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映画 未来世紀ブラジル(1985) 管理社会を皮肉る

2024年12月10日 | 映画(ま行)
  映像の魔術師と言われるテリー・ギリアム監督だが、その奔放なイマジネーションには感嘆する。そんな彼の作品の中でも、その特徴が最も発揮されているのが今回紹介する映画未来世紀ブラジル。本作が制作された時期を考えるとSF映画として驚きの映像を見れるし、本作以降のSF作品においても色々と影響を与えていることが見てとれる。しかし、それ以外にも管理社会の恐ろしさを全編に渡って皮肉っているのが見どころ。我が国ニッポンを含めて民主主義が発展している国では三権分立が確立されているが、権力がすべて官僚に集中してしまうことの恐ろしさを痛感させる内容になっている。

 まさかとは思うが日本もマイナンバーカードの普及において何もかも個人情報が筒抜けになると、本作のような世界が繰り広げられてしまうかも?なんて警鐘しているようなストーリーの紹介を。
 20世紀のどこかの国が舞台。国家組織である情報省によって人間社会は徹底的に管理されている。しかし、情報省は致命的な失敗を繰り返すので、それに反抗して爆破テロ事件が頻繁に起きていた。そんなある日のこと、情報省のミスにより本当はタトル(ロバート・デ・ニーロ)がテロリスト犯であるのに、バトル氏を捕まえてしまう誤認逮捕が発生。そんな失敗の責任回避を上司の命令を受けてサム・ラウリー(ジョナサン・プライス)は動きだすのだが、その過程でいつも夢にみる美女ジル(キム・グライスト)と似た人物を見てしまう。実はジルは誤認逮捕の目撃者であり、情報省から犯罪者扱いされていた。
 そして、サム自身も何時の間にやら情報省からあらゆる罪を被せられ、ジルと一緒に逃亡生活を余儀なくされるのだが・・・

 なぜタトルではなくてバトル氏が逮捕されることになったのか?それはひょんなことからのタイプライターの打ち間違い。こんなことで逮捕されたんじゃたまらないし、情報省とやらも反省する気もなし。思い付き同然で逮捕されたんじゃやってられないし、そりゃ~爆破テロを起こそうとする人間も出てくる。本作でも爆破するシーンがたくさん出てくる。
 そして、官僚についても皮肉的な描き方をしている。やたらお役人が無駄に集まっており、仕事はせずにテレビばかり見ている。そのくせサム以外は出世欲はある。しかも、究極の縦割り社会。情報省内の局を行ったり、来たり往復させられるシーンがあったりする。
 更に少し笑えたのが情報管理が大量の書類によってされていること。そこら中に書類を巻き散らかすシーンも見られるが時代的にインターネットが普及していないから当然かもしれないが、その割に徹底した管理社会が行き渡っていることのギャップが笑えた。
 無機質な建物のセットや大量のダクトなんかはローテクを感じさせるが、この監督のイマジネーションの豊かさはサムが見る夢の中で活かされる。兜をかぶった巨人と戦うシーンがあったり、スパイダーマンの強敵であるサンドマンみたいな奴が出て来たりなど驚きのシーンも見れる。
 登場人物もやたら整形手術が大好きなオバサン連中が出て来たり、何だこりゃなんて思わせる場面もある。ちょっと監督の悪ふざけが目立つシーンが多かったりするので、その辺りに拒否反応を起こしてしまう人がいるかもしれない。それもこの監督の個性と言ってしまえばそれまでだが。
 結局のところ、笑いのツボが浅い人、鬼才と呼ばれる監督の映画が好きな人、シニカルなテーマが好きな人、出演時間は短いがロバート・デ・ニーロのファンの人等、ハマる人にはハマる映画未来世紀ブラジルをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したとおりテリー・ギリアム。この監督の作風は好みが分かれるか。ブルース・ウィリスが色々な時代に飛ばされる12モンキーズフィッシャー・キングは比較的誰にでもお勧めできそう。個人的にはバロン、グリム童話を基にしたブラザーズ・グリムDr.パルナサスの鏡もこの監督らしさが出ていて好みではある













 

 


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