Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#167 ドーム球場は素晴らしいと勘違いをしていた時代

2011年05月11日 | 1981 年 
   


初めて東京ドームで観戦した時の印象は 「体育館の中で野球をやっているみたい」な違和感と言うか
妙な感覚でした。実際に見るまではドーム球場は梅雨が有り試合中止を余儀なくされる事が多い日本に
とっては絶対に必要な施設だと思っていました。「天然芝から人工芝へ」「雨の心配が無いドーム球場」
などは、近未来の野球の象徴だと勘違いをしていました。日本で初めて人工芝を採用した後楽園球場へ
コンサートを見に行った際にグラウンドへ降りた事があり、敷いてあったシートの隙間から人工芝を直に
触わりましたが、とても薄い素材であることに驚きました。ドーム球場自体は選手の体調に直接は影響
しませんが密閉式の場合は必然的に人工芝を採用せざるを得ません。膝への負担を減らす為に、より
柔らかい素材に改良しても所詮は人工芝であって怪我の要因になる事に変わりは有りません。先人の
MLBが反省を踏まえて天然芝球場へ回帰していて、今やドーム球場は全30球団中わずか2球団のみ。
それも寒さや多雨といった気候理由でドームが必要な地域に限られています。天然芝は維持・管理費の
面での負担が多くなるでしょうが、選手の為に是非とも天然芝を採用する球場が増えて欲しいものです。



・・・大阪と北海道から屋根付き球場の狼煙が上がった。まず大阪市の計画は市自身が立案しているもので、同市住之江区の
南港埋立地の12万平米に昭和59年の完成を目指しているとの事。オープン式ではなく密閉ドームで 「直径140㍍の円形で
野球だけではなく多目的ドーム」とするなど計画は既に進行中だ。しかも完成後は在阪4球団(神・近・南・急)全てが使用する
野球のメッカにする予定だ。大阪市は既に下田コミッショナーに建設を伝えて完成後の協力を求めている。 北海道の計画案は
札幌近辺の真駒内か厚別に「地下10㍍の半地下型で地熱を利用して寒さ対策が万全の密閉式」との事。ただし計画は始まった
ばかりで、未だ土地選定前の段階で大阪に遅れをとっている。



実は大阪や北海道よりも先行していたのは名古屋でした。1979年に名古屋の陶器メーカー「ノリタケ」が
中心となり名古屋の財界がバックアップして5年後に「ノリタケ・ドーム」を完成させると「発表」したのだ。
名古屋の財界・マスコミが正式に乗り出した事で日本初のドーム球場は名古屋で決まりと誰もが思った。
しかし事態は一変する。建設資金・環境問題・完成後の維持管理費 etc・・などを理由に「建設中止」が
あっさり決定し発表された。特に維持管理が最大のネックとなったのだ。最低でも年間180日は催しを
行なわなければ維持費を捻出できないと分かったのだが、中日が試合を組めるのは最大65日で残りの
100日余りをこの先何十年に渡ってドームを使用してくれるイベントが見つからなかったのだ。有力視
していた名古屋が頓挫した事で、日本でのドーム球場誕生は当分ないのかと多くの人が落胆しかけた
時に登場したのがまたしても西武ライオンズでした。この当時の西武はまさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」で
球界に常に新しい風を起こしていて「西武なら実現させるかも…」と皆が期待しました。



「所沢スタジアムを手がけてもらった早大理工学部・池原教授に研究を依頼してあります」 今年の1月1日、故堤康次郎西武鉄道
創業者の墓前で堤オーナーが公式に発言した。建設予定地は現所沢スタジアム近くの西武車両工場と朝日ヘリコプター基地を合わ
せた80万平方㍍の土地だという。早大・池原教授も西武からの依頼を認め「エネルギー節約時代にマッチした開閉式ドームを提案
している」とコメントしている。西武は当初、所沢スタジアムを改造してドーム球場にする案だったそうだが堤オーナーの鶴の一声で
2つ目の本拠地球場を作るというのだ。「80億円もあれば出来るでしょう(堤オーナー)」には恐れ入るばかりだ。実はこの話には
さらに驚くべき情報がある。新球場の建設地は所沢ではなく東京の新宿区であるというのだ。 「物々交換ですよ。早稲田大学を
所沢に移転させ、大学跡地にドーム球場を建設する話があるんです」早大OBの堤オーナーが動いていると大学関係者は言う。



結局どのドーム球場案もすぐには実現しませんでした。ただ大阪・札幌・名古屋もドーム球場建設は
実現しましたから、これらの話も100%ウソであった訳ではなさそうです。早稲田大学も1987年に
所沢キャンパスに人間科学部を移転させましたし・・話に多少の尾ひれが付いた感じでしょうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« #166 1981年・オープン... | トップ | #168 1981年 ペナントレース... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1981 年 」カテゴリの最新記事