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北海道美術ネット別館

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■ひろがるかたち(12月21日で終了)

2007年01月18日 06時53分49秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌の南隣にあるベッドタウン、北広島市では、同市内在住のユニークな陶芸家、松原成樹さんのプロデュースで毎年、企画展をひらいています。
 今回は、石の抽象彫刻がテーマ。山本良鷹、伊藤隆弘、藤田尚宏、野村裕之の4氏が出品しましたが、札幌と長沼(空知管内)の在住で、北広島の人はだれもいません。北広島市、太っ腹だなあ。12月16日に「ギャラリートーク」が行われたので、ようすをのぞいてきました。
          

 野村さんのインスタレーション「禅問答-石の重さを感じてみるのじゃ」は、竜安寺(りょうあんじ)の石庭を思い出させます。
 作品のまわりの床に、いろんなテキストが置かれています。
ちいさいいしがある
じぶんをいしとおなじくらい
ちいさくしてみる

あるいは
ひろびろとしたいしのにわを
さんぽしてみる

 野村さんによると、これは「公案」みたいなもので、これをヒントに、たとえば作品の重さなどについて、いろいろ考えてもらおうということのようです。
 小さな石のかけらの中には、「ウォーリーをさがせ!」の趣向で、ウォーリーの帽子と同じかたちのものもあるとのこと。
 どこかユーモアをたたえた作品です。

 山本さんは、石と石を連結したようなイメージの作品を作っています。
「連結するかたち」は、重々しい石にもかかわらず、ちょっとの力で動きそうな感じがするのが、おもしろいです。
 「春から」については、 
「春の訪れが恋しいのを感じて、自然にふれるために作った」
と話しておられました。
 
 伊藤さんは
「物とは何か。人生とは? 死んだらどうなるのか」
ということを考え続け、
「それにすこしでも近い作品を作り続けていきたい」
と語っていました。
 冒頭の画像の「存在の考察2006」も、まさにそういう思考の末の作品なのでしょう。
 狭い隙間があるのは
「触れないところと触れるところを両極端な形で示すことで、石の魅力を引き出せないかと考えた」
ためだとのことです。
 また
「球には完全なかたちを、リングには永遠性を感じる」
とも言い、さいきんは輪のような作品にとりくんでいます。
 5年ほど前の大同ギャラリーの個展にも出品されていた「The slide of Ring」は、リングを斜めに寝かせた形をしたすべり台のモケット。筆者は、以前も今回も「完璧なすべり台」という感嘆を禁じえませんでした。
「だれか建築家でつくってくれる人はいないかな」
と伊藤さん。

 最後は、道教大の大学院を出たばかりの若手、藤田さん。
 「石の表情はいろいろで、みがけばピカピカだし、割ったらでこぼこしている。素材の力を引き出そうと、試行錯誤しています。タイトルは出来上がってから考えることが多いです」
 舟のようなかたちをした「再生気流」については
「舟とか靴とかクジラとかいろいろいわれたけど、そういう意外な感想をきくと、じぶんの無意識に、知らない部分が眠っていたのだと思ってうれしくなる」
と話していました。

 石の彫刻というと、舟越保武の「巨岩と花びら」を思い出します。
 永遠につながる何か、が、石の彫刻には秘められているのではないかという気がするのです。

 出品作は次のとおり。
 野村「禅問答-石の重さを感じてみるのじゃ」「ひかり(連作)」
 山本「連結するかたち」№1-3 「Spring(春)」№1・2
 伊藤「私は貴方であり貴方は私であるということ」「存在の考察2006」「The slide of Ring」「軌跡」「Dimension's Gate(時の門)」「新生」
 藤田「linkage」「slow motion」「再生気流」「蔽う残像」「遼遠のプリズム」

12月13日(水)-21日(木)10:00-18:00(月曜休み)
北広島市芸術文化ホールギャラリー(中央6、北広島駅すぐ)

□伊藤さんのホームページ

藤田さんの個展(05年11-12月)
野村さんの個展(03年)
野村裕之小彫刻展 ひそやか(02年)


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