褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 地獄の黙示録(1979) 戦争映画と言われるが・・・

2018年11月26日 | 映画(さ行)
 ベトナム戦争を描いた映画は最近では少なくなったが、かつてはウンザリするほどたくさん公開された。常に俺たちは正義の立場なんだと信じていたアメリカ人が、ベトナム戦争での敗戦、戦場であからさまになった残虐行為の数々を知らされ、アメリカ自体が疑心暗鬼に包まれる国になってしまった。アメリカを描くのにベトナム戦争は決して避けられないことに気づいたハリウッドは次々にベトナム戦争を題材にした映画を撮りまくるが、その口火を切ったのが今回紹介する映画地獄の黙示録。何だか今改めて観るとベトナム戦争を描くというよりも現在にも通じる人間の心の闇が描かれているように思える。
 確かに人間なんかは本当にいい加減な生き物。昨日までは良い人だと思っていたら、今日出会ったら実はとんでもない悪人だった!なんてことがよくあるのは多くの人が経験していることだろう。人間なんて100%良い人なんて存在しない。俺だって、いつもニコニコして良い人のように思われているが、実はとてつもなく腹黒い。

 本作のテーマには戦争といったものがいかに人間を狂わせるか!ということが挙げられると思うが、そんなテーマを深読みするのが馬鹿らしくなるストーリーの紹介を。
 ベトナム戦争の末期において。サイゴンのホテルで虚ろな表情をして待っていたウィラード大尉(マーティン・シーン)に指令がくだる。それは元特殊部隊の大佐であるカーツ(マーロン・ブランド)を暗殺すること。カーツはアメリカ軍の命令を無視して、ジャングルの奥地であるカンボジアに自らの王国を作っていたのだ。
 ウィラード大尉は命令を聞かされていない五人の部下を従い、河川哨戒艇に乗って川を上って行くのだが、途中で自分の常識では計り知れない場面に次々と出くわす。次第にウィラード大尉自身が平常心を保てなくなってきて・・・

 こんな奴が居るか?なんて思わせる人物が登場する。趣味がサーフィンである空軍のキルゴア中佐(ロバート・デュバル)。ナパーム弾をワルキューレの騎行の音楽に乗せて、何千発も落としまくって村中を炎で包み込んでしまう。このシーンが前半の大きな見せ場でかなり面白い。
 その後は川を上って行くと、ジャングルの中からいきなり明るいステージが現れ、ちょっとエロいプレイメートが現れたり、指揮官がいないのに戦い続ける部隊に遭遇したり、何だこりゃ!?と思わせる場面を観ることが出来る。そして最後はウィラード大尉とカーツのガチンコの戦いが見れるのかと思いきや、けっこう俺は拍子抜けした。
 俺が観たのは3時間半ぐらいの完全版。公開時は2時間半(それでも長いが)だったのだが、わざわざ未公開シーンを足したのだが果たしてこれは成功したのかどうか微妙なところ。俺なんかは長くなった分だけ怠く感じたのだが。しかし、この映画が本当に面白いのは舞台裏での出来事。
 主役のウィラード大尉役のキャスティングが実は撮影に入ってからも交代になったり、マーロン・ブランドが撮影に参加した時は台詞を全く覚えていなかったり、あまりにも太ってきてしまったためにアクションシーンの予定を変更したり、主役のマーティン・シーンが撮影の途中で心臓マヒで入院したり、カメラマン役のデニス・ホッパーが麻薬中毒のまま撮影に参加していたり、トラブル続き。それにつれて撮影期間が大幅に延長したり、予算も超えてしまったためにコッポラ監督自身が私財を投げうったり等、舞台裏の方がメチャクチャ楽しい映画。そういう裏話を知りながら観れば、何で最後の方がグダグダなのか理解できるかもしれない?
 観る人によって評価が大きく変わる映画だと思うが、巨匠コッポラ監督が自腹を切ってまで完成させた映画として今回は地獄の黙示録をお勧め映画として紹介しておこう。

地獄の黙示録 [DVD]
マーロン・ブランド,マーティン・シーン,ロバート・デュヴァル,ローレンス・フィッシュバーン
KADOKAWA / 角川書店


地獄の黙示録 劇場公開版/特別完全版 [Blu-ray]
マーロン・ブランド,ロバード・デュバル,マーティン・シーン,デニス・ホッパー
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


 監督は前述したようにフランシス・フォード・コッポラ。名作ゴッドファーザーは俺が一番好きな映画という理由でお勧め。他にはジーン・ハックマン主演のラストが皮肉なサスペンスカンバセーション…盗聴…、今やすっかりベテラン俳優になってしまったオジサン、オバサンたちの若さに驚く青春映画アウトサイダー、ジョン・グリシャム原作、マット・デイモン主演のレインメーカー、コッポラ監督健在を印象づけたコッポラの胡蝶の夢等、お勧め映画多数の巨匠です。
 
 
 
 
 
 
 
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