健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

肥満と自己免疫疾患

2013-04-13 08:30:11 | 研究
肥満に伴って発症する糖尿病や動脈硬化に関わるタンパク質AIM (Apoptosis Inhibitor of Macrophage)が自己免疫疾患の発症でも重要な役割を持つことが明らかになったそうです(QLife Pro)。 自己免疫疾患は体の細胞を攻撃する抗体(自己抗体)ができ、最終的に臓器に炎症が生じて機能が損なわれてしまう疾患ですが、肥満に伴う疾患群の一つともされている。たとえば甲状腺機能低下、インスリン分泌不全、不妊症などはいずれも肥満によって発症するそうです。しかしそのメカニズムはこれまで不明だったそうです。研究グループは、これまでに血液中のAIMの量を制御することで肥満の進行を抑え、糖尿病や動脈硬化を抑制する可能性を提示してきたそうです。肥満が進行すると血液中の脂肪酸の増加で免疫細胞は活性化、免疫グロブリンIgMが増加するそうです。これが過剰になると脾臓で自己抗体を作る悪玉の免疫細胞が生み出されるそうです。AIMは血中でこのIgMに結合して脾臓で長時間働ける支援し、肥満でIgMが増加してもAIM量が少なければ脾臓でIgMは機能しないというのです。もちろん、悪玉の免疫細胞は増えないことを実証したそうです。ですので、過度の肥満でも血液中のAIMの量を抑えれば糖尿病などと同じく自己免疫疾患も抑制し得るということが示されました。今後、AIMは肥満に伴う幅広い疾患の統一的な治療のターゲットになるかもしれません。
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