
(承前)
深川インターからふたたび道央道に乗り、次の旭川鷹栖インターでおりて、旭川市内へ。
大きな病院のそばにある画廊に寄ったら、盛本学史さんがいらした。実に7年ぶりの再会である。
盛本さんは、富良野市街から南に数十キロ離れた山部地区の廃校跡をアトリエにしている画家。以前は学校の先生だった。ユニークな画風で、三岸好太郎・節子賞を受賞。その後、「サトシ・モーリシャス」を名乗ったりしたが、いまは本名に戻っている。
冒頭の画像は「2丁目の森」(F100)。
西新宿2丁目の超高層ビル街が将来廃墟になったらどうだろう…という画家の幻視が具現化した1作。
いろんな細部がユーモラスで、見ていて実に飽きない。
上の方を拡大してみる。

数フロアを貫いて木がはえていたり、ライオンやキリンがうろついている中で、女性が青い鳥を矢で射抜いているのが目を引く。
彼女はもう片方の手にかさを持っているのが、ふしぎ。

もう1枚。
高層ビル街の内側に渦を巻く階段は巨大な牛の頭部につながり、その階段を力士がのぼっていく。奥の部屋では、木々が並ぶ中に食卓があり、別の部屋では動物が飼われている。あちこちに葉が舞い、カブトムシや白いイヌもいる。
さらに、火を吐くは虫類、空を飛ぶコック、やぐらをよじ登る泥棒、小さな校舎などなど。
画家の想像力が爆発したような、この手の作品は、ほんとにおもしろいと思う。
閉ざされた空間に雑多なモティーフを配置した盛本さんの絵といえば、「光工場」の連作が楽しい。
次の画像は、左が2003年の、「光工場」では最も初期に属する作で、右は2010年の近作だ。いずれもF50。

「光工場」は今後も続けていくそうだが、ここ2、3年は、曼荼羅や絵巻物のような画面空間にさまざまな要素を平面的に並べた、寒色系優位の作が多いように思う。
札幌・琴似の「ソクラテスのカフェギャラリー」での個展でも展示していた、6枚のキャンバスをつなげた「いつくしみ、尊ぶ」は、人の一生を表現した絵とのこと。
それらの作は、一見なんだかデタラメに花やロボットを配置しているようにも見えるが、盛本さんに聞くと、それぞれのモティーフについて逐一説明してくれるから驚く。
彼によると、「文学的幻想」の絵なのだという。
つぎの画像の手前にある大作「楽園」は、最初、たくさんの花を描きたくて取りかかった作品とのこと。
ときどき登場する白い象は、なんだか仏教的な聯想を誘う。


そう。盛本さんの絵は、どこか「哲学してる」のだ。
それは、べつにカントやウィトゲンシュタインがどうのと言うことではなく、もっと日常的なところで、人生とはなにか、世界とはどうなのかを、絵筆を動かしながら考え続けているのが、画面から透けて見えるということなのではないか。だから、どことなく宗教的な絵が多いのではないか。
もっとも盛本さんは若いので、骨の髄まで深刻に考究しているというよりも、どこかで「なーんちゃって」と笑いにまぶしている。
上の画像は、新シリーズ「超重力Girl」で、グラマーな女性がテーマなんだけど、これもやっぱり、すごい俗っぽさがマリア像と通底してる、みたいな逆説を感じるんだよな。
出品作は次の通り。
光工場(同題2点)
2丁目の森
森高の休日
キリンの家
楽園(キリン)
復活祭
楽園のケケッロ
超重力Girl
ゲーム
聖夜
夜空のふたり
音楽に誘われて
誕生の種
キリンになりそう
片思い
いくつかの喪失
三美神
沈黙は刻に埋もれる
楽園(家)
楽園
楽園(白猿)
楽園(ゴリラ)
夏について
春の女神
いつくしみ、尊ぶ
2010年6月18日(金)~27日(日)10:00am~7:00pm 会期中無休
ピカソ画廊(旭川市3の1 額縁のピカソ2階)
(2010年6月17~21日の日記は続く)
■盛本学史展 (2009年11月)
■富良野市内に貸しギャラリー、オープン記念で盛本学史さんが個展(2009年5月)
■晩秋の十勝岳など描く*盛本さん*レストランに展示*富良野(2007、08年)
■ローギュラート展(2006年、画像なし)
■盛本学史展(2003年、画像なし)
■ローギュラート展(2003年)
■絵画に宿る「心」について盛本学史は考えた(2003年)
■盛本学史・サトシ・モーリシャス展(2002年)
■斉藤順子・木滑美恵・長岐和彦・吉中博道・盛本学史5人展(2001年、画像なし)
■盛本学史展(2001年)
■第1回三岸好太郎・節子賞(2001年、画像なし)
・旭川駅から1200メートル、徒歩15分
・中央バス「高速あさひかわ号」の「4条通1丁目」から300メートル、徒歩4分
深川インターからふたたび道央道に乗り、次の旭川鷹栖インターでおりて、旭川市内へ。
大きな病院のそばにある画廊に寄ったら、盛本学史さんがいらした。実に7年ぶりの再会である。
盛本さんは、富良野市街から南に数十キロ離れた山部地区の廃校跡をアトリエにしている画家。以前は学校の先生だった。ユニークな画風で、三岸好太郎・節子賞を受賞。その後、「サトシ・モーリシャス」を名乗ったりしたが、いまは本名に戻っている。
冒頭の画像は「2丁目の森」(F100)。
西新宿2丁目の超高層ビル街が将来廃墟になったらどうだろう…という画家の幻視が具現化した1作。
いろんな細部がユーモラスで、見ていて実に飽きない。
上の方を拡大してみる。

数フロアを貫いて木がはえていたり、ライオンやキリンがうろついている中で、女性が青い鳥を矢で射抜いているのが目を引く。
彼女はもう片方の手にかさを持っているのが、ふしぎ。

もう1枚。
高層ビル街の内側に渦を巻く階段は巨大な牛の頭部につながり、その階段を力士がのぼっていく。奥の部屋では、木々が並ぶ中に食卓があり、別の部屋では動物が飼われている。あちこちに葉が舞い、カブトムシや白いイヌもいる。
さらに、火を吐くは虫類、空を飛ぶコック、やぐらをよじ登る泥棒、小さな校舎などなど。
画家の想像力が爆発したような、この手の作品は、ほんとにおもしろいと思う。
閉ざされた空間に雑多なモティーフを配置した盛本さんの絵といえば、「光工場」の連作が楽しい。
次の画像は、左が2003年の、「光工場」では最も初期に属する作で、右は2010年の近作だ。いずれもF50。

「光工場」は今後も続けていくそうだが、ここ2、3年は、曼荼羅や絵巻物のような画面空間にさまざまな要素を平面的に並べた、寒色系優位の作が多いように思う。
札幌・琴似の「ソクラテスのカフェギャラリー」での個展でも展示していた、6枚のキャンバスをつなげた「いつくしみ、尊ぶ」は、人の一生を表現した絵とのこと。
それらの作は、一見なんだかデタラメに花やロボットを配置しているようにも見えるが、盛本さんに聞くと、それぞれのモティーフについて逐一説明してくれるから驚く。
彼によると、「文学的幻想」の絵なのだという。
つぎの画像の手前にある大作「楽園」は、最初、たくさんの花を描きたくて取りかかった作品とのこと。
ときどき登場する白い象は、なんだか仏教的な聯想を誘う。


そう。盛本さんの絵は、どこか「哲学してる」のだ。
それは、べつにカントやウィトゲンシュタインがどうのと言うことではなく、もっと日常的なところで、人生とはなにか、世界とはどうなのかを、絵筆を動かしながら考え続けているのが、画面から透けて見えるということなのではないか。だから、どことなく宗教的な絵が多いのではないか。
もっとも盛本さんは若いので、骨の髄まで深刻に考究しているというよりも、どこかで「なーんちゃって」と笑いにまぶしている。
上の画像は、新シリーズ「超重力Girl」で、グラマーな女性がテーマなんだけど、これもやっぱり、すごい俗っぽさがマリア像と通底してる、みたいな逆説を感じるんだよな。
出品作は次の通り。
光工場(同題2点)
2丁目の森
森高の休日
キリンの家
楽園(キリン)
復活祭
楽園のケケッロ
超重力Girl
ゲーム
聖夜
夜空のふたり
音楽に誘われて
誕生の種
キリンになりそう
片思い
いくつかの喪失
三美神
沈黙は刻に埋もれる
楽園(家)
楽園
楽園(白猿)
楽園(ゴリラ)
夏について
春の女神
いつくしみ、尊ぶ
2010年6月18日(金)~27日(日)10:00am~7:00pm 会期中無休
ピカソ画廊(旭川市3の1 額縁のピカソ2階)
(2010年6月17~21日の日記は続く)
■盛本学史展 (2009年11月)
■富良野市内に貸しギャラリー、オープン記念で盛本学史さんが個展(2009年5月)
■晩秋の十勝岳など描く*盛本さん*レストランに展示*富良野(2007、08年)
■ローギュラート展(2006年、画像なし)
■盛本学史展(2003年、画像なし)
■ローギュラート展(2003年)
■絵画に宿る「心」について盛本学史は考えた(2003年)
■盛本学史・サトシ・モーリシャス展(2002年)
■斉藤順子・木滑美恵・長岐和彦・吉中博道・盛本学史5人展(2001年、画像なし)
■盛本学史展(2001年)
■第1回三岸好太郎・節子賞(2001年、画像なし)
・旭川駅から1200メートル、徒歩15分
・中央バス「高速あさひかわ号」の「4条通1丁目」から300メートル、徒歩4分
ヤナイさんのブログで今日までと気付いた事を伝えると、ブログに先生の記事が掲載されてる事を気付いてなかったようだったので、伝えておきました。
先生の「愛について」お気に入りです。
我が家は九月から札幌住まいです。
入れ替わりですね。
ブログの件、盛本さんにお伝えいただき、ありがとうございました。