先日のことだが名優津川雅彦さんがお亡くなりになられた。最近はメディア等で保守派としての言論が目立っていたが、彼の若い頃はリベラルな映画にもよく出演していた。津川さんが出演していた映画を多くは観ていないのだが、個人的にもの凄く印象的に残っている作品が大島渚監督の映画日本の夜と霧。津川さんが20歳の頃の作品だが、当たり前のことだが流石に若い。外見だけでなく声もだいぶ違う感じがする。
さて、本作だがテーマは大島渚監督作品らしく、かなりイデオロギーに満ちた作品になっている。制作された年代を見てもらえばわかるが、時代にマッチして日米安保闘争をテーマに描かれている。細かい内容は後で語るとして、本作は俺が生まれる10年前の作品だが、けっこう出演者は俺がテレビで見ていたりで知っている人が数人が出演している。津川雅彦さんを始め、渡辺文雄、佐藤慶さんも出ているように、後に名優と呼ばれる人が多く出演している。他の人もプロの俳優ばかり出演していると思うのだが、ところが驚いたことに台詞だけを聞いていれば学園祭レベルの酷さ。もうみんな台詞は噛み嚙みだし、明らかにミスっているし、ハッキリ発音できていないから何を言ったかわからななかったり、棒読みの俳優もいる。津川さんも台詞をミスって、明らかに失敗した~とわかる表情も撮られている。普通ならもう一回撮り直さないといけないレベルなのだが、台詞のミスなんかそのまま放ったらかしたままで、豪快に長回し。日本のヌーベルバーグを代表する大島渚監督の凄さを感じられる映画だ。
さっそくだが安保闘争の息吹を感じられるストーリーの紹介をしよう。
6月の国会前で安保闘争反対のデモをしていた時に出会った新聞記者の野沢(渡辺文雄)と女子学生の玲子(桑野みゆき)の結婚式が行われていた。野沢の学生時代の友人、先生。そして玲子の友達も呼ばれていた。ところがその場へ今日も安保反対デモに参加していた太田(津川雅彦)が乱入してくる。野沢、玲子、太田の三人の仲間である北見(味岡享)が安保反対のデモに参加するために国会に戻ってから行方不明になっているのに結婚式をしている場合か!と言って来たのだ。更には野沢の学生時代の友人である宅見(速水一郎)が結婚式に呼ばれても居ないのに乱入。彼は10年前の破防法(破壊活動防止法)における学生運動の中心人物だった野沢と共産党員の幹部である中山(吉沢京夫)に対し、10年前の出来事に対して文句を言いにやって来た。
もはや結婚式どころではなく、その場は10年前の出来事と現在の安保闘争をめぐって激しい激論が繰り広げられる場所に変わってしまったのだが、次々と色々な疑問が明らかになっていき・・・
映画全体の構成はディスカッションドラマ。議論を交わしている場面が殆どのシーンを占めているのだが、こういう映画はあまり人気がない。しかも
ディスカッションドラマなのに前述してたように出演者の誰もが台詞はカミカミというお粗末さだ。更にこの映画が少し変わっているのが結婚式の場面から違うシーンに移る時に、少しの時間だが暗転して違うシーンに向かう。舞台劇が半ば混ざっている感じになっている。
しかし、せっかくのお目出たい結婚式が議論の場になるが、俺から見ればかなりお粗末な議論の内容。特に新郎の野沢(渡辺文雄)が昔の女性関係をバラされているのには笑った。しかし、学生運動にしても全くまとまりがなかったり、日本共産党員の幹部が全く人の意見は聞かないし、逆らったら反逆罪の汚名をきせたりしている。しかも、火炎瓶を投げているように暴力革命を良しとしている風潮も今見ればかなり滑稽だ。左翼による内ゲバ争いが非常によくわかる内容だ。
まあ、観ていて一番腹が立つ奴が中山(吉沢京夫)。学生運動のリーダーであり、共産党員の幹部でもあるのだが責任逃れが酷い。俺の知っている自民党員らしき政治家にも責任逃れや人を騙す卑怯者がいるが、まさにリーダー不適格の見本を見せられたようだ。ちなみにこの中で出てくるキャラクターで一番のお気に入りは全くぶれない太田(津川雅彦)。考え方は間違っていても仲間想いでグタグタ言わないでストレートに想いを語っているのは非常に共感できる。
しかし、俺の学生時代とは違って俺より20歳から30歳上の学生達の社会を変えるんだという熱い気持ちは本作からも伝わってくる。カミカミの台詞は聞き苦しいかと思いきや、実はリアリティを出す効果があった。政治や議論がメインの映画はアクション映画やサスペンス映画と違って動きがないので、あまり人気がない。
しかし、台詞カミカミ、言い間違い、すぐに言葉が出ない等のような珍しい映画を観たい人、学生運動の雰囲気をちょっと知りたい人、なぜ共産党は日本では受け容れられないのか知りたい人、若すぎる津川雅彦を見たい人などに今回は日本の夜と霧をお勧め映画として挙げておこう。
監督は前述しているように大島渚。戦場のメリークリスマスが世界的に有名ですが、個人的には儀式をお勧めしたい。
さて、本作だがテーマは大島渚監督作品らしく、かなりイデオロギーに満ちた作品になっている。制作された年代を見てもらえばわかるが、時代にマッチして日米安保闘争をテーマに描かれている。細かい内容は後で語るとして、本作は俺が生まれる10年前の作品だが、けっこう出演者は俺がテレビで見ていたりで知っている人が数人が出演している。津川雅彦さんを始め、渡辺文雄、佐藤慶さんも出ているように、後に名優と呼ばれる人が多く出演している。他の人もプロの俳優ばかり出演していると思うのだが、ところが驚いたことに台詞だけを聞いていれば学園祭レベルの酷さ。もうみんな台詞は噛み嚙みだし、明らかにミスっているし、ハッキリ発音できていないから何を言ったかわからななかったり、棒読みの俳優もいる。津川さんも台詞をミスって、明らかに失敗した~とわかる表情も撮られている。普通ならもう一回撮り直さないといけないレベルなのだが、台詞のミスなんかそのまま放ったらかしたままで、豪快に長回し。日本のヌーベルバーグを代表する大島渚監督の凄さを感じられる映画だ。
さっそくだが安保闘争の息吹を感じられるストーリーの紹介をしよう。
6月の国会前で安保闘争反対のデモをしていた時に出会った新聞記者の野沢(渡辺文雄)と女子学生の玲子(桑野みゆき)の結婚式が行われていた。野沢の学生時代の友人、先生。そして玲子の友達も呼ばれていた。ところがその場へ今日も安保反対デモに参加していた太田(津川雅彦)が乱入してくる。野沢、玲子、太田の三人の仲間である北見(味岡享)が安保反対のデモに参加するために国会に戻ってから行方不明になっているのに結婚式をしている場合か!と言って来たのだ。更には野沢の学生時代の友人である宅見(速水一郎)が結婚式に呼ばれても居ないのに乱入。彼は10年前の破防法(破壊活動防止法)における学生運動の中心人物だった野沢と共産党員の幹部である中山(吉沢京夫)に対し、10年前の出来事に対して文句を言いにやって来た。
もはや結婚式どころではなく、その場は10年前の出来事と現在の安保闘争をめぐって激しい激論が繰り広げられる場所に変わってしまったのだが、次々と色々な疑問が明らかになっていき・・・
映画全体の構成はディスカッションドラマ。議論を交わしている場面が殆どのシーンを占めているのだが、こういう映画はあまり人気がない。しかも
ディスカッションドラマなのに前述してたように出演者の誰もが台詞はカミカミというお粗末さだ。更にこの映画が少し変わっているのが結婚式の場面から違うシーンに移る時に、少しの時間だが暗転して違うシーンに向かう。舞台劇が半ば混ざっている感じになっている。
しかし、せっかくのお目出たい結婚式が議論の場になるが、俺から見ればかなりお粗末な議論の内容。特に新郎の野沢(渡辺文雄)が昔の女性関係をバラされているのには笑った。しかし、学生運動にしても全くまとまりがなかったり、日本共産党員の幹部が全く人の意見は聞かないし、逆らったら反逆罪の汚名をきせたりしている。しかも、火炎瓶を投げているように暴力革命を良しとしている風潮も今見ればかなり滑稽だ。左翼による内ゲバ争いが非常によくわかる内容だ。
まあ、観ていて一番腹が立つ奴が中山(吉沢京夫)。学生運動のリーダーであり、共産党員の幹部でもあるのだが責任逃れが酷い。俺の知っている自民党員らしき政治家にも責任逃れや人を騙す卑怯者がいるが、まさにリーダー不適格の見本を見せられたようだ。ちなみにこの中で出てくるキャラクターで一番のお気に入りは全くぶれない太田(津川雅彦)。考え方は間違っていても仲間想いでグタグタ言わないでストレートに想いを語っているのは非常に共感できる。
しかし、俺の学生時代とは違って俺より20歳から30歳上の学生達の社会を変えるんだという熱い気持ちは本作からも伝わってくる。カミカミの台詞は聞き苦しいかと思いきや、実はリアリティを出す効果があった。政治や議論がメインの映画はアクション映画やサスペンス映画と違って動きがないので、あまり人気がない。
しかし、台詞カミカミ、言い間違い、すぐに言葉が出ない等のような珍しい映画を観たい人、学生運動の雰囲気をちょっと知りたい人、なぜ共産党は日本では受け容れられないのか知りたい人、若すぎる津川雅彦を見たい人などに今回は日本の夜と霧をお勧め映画として挙げておこう。
日本の夜と霧 [DVD] | |
大島渚,真鍋理一郎,石堂淑朗 | |
松竹ホームビデオ |
監督は前述しているように大島渚。戦場のメリークリスマスが世界的に有名ですが、個人的には儀式をお勧めしたい。