春さればまづ(都)さ(沙)く宿の梅の花
ひ(飛)と(登)り見(美)つつや(耶)春日暮らさむ(牟)
“らしい字”は一旦おいて、普通の字に戻ります。
今月中旬から下旬にかけて、福祉センターで書道教室の作品展が開かれます。
4点ほど出展予定ですが、そのうちの1枚です。
令和関連 山上憶良の梅の歌を漢字かな交じりで書きました。
この作品の最大の特徴は、
いわゆるデザイン(略略A4コピー用紙1/3大の鉛筆書き)
をプロの方に書いてもらったことです。
そうです、昨年暮れ(12月2日)同じく梅の歌「わが苑に梅の花ちる久方の・・・」
でご指導いただいた、書道教室の友達の奥様先生です。
このデザインをいただいた時、
やはりプロの方のそれは凄いなあーと感嘆あるのみでした。
奥様先生のご意図とは遠く離れて、的外れかもしれませんが、
私なりに驚いたのは次の数点です。
先ず右上玄関口、暖かい雰囲気の“春”からゆったりと入り、
“さ”の2画目、“れ”の1画目のそれぞれの屈折のさせ方・・・。
1行目途中の“沙”の三水、“や”の縦線の返しなどは
自分には初めてのことです。
また1行目最後の“はな”の安定感・・・。
2行目左上は幽玄の間。“ひ(飛)”も初めて使う書体で入り、
左上全体は、選ぶ字と言い、バランスといい、軸線といい、
いずれも、成程なるほど・・・と。
左下は“春”の縦線をややカーブさせることにより、
上の流れを引き継ぐとともに、下の方向も決めている・・・。
同じ“春”でも冒頭書き出しのそれとは全く役割を変えて使用されている・・・。
また、各行の軸線というと、
一本の線の方向とか強弱しかイメージしていませんでしたが、
これだけではなく、
“り”とか“登”や“日”や“草冠” の縦2本の線は
下にグイグイと方向を引っ張っているように映りました。
更には左右の行の呼吸のさせ方・・・などなどです。
数十枚の練習を重ね、自分に理解できる範囲で、デザインの具現に努めました。
何よりこの一枚を通じて、プロの方の構想力の素晴らしさの一端に、
直に触れえたのは最高のよろこびでした。
私などはなんとなく自分の特徴と流れで書いているのかと思っていましたが、とんでもないですね。
細かい説明を聞いた後にも拘らずこんな感想で申し訳ありませんが、作品は全般のバランスも良く、自然な流れと言いますか、流暢に仕上がっていると思います。
書の道は奥深く、ここまで修練されている作者がまだまだ追い求めるものだと感心しきりです。
書の展示会など見る機会がありましたら参考にさせていただきます。