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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 775 後期展望・クラウンライターライオンズ

2023年01月18日 | 1977 年 



惨憺たる前期の故障者続出
近鉄のように若手選手が次々と台頭してきたわけでもなければ、阪急の島谷選手や稲葉投手のような移籍選手の補強もなかった。更に決定的だったのは外人選手の予想以上のダメっぷり。加えて投打に主力選手の故障でクラウンは開幕から下位に低迷を続けた。鬼頭監督が「一度でいいから投打ともにフルメンバーで試合をしたかった」と前期シーズンを振り返ったのも無理はない。とにかくベストメンバーを組めたのは4月半ば迄の10試合ほどで、これでは最下位にならない方がどうかしている。

先ずは投手陣。エース東尾投手が4月に1勝、5月に1勝とまるでサラリーマンの休日ゴルフ並みの " 月イチ " ペース。負け試合ばかりウンザリするほど続いて6月下旬には " 10敗一番乗り " とエースの称号が泣く不名誉。東尾投手に並ぶ活躍を期待された古賀投手だったが開幕早々にヒジ痛で戦線離脱。左腕の竹田投手も打球が利き手の指を直撃し負傷。抑えの切り札として期待していたロッテから移籍の倉持投手はスピード不足に制球難で5月中旬に二軍落ち。もし若手の永射投手とベテラン石井投手、大洋から移籍の山下投手がいなかったら一体どうなっていたのやら。完全にリーグのお荷物になっていたに違いない。

打撃陣も負けず劣らず酷い。主砲の土井選手が4月下旬に盗塁をした際に左足アキレス腱を痛め前期シーズンの殆どを守れぬ外野手で過ごしたのを始め、4月末には大田選手が右足太腿とふくらはぎを相次いで肉離れを起こし欠場。基選手が右足のねん挫と右手突き指に加えて左手小指の腱鞘炎で離脱。更に昨年の首位打者・吉岡選手は開幕からの不調をようやく克服しだしたら5月末に右足打撲でスタメン落ち。それが治ったと思ったら6月上旬の遠征中に結膜炎を発症して再び休養に。その他にも広瀬・竹之内・長谷川選手らも満足に試合に出場できなかった。文字通りの満身創痍のチーム状況で故障のない選手を探す方が早いくらいの惨状だった。


土井選手の復調に全てを賭ける
鬼頭監督は後期シーズンの巻き返しのカギは土井選手の復調に求めている。「土井が足を痛めてDHに回った為にDH専門のハンセンを一塁に回さざるを得なかったのだが、土井の怪我が回復してレフトを守れるようになればハンセンをDHに戻し好打の鈴木治を一塁に入れることが出来る。それだけでも攻守ともにかなりのレベルアップとなる」というのだ。問題の土井選手の怪我は徐々に回復に向かっており「何とか走れるようになってきました。打撃も打球をバットに乗せて飛ばせる感覚が戻って来ました。梅雨明け頃には打って守れるようになれそうです」と土井選手の表情は明るい。

基選手も一時は曲がらなかった左手の小指がバットを握れるまでに回復し「後期は多少痛くても試合に出る」とやる気を見せる。また吉岡選手も「休んだ分を取り返す努力をするのは当然」と復活に向けて特打を志願して取り組んでいる。とは言っても彼ら中堅選手にこれまで以上のプラスアルファの活躍を期待するのは酷な話で、やはり若手の台頭が求められる。そこで期待されるのが5年目の真弓選手と4年目の山村善選手だ。特に真弓選手は俊足好打でチームの盗塁王。今季から外野手に転向したばかりだが守備範囲が広く既に4回も俊足を生かしたファインプレーでチームの失点を防いでいる。

鬼頭監督も真弓選手に「走攻守、何を比べてもロザリオ選手に引けを取らない」と高い評価をしている。山村善選手も打撃フォーム改造の効果で本来のパンチ力が戻り、自信を回復して後期シーズンに挑む。不調が続いていた東尾投手も徐々にではあるが上向いており「前期のような惨めなピッチングはもうゴメン(東尾)」と捲土重来を期す。古賀投手のヒジ痛も回復傾向にあり、ベテランの石井・山下投手も健在。前期シーズンで孤軍奮闘していた永射投手を含めた投手陣で巻き返しを図る。
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