宮殿盤欝 楼観飛驚 (半切1/2大)
久しぶりに松本芳翠先生の草書千字文です。
先ずは草書としての崩し方、
“殿”、“盤”、“欝”、“飛”、“驚”などはこのようになるようです。
意味不明で書くのも空しいので、概略をネットで。(細部は末尾に)
宮殿の建物は、入り組んで沢山建っている
高楼の眺めにはその高さに驚かされる
・・・ぐらいの意でしょうか。
さて本題の書、芳翠先生の作品を見ていると、
本当に凄いなあ、といつも感心します。
何が凄いか、それはこの与えられた8文字を、
完全に書道として作品化してしまい、
見事に芳翠ワールドを創りあげておられるところです。
全体のバランスが絶妙です。
そのための軸線や重心の置き方。
強弱・太細の付け方。
字形の整え方(例えば普通の三角形と逆三角形など)。
それに個々の字の上品な美しさ。
8文字をただ漫然と書くのではなく、
書道としてどうあるべきかを、
本当によく追求されておられるのだなあ、
とただただ感服あるのみです。
[注]
“盤”は大きく平らな、あるいは曲がったの意も。
“欝”は盛んなさまとか入り組んだの意。
また“飛”にはもともと高い空間を意味したり、
飛ぶ鳥さえ驚く、と解釈されている方もおられるようです。
一文字一文字の面白さもありますが、私には読めない草書の美しさ、組み立てられた全体のバランス、墨絵を見るような清清しさ、そんな世界を感じます。
ど素人の私には、良し悪しは分かりませんが、兎に角凄いな~と思います。