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買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 773 後期展望・日本ハムファイターズ

2023年01月04日 | 1977 年 



投手陣の猛反撃と4本柱
6月22日の対ロッテ戦に勝利し、今季初の貯金『1』となった日ハム。数字だけ見ると今さら感が強いが、優勝争いを繰り広げている阪急・南海・近鉄にとっては厄介なチームだ。というのも5月26日の近鉄戦に敗れた日ハムは5連敗・借金『11』だったのが、1ヶ月足らずで貯金するまでになった。この間、15勝3敗1分け。その3敗も0対1(対クラウン)、0対2(対近鉄)、1対2(対阪急)という惜敗で勝っていてもおかしくない試合内容だったのである。この驚異的な快進撃に誰だって後期シーズンへの期待が高まるが大沢監督は「後期のことはまだ考えていない。前期の残り試合を勝つことが最優先」と話すが本心は違う。

阪急など上位チームが警戒するのは何といっても日ハムの投手力。開幕当初は高橋一投手が故障、野村投手は不調。佐伯投手は好投はするが勝ち運に見放され、構想の4本柱のうち3本が崩れた。先発陣では高橋直投手、リリーフ陣では江田投手・村上投手・宮本幸投手だけが頼りだった。もともと攻撃陣は他球団より見劣りしていただけに弱体投手陣では試合に勝ち目はなかった。その4本柱が揃ったのが5月末のことだった。以後の19試合で失点は34。単純計算では2点取れば試合に勝てる。

投手陣は4本柱の他に宮本好・杉田投手をからませれば後期シーズン開幕からの南海・近鉄7連戦、1日休んでクラウン・ロッテ・阪急・南海の14連戦の先発ローテーションを組むのもさほど苦労しない布陣だ。「後期シーズン開幕から2週間は東京に居座るスケジュール(後楽園 11・神宮 3)なので、その間に弾みをつければその後の阪急・南海戦は少々の無理をしてもオールスター休みが待っているのでダメージは少ない」と日ハム首脳陣はソロバンを弾いている。


投手力だけでない攻撃陣の充実
通常は打力が勝負の夏場に投手力で挑むのは異例だが日ハムの打力も侮れない。前期は富田・小田選手が交互に二度ずつ故障し、上垣内・服部・千藤選手らが怪我と病気でダウン。一時は野戦病院化していたが後期は今季初めて全員が顔を揃える。確かに打撃部門でトップクラスの選手はいないがチーム打率は2割5分1厘とまずまずで、本塁打数はリー選手がいるロッテや南海を上回る57本(6月25日現在)で阪急の70本に次ぐリーグ2位だ。不振だった両外人は球団が代わりの新外人を探し始めた途端に打ち始めて、ミッチェル選手はリー選手に次ぐ16本塁打、ウイリアム選手は12本塁打と昨季を上回る活躍を見せ始めた。

「永淵選手がいい。勝負強さは他の選手にはない。それと加藤選手。この両ベテランは頼りになる」と大沢監督。代打陣も後期は揃う。残る課題は二遊間コンビの打撃の弱さだ。だがそれらを補って余るくらい投手陣は安定しており、最小得点でも勝てる陣容だ。先ずは1点を取るという作戦で無理のない攻撃を仕掛けられる強みがある。「後期がどんな展開になるか分らんが、前期の終盤に勝ちまくったことが良い自信になり選手たちが勝利の味を覚えたのは大きい。それが何よりの収穫だ。後期もどんどん勝ちにいく」と大沢監督の鼻息は荒い。

強い阪急をイビリ抜き、開幕当初は苦手にしていた南海と近鉄に借りを返していった前期シーズン終盤の快進撃の余韻を残して後期シーズンに突入する。優勝争いが常連チームならどんなチーム状況でも追い上げや競り合いなど対応できる能力はあるが、経験の浅い日ハムがペナントレースを制するには先行逃げ切りしかない。「どこまでやれるか分らんが、前期は波乱を起こしただけに過ぎないが後期は自分たちが主役になる覚悟でやる」と大沢監督は初の栄冠を虎視眈々と狙っている。
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