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■工藤悦子個展 ー環 ー(2018年10月18~23日、札幌)

2018年10月22日 21時00分30秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 今はなき札幌時計台ギャラリーから3年ぶりに、江別の画家工藤悦子さん(主体美術と新道展の会員)が、道新ぎゃらりーで個展を開いている。
 タイトルは「環」。
 作品それぞれに題をつけるのをやめ、大小あわせて20点ひっくるめて「環」ということのようだ。


 抽象画ということもあって、工藤さんは
「自由に見てほしい」
という。
 筆者も、実作を見てほしいと思う。

 120号、あるいは130号キャンバスを二つ横にくっつけた作品が4点あり、かなりの迫力だ。
 最大で193×324センチ。主体美術の会場で展示できる、ぎりぎりの大きさだそうだ。

 作品に近づいてみる。
 堅牢な下地と、ふわっとした羽根のような部分との対比が目を引く。

 オーカー系の地は、絵の具を何度も重ねては削るーという作業を繰り返してつくられている。

 羽根のような薄白の部分は「デカルコマニー」という技法を用いている。
 ひだのような模様をひとつひとつ描くのではなく、紙やビニールなどに絵の具をつけて、キャンバスに押しつけるのだ。
 そこでできる偶然の模様が面白いーと、工藤さん。



 画面の中央部に浮かぶいくつもの円形は、近年になって登場した。
 ふわふわと漂うクラゲの群れのようにも、胞子や、キノコのかさのようにも見えるが、これも工藤さんの絵に共通してみられる「生命のような、何か」なのだろうと思う。

 先の画像で、大作では、画面全体を引き締めるように、中央部分に水平に黒い線が挿入されている。
 小さな作のほうは、その円形のみを描いている。


小品は青系の地で、白い羽根のような模様が、ぐっと浮き上がって見える。

 青といえば、工藤さんは2000年代初頭までは、深みのある青をメインにした絵を描いていたことを思い出す。

 「生命」とか「宇宙」「永遠」でも何でも良い。
 どんな思いでも投影できるのが、抽象画の良いところだろう。
 そして、どんな語をあてても、それが100%の正解ではないのだ。
 絵の前に立ち、いろんな思いにふけりたくなる作品だ。


2018年10月18日(木)~23日(火)午前10時~午後6時(最終日~5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社北一条館道新ぷらざ)


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