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■端聡 平面作品展 (2020年6月25日~7月18日、札幌)

2020年07月18日 16時26分29秒 | 展覧会の紹介-現代美術
大型の映像インスタレーションで知られるアーティスト・端聡(はた・さとし)が、CAI02では5年ぶりとなる個展を開催する。

端が昨今興味を持つ新旧の聖書、古事記、古神道、真言密教などからヒントやインスピレーションを得た平面作品10点を発表予定。

と「ウェブ版美術手帖」にはあった。

 筆者がギャラリーを見始めた頃の端さんは、若手の平面作家を顕彰する「VOCA(ヴォーカ)」展で入賞を果たした直後で、モナリザなどをモティーフにしたモノトーンの重厚な作品を発表していたので、個人的な違和感はない。
 その頃から作風というか、テイストの基調は変わっていないように感じる。

 もっとも、平面といっても、いわゆる抽象絵画的なものもあるが、くぎなどを用いたコラージュや、金属の箱を支持体にしたような作品もあって、壁から突き出すように展示されていた。
 実際には16点あった。


 端さんは1960年代生まれで、世代的にニューエキスプレッショニズムの影響を受けたという話を以前していて、そっちのほうに驚いた記憶がある。
 たとえばキアやクレメンテといった原色ばりばりの画家よりも、むしろキーファーやボイスらドイツの作家から受けた影響のほうが大きいのではないかとひそかに感じていた。

 既存のイメージをコラージュする端さんの手つきには、ドイツの精神性やロマン主義に通ずるものがあると思う。
 今回も、多くの作品に、欧文の筆記体のような細い線がおびただしく引かれている。それはわたしたちには読むことができない。
 そのありかたは、一種の秘儀や、ひそかに弟子へと伝えられる秘法にも似ている。

 あるいは、そのまま受け取ると荒唐無稽なので、ある種の解読や操作が必要な古い伝承や伝説などにも共通するものを感じる。
 神話や伝説に通底する精神のありかに、端さんの作品は、ことばとは違った方向から垂線を届かせようとしているようなのだ。

 それは、遠い太鼓やベースソロのように、静かに、しかし力強く響いて、わたしたちの心を揺さぶるのだ。

 出品作は次の通り。
岩は開いた
ほの暗い闇を通じて飛翔する腹下の大地が見える
影も自慢するくらいの光の量
宗谷岬
時代の奏でる言葉も忘れて
時の過ぎ行く脚とを風景に重ねて
Non-dual 法悦と受難の間
来るべき言葉の中に
Intention and substance 2-8-1
天は、光で届け影で知らせ反射で遊ばせる
覗いてはいけない神話
記憶を手放して森に帰る
ドレスデンの彼方
捜すことも想い出すことも せずに
Intention and substance 2-19-1
勝利の酒


2020年6月25日(木)~7月18日(土)午後1~7時、日・月曜休み
CAI 02(札幌市中央区大通西5 昭和ビル地下2階)

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