これまでの研究で、加工肉や赤身肉を頻繁に、大量に消費すると心血管疾患のリスクが上昇することが示唆されています。でも、その詳しいメカニズムは不明でした。今回、赤身の肉に比較的豊富に含まれるL-カルニチンがその原因であることが明らかになったそうです(QLife Pro)。カルニチンは、生体の脂質代謝に関与するビタミン様物質で、アミノ酸から生合成される誘導体。脂肪燃焼が促進されることから、ダイエット分野や栄養補助食品として利用されているそうです。今回の研究では、消化管内にいる特定のバクテリアがL-カルニチンをTMAO(トリメチルアミンN-オキシド)と呼ばれる別の代謝物質に変え、これがアテローム性動脈硬化症を促進させることを発見したというのです。被験者は約180mgのL-カルニチンが含まれるサーロインステーキと250mgのL-カルニチンカプセルを摂取したところ、その後の血液検査で6人中5人が血液中のTMAO濃度が大幅に上昇したそうです。変化のなかった被験者は、ビーガン(絶対菜食主義者)だったとも。そこで、ベジタリアン・ビーガン23人と肉食者51人を調査したところ、同様の結果が得られたそうです。さらに、心臓病患者約2500人を調査し、カルニチン血中濃度と冠動脈疾患との間に関連性を見出したそうです。血液中のTMAO濃度が高ければ高いほど、3年以内に心血管疾患や心臓発作、脳卒中を発症したり、死亡したりする可能性が高いことが明らかになったそうです。サプリメントの広告では、カルニチンが持久力の向上や筋肉痛の軽減に役立ち、また、ダイエットのサポートとして脂肪を減少させ、体重を減らすとうたっているそうです。しかし、これまで長期的にカルニチンの安全性を調べた研究はほとんどないそうです。一方で、魚には多くのTMAOが含まれており、定期的に魚を食べることは、心臓発作や脳卒中を含む心血管疾患のリスクを大きく下げると言われています。したがって、心血管疾患のリスクにはまだまだ未解明な謎が残されています。
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