数百年前に南米Andes山脈のInca帝国で栽培されていた穀物キヌア(キノア、キンワ)のほぼ完全なゲノム(全遺伝情報)を解読したとの研究結果がNatureに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。研究者らは、世界の飢餓問題解決の助けになる可能性があるとしているそうです。原産地以外では、欧米の健康食品愛好家らに最も良く知られているキヌアは、専門家らによると、栄養価が非常に高く、グルテンフリーで、必須アミノ酸、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいるそうです。また、他の穀物に比べて「グリセミック指数(GI値)」が低いため、糖尿病患者にとっては都合の良い穀物ということになります。キヌアは、海抜4000メートル以下の大半の食用植物が生育困難な条件下でも育つそうです。一方で、キヌアの世界消費量は、コムギ、コメ、オオムギ、トウモロコシなどと比べると極めて少なく、他の主要穀類やその加工品はそれぞれ年間消費量が数億トンに上るのに対し、キヌアは年間10万トン足らずだそうです。キヌアが抱える問題の一つは、苦い味の種が自然に作られることだそうで、この苦味成分(サポニン)を除去するための処理には、大きな労働力と費用が必要となる上、水を大量に用いなければならないそうです。もう一つの制約は、キヌアが小さい穂と長い茎を持つ植物であることから、強風や豪雨で倒れやすいことだそうです。今回のゲノム解読により、こうした課題解決へのきっかけとなることが期待されているようです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3117177?pid=0&page=2
http://www.afpbb.com/articles/-/3117177?pid=0&page=2