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寺田栄「風景」 晩秋の旭川・その6 旭川の野外彫刻(63)

2021年12月14日 08時16分46秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 2021年11月7日の旭川行き日記シリーズに、およそ1週間ぶりに戻ります。
 旭川市郊外の永山地区にある彫刻を紹介していきます。

 2005年に第34回中原悌二郎賞優秀賞を受けた旭川の彫刻家、寺田榮さんの2000年の作品です。
 御影石で、120×460×300センチ。

 寺田さんの略歴などについては、先ごろアップしたばかりの「石走る 旭川の野外彫刻(54)」をご覧ください。

 冒頭画像で背後に見えているのは、上川総合振興局の建物です。
 総合振興局は昔の「支庁」です。
 この手の役所はわりあい街なかにあるという先入観がありますが、上川の場合はけっこう郊外に位置しています。

 国道39号からいちばん遠い、敷地の南西角に設置されています。
 コンビニエンスストアもあるし、路線バスも走っています。
 しかし、住宅の配置には余裕があり、ロードサイドショップや大型店が並ぶ国道のにぎやかさとはだいぶ異なった雰囲気の一角です。

 2枚目の画像でいえば、奥を左右に走っている道路が、道道37号鷹栖東神楽線です。
 右手のほうに行くと、これまで紹介してきた永山神社や「きらら397の碑」などがあります。


 作品は、表面のざらざらした卵形から、2本の突起が地上を這うように飛び出している二つが、向かい合って置かれています。
 背が低く、周囲の景観にとけ込むようです。

 これは、2000年の旭川彫刻フェスタで、旭川駅からほど近い宮下通9の会場で公開制作されたもの。

 ちなみに、このとき同時に公開制作をしていたのが、藤井忠行さんと山谷圭司さん。
 旭川地方を代表する彫刻家のうちの3人といってもよさそうな、豪華メンバーです。

 藤井さんの「連なるノチウ」は北海道新聞旭川印刷工場(工業団地5の3)に、山谷さんの「塞の石組み」は旭町通りポケットパークに、それぞれ設置されています。


 同年8月19日の北海道新聞に、寺田さんのことばとして、次のような記事が出ています。

 腕が二本伸びた丸い石同士が結合する一対の作品「風景」の制作に取り組んでいる。「大地に根ざし増殖していく生命を表現したい」と力を込める。

 彫刻作品を制作しているときは次の一手を思い描いている。しかし、作品が生まれるのは決して作家個人だけの力ではないという。「石の中には何かがいて、自分はそれを引き出すのが役割という感じがすることがある」と強調する。


 なお、この作品は北海道の所管になるせいか、旭川叢書「中原悌二郎賞と旭川の彫刻」には触れられていません。



過去の関連記事へのリンク
寺田栄「石走る」


彫刻の町 旭川彫刻散歩 アートな庭別冊




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