健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

不快な痛み

2013-04-14 08:30:07 | 研究
痛みが不快ですね。でも、なぜ痛みが不快感を起こすのか、そのメカニズムは明らかではありませんでしたが、その実体が明らかにされたそうです(QLife Pro)。痛みは体の危険を告げる警告信号で、痛みによる不快感が危険を防御し回避するものです。ですが、警告信号後も痛みの続く慢性痛は生活の質を損なう上に、痛みによる不快感が長く続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症し、痛みを悪化させる悪循環が報告されているそうです。疼痛治療には感情的な側面を考え、不快感の神経機構を解明する必要があるとされてきました。研究では、不快な体験をした場所に近づかなくなる動物の習性を利用して、分界条床核という脳の部位でCRFとNPYという2つの神経ペプチドが、痛みの不快感の生起に逆の働きをすることをラットの実験でつきとめたそうです。また、2型神経細胞と呼ばれる神経細胞の活動をCRFは亢進しNPYは抑制すること、分界条床核2型神経細胞が痛みによる不快感に関わる「不快神経」であることも明らかになったそうです。分界条床核の「不快神経」の活動亢進が「快神経」として働いているドパミン神経の働きを抑制することも明らかになってきたそうです。「快神経」の抑制で痛みが不快感を引き起こしたり、痛みのために楽しく感じられない、やる気が出ないことが考えられるそうです。さらに「不快神経」は痛み以外にも、苦み・酸味・悪臭、暑さ・寒さなどの感覚刺激、精神的なストレスなどに反応し、活動の亢進で不快感を引き起こすと考えられるとも。この神経細胞の活動の異常がうつ病や不安障害に関与するなら、これら疾患の解明、治療薬の開発につながる可能性があるそうです。
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