健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

実験用ラットの起源

2012-08-21 08:30:58 | 研究
先日、全世界で利用されている実験用ラットの「シロネズミ」117系統のDNAを調べ、すべての系統が共通してたった1つの「アルビノ突然変異」を持っていることを突き止め、そのアルビノ変異は、まだら模様を持ったラット「まだらネズミ」に生じた可能性が高いことが判明したという発表がありました(マイナビニュース)。実験用ラットとは、正式な学名は「Rattus norvegicus」、和名は「ドブネズミ」で、世界中で広く用いられている代表的な実験動物です。野生のドブネズミを長い間かけて家畜化し、動物実験に用いるために実験動物化したものということです。成熟体重は雌で200~400g、雄で300~700g。鼻先から尾の根元までの体長は20~25cm、尾長は15~25cmという体格です。ラットは1850年ごろから学術研究に用いられたそうです。ラットを利用したもっとも古い学術論文は、栄養学に関するもので、1863年にLancetに公表されているとのことです。1885年にはドイツ人Crampeが、ラットを用いた交配実験を行ってメンデルの「遺伝の法則」が哺乳動物でも成り立つことを示しているそうです。現在でも、ラットは、医学、生物学、生理学、薬理学、神経科学、栄養学、遺伝学などのさまざまな分野で利用されている重要な実験動物です。その利用数は年間数百万頭規模。日本では、平成22年度で約190万頭のラットの販売実績があった(日本実験動物協会調べ)そうです。19世紀半ばから現在まで、主に利用されているラットはシロネズミと「まだらネズミ」で、特にシロネズミは広く用いられています。そのため、シロネズミはラットの代名詞ともなっています。現在でこそ、ラットという言葉が用いられているが、古くはシロネズミ、ダイコクネズミ、ラッテなどと呼ばれていたそうです。なお、日本では、ラットをライフサイエンスの進展に不可欠な資源(リソース)としてとらえ、その収集・保存・提供体制を整備するために、2002年よりナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」が実施されているそうです。実験用シロネズミのラットは、アルビノ変異体で、メラニン合成に必須の酵素「チロシナーゼ」活性を先天的に欠損しているため、メラニン色素を作り出すことができず、白い毛色となるそうです。また、眼球のメラニン色素も作り出すことができないので、眼底の血流が外から見え、赤い眼をしています。
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木材や紙をブドウ糖にする酵素

2012-08-20 08:30:42 | 研究
マリアナ海溝の深さ約1万メートルの世界最深部に生息する甲殻類(エビ、カニの仲間)が、木材などの繊維質を効率よくブドウ糖に変える酵素を持っていることが分かったそうです(YOMIURI ONLINE)。この生物は、ヨコエビ類の一種「カイコウオオソコエビ」(体長約4センチ)。体内から、植物の体や繊維の主成分であるセルロースを分解して、アルコールなどの原料となるブドウ糖に直接変化させる新種の酵素が見つかったそうです。セルロースはブドウ糖が多数結合してできているが、従来の工程では、3種類の酵素を使わないとブドウ糖に分解できなかったそうです。
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浅漬けではO157菌は死滅しない

2012-08-19 08:30:42 | 日記
乳酸菌で発酵させる漬物は本来、乳酸が雑菌を死滅させるそうです。ですが、浅漬けは水素イオン指数(pH)が5程度と、発酵させた漬物に比べて酸性が弱いものが多いそうです(YOMIURI ONLINE)。O157は比較的、酸に強いのが特徴で、米国ではpH4以下のリンゴジュースで長期間生存した報告もあるそうです。浅漬けにO157を付着させた実験では、4度の低温で7日間保管しても菌数はほとんど減らなかったという報告も。生野菜の汚染ルートの一つとして専門家が指摘するのは牛ふんの堆肥だそうです。堆肥は発酵する途中で60~70度の高温になり、O157などの大腸菌は死滅するそうですが、発酵が未熟な堆肥には菌が残るのだそうです。O157は75度、1分の加熱で死滅するが、生野菜を漬ける浅漬けは、当然のごとく加熱の工程はありませんね。気をつけないといけませんね。
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地域貢献推進の助成

2012-08-18 08:30:24 | 日記
文部科学省は、大学の地域貢献を進めるため、特産の農作物の品種改良など地域の産業振興につながる研究や、震災で避難生活を続けている子どもの学習支援を行っている大学などを対象に、人件費や事業費を助成する制度を設けるそうです(NHK NEWS WEB)。大学の地域貢献を進めるため、地域の抱える課題の解決に大学の研究成果をより積極的に活用すべきだと考えています。確かにその通りですが、大学の研究成果が人々の生活に還元されるまでには多くの時間や労力がかかるので、すぐに結びつく研究はそんなに多くはないと思います。でも、大学にはポテンシャルがあると思います。大学が地域と連携を深めることで、学生の能力の向上も期待できるとも考えているようです。
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乳酸脱水素酵素

2012-08-17 08:30:56 | 研究
血液中に含まれる一般的な酵素によって、後期の腎臓がん患者への治療の予後を予測できるかもしれないという研究結果が発表されました(日経バイオテクオンライン)。Journal of Clinical Oncology誌に掲載された論文によると、その酵素とは乳酸脱水素酵素だそうです。乳酸脱水素酵素の略称はLDH。一般的な血液検査で測定する酵素で、測定方法も容易です。今回の発見は、後期の腎臓がん患者にとっての最適な治療法を見極めるための、初めての血液検査となる可能性があるそうです。
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健康長寿へ社会環境整備の必要性

2012-08-16 08:30:31 | 研究
来年度から10年間の次期「国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」の自治体向け説明会が先日、厚生労働省で開かれたそうです(医療介護CBニュース)。生活習慣病対策として目標値が定められた喫煙率や1日の歩数は、社会的な要因に左右されることから、社会環境の整備を通じて、人々の習慣を変え、健康な社会をつくっていくことが、今回のプランのモチーフ(主題)だと。この10年間で成人喫煙率が大きく低下した要因として、受動喫煙対策が進んだり、たばこ税が引き上げられたりしたことを挙げ、たばこを吸いづらくなるような社会環境の整備が、禁煙に向かって人々を後押ししていったとの見方を示したそうです。また、1日当たりの歩数が多いのは、東京、埼玉、神奈川、大阪、兵庫など、公共の交通機関が発達している地域だと説明した上で、社会環境はわれわれの健康に大きく影響しているとの認識を示したそうです。となると、現在の日本の財政事情では・・・・・・。
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ふうしん

2012-08-15 08:30:09 | 研究
全数報告が始まった2008年以降で最悪の風しんの流行が、さらに拡大しているそうです(医療介護CBニュース)。国立感染症研究所感染症情報センターによると、直近の1週間(7月23-29日)に報告された患者数は108人で、前週(74人)から大きく増加していたというのです。年明け以降の累積では917人で、これまで年間の患者数が最も多かった昨年(371人)の約2.5倍に上っているそうです。風しんの患者報告数は、6月25日-7月1日が72人、7月2-8日が103人、9-15日が100人、16-22日が74人と推移しており、7月に入り急増しているというのです。予防接種していますか?
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時間治療

2012-08-14 08:30:13 | 研究
来月に生体リズムに関するセミナーを開催することを昨日お伝えましたが、その関連ユースです。生体リズムの変化に応じて治療を行う時間帯を選択することで、副作用の抑制や治療効果の増大を図る「時間治療」について、大学病院勤務医の3人に1人が認知しており、その4割以上は時間治療を既に取り入れているか、これから取り入れたいと考えていることが分かったそうです(医療介護CBブレイン)。インターネット上で調査で、サイトに登録した会員医師のうち、大学病院勤務医674人から有効回答を得たものということで、少し調査対象に偏りはあります。それによると、がん治療などで取り入れられている時間治療を「知っている」と答えたのは229人(34%)。さらに、「知っている」と答えた医師に対して、時間治療の考え方を治療に取り入れているかどうかを尋ねたところ、「取り入れていない」(45.9%)が最も多かったものの、「取り入れている」(16.6%)と「今後取り入れたいと考えている」(27.5%)を合わせると、44.1%に。それ以外の解答は、「自分の専門分野では対象外と思う」が9.6%、「その他」が0.4%だったそうです。さらにコメントを求めたところ、「抗がん剤の使用では、夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから、夜勤の看護師の協力は得難いと思われる」「夕方・夜間の抗がん剤投与は、マンパワー不足で、現実的に無理」といった、時間治療の実践に人員体制の充実が求められることなどの指摘が寄せられたとも。来月のセミナー、ますます興味が高まりましたね。
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宇宙のリズムとヒトのリズム

2012-08-13 08:30:24 | 研究
来月9月10日(月)に豊橋創造大学大学院健康科学研究科主催の第4回健康科学セミナーが開催されます。今回の講師は、時間医学の第一人者である東京女子医科大学東医療センター病院長・内科教授の大塚邦明先生で、テーマは『宇宙のリズムとヒトのリズム』です。
血圧や心拍をはじめとする、ヒトの様々な生理学的現象にはリズムすなわち「生体リズム」があることはよく知られています。この「生体リズム」は、時計遺伝子により発現していることが明らかになっています。最近、ヒトの健康状態にこの時計遺伝子が大きく関係していることが指摘されるようになっています。例えば、「生体リズム」の乱れがメタボリックシンドロームの原因になることも明らかにされています。こうした背景から、「生体リズム」から健康や生命について捉える時間医学が注目されています。そこで、時間医学の第一人者である東京女子医科大学東医療センター病院長・内科教授の大塚邦明先生を講師にお迎えし、生体リズムという視点から健康長寿を再考します。
詳細は下記HPを参照ください。
http://www.sozo.ac.jp/department/health-science/seminar/seminar2012_4.php
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ALSの仕組み解明への大きな一歩

2012-08-11 08:30:05 | 研究
筋力が低下し死に至る「近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー」の原因遺伝子が発見されたそうです(時事ドットコム)。 具体的には、近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチーの患者がいる4家系の遺伝子を解析し、発症者19人全員に「TFG遺伝子」の変異があることを発見したというものです。TFG遺伝子は細胞内のたんぱく質「TDP-43」などを運ぶ役割を担っているそうです。この変異により運搬機能が低下することでTDP-43が細胞質に蓄積し、運動神経細胞が死ぬと考えられるそうです。このたんぱく質は筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者でも同様に蓄積していることが知られており、この蓄積が原因で神経細胞死が引き起こされると考えられています。これまで、このたんぱく質蓄積の仕組みは分かっていませんでしたが、今回の発見がALS発症機構の解明の手掛かりになる可能性があるそうです。
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