰な奴も気のチッチャイ奴が多い!

 不幸のどん底から抜け出ようと、幸せを望めば望むほど、どんどんドツボにはまっていくストーリー。しかし、これが意外にも観ている最中は陰鬱な気分にはならない。それは何故なのか?カビリアだが、お世辞にも美人とは言い難く、スタイルも惹き付けられるものは何も無い。しかし、どんな不幸な目に遭っても決して笑顔を忘れないし、踊っているシーンは見ていて楽しい。本作を観れば、やっぱり女性の笑顔というのは素敵だな~と感じる。

 さて、この世の中において、もっとカビリアのような女性がたくさん居たら、きっと素敵な世界になるのにと思わせるストーリーとは如何なるものか。
 両親は小さい時に亡くし、今は娼婦として身を立てていたカビリア(ジュリエッタ・マシーナ)。恋人だと信じていた男に河へ突き落とされ、持っていたお金も盗られてしまう。そんな不幸な目に遭いながらも、いつかは良い男を見つけて幸せな結婚生活を夢見ていた。
 イタリアの大スターからナンパされ、彼の豪邸へ連れて行ってもらう出来事がありながらもロクな結果が得られない。しかし、若くて、大人しそうな会計士であるオスカー(ランソワ・ペリエ)という名前の男性から声をかけられる。初めこそ警戒していたカビリア(ジュリエッタ・マシーナ)だが、彼の真摯な態度と言葉にやっと求めていた幸せが手に入ると思われたのだが・・・

 カビリアが出会う男達はとんでもない奴ばかりと思いきや、今回改めて観ると実は良い人も登場していたことに気付いた。洞窟に暮らしているホームレスに無償で施しをしている男。この男の見返りを求めず、ただ困っている人を助けたいという純粋な気持ちはちょっとした一服の清涼剤の役割を果たす。この前後のシーンを考えると、なかなか絶妙なタイミングで善人を登場させている。
 しかし、そんな希望が湧いてくるシーン出てからも非常に辛辣な展開が続く。幸せになりたいという想いは、聖母マリア様の力を持ってしてでも叶えることはできないし、カビリアが持っている物を全て無くしてしまう。だいたい何かを得たいと思えば、何かを失ってしまうのはこの世の道理。カビリアだけでなく、現代に生きる我々にとっても偽りの幸福を求め過ぎるあまり、大切な物を無くしてしまっているのと同じこと。このメッセージは大きな教訓として感じることができるが、悲しいことにやっぱりカネが欲しい。

 ひたすら騙されながらも、それでも人を信じ、人生を信じるカビリア。彼女の生き方は落ち込んだ気分になってしまうが、ラストシーンではわずかな希望の火が灯され、大いなる人生賛歌に昇華する。この世の中を良くするのは男性の笑顔ではなく、輝ける女性の笑顔。そしてニーノ・ロータの音楽は心に沁みるし、幸せを掴んだかのように思えたカビリアの台詞が素敵過ぎて泣けてくる。
 これからの人生に希望を見いだせない人、フェデリコ・フェリーニ監督の映画を観たことが無い人、昔のイタリア映画が観たいと思っている人、ストレートに感動する映画を観たい人に映画カビリアの夜はお勧めだ

カビリアの夜 完全版 [DVD]
フェデリコ・フェリーニ
東北新社


 監督は前述したようにイタリアというよりも世界的な名監督であるフェデリコ・フェリーニ。多くの傑作をこの世に出していますがお勧めは。とにかく余韻が抜群です。ちなみに本作とにも出演しているジュリエッタ・マシーナは彼の奥さんです。

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