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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 803 週間リポート 日本ハムファイターズ

2023年08月02日 | 1977 年 



この一発!お前に分かるかな?
開幕戦からパ・リーグでは華々しい満塁本塁打ラッシュが続いているが、日ハムでも23日の近鉄戦で富田選手が満塁弾を放った。0対4とリードされた8回に同点引き分けに持ち込む価値ある一発だった。あまりの嬉しさに富田選手が一塁ベースを踏み忘れて慌てて踏みに戻るハプニングもあった。あわや幻の満塁本塁打になるところだったが、幻の一発といえば昨年のことを憶えているファンも多いはず。4月29日、同じく近鉄戦で新人の行沢選手がプロ入り初安打を満塁本塁打で飾ったが一塁走者の服部選手を追い越してしまい、記録上は「単打・3打点」となる珍事があった。

「満塁なんて野球をやって初めて。ソフトボールで打ったことがあるだけ。そういえば柳田投手はソフトボールみたいな下手投げだから打てたのかな。柳田投手は昨年ノーヒットだったから関係ないか(笑)」と富田選手はジョーク連発で大はしゃぎだったが、実はこの試合に三枝子夫人と長男の大介ちゃんが球場に来ていて家族の前で打てたことに喜びを爆発させたのだろう。「主人がデーゲームだから試合が終わったら後楽園遊園地に行こうと誘ってくれたので試合が終わる頃を見計らって来たらホームランを打ってビックリしました」と三枝子夫人。富田選手はまだ1歳の大介ちゃんに「パパ打ったよ。分かるか?」と頬擦りする親バカぶりを見せつけていた。


一度は足を洗おうと思った男
前期シーズンもいよいよ終わりだが日ハムのツキ男・江田投手がツキの締めくくりを飾った。6月22日のロッテ戦ダブルヘッダー第1試合、先発の佐伯投手が4失点で5回降板後に登板した江田投手。どうせ負け試合…と気楽に投げているうちに味方打線が反撃し同点に追いつき、最終回には永淵選手の5号逆転2ランが飛び出し今季2勝目となる勝ち星が転がり込んだ。「ツキも実力のうちですかね、エヘヘ」と普段のポイーカーフェイスはどこへやら破顔一笑で喜んだ。

「今シーズンの目標は先ずは一軍入りだった。ここ2年は二軍暮らしだったから今年ダメなら野球から足を洗うつもりだった。それが一軍どころか勝ち星まで。しかも前期だけで5勝とは自分でもビックリしている」と江田投手。自分自身の調子が下降気味だったのに加えて高橋一投手や野村投手ら先発陣が復調したこともあって出番は少なくなっていた江田投手にとって40日ぶりの勝ち星だった。「こうなったら10勝でも狙いますか(笑)。これまで女房には苦労ばっかりかけてきたので何かプレゼントしようかな」と喜びを隠せない江田投手だった。


勇者殺しに刃物はいらぬ。高橋直がいればいい
6月26日の阪急戦に先発し完投勝ちして9勝目をあげた高橋直投手。この試合の勝利でチームは1試合を残し貯金「1」となり前期シーズンの5割以上を決め、更に対阪急戦も勝ち越し有終の美を飾った。「まがりなりにもエースと呼ばれているんですから、こうした節目の試合は勝たないとね」と高橋直投手は涼しい顔だがチーム勝率5割といえば、昭和49年に日本ハムファイターズとなってから初めての出来事だ。ここ数日雨ばかりで体調管理が難しく「立ち上がりから体に力が入らずフラフラしていた(高橋直)」そうだがそこは相手の手の内を知り尽くしており今季既に3勝と阪急キラーぶりを存分に発揮した。

6月に入って3対2、2対1、1対2、3対2と全て1点差ゲームに登板した高橋直投手。「僅差の試合は体も気持ちも疲れる。僕は夏場はあまり得意ではないので後期シーズンが始まるまでに多摩川で走り込んでおきたい。幸いウチも野村・佐伯・高橋一と先発陣も揃ってきたし、宮本幸・村上さんら救援陣も健在でこのまま後期に突入したら優勝するチャンスもある。6月は登板回数も少なかったし余力はあります」と話す高橋直投手。前期シーズンは投球回数 136 イニングと12球団最多登板で疲れもあるだろうが意欲はみなぎっている。
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