
今はなき札幌時計台ギャラリーから3年ぶりに、江別の画家工藤悦子さん(主体美術と新道展の会員)が、道新ぎゃらりーで個展を開いている。
タイトルは「環」。
作品それぞれに題をつけるのをやめ、大小あわせて20点ひっくるめて「環」ということのようだ。

抽象画ということもあって、工藤さんは
「自由に見てほしい」
という。
筆者も、実作を見てほしいと思う。
120号、あるいは130号キャンバスを二つ横にくっつけた作品が4点あり、かなりの迫力だ。
最大で193×324センチ。主体美術の会場で展示できる、ぎりぎりの大きさだそうだ。
作品に近づいてみる。
堅牢な下地と、ふわっとした羽根のような部分との対比が目を引く。
オーカー系の地は、絵の具を何度も重ねては削るーという作業を繰り返してつくられている。
羽根のような薄白の部分は「デカルコマニー」という技法を用いている。
ひだのような模様をひとつひとつ描くのではなく、紙やビニールなどに絵の具をつけて、キャンバスに押しつけるのだ。
そこでできる偶然の模様が面白いーと、工藤さん。

画面の中央部に浮かぶいくつもの円形は、近年になって登場した。
ふわふわと漂うクラゲの群れのようにも、胞子や、キノコのかさのようにも見えるが、これも工藤さんの絵に共通してみられる「生命のような、何か」なのだろうと思う。
先の画像で、大作では、画面全体を引き締めるように、中央部分に水平に黒い線が挿入されている。
小さな作のほうは、その円形のみを描いている。
小品は青系の地で、白い羽根のような模様が、ぐっと浮き上がって見える。
青といえば、工藤さんは2000年代初頭までは、深みのある青をメインにした絵を描いていたことを思い出す。
「生命」とか「宇宙」「永遠」でも何でも良い。
どんな思いでも投影できるのが、抽象画の良いところだろう。
そして、どんな語をあてても、それが100%の正解ではないのだ。
絵の前に立ち、いろんな思いにふけりたくなる作品だ。
2018年10月18日(木)~23日(火)午前10時~午後6時(最終日~5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北一条館道新ぷらざ)
関連記事へのリンク
■札幌のアーティスト50人展 (2017~18)
■工藤悦子個展―apples(環)― (2015)
■工藤悦子展 (2013)
■工藤悦子個展 -悠久の華- (2010年)
■工藤悦子個展-悠久の華- (2008年)
■07→08展
■06年の個展
■04年の個展 (2日の項)
■02年の個展
■01年の主体美術8人展
■00-01展(2000年末)
タイトルは「環」。
作品それぞれに題をつけるのをやめ、大小あわせて20点ひっくるめて「環」ということのようだ。

抽象画ということもあって、工藤さんは
「自由に見てほしい」
という。
筆者も、実作を見てほしいと思う。
120号、あるいは130号キャンバスを二つ横にくっつけた作品が4点あり、かなりの迫力だ。
最大で193×324センチ。主体美術の会場で展示できる、ぎりぎりの大きさだそうだ。
作品に近づいてみる。
堅牢な下地と、ふわっとした羽根のような部分との対比が目を引く。
オーカー系の地は、絵の具を何度も重ねては削るーという作業を繰り返してつくられている。
羽根のような薄白の部分は「デカルコマニー」という技法を用いている。
ひだのような模様をひとつひとつ描くのではなく、紙やビニールなどに絵の具をつけて、キャンバスに押しつけるのだ。
そこでできる偶然の模様が面白いーと、工藤さん。

画面の中央部に浮かぶいくつもの円形は、近年になって登場した。
ふわふわと漂うクラゲの群れのようにも、胞子や、キノコのかさのようにも見えるが、これも工藤さんの絵に共通してみられる「生命のような、何か」なのだろうと思う。
先の画像で、大作では、画面全体を引き締めるように、中央部分に水平に黒い線が挿入されている。
小さな作のほうは、その円形のみを描いている。

青といえば、工藤さんは2000年代初頭までは、深みのある青をメインにした絵を描いていたことを思い出す。
「生命」とか「宇宙」「永遠」でも何でも良い。
どんな思いでも投影できるのが、抽象画の良いところだろう。
そして、どんな語をあてても、それが100%の正解ではないのだ。
絵の前に立ち、いろんな思いにふけりたくなる作品だ。
2018年10月18日(木)~23日(火)午前10時~午後6時(最終日~5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北一条館道新ぷらざ)
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