オルセー美術館の作品写真集にある一枚です。
二人の少女がピアノに向かっている姿に魅せられ、前々から模写してみたいと思っていました。
二人の目は楽譜に、耳は音に、いや全身でこのピアノに向かっているのでしょう。
「ここは、これでどうかしら」とか、語りあいながら。
二人を描き、ピアノを描き、最後に背景のカーテンを縦長にシャーシャーと描いて、一応模写を終わりました。(花の置物は省略)
その夜、安焼酎をちびりとやりながら、模写したルノワールの絵を見なおしました。
“ウーン、何かが違うなあー”
ルノワール独特の豊満な表現、ピアノの描き方、色合い、油絵と水彩の違い・・・。
いやいや、そんなのは違うのは当たり前、ほかのもっと何かが!
写真集の実物では、ピアノを弾く少女の顔が、もっと上むきにぐっと楽譜を眺め、後ろの少女も、もっと前のめりで眺めている。
二人の真剣さがより強そうです。
そして、無造作にシャーシャーと描いてしまった背景のカーテン。
彼の絵では、ほぼ左半分は、上の幅はそのままで、その中央(少女たちの向こう側)付近で束ねられていました。
そうです、そこでできるカーテンの皺筋までピアノに集中させているのです。
これぞ、バックも含めた全体感。
この絵のタイトルは「ピアノに寄る少女たち」。
この「寄る」の意には「心理的あるいは空間的に、ある対象や地点にひきつけられる」(趣旨 広辞苑など)とありました。
どうやら、「寄る」に重要な意味があったようです。
訳した人もすごいと感じたことでした。
[注]
この絵の原題は“Jeunes filles au piano” 仏語は全く駄目ですが、ネットで調べましたら、
Jeunes filles は若い娘たち、pianoはピアノ。auが大事らしそうですが、それ以上のことは分りません。
「寄る」のニュアンスを含んでいるのでしょうか。
[追記]
上の絵のカーテンだけを修正したものを、
2019.2.11付の拙ブログでアップしています。
イヤー人生いくつになっても「挑戦」することが大切だと思いますよ。 エライ。
一見して模写だとはわかりますから上手いですよ。