褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 暴力脱獄(1967) 脱獄映画の傑作です

2018年11月01日 | 映画(は行)
 タイトル名から想像できるように、囚人が暴動を起こして脱獄するストーリー、と言うのは嘘。ポール・ニューマン演じる主人公ルークが脱獄を繰り返すストーリーだが、彼が暴力を振るうようなシーンは全くないし、そもそも暴力的なシーンが殆どない。
 ちなみに原題はCool Hand Luke(クール・ハンド・ルーク)。これはルーク(ポール・ニューマン)の手が冷たいという意味ではない。まあ、俺なんかはよく色々な人から「クールですね!」なんて言われるが、そんなのはもう当たり前すぎて飽きた。このタイトルの意味するところはルークが他の囚人達とポーカーをするシーンがあるが、そのシーンを見ればわかる。
 しかし、この邦題の駄目さは歴代映画の中でもトップクラス。クール・ハンド・ルークのままにした方が格好良いと俺は思うのだが。

 ちなみに本作は何気に脱獄ムービーを装っているが、実は非常に多くのテーマを内包している映画。刑務所を舞台に所長や看守に対し、囚人でありながら反抗的な態度を取り続けるルーク(ポール・ニューマン)。彼の刑期はたったの2年なのに、なぜ無意味に思えるような行動をするのか?それではストーリーの紹介を簡単に。
 戦場において多くの勲章を手にしていたルーク(ポール・ニューマン)は夜中に酔った勢いで、パーキングメーターを次々に壊していく。もちろん警察に捕まり、器物損害の罪でアメリカ南部フロリダ州の刑務所に収監される。何かと反抗的な彼の態度は囚人達の中のボス的な存在である大男のドラグライン(ジョージ・ケネディ)から目をつけられ、そして刑務所長(ストローザ・マーティン)や看守達からの過酷な労働、体罰にも遭うが、彼はいつも笑顔を浮かべて決して屈しなかった。そんなルークのキャラクターは次第に他の囚人達の尊敬を集め、ドラグラインですらルークの虜になってしまう。
 しかし、ルークに母親の悲報を知らされる。そのことを切っ掛けに彼は脱獄をしては、捕まりの繰り返し。二度目の脱獄に失敗しての拷問に近い体罰には心が折れそうになったルークだったのだが・・・

 冒頭からのパーキングメーターを壊していくシーンからして、もうこれは単純な映画ではないと観ている者は思う。刑務所内での反抗的な態度、脱獄を繰り返すのは、どうでも良いような規則にたいしての彼なりの反乱であり、悪しき権力への抵抗の表れ。それを笑顔を見せながら実行していくポール・ニューマンが格好良いし、本当にクール。刑期がたったの2年なのに脱獄を繰り返すなんて、ただの馬鹿のように思えたりするが、あえて茨の道を進んで自らの手で自由を勝ち取る信念を感じさせる。
 しかし、この映画ほど印象的なシーンが多い映画も珍しい。例えばルーク(ポール・ニューマン)とドラグライン(ジョージ・ケネディ)の殴り合いのシーン。とにかくルークが殴られっぱなし。しかし、どれだけ殴られても立ち上がり、最後はドラグラインが根負けしてしまう。
 そして、ゆで卵を50個も食べるシーン。女性から見たらくだらないシーンに思われるかもしれないが、俺から見ればけっこう熱くなるシーン。男は時にこういうくだらないことにプライドをかけるのだ。
 他にも炎天下で道路の舗装をさせられるのだが、これが重労働。他の囚人たちはやる気がなくダラダラしているのだが、ルークの一声でみんなが楽しそうにやり出して、看守達がビックリするぐらいに早く終わらせてしまったり等など見せ場がたくさんある。
 そして、この映画は宗教的示唆に満ちているのも特徴。ゆで卵を50個食べきった後の倒れ込むシーン、脱獄中に教会に入って神に問いかけるシーン、ドラグラインが『ルークは常に笑っていたよな』なんて言っているのはキリストの弟子たちによる福音書を思わせるし、ラストシーンなんかイエス・キリストの有名なシーンそのもの。他にも色々と宗教的な暗示を示すシーンがたくさんある。
 そして主演のポール・ニューマンだけでなく脇役も良い。常にグラサンを掛けていて片手でライフルを持ち全く喋らない看守がいるがコイツがちょっと怖い。
 反骨精神にあふれる男の映画を観たい人、現実の社会に不満を持っている人、自分の名前を永遠に残したい人、権力を握りたいと妄想している人、偉いさんの無謀な要求に従ってばかりの人、そして笑顔が素敵な人間になりたい人・・・等に今回は映画暴力脱獄をお勧め映画として挙げておこう。

暴力脱獄 特別版 [DVD]
ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ,ハリー・ディーン・スタントン
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント


暴力脱獄 [Blu-ray]
ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ,ハリー・ディーン・スタントン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 




 



 

 
 

 
 
 

 
 

 
 

 

 
 

 
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする