褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 獣人(1938) ついつい発作が起きてしまいます

2018年09月29日 | 映画(さ行)

 フランスの文豪エミール・ゾラの同名タイトルを原作とする映画化。冒頭でいきなりエミール・ゾラの画像と署名が出てきて驚いた。そして、その後に主人公のジャン・ギャバン扮する機関車の操縦者の先天的な精神的な病の説明がされる。それは『時々、女性を殺したくなる症状』俺はこの説明を聞いて、そんなことがありえるのかと思ったのだが。もうこんな男性と知り合いになった女性は、運が悪かったと諦めるしかないのか?

 それでは早速だが、祖父や父から遺伝子を受け継いでしまったがために悲劇を生みだしてしまうストーリーの紹介を?
 機関車の操縦士であるジャック(ジャン・ギャバン)は祖父や父から先天的な遺伝子を受け継いでいた。彼はそのおかげで故郷に彼女がいたのだが、結婚せずにいた。
 ジャックは自分の操縦する機関車が修理される3日間を故郷で過ごしていたのだが、3日間が終り彼はル・アーブル駅に戻る。その道中の列車の中で助役ルポーとその妻セヴリーヌ(シモーヌ・シモヌ)が彼らの養父である金持ちの爺さんを殺害する。
 みんなが列車を降りた後に犯人捜しが行われたのだが、ジャックはルポーとセリーヌが殺したことに気づいていたのだが、彼は知らないふりをする。
 セリーヌは念のためにジャックに近づいてきた。ジャックは口外しないことを誓うのだが、そのことを切っ掛けにジャックとセリーヌは愛し合うようになり、夫婦仲が悪かったセリーヌはジャックに夫のルポーを殺害するように持ち掛ける。ジャックは実行しようするのだが・・・

 実は変な遺伝子を祖父や父から受け継がなければ、ジャックは本当は好いやつだ。しかし、いくら遺伝だと言っても常に保護観察者が側にいないとダメだろう。しかも、男を殺そうとして殺せず、女はいつの間にか殺害してしまう。しかし、このなかなか滅多に見ることが出来ない設定のお陰で面白い映画を見た気分になれた。
 遺伝子によるアイデアはエミール・ゾラの自然主義文学から発生した。だからエミール・ゾラの愛読者ならこの無理があるような設定でも受け入れられる。
 しかし、俺がよくわからなかったのは自分の先天的症状を知っていながら、セリーヌとは愛し合おうとしたこと。ジャックはセリーヌを愛していながらも、犯罪者とならば発作が起きてしまっても良し、という考えからだろか?
 そんな疑問があるが、雨の中で2人がこっそり遭うシーン、当時の映画にしては激しい殺害シーン等、時代を考えれば鉄道の発展にも驚いた。印象的な場面があるので退屈感はない。
 エミール・ゾラの小説が好きな人、ちょっと昔のフランス映画を見たいと思った人、ジャン・ギャバンが好きな人、ラストは悲劇で終わる映画が好きな人等に今回は獣人をお勧めしておこう。

獣人 [DVD]
ジャン・ギャバン,シモーヌ・シモン,ジュリアン・カレット,ブランシェット・ブリュノア
ジュネス企画


 監督は印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールの次男坊であるジャン・ルノワール。1930年代から40年代にかけてのフランス映画黄金期を代表する監督。お勧めは反戦映画にヒューマニズムを叩きこんだ大いなる幻影、ジャン・ギャバン、ルイ・ジューヴェの当時のフランスの二大スターが競演したどん底、インドを舞台にした西洋人と東洋人の交流を描いたが良いです。 
 
 

 

 

 
 
 
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