木通の熟れる頃

　遠い記憶にあったのは、道草で小川の向こうに下がっていた木通。お八つなど買って貰えない貧しさであったから、先に見つけた者勝ちだった。用心しながら行かねばと浅瀬を渡り、足元に注意して近づく。蝮がいる時期、咬まれたら大惨事になるのよ。向こうは牙を抜いての、成虫を口から吐き出す頃で太刀打ちできません。

　以前の職場に居た者から、大量の木通を貰い種をそこら中にばら撒いた。どの位で生るのか？毎年心待ちにしていたら、4年程経って花が咲き実が付いた。現代農業での特産地は山形県で、山から移植しての生産らしく早生・旬・晩生とある。種類も三つ葉木通と五葉木通に、白木通もあるとかで我が家は三つ葉木通ばかりです。

　10月になったら熟れ始めると知っていたが、気温にも依るらしくあっという間に開いてしまった。昨年送った方は除外して、今年は新規の方に。無農薬を歓んで下さり、症状への改善にも使われるといいなぁ。耳鼻咽喉に効果が大きく、扁桃腺炎や蓄膿症に芳しい働きをする。ホワイトリカー35℃に漬けたり、料理に用いる。

　用意する物　小麦粉・無農薬　木通の皮刻んだ物・舞茸・玉葱・林檎・茹で大豆・水を人数分適宜。フライパンにごま油かオリーブオイルかを入れて、野菜等を炒める。水を加えた小麦粉を溶いたのを流し入れて弱火で数分で出来上がり。お好み焼き風にしても、お椀に出汁を容れたのに浮かべても。味付けは塩だけです。

　二十四節気　寒露　秋涼増長し、露は陰気を含み、寒涼となるの意味で寒露と云う。毎年、十月八日頃である。お天気の回復に安堵しているのは、今夜が十三夜です。樋口一葉作品もたけくらべは教科書に載っていますが、にごりえ・十三夜・おおつごもりは馴染みが薄いですね。鏑木清方の描く絵に、魅了されしんみりと。