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北海道美術ネット別館

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■笑う門には福来たる (2022年11月19日~23年1月11日、札幌)

2023年01月11日 09時27分24秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 会期が長いからといって安心しているとすぐ会期末になってしまい、またもや反省している。

 タイトルからして、見て笑えるアートなのかと思ったけど、きびしい言い方になっちゃいますが、あまり笑えない。筆者の感性がゆがんでいる可能性が高い(なにせ、家族がテレビのバラエティ番組を見ながら笑っていてもどこがおもしろいのかわからないことのほうが多い)のだが、しかし、むしろこの社会情勢で「アートで笑う」というのも、なかなか難度が高いことなのかもしれない。

 出品は、岡碧幸、橘雅也、深澤孝史、菊地和広、田口虹太、只野(石倉)美萌菜、祭太郎、山口哲志の8氏。
 冒頭画像は菊地さんの「500ml美術缶」。
 「缶」と「館」のだじゃれ。
 ビジュアルアートでも、ことばを抜きに人を笑わせるのは難しいことがわかる。
 

 
 橘さんの、アートと価値(価格)について考えさせる作品。
 彫刻を4等分したら、値段も4分の1になるのかという問いである。
 もっとも、絵画は多くの場合「号いくら」で販売されている。
 
 
 
 石倉(只野)さんのすごろく。文字が小さくて読みづらいのが惜しい。
 彼女は、独身女性の自虐ネタが作風だったのだが、その後結婚して子供も生まれて、その路線の転換を迫られている―といえば図式的にまとめすぎでしょうか。
 
 まあ、20代の若者が
「モテなくてさあ」
と言えば、笑いのネタになりますが、年長者が同じことをボヤいても笑えないわけで…。

 

 
 深澤さんの絵巻物。自伝的な内容で、実父の早世など、笑いというより、ちょっと深刻な印象を受ける。
 絵巻物が縦書きなのは正しいのだが、この500m美術館はほとんどの人が左側通行で、つまり絵巻物の末尾から冒頭へ向けて歩いているので、これをじっくり見ると、多くの人とぶつかりそうになる。
 あるいはこれも狙いなのかな。
 
 
 山口哲志さんが賞味期限の切れた卵を並べた作品。
 山口さんといえば、札幌や東京で何度も開かれている「下品でサイテー」展の企画が有名で、笑いの度合いはあちらのほうが高いが、500m美術館のような公共空間ではとても展開できない展示であることも確かである。

 500m美術館では以前にも笑いをテーマにした展示を行っていて、そのときは東方悠平さんや高橋喜代史さんの笑える作品があったと記憶している。
 もうひとつ考えてしまったことは、たとえば深澤さんでいえば新潟県十日町市で発表した「こたつカー」のほうが絶対笑えると思うし、祭太郎なら、突然の受け身パフォーマンスのほうが笑えるだろうということ。まあ、2人とも今回は爆笑を狙っていないのは明らかなので、そこを責めるつもりはないのだけれど…。

 参考までに「こたつカー」の映像です。


 
 追記。
 出品者の半分ぐらいは筆者の知らない人。プロフィルを見ると、シンクスクールの出身だったりする。
 1990年代ぐらいまでの新人は団体公募展で受賞したり貸しギャラリーでの個展・グループ展で登場したりしていたが、近年はちょっと把握しにくくなっているのかもしれないと、ふと思いました。


2022年11月19日(土)~23年1月11日(水)午前7時半~午後10時、会期中無休
札幌大通地下ギャラリー500m美術館(札幌市営地下鉄大通駅とバスセンター駅間の地下コンコース)


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