阪急総持寺駅前で待ち合わせ。車でピックアップしてもらう。
昭和な風景が残っていた。
10分ほど。店の目の前には、広大な吹田の東芝製造工場の跡地が広がっている。
店は手作り感満載。 とぼけた「ぎょうざ」の看板が杉浦茂っぽくていいね。テヘッ…。
朋友である清水くんが大のお気に入りとなり、何度となく勧められて、やっと実現。
リンさんという中国婦人が一人で、しかも家庭用厨房で料理を作る。
手始めにビールなんぞで、のどを潤し…
枝豆の野沢菜和え
野沢菜のしょっぱさが豆に移り、いい塩梅。ビールに合う。
豚肉とレンコンの甘辛煮
ほろほろと煮込まれた豚肉に、歯ごたえを残したレンコンが好対照。
春餅(ツンピン)
自家製甜麺醤がこれまた美味い。味噌舐めながら、いっぱいやれる。
そもそもコムギ食が盛んに食べられるようになったのは、宋代(960~1279)らしく、
北宋やぶれ、南宋になり、首都が北の河南省から南の浙江省江南に首都が移り、
難民の移動と共に、北方で発達した粉食文化が南方に進出した、とみられる。
(こういうのは見てきた訳ではなく、石毛直道先生のうけ売りである)
それまでは北方ではコムギ、アワ、キビなどが主たる作物であり粉食、南方は稲作地帯なので米食だった。北方では厳しい気候もあり、饅頭(中に何も入らない)が主食である。
一方、南方は豊かな食材があり、飲茶の点心を見て判るように、包子(パオズ)として多種多様に花開いて行く。
リンさんの故郷は広東省湛江市(たんこうし)。
広東省でも最も西に位置し、海南島に近い。
かつてフランス租界があったそうな。
水餃子
豚肉にセロリ、五香粉の香り。
あんのジューシーさは、角煮を作った時の煮汁を煮こごりにして入れることによる。
ツルリとしているが、噛むと歯茎を押し返すような麺の食感。美味い!
日本人が作るとこうはいかない。
水晶餃子
焼餃子で。豚ミンチに海老、白菜、ネギ。半透明の皮は浮粉が入る。
ジャンボ餃子
人参、タケノコ、ピーナッツ、シイタケなどの具が細かく刻まれて入る。
うっすら透けてるところが美しい。里帰りの際に作ってもてなし、手土産にするという。
大きいので、お腹が膨れるので注意。
餅米シューマイ もちもちの食感の中、中国産くわいがシャリッと心地よいアクセントに。
ピータン豆腐 ザーサイとピータンの秀逸な組み合わせ。 紹興酒に切り替え。
青椒肉絲 リンさんにかかると、カラフルな姿に。 春餅に包んで。
春雨のイカ風味炒め
イカ風味を加えるのはスルメ。スルメイカを戻すのではなく、そのまま細かく刻む。
調味料はほとんど使わず、イカが味を出す。こんな使い方知らなんだ。
スルメは細かければ細かいほどいいという。
トマトの玉子焼き 青いトマトでどうなんと思ったが、何の心配も不必要。
冬瓜とピーナッツ炒め シャキッとした食感!
土鍋でどん、と出てきたのは、大根スープ。
これがスゴかった。ものすごく淡白。ちょっと遠くで大根の味がする。
何の味付けもなく、大根のエキスだけという。
大根はパズルのような切り方。
無造作に大根だけを茹でても、こんな味付けにはならないだろう。
何を使っているのかは判らないが、湛江ではこうしたスープを出すという。
これを合わせるのが、広東風焼そば。
塩コショーぐらいのあっさり味。しこしことした平打ち麺。
驚愕したのが、デザート替わりに出てきた、チーズ甜餅。
作り方が変わっている。
日本人ならこうはしないだろうという、目からウロコの作り方。
麺をこねて丸く広げ、切れ目を入れ、くるくる巻いていく・・・
上から押しつぶすと、パイのような層になっている。お見事!!
まぁ、ここは現場で見て驚いて頂こう。
脂と黒砂糖。シンプルだが、これが美味いのなんの。
お代わりしたいですか?と言われ、揃って「水餃子と焼餃子」をお願いする。
水餃子を焼くのを「まかない餃子」というのだそう。
リンさん手早い。お代わりもペロリ…。
粉を扱うことでは関西人は比較的得意にしている筈だが、いや、なんの大人と子供!
粉を使いこなして来た、たぶん歴史の積み重ねがちがうのだろう。
旧正月には欠かせない餃子。その頃、またお邪魔したいと思う。
屋号は、溢れる色彩に流れる香り・・・リンさん、詩人ですなぁ。
溢彩流香 イーサイリュウシャン 茨木市太田3