1930年代のフランス映画黄金期を支えた名匠ルネ・クレール監督の初トーキー映画作品。俺の受けた印象では全編トーキーと云うよりも、サイレントとトーキーが混ざり合ったようなイメージ。しかし、その混ざり具合が絶妙のバランスで、現在進行形の映画では見ることができないような音声や映像の使われ方がしている。
例えば最初からこんな調子だ、カメラが巴里(パリ)の上空の煙突をとらえて次第にビルの屋上から下の階へと住人を映し出していき、街路にたどりついた時に本作の主人公であるアルベール(アルペール・プレジャン)が登場する。そして、それに合わせてタイトル名にもなっている主題歌巴里の屋根の下(シャンソンの名曲です)の歌声が最初は聞き取れないぐらいの小さな歌声だったのが次第に大きな歌声になっていく。この時、俺はあまりにも古い映画なので音声不良なのかと思ったが、実はこれは演出のテクニック。この始り方は当時(1930年)の映画としては画期的と言うよりも、既に現在にも影響を与える映画の文法の完成形を見る思いがした。
他にも台詞などは一切省略して、登場人物の表情や行動からどういう状況かを観客にわからせたり、音楽を効果的に使ったりで様々な演出が施されている。しかしながら、今を生きる我々の世代が本作を初めて観て『この映画の演出ってスッゲェ~!』なんて感じる人は、まず居ない。
この映画が本当に凄いのは、一本の映画の中に喜怒哀楽が描かれ、ユーモアとペーソスに満ちているところ。喜怒哀楽でどれか一つでも欠けていたら、薄っぺらい映画になっていた可能性がある。ユーモアが無ければひたすら退屈なだけの映画になっていたかもしれないし、ペーソスが無ければ全く感動しなかったかもしれない。
とにかく人間の持っている感情を刺激しまくるストーリー紹介を。
パリの下町において。現代風に格好良く言えばストリートミュージシャンだが、毎日を楽譜を売って、歌うことを生業としているアルベール(アルペール・プレジャン)。彼にはいつも一緒に場末の酒場で飲んでいる親友のルイ(エドモン・T・グレヴィル)が居た。
アルベールが今日もストリートで人を集めて歌っていると、お客の中にルーマニア美女のポーラ(ポーラ・イレリ)を見かける。彼女をナンパしようと接近を試みるアルベールだったが、町を支配するヤクザのフレッド(ガストン・モド)が強引にポーラを口説いているのを見て怖くて諦めようとするのだが、ヒョンなことからアルベールとポーラの仲は急接近。2人はアルベールの安アパートで一緒に生活をすることになるのだが・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/atten.gif)
今のフランス人はなんでもかんでも『自由』という言葉で簡単に片付けてしまう印象があり好きになれないのだが、本作に登場する主人公であるアルベールは人情味があって、なかなかの好漢だ。ナンパの仕方が下手だったり、度の行き過ぎた友人想いだったり、ケンカしても直ぐに仲直りして意気投合したり、ちょっと怖そうな奴に恐々であるが飛びかかったり。そして、女性の前では必要以上にメンツにこだわり、格好つけようとするところなんかは大きく共感できる。なかなか巴里っ子にも良い奴が居るね~と本作を観れば思うはずだ。
アルベールとルイの男同士の友情、アルベールとポーラの素敵だが儚い恋愛などハートを熱くさせるシーンも多い。そして、一度聴いたら耳に残る主題歌はミュージカル好きを惹きつける効果がある。更にギャグもけっこう笑えるし、今でもこのギャグ使えるじゃん、なんて妙な感心をしたりする。
急に名作と呼ばれる映画が観たくなった人、古き良き時代のフランス映画を観たい人、ルネ・クレール監督の熟練した演出のテクニックが見たいという珍しい人、そして恋愛、コメディ、ミュージカルの分野の映画が好きな人・・・等に映画巴里の屋根の下をお勧め映画として挙げておこう![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
監督は前述しているようにルネ・クレール。1920年代~1950年代にかけて活躍したフランス映画界の巨匠。この人の映画は本当に人情に溢れ、笑いと哀感のサジ加減が絶妙な作品を撮るイメージがあります。笑えて感動できる巴里祭、社会風刺劇タッチの自由を我等に、ハリウッドで撮った奥様は魔女(テレビシリーズが有名か)がお勧め。
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例えば最初からこんな調子だ、カメラが巴里(パリ)の上空の煙突をとらえて次第にビルの屋上から下の階へと住人を映し出していき、街路にたどりついた時に本作の主人公であるアルベール(アルペール・プレジャン)が登場する。そして、それに合わせてタイトル名にもなっている主題歌巴里の屋根の下(シャンソンの名曲です)の歌声が最初は聞き取れないぐらいの小さな歌声だったのが次第に大きな歌声になっていく。この時、俺はあまりにも古い映画なので音声不良なのかと思ったが、実はこれは演出のテクニック。この始り方は当時(1930年)の映画としては画期的と言うよりも、既に現在にも影響を与える映画の文法の完成形を見る思いがした。
他にも台詞などは一切省略して、登場人物の表情や行動からどういう状況かを観客にわからせたり、音楽を効果的に使ったりで様々な演出が施されている。しかしながら、今を生きる我々の世代が本作を初めて観て『この映画の演出ってスッゲェ~!』なんて感じる人は、まず居ない。
この映画が本当に凄いのは、一本の映画の中に喜怒哀楽が描かれ、ユーモアとペーソスに満ちているところ。喜怒哀楽でどれか一つでも欠けていたら、薄っぺらい映画になっていた可能性がある。ユーモアが無ければひたすら退屈なだけの映画になっていたかもしれないし、ペーソスが無ければ全く感動しなかったかもしれない。
とにかく人間の持っている感情を刺激しまくるストーリー紹介を。
パリの下町において。現代風に格好良く言えばストリートミュージシャンだが、毎日を楽譜を売って、歌うことを生業としているアルベール(アルペール・プレジャン)。彼にはいつも一緒に場末の酒場で飲んでいる親友のルイ(エドモン・T・グレヴィル)が居た。
アルベールが今日もストリートで人を集めて歌っていると、お客の中にルーマニア美女のポーラ(ポーラ・イレリ)を見かける。彼女をナンパしようと接近を試みるアルベールだったが、町を支配するヤクザのフレッド(ガストン・モド)が強引にポーラを口説いているのを見て怖くて諦めようとするのだが、ヒョンなことからアルベールとポーラの仲は急接近。2人はアルベールの安アパートで一緒に生活をすることになるのだが・・・
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今のフランス人はなんでもかんでも『自由』という言葉で簡単に片付けてしまう印象があり好きになれないのだが、本作に登場する主人公であるアルベールは人情味があって、なかなかの好漢だ。ナンパの仕方が下手だったり、度の行き過ぎた友人想いだったり、ケンカしても直ぐに仲直りして意気投合したり、ちょっと怖そうな奴に恐々であるが飛びかかったり。そして、女性の前では必要以上にメンツにこだわり、格好つけようとするところなんかは大きく共感できる。なかなか巴里っ子にも良い奴が居るね~と本作を観れば思うはずだ。
アルベールとルイの男同士の友情、アルベールとポーラの素敵だが儚い恋愛などハートを熱くさせるシーンも多い。そして、一度聴いたら耳に残る主題歌はミュージカル好きを惹きつける効果がある。更にギャグもけっこう笑えるし、今でもこのギャグ使えるじゃん、なんて妙な感心をしたりする。
急に名作と呼ばれる映画が観たくなった人、古き良き時代のフランス映画を観たい人、ルネ・クレール監督の熟練した演出のテクニックが見たいという珍しい人、そして恋愛、コメディ、ミュージカルの分野の映画が好きな人・・・等に映画巴里の屋根の下をお勧め映画として挙げておこう
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アルベール・プレジャン,ポーラ・イルリ | |
ファーストトレーディング |
監督は前述しているようにルネ・クレール。1920年代~1950年代にかけて活躍したフランス映画界の巨匠。この人の映画は本当に人情に溢れ、笑いと哀感のサジ加減が絶妙な作品を撮るイメージがあります。笑えて感動できる巴里祭、社会風刺劇タッチの自由を我等に、ハリウッドで撮った奥様は魔女(テレビシリーズが有名か)がお勧め。
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