健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

読解力と計算力に共通する遺伝子

2014-07-14 08:30:16 | 研究
子どもの読解力と計算力の習得には共通の遺伝子が関与しており、遺伝子の微小な変異がそれぞれの能力に影響を及ぼしているとの研究論文が、先日英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。初歩的な計算能力や読み書き能力は部分的に遺伝することが知られているそうですが、これに影響を及ぼす遺伝子については、これまでほとんど明らかになっていなかったそうです。研究では、英国の家族が多数参加しているデータベース「双生児初期発達研究(Twins Early Development Study)」から、約2800家族の12歳児のデータから、計算力および読解力と読みの速さを調べるテストの成績について、双生児と血縁のない子どもを比較して調査した後、子どもたちのゲノム(全遺伝情報)の照合を行ったそうです。その結果、読解に関与する遺伝子の10~50%が、計算にも関与していることが分かったというもの。論文によると、これらの遺伝子に存在する微小な変異が子どもの能力水準に影響を及ぼしているそうです。こうした学習能力に対するDNA単独の影響について評価したのは今回の研究が初めてだそうです。今回の研究で特定された遺伝子変異は「読解力や計算力」の特異的遺伝子ではないとも。これらの遺伝子変異は、学習能力に対して多数の遺伝子がそれぞれに小さいが一体となった影響を及ぼしており、さらに複雑なメカニズムの一部を成すものだということのようです。子どもたちがどの程度、学習を簡単に感じるか、難しく感じるかには遺伝的な違いがあり、こうした個人差を認識して尊重する必要があると著者らは指摘しているようです。また、このような強い遺伝的影響が見つかったとはいえ、学習を困難に感じる子どもに対しては、どうすることもできないということではないともと述べており、遺伝とは何か変更がきかないものを意味するのではなく、子どもを十分な水準にまで育成するために、親や学校、教師の努力が通常より多く必要になるかもしれないという程度の意味でしかないということです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする